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それでも彼女は俺のカノジョじゃないわけで。  作者: 遥風 かずら
第2部第3章:新たなる恋芽生え

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160.とある年上女子の報告会SS 第一回


「明海、こっちに来てくれる? 早く」

「は、はい。ごめんなさい」


 ああ、嫌だな……どうして高洲湊の関係でこんなことをしなくてはいけないのだろう。


 下だから従うのは仕方ないとはいえ、どうして会長は令嬢をここまで野放しにしているの?


「それで、高洲くんと他の女子との関係に変化は?」

「はい、まず隣の席のダブり女子ですが、舎弟関係として付き従っているみたいです。恋愛関係になる心配は無いと思われます」

「うん。それはどうでもいい……次は?」

「えーと、別のクラスから、彼を追いかけ回している女子が一人いるようです。注視しますか?」


 背中の魅力に加えてイケボ……だけど、そんなに気を付けなくてもいい気がするけど。


「追いかけ回している時点で、彼にその気は無いから気にしなくていいです」

「あの、池谷さよりは?」

「さよりは……今すぐどうこうにならないし、何より、彼は私のことを引きずっている。さよりは要注意じゃない。問題は……」

「妹の姫……ですか?」

「池谷姫は、派遣で雇ったチカを取り込んだ。ある程度の情報は掴んでいるはず。私が油断したのは、池谷姫だけ。ああいう思い込みが激しいのは、厄介。その点を気を付けてみてくれる?」

「わ、分かりました。あの……」

「何?」

「あゆさんのあの人とは接触しますか?」


 高洲湊を追放したくせに、どうしてそこまで執着するのだろう。


 しかも私だけじゃ信用できないからって、増員するとか、本当に嫌だな。


「……やめてくれる? カレはあなた……違う、私と距離を置いている。無関係だから、やめて」

「それならそうしますけど、高洲湊が気づいたら?」

「気付いたら別の所に……それだけです。それと、今回のことは父に報告しないでくれますか?」

「会長に知らせずに、そこまで高洲湊が好きなのですか?」

「さぁ……」


 素直じゃないといえば簡単だけど、簡単じゃない事情が鮫浜にはあるのかもしれない。


八十島やそじまの彼はどこへ?」

「浅海は自由にさせる。泳がせても問題ないし、高洲くんに接触しても想定内」

「では母方の元へ?」

「……元々、浅海はあっち側。私が気にすることじゃない。それよりもこのお店、潰してくれる?」

「え、何故?」

「高洲くんとの過去の思い出は消していく。過去は残したくない。それだけだから……」


 確かに客は少ないけど、潰すとか何だかなぁ。


 私は鮫浜の一員。それでも、味方をしたいのは彼女より、彼を助けたい……

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