表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
97/126

わたしはすっかりヒロインの……に魅了されたのです

お待たせしました。

 わたしはアニーにすすめられるまま、ちょんまりとソファに腰を下ろしました。


 おお、座り心地は大変よろしいのです。


 アニーはやはり見た目より実用面を優先させるタイプのようですな。


 やはりヒロインはそこらの女の子とは一味違うのです。


 さすが、わたしのヒロイン!


 だけど、やっぱりちょっと寒々しいのですよ。


 特にあの寝室は。


 ここは、このエレナさんが奮起して素敵なクッションやベッドカバーなどをつくってプレゼントするべきでしょう!


 手作りなのがキモなのです。


 刺繡の授業血まみれ事件から一度もしたことないですが、人間やればできるもんなのですよ、きっと。


 エレナさんはあのころよりもだいぶ大人になったですしね、えっへん。



「はい、どうぞ。夕食にしましょう。わたしがつくったのだけど、味は保証するわ」


 そう言いながらアニーはテーブルの上に皿とカップを置いてくれました。


「アニーがつくったのですか!」


 ヒロインの手料理ゲットなのです! と意気込んでそれを見て、わたしははて、と首を傾げました。


「どうかした?」


「サンドイッチ、なのですね」


「ええ、これなら片手で食べながら書類仕事もできるでしょう? だからよく作るのよ。ああ、もしかして嫌いだった?」


「いえ、大好きなのです。……そこではなく、んー、いえ、うんと、あの、これだけなのですか?」


 そこには、チキンを挟んだものと、卵のサンドイッチが二つあるだけです。


 パンは普通のものより厚さはありますが、しょせんパン。


 あとは紅茶。


 ぐるるるる…………。


 わたしのおなかも訴えます。


 これじゃ、足りない、と。


 こう、他にスープとかサラダとか肉とか魚とかデザートとか。


「ああ、ごめんなさい。足りないのね? 小柄だから勝手に少食かと思ってたわ」


「あう、そうなのです。わたし、たくさん食べるのです……」


「はい、じゃあこれも」


 トントントン。


 サンドイッチの皿が三セット追加されました。


「……ずいぶん作ってあったのですね?」


「ええ。夜食や朝食や昼食にもできるし。食堂へ行くのも時間がもったいないから」


 三食プラス夜食までサンドイッチ?


 それは栄養偏らないのでしょうか? 

 

 わたしはテーブルの上に積み上げられたサンドイッチを眺めました。


 ……単品増量をして欲しかったわけではないのですが……。


 ただ量だけは十分なものになったので、これ以上わがままを言っても仕方ないとわたしはまずはチキンのサンドイッチをぱくりと口にしました。


「!?」


 チキンの照り焼き加減が絶妙なのです。


 ソースも甘さと辛さがこれ以上にないほどのバランスで。


 もきゅもきゅとあっという間にチキンのサンドイッチを平らげると、次は卵です。


「!」


 なんてしっとり。


 卵とマヨネーズの組み合わせって、こんなにおいしかったのですねと再認識です。


 所どころに舌にピリリとくるマスタードも、最高なのです。


 むぐむぐもぐもぐむきゅむきゅふにゅふにゅ……。


 わたしは一心不乱でサンドイッチを食べ続けました。



 やっぱり、ヒロインは最高なのです!



アニーさんは料理上手だったもよう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ