0056 きゅぴきゅぴ会議~迷宮紹介編[視点:副脳]
僕達は【エイリアン迷宮】の造物主様を補佐さんするために生まれた、麗しき副脳蟲6兄弟。
造物主様から、生まれた直後に充分にきゅぴきゅぴさせてもらえず、酷使さんのし通し夜通しさんで、みんなただいま絶賛くるくる舞いさんなのだ。
≪もう! それはチーフがいたずらさんでおふざけさんだからでしょ!≫
≪そ……そうだよう……造物主様の指示をおさぼりさんして、遊んでばかりだからだよ……?≫
むむむ! しっかり者のアンと心配者のアインスが、みんなのチーフたる僕をたしなめさんしようとしている。
≪きゅぴぃ! そのようなことを言われては、このきゅぴ一升瓶の深くさん! 酔っても酔いきれぬ悪夢さんなんだきゅぴ!≫
≪チーフ~、「一升瓶」さんってなぁに~?≫
≪やったぁ、冒険さんと美味しいものさんの予感だぁ!≫
ほほほきゅぴぴ。
のんびり屋のウーノと不敵者のイェーデンも来たね。
≪まだ早いかと思ったきゅぴけど、みんなに僕のチーフとしての「こけん」さんを証明するんだきゅぴ! 造物主様の"食べ物・飲み物"記憶のカテゴリさんからきゅぴぴぴぃ≫
僕達は造物主様の"心"から生まれて、しかも全部の知識さんにアクセスする権限さんをもらっている。
その中から、まるで突牙小魚のシータさんが海を泳ぐみたいに、たくさんの色と音がくるくるぐるぐるさんしている「記憶」さんの中を潜るんだ。そしてそこで、ほわほわやけやけじゅひゃあぁぁきいぃんさんの記憶さんを、みんなにおすそ分けする。
≪ぎゅびぃーっ?! チーフ何これ超苦いさんだこれ!≫
≪ふっきゅっきゅっきゅ。こいつは造物主様の"大人の味"記憶さんからの、掘り出し物なのですぜきゅぴ! こいつを一滴残らず、ごぞーろっぷさんから体の中に吸収さんして、腎臓さんと肝臓さんに感謝の祈りとおなか踊りさんを捧げるのが――造物主様の世界での加冠嚢さんと同じ役割さんだったのだきゅぴぃ!≫
≪そ、そうだったんだね……!≫
≪うおおお、たぎってきた! 僕はきゅぴきゅぴ発電池さんだぁぁ≫
≪うぃ~ひっく、もっと寄越せぇ~。寄越さぬ悪い子は~デルタさんに頼んでごぞーろっぷをぶちまけさんだぞぉ~≫
≪ひ、ひえええ……チーフ! イェーデンとウーノがなんか、おかしいよぉ……?≫
≪きゅぅぅぅーぼぐはもうだめだぁー……四角いチーフなんだぁー……ぎゅびぃー≫
≪あはは、あはは、あははは! あはは、あはは超楽しいもう何でもいいやー≫
≪きゅきゅ!? 切れ者で物知りのモノまで……変なさんになってしまった! どど、どうしよう……た、たすけて造物主様ぁぁぁ!≫
***
うううー何で僕がこんな目に……。
全く記憶さんが無いのに、連帯責任さんだと言われて造物主様から「滝打ち」の刑に処されてしまったのだ。
≪きゅびぃ、僕のぷるぷるした脳みそさんが脳震盪さんを起こしてるのだきゅぴぃ……Help me MONO !≫
≪あはは、ほんとウーヌスは好奇心旺盛さんだなぁ全く。僕達には"お口"さんが無いからさ、あのままだと――「ゲロゲロ」さんしてもっと創造主様怒らせてたかもね!≫
≪頭いたい~モノ、ゲロゲロさんって~?≫
≪あはは、ほんとに五臓六腑を吐き出す思いすることなるからそれはやめときウーノ、あはは≫
≪きゅぅ~それにしてもチーフ、モノ! この「お酒」さんは危険物なんだよ! きんせい品さんなんだよ!≫
≪そ、そうだよね……ベータさんとかに飲ませたら……きゅぴえぇぇ≫
ふうむ、僕達が大人の階段さんを登るのは、どうやらまだ早かったらしい。
おかしいな、造物主様の記憶さんではインフォメーションな関係さんがインスタラグラムになって連携さんがしやすくなるのに最適だったというに!
≪あぁ、なんだウーヌス。一応、僕達全体のためだったのかい?≫
≪きゅぴぇっへん! そういうことさんにしておくといいのだよ!≫
≪インフォーマルさんが失敗したらフォーマルさんから入ればいいのさ、あはは≫
≪むむむこれはモノからの助け舟さんの予感!≫
≪ぎょーむ報告会すればいいのさ! あはは! てわけでウーヌスからレッツゴー!≫
きゅぴふむむ、これはモノからの助け舟さん兼挑戦状だったのか。今度こそ僕のチーフとしての「こけん」さんを見せつけてやるんだよ!
≪きゅふふふ、みんなこれを見るがいいのだきゅぴぃ!≫
○【エイリアン使い】の迷宮現況図(地下部分)
みんながぷるぷるきゅぴきゅぴ驚くのがわかる。僕を賞賛する声が聞こえる。
≪きゅぅおっほっほ! 造物主様にできて、僕達にできないことはあんまり無いのだきゅぴぃ!≫
≪やったぁ、僕達の挑戦さんの軌跡だね!≫
≪う、うわー……こうして見ると、僕達たくさん頑張ったさんなんだね……≫
≪あはは、創造主様にこき使われたとも言う≫
そうなのだ。今モノが言った通り、僕達にはお給金もお賃金もお駄賃も無し。無給……無きゅぴ労働をさせられたのだ。
裁判所さんにうったえてやらなければいけないのだ。
≪被害者はきゅぴ! 犯人もきゅぴ! 弁護人も検事さんも全部きゅぴ! 記者ぽっぽさんもカメラマンさんもアナウンサーさんもきゅぴぴぃ!≫
≪……チーフ! みんな頑張ったねぇ、みんなが作り上げた造物主様の迷宮を早く紹介してほしいな!≫
そうだったのだきゅぴ。また造物主様に理不尽さんなお仕置きさんを食らうところだったのきゅぴ、アンは命の恩きゅぴ!
≪はいはいそれじゃ行ってみよー≫
■第一の広間さん
歴史的な価値さんがとても高い場所さんなのだきゅぴ。なんと、造物主様がこの大地さんに降り立ってから、最初に整えた部屋さんなのだきゅぴ。
≪「帰らずの丘」さんが、まだ主な出口さんだった時に整備した迎撃拠点さんだからねぇ≫
≪今は~何に使ってるの~?≫
≪きゅっふっふ。さいこー標高なので、遊拐小鳥さんとか炎舞蛍さん達の『空軍基地』さんに改装予定さんなんだきゅぴ!≫
≪んーてことはもっと立体的なアスレチックさん増やさないとみんなが飛びにくくてダメかな、チーフ!≫
≪きゅきゅ?≫
≪あーそれなら段差つけた出入り口さんつけて風通して、通路さんももちょい拡幅しないと飛行型さん達には通りにくいかもねぇ、あはは≫
≪きゅ、きゅぴ! もちろんその通り、アンとモノの言う通り僕はすでに指名手配済みなんだきゅぴ! 明日までには完成さんだよ!≫
≪さすがウーヌス、頼りになるなーあはは≫
きゅぴぃ、頼られるチーフは辛いけど楽しいのだきゅぴ。
■大産卵室さん~通称『心臓』さん
ここは最初に造物主様がお目覚めさんして、迷宮核ちゃんが安置されていた場所。そこをしばらく仮の『司令室』さんにしていたけれど、ついに揺卵嚢さん達をたくさん並べて、きゅぴのはらから達の『生産施設』さんにした部屋なのだきゅぴ!
≪ど、どうして……心臓部屋さんって名前に造物主様はしたのかな……?≫
きゅぅむ、答えよう。
きゅぴ達も"名無し"さん達も、"名付き"さん達も、みんな造物主様の【エイリアン迷宮】の一部。きゅぴ達は細胞、きゅぴ達は血液。
まるで生物さんの心臓さんが、全身に血液さんを送るみたいに、この"心臓"さんを通ってあっちこっちに送られるからなのだきゅぴ!
≪現状、揺卵嚢さんが20基さんに代胎嚢さんが5基さん。あと、胞化途中だけど加冠嚢さんが加わる予定だねぇ≫
≪ただでさえ幼蟲ちゃん達が多いよね! 脱走さん連れ戻し隊の労役蟲さん達が渋滞気味さんだよ、加冠嚢さんができたらエイリアン=ビーストさん達の出入りも増えちゃうよ!≫
≪つ、つまり……もっと通路がたくさん必要さん、みたいな?≫
≪よおっし、掘りまくるぞ! 通路さんもだいどーみゃくさんみたいに、太くしまくるぞ!≫
≪んーあとはそうだな。リスクヘッジさんしないといけないから、創造主様にならえば『副心臓』さんも必要かなぁ≫
≪やったぁ、新しい小部屋も掘っていいんだね! モノの許可が出たぁ≫
≪えっと、元からある空洞さんとか、『仮詰め所』さんとかを再利用すれば……いいんじゃない?≫
≪アインスはチャレンジ精神さんが足りないなぁもう!≫
≪きゅきゅー……≫
きゅぴぃ。それじゃ『心臓』さんの拡張さんはイェーデンに任せるきゅぴ。みんなが毎朝、ご機嫌おはようするための大事な社交場さんでもあるからね!
イェーデン、責任さんが重大さんなんだからね!
≪あー罠通路も忘れずに……っていいや、それは僕とウーヌスでやろう。ほら「チーフ」、次は何だーい? あはあはは≫
■司令室さん~通称『脳』さん
■第二の広間さん
本格的な迷宮抗争さんに向けて、造物主様や従徒のル・ベリさんソルファイドさん達が寝泊まりしたり、僕達みたいにきゅぴきゅぴ会議する部屋が『司令室』さん。そして、その前に作られた「最後の砦」さんが『第二の広間』さんで、ここには"名付き"さん達などが真っ先に駆けつけてくることができる、いろいろな隠し通路がつながっている。
元々は今の『大産卵室』さんにあった、労役蟲さんが磨き上げたこっとー的価値の高い『最初の円卓』さんが移設されているのだきゅぴ。
この場所で、造物主様を中心にみんなできゅぴきゅぴ会議して、色んなことを考えて決めるから『脳』ということみたい。
≪ちなみに僕達の椅子さんもあるんだよね、創造主様意地悪だから僕達が自力で登れない高さにしてるけど、あはは≫
≪え、えっと……あまり僕達が脱走さんと、おサボりさんしないで『司令室』さんにいないと……ダメなんだよ?≫
≪きゅきゅー、いいのだアインス君。僕達のいるところこそが、造物主様の脳みそさんなんだよ! なんたって僕らは……副脳蟲四天王! 思惟する我のここに在り、なのだきゅぴぃ!≫
≪でもアルファさん達がよく来るし、"名無し"さん達の班長役さん達もやってくるから、ここももうちょっと出入りしやすくしてもいいかもね!≫
≪あはは、そだねー。でも数が多いってわけじゃないから、出入り口の種類かなー。あと創造主様達の逃げ道さんや隠し道さんがけっこー必要かも。口の軽いウーヌスじゃなくて、アンがやってくれるといいかもね、あははは≫
≪きゅ、きゅ! しっかり者のアンなら心配ないけど、モノの意地悪! きゅんぷん!≫
≪違うよ~チーフの鈍感~、モノはチーフと一緒に『迷路』さんで遊びたいんだよ~≫
≪きゅぴぃ、そうだったのか! モノ大好き!≫
≪あはは、まぁそういうことにしておこうかー≫
≪あ、あの……僕達だとちょっと足りなくなってきてるから……『司令室』さんに副脳蟲ちゃん達は、常駐さんできる場所さんは整えた方が……いいと思うな≫
ふーむ、そうだったきゅぴねぇ。
造物主様もそのために、僕達にそれぞれ「1番目」を意味する名前をつけたことを思い出したのだ。決して、忘れていたわけではないのだきゅぴ。
≪そうだね、アインスの言う通り! てことでチーフよろしく!≫
≪きゅぴい?≫
≪新しい副脳蟲ちゃんの生産だよ、チーフが最初にやらなくってどーするのさ。沽券さんに関わるよ!≫
≪きゅ、きゅぇっへん、もちろんそうだとも。このウーヌス、何を隠し味、すでに候補の幼蟲ちゃんをデルタさん特急便で造物主様までお待たせお届けはいおまちぃ! したところだきゅぴ!≫
≪あはは、それ怒られるやつ。無駄に無駄のない無駄なデルタさんの無駄づかいさんてやつだぁ、あはは≫
僕達の力で維持している【共鳴心域】さんは、造物主様の【眷属心話】さんとは少し違う。
造物主様のそれは、例えるならば迷宮領主さん達なら誰でも持っている量産品みたいなものだけれど、僕達のこれは、まさしく造物主様の【エイリアン使い】としてそれをオリジナルさんに発展させたもの。
≪よそ者さんによる解読さんは難しいんだよぉ!≫
今はまだちゃっかり、造物主様を「アンテナ」さん代わりにしてちょっぴり楽ちんさんをしている。でも、いつまでも『心話領域』さんを間借りし続けているのは、"名付き"さんや"名無し"さん達の会話をお繋ぎさんするのには、ちょっと手狭になってきていたのだきゅぴ。
≪きゅぴぴぃ、とりあえず2人副脳蟲ちゃんを作ったんだきゅぴ! ドゥオとトレースだよ! だからみんなも遠慮さんせずに、じゃんじゃん作っていくのだきゅぴ!≫
≪は~い、じゃあアン、副脳蟲ちゃん達がのんびりできる、ふかふかさんをたくさん作ってね~≫
≪任せてね! みんな僕に任せてね!≫
■結晶畑さん~通称『肝臓』さん
造物主様曰く「作れるだけ作りまくれ」というのが凝素茸さん達。
その場にいるだけで、この迷宮の役に立つ存在――なるほど、つまり僕達みたいな存在ってことだきゅぴね! でも凝素茸さん達は、じゃんじゃん数を増やしていっているから……きゅきゅぴぃ! 大変だ! 僕達の存在価値さんが奪われる! シェアさんを取られて強豪さんに退社させられちゃうんだよ!
≪野きゅぴ郎ども、であえきゅぴであえきゅぴぃ! 討ち入りじゃあ≫
≪何バカやってんのウーヌス、ここは創造主様の最近の肝いりさんなんだからふざけてると「ぷりん」の刑にされちゃうよ、あはは≫
≪ぎゅぎゅぅ! お大根さま、それだけは、それだけはどうぞおゆるきゅぴをぉぉ≫
≪まったくチーフったら。あのね、チーフ! 凝素茸さん達をずららぁっと並べたらそれで終わりさんじゃないんだよ! 凝素茸さん達がせっせと作ってくれる魔石さんと命石さんを、せっせと運んでくれる労役蟲さん達を増やさないといけないし、みんなの移動経路さんとか役割循環さんとか僕達がやるんだよ! しかもそこに造物主様の「軍隊生産計画」さんがあって、それに合わせて幼蟲ちゃん達作って、逃げ出さないように連れ戻してもらう労役蟲さんと走狗蟲さん達の渋滞さんが整理整頓さんでじゅげむじゅげむのすってんてんでぎゅぴうおぉぉぉぉ!?≫
あ、アンが知恵熱さんで爆発さんしてしまったのだきゅぴ。
≪イェーデン! アンを早くため池さんにつけて冷やしてきてだきゅぴ!≫
≪わかったぁ、僕に任せてね! ついでにベータさんからおやつをもらってくるよ!≫
≪うーん、本当は『結晶畑』さんもリスクヘッジさんであちこちに分散して作った方がいいんだけどねぇ。今は創造主様の、とにかく早く軍隊さんを! が優先だからね、仕方ないね≫
≪あっちこっちに労役蟲さん達を~行かせちゃうと、目が回って眠たくなっちゃう~≫
≪あはは、じゃあチーフ、結晶畑さんはウーノに任せちゃおうよ≫
≪きゅぴふむ、モノがそう言うならその通りにしちゃうよ! 切れ者モノモノ物知りモノモノ……≫
■性能評価室さん~通称『口腔』さん
■研究室さん~通称『膵臓』さん
浸潤嚢さんが中心になって、造物主様がいろんな実験さん、そして……なんとおそろしいじゃあくな悪巧みさんをする秘密基地なのだきゅぴ!
そう、そこはきゅぴ達であっても、意地悪な造物主様が簡単には入れてくれない、とってもじゃあくさんなサンきゅぴアリ――。
≪まぁいちいち反応が大げさなウーヌスには任せられないよね、創造主様も、あははは≫
≪えっと……とりあえずは、お部屋さんの内装さんとかは、造物主様が直接労役蟲さん達に指示してるから……僕達は、移動経路さんとかローテーションさんの補助で、十分だよね?≫
≪そだねー、あ、でも隣の『性能評価室』さんは多分、今後『闘技場』さんみたいな役割になるだろうから、頑丈に作っておいた方がいいかもねー≫
≪そうなの~? モノ、具体的にはどれくらい~?≫
≪んーそうだねぇ、ソルファイドさんと"名付き"さん達全員が一斉に戦っても崩れないくらいにしないとね! あははは、やっべーや、あはは。あそうそう、創造主様の『観戦席』さんも作った方がいいよね!≫
≪わ、わかったよ……それじゃあ、お部屋の壁さんとか床さんは、『詰め所』さん達と同じような感じだよね? 僕の方で、や、やっておくね……!≫
≪うむ、くるしゅうないのだきゅぴ。アインスの慎重ささんは、造物主様も一目置いてるから、秘密基地さんはアインスに任せるのがいいきゅぴね!≫
■環状迷路さん~通称『胃腸』さん
きゅぴぴ! 造物主様が僕達に「鉄壁の防衛線」を作れ、と言ったのがまさにここなのだきゅぴ。なんとこの環状迷路さんは――すっごい迷路さんなんだきゅぴ! それはもう、すっごくすっごいのだきゅぴ!
≪あははウーヌス、テンション上がりすぎて知能低下してらー≫
≪……きゅぶくぶきゅぴぶくぶ……は! 僕は目覚めた!≫
≪あ、アンが戻ってきたぁ~≫
≪とにかく僕達のお仕事さんはとっても大事さんで大変さんだから、チーフさぼっちゃダメってことだよ!≫
≪きゅぴきゅぴ≫
『環状迷路』さんは、元々は造物主様の華麗さんなる『9氏族陥落』作戦さんの時に、労役蟲さん達をバシャバシャの如く働かせて、とにかくこの島の地下という地下さんを掘らせた坑道さんが元になっているのだきゅぴ。
あっちこっちに出入り口さんがあって、しかもこの島の元々の地下の空洞さんとつなげて、それはもうえれー複雑さんですっごい迷路さんになってしまったというわけなのだきゅぴ!
≪立体迷路さんだからねぇ、これ。ビーストさん達は割りと簡単に這ったり登ったりできるけど、地面を歩くことにばっかり進化さんしちゃった生物さんには、ところどころがきっついアスレチックさんかもねーあはは≫
≪でも困難さんなら困難さんなほど良いのだきゅぴ。ここは造物主様の迷宮の、巨大な『胃腸』さん。やってきた敵さんをおもてなしさんして、すり潰して、溶かして消化さんしてしまうんだきゅぴぃぇっへっへ≫
≪ウーヌス、ちなみに今のそれは何のキャラさん?≫
≪せっかち征服を狙う、じゃあくな悪の科学者さんのペット兼助手兼非常食兼マスコット兼メス兼双眼鏡だきゅぴ≫
≪わぁすごーいこわーいあはは。そんなら僕はコンサルタント兼アドバイザー兼ヘッドコーチ兼アイスクリーム兼聴診器だね、あははは≫
≪モノが~楽しそうだぁ~≫
≪モノはチーフが大好きだからね!≫
ちなみにこのとてもおそろしいすごい迷路さんは、なんと造物主様いわく「不思議のダンジョンかっこ物理さん」というおどろおどろしい名前さんなのだきゅぴ……!
労役蟲さん達の【凝固液】さんで壁をがぴがぴかちかちーにして、そこに噴酸蛆さん達の【強酸】さんでどろどろぐらどごぉにして――落盤事故さんを起こしたり! 分かれ道を変えたり、扉さんを変えたり! 入るたびに、地形さんを覚えられないようにさせて、ぐるぐる迷わせてしまうというコンセプトさんらしいのだきゅぴ。
≪そうそう、そしてそこにぃ……たぁっぷりの罠通路さん! 罠部屋さんだよ、あははは≫
≪も、モノ……ちょっと、興奮さん、しすぎだよ……?≫
≪きゅっぴっぴ。モノの趣味さんなのだから、仕方ないのだきゅぴアインスきゅん。ここはきゅぴに任せるのだきゅぴ!≫
≪ねぇウーヌス、いいの思いついた! ベータさんに頼んでたくさんの『爆裂酸』の殻さんを天井に敷き詰めようよ、あはは≫
≪きゅぴー。"名付け"て『シャワー室』だね! 敵さんのお外の汚れさんも全部落としちゃう!≫
≪あはは、あはは。さぁさぁウーヌス、早く早く! どこにどんな罠さん配置するか、ウーヌスも知恵だしてよアイディアだしてよあははー!≫
みんなも、そしてモノ自身も知ってるから良いのだ。
そして何より、僕もちゃんと知ってるから、良いのだ。
切れ者で、物知りで、とっても頼りになる知恵者のモノは、僕達とはちょっとだけ"役割"さんが違う。
僕達を助けてくれているようで、実際そうだきゅぴけど、でも実はその逆さんで、僕達がモノを助けないといけない。そういう風にできていると、最初に、造物主様の心から別々に生まれた僕達はみんなちゃんと知っている。
だから、僕達は僕達なのだ。
そう、まさに僕らは、副脳蟲六芒星!
――造物主様が"入江"さんに流れ着いていた流木さんの数が少ないんじゃないか? と言って、すごく眉間におシワさんが寄って出ていっちゃったのは、そのすぐ後のことだった。





