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衝撃の事実



「じゃあ決まりだな」


 ということで大変かと思われていた林間学校の班決めは、あっという間に決まってしまった。


「まさかこんなにあっさりと決まるなんてな」

「確かに良くない方向で噂の人だもんな」

「まさか優斗が幼馴染を連れてくるとは思ってなかったけど」

「でも、知らないやつよりは全然いいだろ?」

「そりゃそうだけどさ」


 その後小声で「優斗が一緒の班になりたかっただけじゃないのか」と言うと、「それもあるけどな」と少し照れくさそうにしていた。



「そろそろ私は前に戻らないとだから行きますね」


 少し話した後、中野さんはそう言うと教壇のほうへと戻っていった。

 やっぱり委員長は大変そうだな、断って正解だった。



「それにしても二人は仲がいいんですね」

「やっぱり陽彩もそう思うよな、これで付き合ってないんだぜ」

「これくらい普通だろ」

「普通は何も言わなくても相手のしてほしいことが分かるわけないだろ」


 はぁ、とあきれたように優斗がため息をつく。

 毎日一緒にいたらそのくらい分かるようになると思うんだけどな……


「まあ上崎君と一条さんがとても仲がいいことは分かりました」

「……別にそんな敬語じゃなくてもいいですよ、優斗と同じ感じでも」

「あらそう? 正直この口調は結構我慢してたから助かるわ、上崎君も崩してもいいわよ」

「そりゃどうも、でもなんでそんな慣れない事をしたんだ?」

「なぜって、一条さん相手にそんなことできないでしょう? そしてその仲良くしている人も同様に機嫌を損ねちゃったら大変じゃない」



 さも当たり前のようにそんなことを言われて思い出したが、そういえば詩織はとんでもないくらいにお嬢様だったな。


「ん? でもどうして詩織がお嬢様だと知っているんだ?」

「ああ、それは私のお父さんが一条財閥の傘下にある会社の一つの社長だからよ。ちなみに優斗も同じような感じよ、ってこれ優斗言ってなかったの?」


 状況が理解できないとはこういうことを言うのだろう。

 ていうか優斗とか普通に接していたが、大丈夫だろうか? ちょっとくらいかしこまった方が……


「あ、俺が社長の息子だって事を知っても距離を置いたようなしゃべり方をするのはなしだからな」


 また俺が考えていることを先読みしやがった……


「――その理論で行くなら優斗はどうして最初からため口だったんだ? 別にダメってわけじゃないけどさ」

「最初知り合った時はマジで知らなかったんだけど後で気づいてな、急に接し方を変えるのもよくないなと思って今まで黙ってたんだよ」


 悪いな、と優斗が謝ってくるがもう今更な気がするので、開き直って普段通りに接した方がいい気がする。

 あれ? ってことは俺は今お嬢様とお坊ちゃましかいない空間にいるのか……マジで自分で言っててあれだが、何言っているのか分かんないな。



「まあ改めてよろしくってことで」

「おう、もう何も考えないことにするよ」

「その方がいいかもな」


 ケラケラと笑いながら優斗もそう言ってくる。

 ほんと、この学校に入学するまではまさかこんなことになるなんて夢にも思わなかったな。人間、何が起きるか分からないものである。



「ちなみにもう後で驚きたくないから聞くんだけど、中野さんはどうなの?」

「中野さんはおじいさまが一条家の執事をやっていたはずよ」

「マジでとんでもない班に俺は入っちゃったみたいだな……」

「誠もそのとんでもない人の一人だけどな」

「いや、俺はただの一般人だろ」

「俺らよりも位としては高いかもだけどな」

「は? なんで」


 別に俺の両親は裕福だとはいえ、流石に社長クラスではないんだけど……あ、なるほどそういうことか。


「分かったみたいだな、一条さんととても仲がいいっていうのはそういうことなんだよ」

「マジで心を読んでくるのやめてくれよ」

「「それは分かりやすいのが悪い(わ)」」


 




  




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