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それでも彼女は俺のカノジョじゃないわけで。  作者: 遥風 かずら
第六章:美少女と日常

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82.ヒロインは二人、いや三人くらいが限界説と知った回。


 月曜は大体が憂鬱に始まり、放課後は何とも言えない気分になって一日を終えた。さよりのことは正直言って、惹かれていると思う。気持ちは間違いなく好きに向いている。だけど、俺は鮫浜も気になっている。彼女も俺が気になっている……というより、好意を見せている。


 それでも彼女は言った。全てを知るには、まだ早いと。知ることの覚悟を決めたら、全てをあげるなんてことを言われてしまった。もうそれだけでも、とんでもなく強大な力を持った彼女だということが分かってしまうわけで、結果として未だに彼氏たる資格を得られていないのが現実だ。ちなみに、月曜は何かの用事で学校を休んだらしいが、次の日からは何てことも無く教室にいた。もちろん、読書スタイルで。


 俺だけは特別で、声をかけても構わないとまで言われてはいるものの、同じクラスの男連中は黙ってはいない為に、結局のところ声をかけることは容易ではないのが現状だ。もちろん、俺の友達候補たちは気にするなよと声をかけてくれるのだが、俺は小心者。鮫浜もそうだが、さよりにも俺から声をかけることが出来ないでいる。


 さよりに関しても、声をかけてくれるならきちんと相手をするとかほざいていたが、学園内では素を出さないこともあり、結果としてどっちの彼女も話すらしなくなっていた。どっちにも遠慮なんてしなくてもよくなっているのに、上手くいかないものである。


「おい、高洲。お前って、何様?」


「は? 俺は何様でもない、ただの高洲だけど?」


 何だか知らないが、ダチでもない野郎に何やらヒソヒソ話をされていたのだが、どうやらその正体たる人物が俺のことを自ら広めて布教しているようだ。そしてその人物は、その手の野郎どもにはかなり有効であり、すでに多くのファンが付いているという。全く接点も無ければ、接触もして来なかっただけに俺自身も存在を忘れかけていたが、どうやら俺の教室に姿を見せに来たらしい。


「高洲様だろ? 呼んでんぞ? 俺らのアイドルが」


「あ? 喧嘩売ってんのか? 何がアイドルだ……」


 普段は温厚かつ、平和主義な俺も時にはこうしてキレる時がある。特に俺には関係の無いことで絡んでくる奴らが気に入らないからだったが、今回は本当だった。そういえばいたよ、このロリッ子。隣クラスのしずはバイトも一緒なので存在を忘れることすら出来ないが、しずと同じく浅海に紹介された海野ほたる。彼女が何故か今になって、俺に接触をしてきた。


 不思議なことに、たまたまなのか教室の中にはさよりもいなければ、鮫浜もいない時に来るのが彼女だった。コイツも不思議系かと思っていたが、真性のSっ娘だったようです。


「高洲様、お話があるの。屋上でお昼いい?」


「ほたるさんだったっけ? クラスも離れてるし、俺に何の用――」

「さん付け? 高洲様、二度は言わないよ? ほたるのことは、ほたるって呼んでくれないと……蹴るから」

「あ、ごめん」

「んーん、いいよ? 許すよ?」


 さよりにも慣れ、闇天使の鮫浜にも耐性がつき、しずの姉御っぽさも日常に組み込まれてきたのに、まだいたか。よりにもよって、見た目はロリッコなのに本物のSがいたのかよ。俺に構うとか、好意でも持ってんのか? それとも乱すための存在か? どっちにしても平和な学園生活を送らせてはくれないらしい。


「高洲様はほたるとどれくらい会いたいですか?」


「え?」


「二度は――」

「あ、うん。えと、週に一か二か……かな?」


「うんうん! それじゃあ、週に二回は会いに来るね! 他の女と別れてほたるをお嫁さんにしてくれると高洲様の身の安全は保障してあげるね?」


 なるほど。猫かぶりの出来ない凶悪なロリッコだったわけですね、分かります。Sってか、このツインテロリッコは、鮫浜やさよりとは属性そのものが異なるようだ。そして鮫浜に臆することも無いらしい。どこかの刺客か? そもそも別れるどころか付き合ってもいないんだが、傍から見たらそう見えているのか?


 どうやら同じことを口にすると蹴りを繰り出して来るらしいので、俺に発言権は無いとみていいだろう。


「俺のことが好きなの?」


「そうだけど? 何が不満なのかな」


「いや、だって接点ないし。しずとはそれなりに話をしてるけど、ほたるとはプール以来会ってないわけだし。俺に好意を持ってくること自体が分からないっていうか」


「全てを壊す……とまぁ、それはともかく、骨抜きの高洲様は学園の中では有名ですし、魅力が一つでもあるなら、どんな女でも惚れます。ほたるもその一人だよ? 他の女はマジいらねえけどな……」


 本物の悪女が来たようだ。それも手に負えないというか、会いたくない奴だ。見た目がロリッコでも俺は騙されん。すでに鮫浜というちっさい天使がいるしな。


「鮫浜あゆ……クスッ――」

「ん?」

「別にいいよ? ほたるは鮫浜を怖がらない。しずはイトコだから躊躇してるみたいだけどね。うん、そういうことだから、ほたるとは週に二度は会ってね? 会わないと屋上から落とすかもよ?」


「冗談でも本気でもそういうこと言う女子とは仲良くなれないな。ほたるの気持ちは偽りだろ?」


「ほたるは欲しいものは何でも手に入れたいだけですよ。中学で八十島を途中で奪われたのは驚いたなぁ。なので、ここでは高洲様を他の女から奪いますんで、よろしくですー! それじゃあね!」


 なにっ? ロリッコじゃなくていじめっ子だった。中学の時に強さを隠していじめられていた浅海を囲んでいた女の一人か。好きだからいじめるタイプとか性質悪すぎだ。俺の好みは……Sと付く名の女子でいい。

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