表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
それでも彼女は俺のカノジョじゃないわけで。  作者: 遥風 かずら
4章:カノジョの想い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

323/345

323.俺と彼女の言えないカンケイ 1 天使編


 誰かに聞かせるつもりは無かったのだが、あゆが店に来たのは誰もが知る所になっていたこともあり、俺は思い切って関係の無い人たちがいる前でもお構いなく、宣言した。


「ここに来たあゆ……いや、令嬢は俺の元カノなんすよ!」

「え!? そうだったの? じゃあ何で連絡とか聞いて来たんだろ……」

「別れたからですよ」

「あ、そっか。そりゃあそっか~……はは」

「元カノなんすけど、ヨリが戻りそうなんすよ。だから気を遣わなくていいっていうか……」


『ええっ!?』


 一人だけ声を張り上げてる奴がいるかと思えば、さよりか。


 浅海と付き合いをしていても驚くのか。


「ごめん湊。ちゃんとするから……」

「いや、浅海のせいじゃないだろ。今度こそ、俺も決めないとって思ってたし」

「――! あぁ、うん」


 これは俺と浅海の闇の誓約……ではなく、浅海のことに関係なく、あゆとは元々不本意な形で別れたというか追放されたので、こういうことはハッキリさせるべきだと思っていた。


「あ、あぁぁ……どうして、どうして……」

「池谷さん、落ち着いて。君は俺が……俺の彼女さんなんだよ?」

「どうしてどうして……」


 さよりだけが妄想世界と戦っているようだ。

 すかさず浅海がフォローを入れるが、返って来る言葉は変化しない。


 その辺は時間が解決するとして、この後に来るあゆと話をしなければ。


「高洲くん、あゆちゃんとじっくり話して来なよ~奥のお座敷個室、使っていいから」

「いいんすか?」

「ミウも責任があるわけで~」

「何も無いかと」

「や、あるし。ヨリ戻せても終わることもあるっしょ? そん時にでも責任をね」

「間に合ってるんで!」

「可愛くない奴だね、君は」


 何てことのないやり取りをして、あゆが来るのを待った。


 恐らくだが、今頃は浅海とさよりだけ、奥に引っ込んでいるに違いない。


『こんばんはーらっしゃい!! あっ、はい。こちらへどうぞ』


 とうとう来たか。

 居酒屋それも、バイト先でこの話をするのもどうかと思ったが、ここの方が話がしやすいと浅海が判断して至る。


「や、やぁ、あゆ」

「うん、湊くん」

「えーと……」

「逃げないし逃さないから、言っていいよ?」


 逃さないってのも十分トラウマもんだが、俺も逃げては駄目だ。


「沖水あゆ……今は鮫浜あゆか分からないけど、俺は……」

「強いて言えば鮫浜かな。それで?」

「俺は鮫浜ともう一度、付き合いたい」

「……」


 まるで分かっていたかのように、いや、手紙とかテレビ電話に関係なく彼女は分かっている。


「お帰り、湊くん! やっと言ってくれた。ずっと待ってた、待っていたよ?」

「……あゆを今度こそ知りたい」

「ふふっ……いいよ?」


 嬉しそうに笑うあゆだが、何かの含みもありそうな微笑にも見える。


「じゃあ行こ?」

「ど、どこに?」

「学園からもう一度、湊くんは始めるの。だから栢森に行こ」

「え? 栢森ヶ丘にってこと?」

「あの栢森はわたしに言っていたから。それを伝えないと、湊くんは始まらないから」


 嵐花と何かのやり取りがあったのは、何となく小耳に挟んでいたがまさか今から乗り込むとか、気持ちの整理が出来てない。


「でも夏休み中で……」

「うん、だから栢森の家に行く」

「ふぁっ!? え、俺とあゆとで?」

「平気……だよ?」


 そういう意味では無いのだが、まさかヨリ戻しだけでこんなことになるなんて、思ってなかったんだが。


 黒服勢ぞろいとかだったら恐ろしすぎるぞ。


 ここで浅海の助けを求めたら駄目なんだろうか。


 しかし今のあゆは、闇の顔ではなく天使だった頃の顔をしているし、下手に浅海を呼ぶと駄目か。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ