レンの悩み
本日二回目です、今章は何とかこの休み中に上げ切りたい……。
《ログインしました》
今日は土曜日。
午前中にログイン――しようだなんて思ったが無理だった。
色々と家事とかが溜まってたからな。
あとはリアルキッチンで練習したレシピを実際に作ってみたら……滅茶苦茶時間が掛かった。
ケーキって手間掛かるんだな、もう夕方だよ。
『――ニシキさん、何かこれからする予定ですか?』
……と思っていたら、すぐにレンからメッセージが入った。
どうしたんだろう。別に今日は特訓の日じゃないが。
ドクも居ないしな。
『え?いや別にまだ何も考えてないよ』
『じゃ……何か、特訓してくれませんか』
『今日はそういう日じゃないが良いのか』
『はい。お願いします』
『分かった、んじゃ準備出来たらいつでも――!?』
やけに積極的なレンのメッセージ。
そして最後に返そうとした瞬間――背後から、近付いて来る気配。
いやいや、まさか。
「……こんばんは、ニシキさん。よろしくお願いします」
「は、早いな」
まるでそれは十六夜を模倣するかの様に。
ひっそりと――俺の背中に彼女は居た。
流石に油断してたよ、隠密を取得してから見違えたな……。
「この前……ドクちゃんと何かしてたんですよね?」
「一昨日の事か?ああ……」
「何してたんですか?」
「えっと……ひたすら決闘を」
ちょっと圧を感じる彼女の声。
まずいな、流石にドクを決闘でひたすら負かしたのは特訓とはいえマズかったか?
それもハンデ付きで……そりゃ最後はドクが勝ったが、結果じゃなく過程を見れば酷いイジメかもしれない。
どうしよう。
良い感じに終われたからドクは大丈夫だと思っていたが、だとしたら早く謝らな――
「……そうですか。だからあんなにドクちゃん楽しそうだったんですね」
「え?」
「学校で……凄く機嫌が良かったんです。それで聞いても、珍しく『秘密ですぅ!』って……」
「……そう、なのか」
どうやら、思っていた事と逆だったらしい。
ああびっくりした。
「でも、何でそれだけであんなに……」
「はは、もしかしたら最後俺に勝てたからかも――」
「――どっドクちゃんが、ニシキさんに勝ったんですか!?」
「!? いやまあ、色々ハンデは付けたけどな」
「……ああ、そうなんですか」
『俺に勝った』……その言葉で声を上げるレン。
珍しく、彼女にしては反応が激しい。
「……でも、ハンデ付きだったとしても、ドクちゃんは凄いですね」
「後衛の私と違って……近接戦闘をニシキさんから直で伝授されてますもんね」
「ニシキさんに良い勝負が出来るぐらい強くなって。正直……羨ましいです。私も近接職だったら――」
俯いて言葉をつづけるレン。
彼女は――瞑想VRを乗り越えてから、本当によく喋るようになった。
こうして、隠していたであろうその本心も話してくれるようになった。
実際レンよりドクの方が、同じ近接職って事で時間も力も入れていた事実もある。
……色々と情けないな、俺。
「――ごめんなレン。今から時間あるか?」
「……! あ、ありますけど……!」
「それじゃ行こうか。『デッドゾーン』に」
「へ?」
「ドクは俺に勝った。それなら君は――」
さて。
特訓ついでに、そろそろレンの実力も彼女自身に思い知って貰わないとな。
「俺の後衛として、一緒に『勝ち』に行くぞ」
いつも応援ありがとうございます。





