性格悪い?
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というわけで早速料理に取り掛かる――訳ではない。
時計を見ると一五時と、まだ夕食を作るには早すぎる時間なので、二人でしばらくゆっくりすることにした。
「にしてもここ広いな、今住んでるマンションもかなり広いとは思うけど、それの三倍くらいはありそうだ。まあ詩織の家と比べたら大したことないような大きさだけど」
「探検してみたい」
「いいけど迷子になるなよ?」
「任せて、誠が覚えておいてくれるから」
「俺も参加するのは確定なのな、まあいいけどさ」
というわけで、ここを探検する事になった訳だが、マジで広い。長い廊下に扉が沢山あるので、しっかり覚えておかないとどの扉がどこに繋がっているのか、すべての扉を開けないと分からなくなりそうだ……
「ちなみになんだけど、廊下に飾ってあるこの壺とかってもしかしなくても、凄いやつなのか?」
「私も芸術とかよくわからないけれど、たしかこの壺は百万くらいはする壺な気がするわ」
「まじでとんでもないな……俺にはさっぱりだよ」
ゴッホとか、ピカソとかそういった人が描いた絵とかは、見たらおぉ、とは思うけれど、それ以上のことは何もわからない。分かる人には分かるのだろうが、そういう分野は素人なので芸術が分かる人はすごいなあと思う。
「さて、話は変わるけど気になってはいたから話すけどいいか?」
「そんなにもったいぶらなくてもいいわ」
「お、おう。それでなんだがな、今日の夜は肝試しもあるわけなんだが、それはどうするかっていう事なんだが――」
「でも、夜ご飯も行かないなら、肝試しも無理なんじゃない?」
「だよなあ、ちょっと気になってたから行きたかったんだけど……」
「誠は怖いの好きなの?」
別に怖いのが得意な方ではないのだが、単純に詩織がどんな反応をするのか気になったから――なんて言えるわけもないので笑って誤魔化す。
「あ、でも頼めばお化け側なら出れるかもしれないわ」
「……顔がわからないからっていうことか」
「そういうことよ、お願いしてみる?」
「せっかくなら頼むよ、夜ご飯食べ終わった後、ずっとこの部屋にいるっていうのもあれだしな」
というわけで、急遽お化け側として肝試しに参加する事になったのだが、生徒側にバレるわけにもいかないので、コッソリ木の陰に隠れてこっちを見る兄妹。という設定で最後のほうにいる役に決定した。
ちなみに本当にコッソリといるので、全く気づかないまま終わる可能性の方が高いだろうが、気づいてお化け側の生徒に後で聞いてもそんな人はいない。と言われる所まで考えての怖いというのを俺が考えた。
「誠って、思ってたより性格悪い?」
「そうか? みんなこのくらい思いつくと思うけど」
「少なくとも私わ思いつかないわ」
「まあ詩織は純粋でいい子だからな」
「そう言う誠はひねくれた悪い子? あ、でもとっても優しいからやっぱりいい子?」
「そこで迷うなよ……」
ていうか、恥ずかしいからやめてくれ……
「じゃあ決まりね」
「ちょっと楽しみになってきたな」
「私もこんな事したこともなかったから楽しみ」
「じゃあ、肝試しに行くためにも、そろそろハンバーグ作りにキッチンへ戻るか」
意外と長い間ここを探索していて間に合わなくなってはいけないので、ハンバーグを作りに戻ることにする。
たしかこの次の扉だったはず――ありゃ違ったか、ああ、この隣だったわ。
「ふふ」
「ん? どうしたんだよ」
「誠が間違えるなんて珍しいなって思ったのよ」
「そうか? いつもよく間違ってると思うけど」
「でも、記憶力はいいでしょ?」
「どうしてそう思うんだ?」
たしかに、テストとかでも暗記教科は得意な方ではあるが、そんなに誇れる程のものではないと思う。
「だっていつも私が言ったこと覚えてくれてるじゃない」
「それは雇い主の言葉だからであって――」
「お金は受け取ってないのに?」
「えっとそれは……」
「それは?」
「相手が言ったことを覚えてるのは普通だろ? いつも一緒にいるなら尚更な」
「……そう」




