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すべてはチョコバナナが悪いのです

エレナさん暴走中。

 街に出てきました。


 清閑な屋敷まわりと違い、活気があって賑やかです。


 街は基本石造りです。


 うーん、中世ヨーロッパってこんな感じなのでしょうか、よく知らんですが。


 人、たくさんです。


 ざわざわがやがやです。


 そこここに、天幕のお店も出てます。


 野菜売り、果物売り、お肉屋さん、お菓子屋さん……、いっぱいあるです。


 石造りの建物の中のお店はちょっと高級そうです。


 その店を示す看板はオシャレで素敵なものが多いです。


 花売りの女の人もいます。


 靴磨きの少年もいます。


 馬とか驢馬もいるですよ。


 目新しいものに興奮して、わたしはきょろきょろと辺りを見回しました。


 あ、あれに見えるは……!



「ねえエレナ、たくさん人がいて迷子になると大変だから手を……って、エレナ!?」




 わたしはそれが見えた瞬間、駆けだしてました。


 目的一直線です。


 その目的は……。


 チョコバナナ!


 チョコバナナを売っている天幕へあっという間に駆け寄りました。


「おや、いらっしゃい。あらまあずいぶんと身なりのいいお嬢ちゃんじゃないかい」


「バ…バニャニャ……。チョコバニャニャなのです」


 わたしは、感動でくらくらです。


 あまーいバナナ。


 ほーじゅんなかおり。


 そこにほろ苦いチョコの味……。


 だ・い・こ・う・ぶ・つ・で・す!


 チョコバナナ、お祭りの時には必ず買って食べていたものです。


 まさかこんなところで出会えるとは……!


「あんれまあ、チョコバナナ好きなのかい、お嬢ちゃん」


 こくこくとわたしは頷きました。


「買ってくかい?」


 こくこく、と頷こうとしてわたしは、はたと気がつきました。


 わたし、お金持ってない……。


 支払いはニールがするはずだから、と。


 いでよ、わたしのお財布!


 と後ろを振り返ると、そこには誰もいません。


 人が溢れかえっているだけです。


 …………あれ?


「どうしたんだい、お嬢ちゃん?」


 チョコバナナ売りのおばさんが心配げに声をかけてきました。


 はう。


 どうしよう、わたし。


 ………………迷子なのです。

 

アイスとクレープとで迷いましたが結論はチョコバナナ。

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