掲示板回:出交す者達
本日投稿2話目、そしてついに100話です!
【クソ調整】魔法剣士RL専用スレ⑧ 【運営見てる〜?】
501:名前:名無しの魔法剣士
何だかんだで結構スレ進んでて草
どっかの商人に影響されたのかな?
502:名前:名無しの魔法剣士
いや愚痴しかねーけど
503:名前:名無しの魔法剣士
見てみたら、最近の商人スレ滅茶苦茶楽しそうで笑う
検証勢とか最前線?とかいるし
アレ?俺達の方が不遇じゃね?
504:名前:名無しの魔法剣士
な、過去ログとか見てると俺達とは雲泥の差だよ
しかも見たら分かるがスレ三十五とかまでいってんだぜ!?
505:名前:名無しの魔法剣士
あれ、俺達いくつ……?
506:名前:名無しの魔法剣士
>>505
9
507:名前:名無しの魔法剣士
>>506
バカなに盛ってんだよwwwww⑧だわ……
うわああああん(泣)
508:名前:名無しの魔法剣士
dat落ち含めれば9だから……
……で、もうすぐ20時だけど
509:名前:名無しの魔法剣士
誰かいくの?
510:名前:名無しの魔法剣士
お、俺いこっかな~
511:名前:名無しの魔法剣士
俺も実は気になってんだよね
こんな機会めったに無いし?
いっちょ俺らの力見せつけてやろうかなって
512:名前:名無しの魔法剣士
分かる なんか行けそう~
513:名前:名無しの魔法剣士
勝算あるって言ってたしな!
514:名前:名無しの魔法剣士
っし皆で行くか!
◇◇◇
アレから翌日、夜の20時。
「あれ、意外といるのか……」
そんな掲示板の様子を見て、住人の予想の反応と違った事に驚いていた。
「……嘘だろ、商人だぞ?」
『商人』。
生産職なのに何も生み出せない。
戦闘職のような戦力もない。
パーティにくっついてGを稼いでいく――『寄生職』。
悪口はよく耳にしていた、だからこそ……そんな彼らに付いていくのが不安しか感じる事が無かった。
「あー、どうしようかな――」
俺は主体性の無いもので、住人がそれだけ集まるなら……と考えてしまった。
パーティーが嫌いなのは責任を負いたくないからであり、この場合責任は『商人達』が負う筈だ。パーティを組む事自体は嫌じゃない。
俺達は……あくまで『協力者』。
どうせ失敗するんだ、その時は笑ってお互い慰めて終わろう。
どうせ。
どうせ――俺達は、『不遇職』なんだから。
「――決めた」
《商人一号様にフレンド申請を送りました》
数十分前の自分は何処へ行ったか――俺は、その選択を決断したのだった。
《商人一号様がフレンドに登録されました》
☆
「よっ!アンタが連絡よこしてくれた『ユウキ』だな?よろしく」
「マジかよ来てくれたのか!」
「本当感謝してるよ、ありがとう」
商人一号にフレンド申請を送り、そのまま流れる様に彼らの元へ行って。
そこに居た魔法剣士は――『俺だけ』だった。
「……あ、あれ?他の魔法剣士は……」
「は、はは……残念だけどアンタだけだ」
申し訳なさそうに言うもう一人の商人。
彼は、パーティーリーダーだった。
あだ名もそのまま『リーダー』。
何というか――彼は『雰囲気』がある。
商人なんて思えない程に……これまで幾つもの敵を倒してきたような。
表情や仕草から――俺とは比べ物にならない程に。
簡単に言えば『別格』だった。
「あ……もしかして住民の行く行く詐欺か何かに引っ掛かったか?」
「はは、俺達の行商クエストの時もそうだったよな~」
笑って言う三人目の商人、『そうきゅう』。
……アレ、誰かを乗らせる為の嘘だったのかよ。
「……あー、どうする?多分アンタ一人だけだけど……一応、後で『魔法士』も合流する予定」
「嫌なら良いぜ。本意じゃないなら申し訳ねえよな~」
「はは、ああ。ユウキが入ってくれたら結構いい感じのパーティーになるとは思うけど」
笑って言う商人三人。
――『リーダー』もそうだが……他の二人もかなり強そうだ。
そう感じるのは――彼らに、『自信』があるからだろうか。
スレ番は35まで行ってるし……もはや、商人というのは『不遇』ではないのかもしれない。
それに――『魔法士』も加わるって?
『もしかしたら』。
そんな考えが、俺の頭を過っていた。
「……い、いや!行くよ、よろしく頼む」
「マジ!?やった~!!」
「これで念願の他職混合パーティーが出来るぜ……」
大袈裟な程に喜ぶ三人。
悪い気はしなかった。
☆
「……で、まずは役回りだけど」
「まず盾役は俺達三人、ユウキは後衛志望だったな。回復出来るんだっけ?」
「あ、ああ。しょぼいけど……」
「良いって良いって!あるだけ凄い事なんだぜ」
「ってことはアタッカーは俺だな、頑張るよ」
あれから、後に来た魔法士……『カトー』と一緒に、俺達は作戦を組んでいた。
恐れていた盾役は――彼ら商人がやるようで助かったよ。
そりゃ、器用貧乏だからできなくもないけど……俺自身が絶対に嫌だから。
もしかしたら、反応でバレていたのかもしれない。
優しい奴らだから……察してくれたのかもな。
「頼むぜ助っ人カトー!なんか行けそうな気がしてきた!」
「ヒーラーとアタッカーとタンク……今俺ら最高にVRMMOしてる」
「ははは。とりあえず『狂暴化』までは行けると思う」
『リーダー』は、笑ってそう言う。
『狂暴化』……ラロシアアイスのフィールドボス全員が持つ特性。
HPが三割以下になった時、段違いに強くなるものだ。
「……『分身』、これに関してはマジで頑張るしかないな~」
「はは、地獄が見えるぜ」
「三羽を三人で相手して――んで、アレなんだっけ?あの小学生が考えたような技名の」
「『トリプルアタック』な……ガチの盾職じゃなきゃ、直撃すればほぼ死亡の三連撃」
「……え、それどうするんだ?」
思わず、俺は口にしていた。
そこで――彼ら商人が待っていたかのように笑う。
「はっはっは、よく聞いてくれた!ここで俺達の大一番よ」
「……はは、えっとな――俺達には、所持金半分使って即復活出来るスキルがあるんだよ。戦闘中一回限りのやつが」
「それで文字通り、丁度三回は死ぬ気でお前らを守ってやれるぜ!」
「その後は、これも戦闘中一回きり使える、余ったG全部使って打てる超威力のスキルがあるからそれで止めだ~!!わっしょいわっしょい!」
「この為にずっと節約してきたんだぜ!」
「え――」
そう言う商人達。
……正直、正気とは思えなかった。
所持金全部って――それは一度失敗したら終わりじゃないのか。
俺達後衛は、何のリスクも無いのに。
商人達だけが――そんなデメリットを背負うのか?
「……あー、気にすんな。もともとこういう考えだったんだ」
「そう!盾役が居ない以上、俺達はこうするしかない」
「失敗しても俺達の金が消えるだけだぜ!ただその代わり、チャンスは一回だけだけど」
「ほんとよくやるぜお前ら……あとでなんか奢るよ」
「はは、ありがとな。だからと言って失敗しても気に病むなよ――俺達が好きでやってる事だからさ」
表情に出ていたのだろう。
笑い飛ばすようそう言って、俺の肩に手を置く『リーダー』。
『盾役』が絶対嫌だとか――そう思ってる俺には、眩しすぎる存在だった。
☆
「……んじゃ、そういう事で」
「やってやりますか!」
「おー!」
「俺のファイアーボール、ぶちかましてやるぜ!」
「……あ、ああ」
何とも言えない感情のまま。
俺達は――フィールドボスへと向かったのだった。
☆
『氷雪の大鷲』
ラロシアアイス・最深部……パーティーが四人以上なら――『氷雪の大鷲』が待ち構える。
大鷲の攻撃パターンは滑空からの突進攻撃、羽ばたきによる竜巻攻撃……加えて飛行での逃げ。
これだけで評価するなら、ラロシアアイスのフィールドボスの中では一番難易度が低いだろう。
見た目の派手さはあるが、意外と威力はそこまでだ。
後述する狂暴化まではパーティーがしっかりしていれば楽に行けるはず。
しかし……フィールドボス特有の『狂暴化』、大鷲の場合は『分身』。
それは大鷲が本体に加えて分身二体を召喚するというもの。
ここからは難易度が一転、ヘイトによっては一人に二羽が攻撃を仕掛けたりと地獄である。
そして――『トリプルアタック』。
狂暴化後、一定時間経つと大鷲が行う『必殺技』。
上空に舞い上がり、オーラの様なモノを纏いだしたらその合図だ。
分身二体、本体一体の連続降下攻撃である。
通常時の突進とは思うなかれ、この攻撃はまさしく必殺技。
防御力の高いプレイヤー、もしくは盾持ちでなければ間違いなく即死の威力だ。
これが始まれば、ヒーラーは急いでタンクに回復の準備をする事。
もしそれが間に合わなければ……次の一撃でタンクは死に至る。
次の一撃で他のメンバーも死に、パーティーは壊滅してしまうだろう。
なお、三回目の本体の攻撃が終われば大鷲は地面に降りてきて少しの無防備状態になる。
分身二体も消え、絶好の攻撃機会だ。
ここでHPを削っておけば、大鷲が戦闘状態に戻っても楽に倒せる事だろう。
……ちなみに誰が命名したか、このダサい攻撃名。
その殺意からプレイヤーにこれを印象付ける為にわざと付けられたらしい。
※RealLifeOnline攻略wikiより抜粋
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