表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
それでも彼女は俺のカノジョじゃないわけで。  作者: 遥風 かずら
第5章:湊とカノジョの交際編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

194/345

194.下僕先輩、さよりさんを暴走させてしまう


 よりにもよってさよりと一緒にいる時に、二度と会わないと思っていた野郎と会うとか、どういう偶然なのか。


「おいおいおい~? お前、土下座先輩だろ? 何とか言えよ、おい」

「違うな。下僕先輩だ! 土下座じゃないな。そういうお前は、モブ間だったか?」

「浮間だ! くそが! 真っ昼間に学校サボって女連れまわすなんて、いいご身分じゃねえかよ? あ?」


 やはりコイツか。鮫浜とか、浅海にやられて学園追放までされたくせに、元気になったら懲りずに復活とか、そういう意味では転校したことは正解と言える。


 さよりは俺の後ろに控えているが、恐らくすぐに気付いたのか、口を閉ざして下を向いている。


「下僕が鮫浜に守られてイキりやがって! 女連れでいい気になってやがる」

「そういう浮間は、ぼっちを堪能して昼間からお散歩か? いい身分じゃないか」


 さよりがいる以上は、こっちもあまり事を荒立てなくないのが事実だが、浮間には本当に腹が立っているだけに、心の声が素直に出まくりだ。


「高洲! てめえのせいで学園にもいられねえし、やばい奴等に追われまくっていた毎日だった……卑怯者が!」

「知らん。悪いけど、鮫浜とは無関係だ。今は俺だってここに来ることはほとんどない。怒られても困るな」

「へぇ、そうかよ? さっきから後ろでビクついている女を置いていけよ。なら、許してやるよ」


 何故に許されねばならんのか、そういやコイツはさよりの唇を奪った野郎だった。


「俺は浮間を許さないけどな」

「は? 誰が許さねえって? ってか、後ろの女はアレだよな? 顔が綺麗なだけの残念な女……名前は……」

「……っ!」

「悪いがそいつは残念な女じゃないな。浮間には分からないだろうけどな!」


 どうやら相当なトラウマが発動したらしいさよりは、体を震わせながら目を合わせないようにしている。


 だが今は昔と違うことが出来るので、浮間ごときに見せつければ泣いて逃げ出す可能性がある。


「(さより、腰に触れるが悲鳴を出すなよ?)」

「(ええっ?! こ、腰にですって……こ、困るわ困るわ……きゃぅっ!?)」


 可愛いからやめてくれマジで。


「なっ!? ソイツとどういう関係になってやがんだ?」


 今の時点で嘘ではないし、仮交際であってもキスじゃないことをするのはセーフのはず。


「見ての通りだ。コイツは、俺の女だ! 浮間なんぞに釣り合わない極上すぎる女なんだよ! 下僕先輩の俺に抱きかかえられても、抵抗しないのがいい証拠だ」

「思い出した……ソイツ、俺が唇奪った池谷さよりって奴だろ? へぇ、そうかよ? てっきり鮫浜とそういう関係になっていやがると思っていたら、ソイツとね……へぇ?」


 思ったよりもダメージ受けてないな。しかも唇を奪ったことを、武勲のようにいつまでも言っているってことは、さよりに振られたことを根に持っていると見た。


「……鮫浜に報告しといてやるよ? なぁ、鮫浜の元カレさんよ」

「別に構わんぞ。俺は鮫浜とは無関係だからな。それを報告して金でも貰うつもりがあるなら、自由にすればいいんじゃね?」

「……高洲は鮫浜のことを何も分かってねえな……まぁいいけどよ。別の学校に行った奴等が、ここに戻って来てる時点で、素直に帰れるとか思ってんなら、それこそ俺以上にえらい目に遭うだろうぜ?」

「どうでもいいな。というか……俺とコイツの前から消えろ、浮間!」

「……今は消えてやるよ。高洲には思い出のように仲間を仕向けてやるから、楽しみにしとけ! くそが!」


 思い出のようにって思い出なんかないし、浮間ですら思い出すのが怪しかったのに、他に男なんていただろうか。


 意外とあっさり引き下がったのは少し気にはなるが、さよりに何かあるのは許せないだけに良かった。


「てことで、手を離すぞっ――って……ど、どうした?」

「湊が湊が……とうとうとう?!」

「落ち着け。こ、腰に触れただけでその先には触れてないんだからな? 勘違いしちゃ駄目だぞ」

「お、お父様の会社に行きましょ! い、今すぐ!」

「へ? 会社に?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ