よくわからんがアドバイスアドバイス、なのですよ
大変お待たせ致しました。
むむーん。
レニーの様子がおかしいのですよ?
深刻な顔をしてお悩み相談かと思ったら、相談そっちのけでわたしがアニーをどう思ってるか聞いてきて、はりきって答えたら、何とも微妙な表情をして黙り込んでしまったのです。
うーん、こういう顔ってどこかで見たことあるような気がするですな。
ああ、お菓子の食べ過ぎでうんうん苦しんだ後、ちょっと落ち着いたのでまた別のお菓子に手を出した時わたしを見ていたジェレミーの表情がこんな感じでしたね!
はて?
何でレニーはそんな顔してるのですかね?
「どーしたのですか?」
なので聞いてみるのですよ。
「いや……」
しかし微妙な顔のまま答えません。
煮え切らん男ですな!
「アニーのことで相談なのですよね?」
「……そのつもりだったんだけど……」
そう言ってレニーはごにょごにょと言葉尻を濁してしまってやはり聞き取れんですよ。
んもー。
「ご用がないならわたしもう行くですよ」
煮え切らないレニーの態度にそう言ったわたしに、レニーは一瞬目を泳がせた後こくりと頷いた。
「……ああ、悪かった」
何が悪かったか知らんですが、これ以上聞き出そうとしても無駄のようですしな。
「じゃあ私はもう行くです」
と手を振りかけて、おっと気がつきました。
「何だかよくわからなかったけど、アニーのことで悩みがあるならアニーときちんとお話した方がいいのです。相手の考えていることなんて、聞いてみないことにはわかりませんよ。自分がきっと相手はこう思ってる、と思い込んでいることと、相手が本当に思っていることが同じかなんてわからないのですから」
わたしがそう言うと、レニーはびっくりしたように目を丸くして、その後小さく頷いたのです。
よし、よくわからんがアドバイスはできたようですな!
本当に人の気持ちなんか聞いてみないとわからんのですよ。
例をあげると、お菓子が人数分しかない時にラスティが自分の分を差し出してくるので、ラスティは甘いものは嫌いかと思ってたら、実は結構好きだけどわたしがものすごく好きなので譲ってくれてた、ということがあったです。
あれは「ラスティはお菓子嫌いなのですか」と尋ねてみるまではわからんでしたな!
ラスティが、何故か顔を真っ赤にしながら「お菓子は好きだけど、それより(エレナのことが)すごく好きだからこれはエレナにあげるんだ」言ったのです。
確認の為に、「(わたしがお菓子を)すごく好きだから自分の分をくれていたのですか」と、尋ね返すとラスティはこくこく頷いたです。
わたしが「自分も好きなのにわたしの方がお菓子を好きだから譲ってくれてたなんて、ラスティの寛大な精神には完敗なのですよ……」と思わず漏らすと、ラスティが「え」とかたまりましたが、きっと黙っているつもりのことをわたしに伝えてしまった為にフリーズしてしまったのですね!
わたしも少しは反省したので、それ以降は遠慮してもらうのは半分にしておいたのですよ。
たくさんあるときはもちろん半分以上頂きましたけどね。
だってお菓子の魅力には勝てないのです……。
ん? お菓子?
ハッ、今お茶会真っ最中ではないのですか!
しかもわたしトイレ行くと行って出てきたのではないですか!
こうしてはいられません。
「ではレニー、またなのですよ!」
ご挨拶をして、パタパタと小走りで皆のところへ戻りました。
扉を開けた瞬間集まる視線。
「エレナ、息が切れているが大丈夫か?」
「はははー、おなか壊したのかい?」
「殿下、レディに対してそのような問いは……。でも大丈夫ですの、エレナ?」
「姉様、だからあれほど食べ過ぎには注意をと……」
「エ、エレナ! 腹痛いのか!?」
「お薬ありますが、お飲みになる?」
そして不名誉な疑惑が!
わたしはおなか壊してなんかないのですー!
ジェレミーとレニーの共通する表情=残念なものを見る表情。




