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十六

学園主催でパーティーが開かれることになりました。

学園に所属している王族、貴族はもちろん、その親たちも招待される盛大なパーティーです。

僕も父上と参加しようと思っていたのですが、ここ最近なんだがそわそわ楽しそうにしていて...パーティーにも置いて行かれたみたいなので自分で馬車を手配しました。


「ルカくん!」

「マリアンヌ様!」

相変わらず綺麗なお方です...

僕はハイドローザ家を継ぎ、マリアンヌ様を支えて生きていく。

そしてマリアンヌ様のお役に立ちたいのです。

「あ、相変わらずお綺麗です。」

「うふふ、ありがとう。もう少し早く分かってたら、流行りのドレスを取り入れたのに、ね?」

片目をつぶり、気軽に話しかけてくださいます。王族の方なのに、こんなに気軽に話しかけてくださるだなんて...

僕はこれを知って、マリアンヌ様に仕えようと思ったのです。

「今日は、なんのパーティーなんですか?」

「それが、私も知らないの。私たちの婚約パーティーはまた別だし...」

ルカは家に招待状が届いていたことを思い出した。ダニエル王子にもマリアンヌ様にも、姉のことで責められることはなかったが、それが余計ルカに申し訳ない気持ちを生んでいた。

「あの、僕が行っても大丈夫なんでしょうか....姉のこともあるし....」

「そんなことルカくんには関係ないわ!」

うふふ、と微笑んで下さった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


うふふ、ルカくん、ちょろいわ〜。

私がちょっと微笑んだだけで、顔赤くさせちゃって。可愛いからちょっと遊んじゃってもいいかもしれないわ!

ルカくんとなら会っててもあんまり怪しまれないし。んー、でもそれならユリウスの方が好みなのよね...


「皆様、本日はお集まり頂き、ありがとうございます。」

あら?ママだわ。

ふーん、綺麗なドレス着ちゃって。そのお金は私がいたから手に入ってるんだからね?

貧乏貴族じゃなくなったのは、私の本当のママと私のおかげよ。

「ダニエル王子とマリアンヌの婚約を祝福して頂き、ありがとうございます。」

ママの拍手につられたように、パチパチと拍手が増えていく。

「そこで、お話がありますの。」

ママの笑みに、背筋がゾワゾワっとした。

あれは、なんだか良くないことを考えてる...

私の直感が反応していた。

「知っておられる方も多いと思いますが、マリアンヌとはディオゲネス公と故ディオゲネス夫人の間の子です。」

会場にいたのが貴族ばかりだったこともあり、騒がしい雰囲気にはならなかった。

ディオゲネス公の前妻と知り合いの方がいてもおかしくないし、もしかしたら私が本当のママと似ているのかしら?

たぶん、お喋り好きなどこかのご婦人が噂した後だったんでしょう。

...私の耳に入ってくるくらいなんですもの。


ママはチラッとどこかを見ると、息を吸った。

「ですが、そこにいるマリアンヌではありません。その子は、私とハイドローザ公の間の子です。」


何言ってるの?ママ?私が誰と誰の子ですって?

会場が大きくどよめいた。

「どういうこと?」「不倫?」「本物のマリアンヌ様は?」


「んんっ。焦らないで下さい。順番にお話します。」


ママは私をみて、ニヤリと笑った。

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