表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
それでも彼女は俺のカノジョじゃないわけで。  作者: 遥風 かずら
4章:カノジョの想い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

322/345

322.さよりさんのキモチSS 2


「では池谷いけがやさん、お手を……」

「ええ、ありがとう」


 浅海さんとお付き合いをするようになってから数日後。

 湊には分かられないようにして、浅海さんはわたくしの家の近くに車を迎えさせ、手を添えられながら車に乗り込むという流れが出来上がっていた。


 本来あるべき形ではあるのだけれど、何か調子が狂うのは気のせいなのかしら。


「今日はどこへ行こうか?」

「……お任せしてよろしいのでしょう?」

「もちろん。でも、遠慮はしなくていいよ。池谷さんが行きたい場所に行けるように、指示してある」

「そう、そうね……」


 どうして落ち着かないのだろう。

 どうして気持ちがざわつくのだろう。

 どうして……?


「どうかした? 具合が悪いならすぐにでも……」

「い、いいえ、考え事をしていただけですの」

「そう? 困ったことがあったら俺に何でも言ってよ。俺、池谷さんの彼氏なんだから」


 浅海さんは、やたらと彼氏ということを強調して来る。

 その割には、池谷さん……と呼ぶことに徹底しているし、絶対に”さより”さんなどと呼んでも来ない。


 それは湊ごときに気でも遣っているとでもいうの?

 だったら何故、彼の目の前で交際宣言をしたというの?


 それにわたくしの家には絶対に近寄らないし、そんな話もして来ない。

 わたくしにも同様に、八十島やそじまの敷地にすら近づけさせてはくれない。


 湊は間違いなく、浅海さんのお屋敷にいるというのに。


「じゃあそろそろバイトに行こうか」

「そ、そうですわね」


 そしてこれも何かの試しなのかと言わんばかりに、わたくしと二人でバイト先に向かう。

 

 湊は後から一人で来るのが分かっているのだけれど、まるで湊に見せつけるようにして、次々とわたくしにお品物を渡して、浅海さんは必ずフォローして来る。


 ああ、もう! 

 どうしてこんなことをしなくてはならないの?


 お母様が言っていたアルバイトとはまるで違い過ぎて、とてもじゃないけれど今何をしているのか伝えることすら出来ない。


 本当は湊と同じ、湊と一緒にアルバイトをするつもりだったというのに。

 今の彼氏、お付き合いをしているのは浅海さんであって、湊は何も関係ない。


 それなのに、ちっとも楽しい感じがしないのはどうしてなの。


 どうして浅海さんは、わたくしとお付き合いを――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ