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それでも彼女は俺のカノジョじゃないわけで。  作者: 遥風 かずら
第九章:闘う美少女たち

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119.名前を呼んだだけなのにどうしてこうなった?


 SHR(ショートホームルーム)が始まったあたりから、俺は眠りに落ちていた。それというのも、いきなりの妹襲来で驚く余裕もないばかりか、添い寝までしてあげちゃったことで寝不足だったのは否めないからだ。


 朝から疲れたことに加えて、鮫浜の視線には眠りの効果でもあるのかってくらいに、眠くなってしまった。そんなわけでどうせ大した話では無いだろうと思って、爆睡中だった。


「――高洲、おい……」


 あぁ、うるせえな。誰だよ、起こさないでくれっての!


「おいっ! 高洲湊!」


「あ? 寝てんのを起こすのはどこのどいつ……あっ」


「俺だが、何か文句あるか?」


サガン先生じゃないですか。はは、いやだなぁ……夢ですよ? 寝言をほざいていたのであって、決して先生に逆らったんじゃないんですよ?」


 白が黒くなる寸前だったようだが、何かの話し合いをしていたのか視線は俺だけに集中しているようだ。おぉ、恥ずかしい。さよりは首を横に何度も動かして呆れているし、浅海は苦笑、鮫浜は何故か笑っている。


「高洲だけだから、早く言え」


「はっ? 何を?」


「黒板に書いている名前だ」


 黒板……そういや久しく見ていなかったような気がするが、名前? 何か書いているな。誰だ?


「鮫浜あゆと池谷さより?」


「お前はそう言うと思った。ってことで、決まりだな! 以上でSHRは終わるぞ」


「は? 何が?」


 俺の一言で何が決まったのでしょう? 周りを見ると鮫浜の自称親衛隊はガッツポーズをしているし、浅海は頷いているし、さよりは……特に何も動きが無かった。何が何かな?


 さっぱり分からんので、ここは蟹沢を召喚する。


「で? 俺の言葉の意味は何?」


「代表だ」


「なに? 何の代表だって?」


「クラス別の美少女代表だ。自称じゃなくて、本物の美少女な。で、高洲のひと声で代表が決定したという訳だ。理解したか?」


「美少女代表~? イケメン代表はないのか?」


「うちのクラスには残念ながら……」


「デスヨネー」


 なるほど。これのことで燃えていたのか。さよりと鮫浜か。


「学園祭的に面倒だからバトルロワイヤルってことらしいぞ」


 高貴な戦いか。何の戦いになるのやら。まぁ謎が分かったからいいや。鮫浜に声をかけてくるか。


「サンキュ、蟹沢」


「おう」


 美少女代表ってことは、シズも選ばれてきそうだが、もしバトルなら圧勝だろうな。ポニテのシズは姉御肌だし強そうだ。


「鮫浜」


「……」


 あれ? 無反応なんだが? どういうことでしょう。俺から話しかけてこいと言っておきながらシカトとか泣けるぞ。


「鮫浜さん? あのー」


「……」


 返事がない……ただの闇天使のようだ。さっきの俺のひと声の時は笑っていた気がするのに、何でだ……って思っていたら、急に立ち上がってこっちへ接近してくるよ?


「高洲君、こっち」

「お?」


 クラス連中にお構いなく、俺の手を掴んだ鮫浜は、俺を廊下に連れ出した。締められるのかな。


「私に勝って欲しい?」

「え、えーと……それはぁ~」


 その前に、何を競うのかさえ分からないんだが。とりあえず、勝負だろうから勝ってもらわなきゃな。クラス代表なわけだし。


「よく分からないけど、鮫浜もさよりも応援する」


「さよりも? ふぅ~ん? 好きなんだ?」


「はは……どうかな」


 鮫浜とは最近まともに話が出来ていないってのもあるし、何とも言えなくなっているのは否めないわけで。


「鮫浜は俺を?」


「私の家で言ったことが全て。私は君が欲しい……それは、好きってこと。分からなかったのかな? ずっと前から、さよりよりも前から、君に私を見せているのに」


「あ、いや、うん……」


「私が分からなくなった?」


「ど、どうかな」


「君は求めているはずだよ」


「へ?」


「妹を通して私を君に知ってもらうから……だから今はまだ……」


 チカちゃんと通じて本当の鮫浜を知ることになるのか。気になっているのは確かだ。これは結局、魅了されているってことなんだろうな。


「君には、私の全てをさらけ出してあげる……全てを知って、君に好きって言ってもらいたい。そうしたら私の時間を君にあげる」


「じ、時間を?」


「ふふっ、楽しみだね……」


 って言った途端に、鮫浜はそのまま廊下を歩いてどこかに行ってしまった。あれ、授業は?


 俺だけが教室に戻り、授業が始まったが鮫浜は戻らなかった。先生は何も言わないし、他の連中も気にしていなかった。


 そういや、鮫浜に関しては黙認していることが多い気がする。もしや、実は体が弱くて保健室がメインとかってことなのだろうか? でも気付けばいるし、よく分からないな。


 休み時間になり、さよりにも声をかけた。


「さより、代表頑張れよ?」


「わ、わたくしを応援してくれるの?」


「そりゃそうだろ!」


「い、いいわ。湊が望むなら頑張るわ。あゆには負けたくないもの」


 よく分からんが、応援しとこう。この応援で俺の運命でも変わるのだろうか。なんにしても、二人の美少女を支えねばな。




誤字修正しました。

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