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思わぬ刺客①




「『ドラゴニックファイア』!」

「グラアアァ!」


「『ライトニングアロー』」




「っ――」


アレから。

火炎放射はまだ何とか避けられる。

しかしそこを容赦なく『狙撃』してくる後衛の存在が苦しい。


狙撃地点を変えられ……しかも無効化しにくい足元を狙ってくる為滅茶苦茶やりにくい。

そう遠くない場所に居るんだが、そのせいで全く反撃できないのだ。


威力の高い狙撃を避けるにはドラゴンの炎に当たってしまう為……じりじりとHPを削られる。



「……『瞑想』」



そんな今の状況。俺のHPは残り4割。

対して彼は少し投擲で削って7割。後衛は勿論無傷。



『ニシキさん!』

『大丈夫だ』

『でも、もうHPが――』



「――このまま危なげなく勝たせてもらうよ、商人」


「ははは、かかって来い」



また攻撃準備に入る竜騎士。


彼の厄介な所は、アレから追い打ちに全く入らない所だ。

接近戦に持ち込ませず、安定して削れる今の戦法を貫いている。

まるで――彼の後衛を立たせる様に。


『良いか、レン』

『……! は、はい』



視界にあるパーティーメッセージをタップし話す。

改めて便利だよなこの機能。

まだ慣れないが、戦闘中に教えられるってのは画期的。


いちいち斧で口元を隠すのが面倒だけど。



「!? 何を――」



俺は足元の砂を巻き上げた。

コレで口元を隠す必要は無くなったな。本来の目的は違うんだが。



『対人戦闘で大事な事が一つある。それは――』



レンへのメッセージ。

更に魂斧を地面に刺し、インベントリからその武器を取り出す。

砂煙越しにドラゴンが近付いてくるのが見えた。



「そこに居るのは分かってる――『ドラゴニックファイア』!」

「グラアアア!」



よし、気付いてない。


やがて迫ってくるドラゴンの火炎放射。

それに俺は――レンにそれを伝えてから、『盾』を構える。




『――『逆境』を、楽しむ事だ』




《Special Reflect!》



「――は!? ぐぁ!!」

「グラア!?」


俺の構えた片手盾により、その火炎は継続的に反射され。

一人と一匹が焼かれ――落下。しっかりとドラゴンの方のHPも減っている。


これだけ繰り返された火炎放射、タイミングはもう覚えた。

ミニドラゴでも練習済なのがデカかったな!



「――『ライトニングアロー』!」


「っ……『レン、攻撃準備』」

『了解です!』



この攻撃パターンはもう何度も受けている。

その援護射撃も読んでいた。

一度反射してしまえば、もう火炎から逃げる必要はない。


雷の矢をダッシュで避け――そのまま斧を拾って落ちた竜騎士へと向かっていく。



「くそっ――『スラスト』!」



ドラゴンは怯んでおり竜騎士は飛べない。

接近戦にはアレから逃げている傾向があり、その槍で突く武技も力無いモノだった。


難なく避けてカウンターの武技を入れる。



「――『スラッシュ』」


「ぐうっ、行けるかバイオレット!」

「グラ……!」




どうやらドラゴンの怯み状態が解除された様だ。

それなら、彼の次の行動は恐らく『ドラゴニックコール』。


そしてそれをレンも読んでいれば――今、詠唱を開始しているはず。




「……――『アイアンボール』」


「『ドラゴニックコール』――!?」



聞こえた彼女の詠唱と、竜騎士へと迫りくる高威力の鉄球。

はは、期待を裏切らないな――俺の弟子は。


わざとメッセージでは伝えなかったが、しっかり分かっていたらしい。




『ドラゴニックコール』。

それは竜騎士自身の居る場所にドラゴンを飛来させるスキル。

その後騎乗して空中へ逃げる訳だが……その『騎乗』と『浮上』がかなりの隙になる。


つまり。

今、彼の元に鉄球が到達しても逃げられない訳だ。



「ぐあっ!! 嘘だろ――」

「グラ!?」


騎乗し、上昇しようとした所への大ダメージ。

ドラゴン、竜騎士共に大きくHPを減らし――また落下していく。



「……『ウィンドアロー』!」


「っと、そこか――!?」



彼を助ける為だろう、俺へと放たれた魔法の矢。

ドラゴンの火炎放射は無い為余裕で避けられる。


今度こそ、居場所を突き止める。

瞬時に放たれた方向を見れば――『彼女』が居た。


見間違いではない。

すぐに廃墟の影に隠れてしまったが、あれは。



《魔弓術士  LEVEL48》



一瞬見えたその表示。

明るい紫色のツインテール。

小さな身長に、特徴的な派手なドレス――ではなく、今は身を紛らわせる地味なローブ姿の彼女。



『ハルさん、ですよね……?』



レンからのメッセージで。

それは――確信に変わったのだった。

いつも応援ありがとうございます。

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作者ツイッター 322106000445.jpg
― 新着の感想 ―
[良い点] ここでVSハル! ニシキは容赦無く倒しそうだけど大丈夫かチーフ泣かない?w  [一言] 逆に弟子に嫉妬してニシキを刺しに来たんだったら笑う
[一言] まさかの紫つながり!?
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