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成長したのですよ

この先どうしましょうか。

「エレナ、久しぶりだね、会いたかったよ」


 開口一番ニールはそう言ってわたしの手をそっと握ってきました。


 ニールは現在十五歳。


 もともと麗しかったその容貌は、さらに磨きがかかってます。


 銀髪がキラキラサラサラと銀糸のように風に揺れます。


「ニール兄様、あいかわらずですね」


 苦笑したように言うのがジェレミー。


 昔はパパさんの小型版でしたが、今ではパパさん(壮年)、パパさん(少年)と括られるほどそっくりです。


 わたしよりよっぽど実の親子のようですよ。


 いわゆる豪奢な美形ですね。


 わたし?

  

 わたしは、うん、まあ可愛いんじゃない? くらいですよ。


 ……現実って残酷です。


 ここにはいませんが、ラスティーもワイルド男前に成長したですよ。


 ゲームでの赤髪の獅子の異名も納得です。


 ニールやジェレミーの前では子犬君になってますが。


 まあみんな、成長したのですよ。


 だからそんなこんなで学校へ行くのです。


 学校は基本寮生活なのです。


 一部例外はあるようですが、まあそれはどこにでもある話ですな。


 ニールも昨年学校へ行ってから、昔よりは頻繁に会うことが出来なくなってました。


 便利なニールの知恵袋が使えなくて不便なこともあったですよ。


「準備は? 出来てる?」


「はいなのですよ」


「ええ、ニール兄様」


「そうか。じゃあ行こうか」


 大きな荷物は別に送ってあるので、わたしとジェレミーは小さな手荷物ひとつを持って、パパさんとママさんへ向き直った。


「じゃあ、行ってきます」


「行ってまいります」


「ああ、頑張ってきなさい」


「お手紙頂戴ね?」

 

 これでご挨拶完了。


 別に、今生の別れではないし充分なのですよ。


 本来は学校での事務手続きがあるので親か執事か、に来てもらってとなるのですが、それらをすべてニールがしてくれるとのことなのでここでお別れです。


 ニール、わたしより一つ年が上なだけなのに、本当に保護者みたいなのですよ。


「じゃあ、行こう。叔母上、ルフォス伯、エレナのことはわたしにまかせて、どうかご安心ください」


 ニールがパパさんとママさんにそう挨拶した。


 いや、ジェレミーのこともきちんと請け負ってくださいなのですよ、ニール兄様。


「ふふふ、ニールがいれば安心だわ。それにジェレミーもついていてくれることだし」


「はい、まかせてください、お義母様」


 なんと!


 ジェレミーは保護される側ではなくまさかの保護する側認定ですか!


「では、これで」


 ニールはそう言って頭を下げると、止めてあった馬車にわたしとジェレミーを乗せた。


「出してくれ」


 そうニールが声をかけると馬車はゆっくりと動きだした。


 ああ、本当におうちを出たのですね。


 学校生活開始なのですね。


 わたしは馬車の中から外を見ながら、改めてしみじみ今までのことを振り返りました。


 そして、これからのことに思いをはせます。


 待っててね、わたしのヒロイン。


 今、エレナが参ります!


とりあえず次は入寮の話かと。

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