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それでも彼女は俺のカノジョじゃないわけで。  作者: 遥風 かずら
第八章:ダークネス エンジェル

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98.とある闇天使さんの日常 SS⑧


「何故あんな使えない奴を使ったの?」


「湊に関わってる女子を狙って奪おうとしているみたいだし、丁度よく池谷さんが湊とお昼に行くみたいだから、かな」


「私は手を貸さないし、あなたのやることをとやかく言うつもりは無い。けれど、湊くんに何かする奴ならあなたも許さないけど?」


「それは平気ですよ。湊に何かしそうもんなら俺があいつを何とかします。あゆさんが手を下す必要は無いです」


 浅海は私のお目付け役を任されている。これは仕方のないこと。だけど、どのみちさよりと彼は上手く行ってしまうと感じている。あの男がさよりを何らかの形で奪ってくれるならいいけれど、恐らく上手く行かない。湊くんは、さよりが好きだから。ハッキリとしていないけど、さよりを慰める方向で動くだろう。


 それなら、湊くんには警告のメッセージを送ろう。もちろん、私からのメッセージを見ることなく、さよりしか見ないということも予想している。このまま素直に彼を、湊くんをさよりなんかに渡したくない。


 何のためにわざわざ、隣の家を借りたというのか。浅海を助けた面白い男の子を私のモノにするためだ。湊くんの全ては私のモノ。湊くんの時間は私のモノ。湊くんは私のモノにするなら、どんな手でも使う。


 そういう意味では、浅海と因縁のある池谷さよりを使うのはいい手だと思えた。さより……湊くんにあなたの秘密を隠し通すつもりならそれはそれでいい。本当の姿を見せずに愛し合うのは簡単。だけど、家族を巻き込むつもりなら、秘密は隠すことは出来ない。さより、あなたと湊くんを見ていてあげる。


「あの男が失敗したら、あの女を使って湊くんを弱くして欲しい。出来るよね、浅海?」


「そうならないことを祈るし、あの女子は面倒だから関わりたくないけど、あゆさんは湊を弱くしたいの? でも、湊は案外強いよ? 俺が……男としての俺が惚れた奴だからね。好きだから、嫌われたくないな」


「それなら浅海も私の敵になる?」


「……いえ、やることはやりますよ」


「とにかく、あの男にさよりのことを吹聴してきて」


「分かりました」


 さよりはひと時の幸せを湊くんから得られるよ。だけど、湊くんは私のモノ。渡さない……。

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