目からうろこが落ちたのです
今回「!」が異様に多い……。
「友達が欲しい、というわけね! まあ、可愛い! 本当に可愛いわー!」
ミッシェルさん大はしゃぎ。
とても悩み相談とは思えないのですよ。
言えと言われたから言ってはみたものの……、正直ネタにされてるとしか思えないのですよ。
ミッシェルさんはしばらく一人でキャッキャとはしゃいでいたけど、しばらくして気が済んだのか、ロリポーズをしながらわたしに問いかけました。
「でも、今まで友達一人もいなかったわけじゃないでしょう?」
友達……。
わたしは考えました。
ニール・エルハラン。従兄弟ですが、友達とも言えなくはないのでしょうか。
ジェレミー・クラウン。従兄弟で義弟ですが、以下略。
ラスティ・グランフォード。婚約者ですが、以下略。
レフィル・ディラン。王子で……はて?
あれ? わたしまじで友達いないですか。
いや、それは寂しすぎるのですよ!
そんなのわたし、認めないのですよ!
認めてたまるかなのです!
従兄弟で義弟で婚約者でよくわかんなくても友達! 決まりなのです!
「はい、いるですよ、友達」
わたしは頷きました。
ミッシェルさんはうんうんと頷くと、ロリポーズその二をしながら再度問いかけてきました。
「じゃあ思い出して! その子達と仲良くなった時のことを!」
思い出……。
じゃあ、まずはニール。
我がまま演出して嫌われようとしたら、甘やかされましたね。
次にジェレミー。
意地悪演出して嫌われようとしたら、慕われましたな。
で、ラスティー。
傲慢演出して嫌われようとしたら、懐かれたのですよ。
そんで、王子。
特に何をするわけでもなく、勝手に寄ってきたですがな。
「……特に、わたしの方で何かした覚えは……」
「ふんふん、じゃあ思い出して! その子達と出会ったきっかけを!」
出会い……。
従兄弟のニール。
ママさんの実家に里帰りした時に、まあ自然な成り行きで、ですね。
義弟のジェレミー。
義弟になるとうちに連れてこられたのですよ。
婚約者のラスティ。
婚約者として、で対面させられて、ですな。
王子のレフィル。
何か勝手に寄ってきたですがな。
「……偶然の流れ……?」
「ほら! 結論出たじゃない!」
パンッと手をあわせ、ミッシェルさんはそう言った。
結論?
さっぱりわかりませんがな。
合点のいかないわたしの表情を見て、ミッシェルさんはやれやれと首を振ります。
……何か幼女が大人ぶってるようにしか見えませんなー。
「もー、世話のやける子ね! 今までのお友達とは偶然出会い、自然のままのあなたで仲良くなったんでしょう? じゃあ、今後もそれでいいってことよ!」
「…………!」
はらり、と目からうろこが落ちるような気がしました。
なるほど。
無理をして友達を作ろうとしたから失敗だったのですね!
わたしはわたしのまま、自然にしている時に寄ってきた相手をゲットすればいいのだと!
そうなれば目標変更なのですよ。
どうやって友達候補に近づくかではなく、近づいてきた相手をロックオンして捕獲する方へシフトチェンジなのです!
「ミッシェルさん! ありがとうございますです! 何やらどうすればいいかわかった気がするのですよ!」
「まあ、お役にたてて嬉しいわ! 迷える子羊ちゃんを導くのは寮母であるわたしの役目ですもの! また何かあったらいつでもいらっしゃい。わたしの可愛い子猫ちゃん!」
わたしは子羊なのか子猫なのかどちらなのですか、というツッコミはとりあえず堪えて、ミッシェルさんにお礼を再度言うと、わたしはミッシェルさんの部屋を出ました。
さあ、わたしの準備は万全です!
いつでもどんと来いなのです、わたしの未来のベストフレンドよ!
次回こそ新キャラ登場です。




