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さすが攻略対象者は一味違います

エレナさん、鼻血中……。

 鼻血を出したらベッドへ放りこまれました。


 もちろん、離れないジェレミーも一緒です。


 ニールが驚いたような顔をして、わたしからジェレミーを離そうとします。


「起きなさい」


「や」


「エレナから、離れて」


「やー!」


 無理ですよ。


 そんなんで離れるようなら、とっくに離れとりますがな。


 言葉で言っても離れない。


 引っ張っても離れない。いやそれわたしも痛いからやめて。


 ニールは肩で息を吐きます。


 ジェレミーは、わたしの腕にますますがっちりしがみつきます。


 いでででででで。


 つかこの子どんだけ怪力なの。


 腕の血が締め付けで止まりそうですがな。


「……ジェレミー、レディの寝台に男がそう簡単に入り込むものではない」


 レディ!?

 

 三歳児に対し四歳児がレディ発言!?

 

 やっぱりこいつただもんじゃないですな。


 あ、攻略対象者様でしたかそうですか。


 ジェレミーは胡乱気にニールを見上げます。


「お前の事情はわかってるつもりだ。同情もする」


「……」


「だが、いつまでそうやってエレナに甘えているつもりだ? 女性を守るべき紳士であるなら、甘えは捨てろ」


「…………」


「おまえがいつまでもそうやっているつもりなら、もうそれはそれでいい。気がすむまでそうやって甘えていればいい。わたしはその間に身命を賭して、エレナを守れるような男になることをここに誓う」


 はい!?


 身命ですか!


 そんな大層なもん賭さなくていいですがな!


 誓うなそんな御大層なものをこんなあっさりわたしごときの寝室で!


 あまりに大げさなニールの言葉にわたしが凍りついてると(ツンドラってこのことですか)、ジェレミーはむくりと起き上がった。


 わたしの腕から手を離して。


 おお、久々トイレとお風呂と着替え以外での拘束が解けました。


「姉様は僕が守る!」


「言葉だけなら簡単だ」


「僕が守る! 知恵をつけ、身体を鍛え、どんな危険も変な男からも絶対に守る!」


 お、義弟よ……?


 三歳にして、変な男ってどんな発想ですか。


 義姉は心配です。


 君はいったい何者ですか。


 あ、攻略対象者君でしたねそうでした。


 ん? いやそっか、変な男とはもしかしなくてもニールのことですか。


 目の前の人間を指して言っただけですね。


 なら納得。


 ニールとジェレミーはバチバチと火花を散らして睨みあう。


 なんかよくわからんですが、拘束解けてばんざーい。


 ちょっと感謝ですよ、ツンドラニール。



次回はたぶん、ちょっと時間すっ飛ばします。

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