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それでも彼女は俺のカノジョじゃないわけで。  作者: 遥風 かずら
第五章:闇天使さんは好調らしい

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71.意外過ぎる訪問者? ②


「……と」

「んが……?」

「湊っ! いつまで寝てるの! あなたにお客さんが来ているわ。早く起きて下に降りなさい」

「誰が来てるって?」

「凄く可愛い子! さよりさんとはまるで違う可愛さがある子ね。彼女?」

 可愛い彼女なんて俺には存在しないはすだが、誰だろう。


 まだ眠い目をこすりながら、下に降りてみると予想はしていたものの、普段とは違う雰囲気の意外過ぎる彼女がそこに座っていた。フワッとしたスカートを穿いてて甘くて可愛い感じだし、両肩を見せるかのように出しているオフショルダーが何ともセクシーじゃないか。


「おはよ、高洲君」


 何度目をこすっても、闇天使には見えない輝き(気のせい)をしている鮫浜が俺に挨拶をしてきた。これは夢? いつぞやに見た別人格の鮫浜じゃないか。しかし今回は母さんにも見えているから、夢ではなさそうだ。庶民的な俺の家のリビングルームに、ちょこんと座る鮫浜が妙に可愛く見えて、夢中になって眺めてしまう。今日こそ創立記念日かな? でも土曜日だよな。


「お、おはよう。鮫浜だよな?」


「ふふっ、そうだよ? まだ寝ぼけているのかな」


 おや? 何かなこの可愛すぎる返しは。いつもの闇はどこへ行ったんだ。爽やかすぎるイケメンから、爽やかさを吸収でもしたのか。恐るべし。


「湊! あなた、何も出さずにただ座らせているの? 駄目じゃない! お客様なのよ?」

「あっ」


「ごめんなさいね、えーと……」

「私は同じクラスで、高洲君とは友達としてお付き合いをさせていただいている、鮫浜あゆと申します。高洲君にはいつもお世話になっているので、お母様にご挨拶に来ました」

「まぁ! そうだったのね。鮫浜さんね。少しお待ちくださいね、何もないけれど口を潤すものをお出ししますから」

「お構いなく。でも、ありがとうございます」


 おやおや? 誰かな、このどこかの令嬢のような女の子は。お母様とか、俺の親にそんな大層なことを言うと調子に乗るからやめて欲しいんだが。機嫌を良くして紅茶でも入れてくるつもりか? というより、母さんは一度、鮫浜のことを俺の部屋で見ているんじゃなかったのか? 何で初めましてな感じなんだ。


「と、ところで、何かな?」


「高洲君……ごめんね……ぐすっ――」

「ホワット? って、ちょっと! 鮫浜、あの、な、何で泣いてるの?」

 さっきまでご丁寧すぎる令嬢だった鮫浜が、めっちゃ涙を流して泣いてますよ? 俺はオロオロしか出来ないよ? どうすれば、どうすればいいのかな。


「湊! あんた、朝っぱらから女の子を泣かせてるなんて、そんな子に育てた覚えはありません! もしかして普段から泣かせているんじゃないでしょうね? 許しませんよ」

「ち、違うって! 泣かせてないし、泣かせる男に育ったわけじゃないって!」


「湊がごめんなさいね? 何があったか分からないですけれど、女の子の涙はとても重いわよね。だからじゃないけれど、ウチのバカ息子にはきちんと責任を取らせますからね。だから、どうか落ち着いて」


「――責任を……ですか?」


「女の子の涙……いいえ、女の涙には責任がつきものですもの。湊がしたことを責任取らせますから、本当にごめんなさいね」


「分かりました。私が確実に責任を持って、高洲君を――」


 う……お? 鳥肌が立ったんだが、何事? 何もしてないのに鮫浜は泣くし、母さんは責任を取らせるって言っちゃうし、もしやこれは罠か? 母さんはさよりと俺が結ばれると思っていたが、さよりのことを記憶から消しに来たのか? そもそも何で謝られたのに泣かれたんだ。そしてそれを見られて責任とか嘘だろ?


 ――ピ-ンポーン。と、そんな時にチャイムが鳴った。また誰か来たとでも? なんて日だ。これには素早く母さんが向かったわけだが、微かに「まぁ! さよりさん?」とか聞こえて来たけど、マジですか? 朝から修羅場が開始なの?


 そう思っていたのだが、さっきまで泣いてしおらしくなっていた鮫浜が俺の腕を引っ張って、俺の部屋に連れて行こうとしてるよ? あれ? 涙はどこへ行ったのかな。


「こっち」

「あ、はい……俺の部屋をよくご存じで」


 部屋に入ると鮫浜は笑顔になっていた。ちょっと寒気を感じるのは気のせいだろうか。とりあえずさっさと着替えておいて正解だったわけだが、俺はそのまま彼女の部屋に引きずり込まれてしまうことになるとは、全く予想出来なかった。闇の組織へご招待なのだろうか。


「さよりが来たっぽいけど、どうしようか?」

「高洲君、財布と携帯を持ってくれる?」

「お、おぉ」

「じゃあ、行くね」

「どこに?」


 うわお! どこから出したか分からないスゴイ引っ張り力で、鮫浜はそのままほぼ隣部屋……いや、隣の鮫浜の部屋へ引っ張っているじゃないか。あれ、これは拉致かな? 俺の部屋にいたのに拉致とか、高度過ぎるぞ。


「え? え?」

「約束したから、行くの」

「ん? んん?」

「とにかく、身を委ねて。返事は?」

「ハイ」


 何を約束したのかすら覚えていないのだが、どうやらどこかへ行くらしい。闇の世界かな?

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