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それでも彼女は俺のカノジョじゃないわけで。  作者: 遥風 かずら
第2部第3章:新たなる恋芽生え

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158.蒼か緑か?


「しゅう、何言ってんの? モブ浜って誰?」


 随分と親し気に呼んでいるようだが、もしや優雨の兄が彼なのか?


「だから彼だ。そうだろ? モブ浜モブ男くん! 変わった名前でもオレは気にしないぞ」

「ハハハ……」

「妹が迷惑をかけに行っているみたいですまん! 勝手に俺の名字を名乗っている育ちの悪い奴なんだ」

「俺の名字? 優雨は椿が名字なんだよな?」


 俺も偽名で自己紹介をして、しかも信じさせているから強くは言えないけど、優雨の名字は実は違うって奴か。


「い、いいじゃんか! 優雨の勝手だし! それよりもしゅうだって騙されてるって気付いてないじゃん」

「騙し?」

「そこにいるイケボの彼は、湊くんなんだぞ? 何だよ、モブ男って! バカなの?」

「ぐはぁっ……」

「え、湊くんにダメージ? あ、あ……そ、そうか~しゅうに名前を知らせたくなかったってことだとしたら、ごめんね。ボクは緑木みどりぎ優雨が本名なんだ~」


 兄妹で別姓ということは、何かしらの事情がありそうだが……どうでもいいな。


「湊くんか……なるほど」

「悪いね、騙して。俺は高洲湊。クラスは多分2-2だ」

「いや、面白いことを考える人間はいいな! 気に入った。俺は椿秋晴。友達になってくれないか?」

「それはいいけど、優雨とは兄妹で合っている?」

「合ってる。それは別の機会に話すとして、優雨のことを頼む! 俺は妹よりも気になるおみ足が三人ほどいて、優雨の相手をする暇はないんだ」


 そういや、足を追いかけて嵐花に付きまとっていたのがコイツだった気が。


 あんなコトをされているのが後二人もいるとすれば、友となった以上はやめさせるべきか。


「椿がやっていることは間違いだ。足フェチなのは構わんけど、女子に嫌がられるのは最低だぞ」


『そうだ、そうだ~! しつこいのは駄目なんだぞ~』


 お前も似たことをしているぞと言いたいが、兄に構って欲しいっぽい優雨を見ていると、姫ちゃんのことを思い出しそうなので口出しは控えておく。


「それはもしかして栢森先輩のことを?」

「それな。俺はあの人の舎弟なんだよ。ああいうことはやめてくれ」

「そ、そうか。俺は人というよりは、綺麗なおみ足しか見ていなくて……ごめん」


 結構な衝撃的告白のような気がするが、足が綺麗女子ということは、さよりも危ないのか?


 さよりも俺では無く、背中しか見ていなかったし、案外この椿と合いそうな気がしないでもない。


「椿君が素直だー! すごいね! たまには素敵な感じになるのかな?」

「あぁ、いや……」

「そこのイケボくんもすごいなぁ! へりくつばかりの椿くんを素直にさせるなんて、さすがだよ!」

「ど、どうも……」


 なるほど……このクラスも女子が多いようだが、椿が中心ということなのか。


 話しかけて来た女子は随分と、すごいだの素敵だのと言い放っているが、どこか心が冷めた感じに聞こえている。


 その辺が鮫浜っぽいと感じるということは、多少は免疫が出来たかもしれない。


「湊君、もっと話をしたい所だが、俺はこの子たちを送りながら帰るよ。偽名のことは気にしていない。優雨のことをよろしく頼むよ!」

「それはいいけど、いや、優雨のことは良くないけど……じゃあまた、椿」


 鮫浜タイプの女子と仲良くしている優雨の兄なら、解決しそうな気がする。


 そう考えると、俺はやはりうざくても、分かりやすい女子の方がいいのかもしれない。


「ボ、ボクも、しゅうと帰ろうかな~。湊くん、またねー!」

「じゃあな。兄貴と仲良くしとけ!」

「やなこった!」


 よく分からん兄妹と、鮫浜タイプな女子が帰った所で、ぎゅむぎゅむ……と、俺の両足に触れまくっている存在がいることに気付いた。


 さっきまでそれなりの人数が教室に残っていたが、椿が女子連中を引き連れて行ったせいか、ほぼ人が残っていないと思いきや、野郎が数人ほど残っているようだ。


 足フェチな奴なのに、女子人気があるのは何とも不思議だが、あれも個性のうちか。


「高洲、足、鍛えてる?」

「そりゃあ、チャリだからな」

「まだ、来ない?」

「それはもしかしなくても、ホームか?」

「それ」

「ここじゃ話しづらい。廊下行くぞ」

「行く」


 俺を見下ろしながら、感情を出さずに話すみちるは、淡々としながらも廊下に出てくれるらしい。


 しかし優雨の言った通り、みちるは野郎にモテモテのようで、教室に残っていた男連中が俺をずっと睨んでいる。


「蒼葉に会いに来たのか? 高洲湊」

「お前、誰だっけ?」

「砂庭だ。一度で覚えろよ、イケボ野郎!」

「……なるほど」


 分かりやすい奴だ。みちるのことが好きで、俺が気に入らない……と。


 鮫島にしてもそうだが、本人に言えばいいだろうに。学園にいた時の男連中とは面倒くささが違う。


 優柔不断な俺が言うのもアレだけど……


「みちるなら廊下にいるぞ。好きなら伝えれば?」

「バッ……ちげーし! そ、そんなことより、高洲湊は蒼葉と緑木とどっちが好きなんだよ?」

「緑木? あぁ、アレか。強いて言えば、オムネさんだな」

「最低な奴かよ……その辺までへりくつ野郎と似てるとか、何で……」


 野郎と話をしても面白くないな。それも勝手な嫉妬野郎と。


「高洲? 廊下はこっち」

「今行く。廊下の行き方くらい分かるからな?」


 みちるに関して言えば、好意を持たれているということも理解していないとすれば、怒りの感情を俺にぶつけてくる砂庭とかいう奴には、同情しか出来ないかもしれない。


「砂庭って奴、お前も廊下でみちると話せば?」

「な、何でだよ!」

「あっそ」


 これは久しぶりに浮間っぽい奴が出て来たか? あそこまで強い奴でもないけど、面倒だな。

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