0204 きゅぴきゅぴ報告書(臨時版)~戦果と神様と属性さん
きゅぴ! いつもの報告書さんそのⅢさんになるはずだった「目録」さんを造物主様に取られちゃったけど、僕達へへっちゃら。こんなこともあろうかと――「その他の戦果」さんについて、こっそりと文諸行無常さんを作っていたのだきゅぴ!
≪あはは、ウーヌス、それじゃ大事な報告書さんがひとえに風の前に吹き散らされちゃうじゃないか、あはは≫
むむ! そうやって茶菓子さんとくさやさんを突きつけてくる『道化蟲』に内定さんしたモノめ、僕達副脳蟲6大天使の活躍さんの場が、無くならないように、チーフとして僕ゅぴは僕ゅぴは日夜あくせく汗水。
≪う、ウーヌス……じゃなくて、チーフ……≫
ちっちっち! 『楽師蟲』に内定さんしたアインス君、僕はもうただのみんなのチーフではないのだきゅぴ。
これから僕のことは――「お姫」と呼ぶのだきゅぴぃ!
≪お姫ぇ~お姫やぁ~お姫はいらんかねぇ~≫
≪待ってウーノ! それじゃウーヌスが売り物になっちゃう!≫
きゅっぴっぴっぴ。
『司祭蟲』に内定さんしたウーノに、『賢者蟲』に内定さんしたアンや。
時代は美人さん投票……僕には夢があるのだきゅぴ。いつか、ドゥオやトレース達をふくめた副脳蟲きゅーぴーえいと計画によって"名付き"さんも"名無し"さんのみんなから総選きゅぴで、造物主様のためのダンスパーティーさんをするという夢が。
≪儀式の時間だね! やったぁ、大冒険が始まるねぇ! 造物主様が求める「莫大なエネルギー」さんを僕達が生み出すんだぁ!≫
≪た、多分、頭が痛くなっちゃって……寝込んじゃいそうな……≫
流石は物分りの良い無鉄砲さんな『技士蟲』に内定さんのイェーデン! 来たる僕達の荘厳なデジャビューさんに向けて、今からお歌を歌うさんの練習を始めなければならないのだきゅぴ。
ここはちょいと造物主様の『因子:振響』さんで僕達を【遷亜】さんして……。
≪まぁ、僕達はもう【知天則】さんしてるから【遷亜】はできないんだけどねー、あははは≫
きゅっ……相変わらずモノが僕にきゅびしい!
≪ウーヌスしゃま!≫
≪まかせろぉー!≫
きゅううっ……うっ……僕は良い部下きゅぴを持った果もの者だぁ。
待ってるのだきゅぴ、ドゥオ、トレース。モノがちゃんと『道化蟲』になって、君達の同僚さんを量産さんできるようになったら、必ずみんなでピラミッド組み立て体操をするのだきゅぴ! そしてそこから――とろとろの甘い蜜さんをシャンペェンさんみたいにタワーにして豪華で豪奢でお洒落さんにすることを、僕はここに誓おう!
***
■戦利品さん目録
◯75体の魔獣さんジグソーパズル
グウィースちゃんとヒュド吉がグッジョブで救出したエグドさん以外は、全部亡骸さんになったのだきゅぴ。そこから造物主様の力になるたくさんの『因子』さんが解析されたのは、僕達の没収シュートさんされた『報告書』に乗っていた通りなのだけれど――無論、それ以外だけじゃなくて、資源として大活躍だったのだきゅぴよ!
≪煉因腫さんに解析さんをお願いしたんだよね! そしたらなんと、100種類くらい『煉因強化』さんが手に入っちゃったんだよ!≫
≪『因子』さんとしては、もう造物主様が解析済みさんだったけれど……でも、走狗蟲さんとか労役蟲さん達につけてあげられる『属性強化』とかの強化さんが、色々進んだものね≫
造物主様の言った通り、煉因腫さんを増やしておいて良かった良かったと言うべきなのだきゅぴ。
でも、ウーノ。煉因腫さんにお願いして『肉質向上』さんとか『鮮度長持ち』さんとかを煉因強化として開発するのはダメなのだきゅぴ! "名無し"さん達も"名付き"さん達も、食べ物じゃないのだきゅぴ!
≪違うよ~ちー……お姫ぇ~、紡腑茸さんとか代胎嚢さん用だよ~≫
――きゅきゅっ!
そ、それはもしかして……!?
≪あははは、さっすが食い意地に関してはウーヌス以上のウーノだ、家畜さん達をさらに美味しくさんして――創造主様のちょーっと貧相さん過ぎる食生活さんを改善しちゃおう、元の世界さんの味覚を再現さんしちゃおうって計画だね!≫
≪え、なにそれ……チーフ、じゃなかった、お姫のきゅぴえいと計画さんよりずっと建設的……≫
きゅ、きゅ、きゅ!
≪『甘味強化』さんに『酸味強化』さんを組み合わせて~亥象でマーラーチャーシューさんができたら~?≫
≪いいねいいねぇそれ! グウィースちゃんにもこの情報を共有さんして、もっと香辛料さんを集めないと。花椒に近い味さんのとかあるかなぁ? 探検の時間だぁああ!≫
僕はまるでよだれの全自動食洗機さんなのだきゅぴぃい!
舌の前と後ろで甘さと辛さがピリリと織りなすハーモニーは、例えお仕置きとして「流れるプールコースター」に放り込まれてでも何度も探検したい造物主様の記憶さんの神秘そのもの。人間さんが生み出した味覚さんのゴージャスさんを堪能できるのは、新しいお星様さんの発見ほどに素敵なことなのだきゅぴぃ……!
≪あはは、真面目な話もしとこーよーみんなー。紡腑茸さんに、貴重な『魔獣』の内臓さんとか皮さんとか骨さんとかー紡ぎ出せるストックさんがとっても増えたってさー、創造主様が考えている"事業"さんからしたら追い風だよね?≫
きゅぴ、そうなのだきゅぴ。
ゼイモント=ジェミニさんとメルドット=ヤヌスさんは転属さんの予定みたいなのだけれど、元々【人世】さんで活動させるための『珍獣売り』さんのお仕事として――信憑性さんをさらにもたせることが可能みたい。
ルクさんミシェールさんによると、なかなか、貴重なお薬さんとか研究材料さんとかで買い手をつけることもできそうで、お金さんにすれば、僕達がすぐに手に入らない素材さんなんかにも交換できるから――『煉因強化』さんをさらに広めていくにはとっても良いアイディアなのだきゅぴ。
そしてそれによって、是非とも『旨味強化』さんとか『脳汁強化』さんの『煉因強化』さんを――!
◯人間さんの死体さん達
造物主様は悪の大王さんじゃなくて、倒した相手さんを並べてウキウキするみたいな野蛮な趣味は無いのだきゅぴ、だって「好奇心」から生まれたこの僕が言うのだから間違いないのだきゅぴ。
でもでも、合理的な思考さんも持ってるから、資源さんとか素材さんとして使うことのできる分は、ちゃんと使う。
なんでも戦国時代さんの時のお作法さんで、生首さんは技能【火々葬々】さんで荼毘荼毘さんにしつつ、胴体さんの方は有効活用さんしているのはみんなが知ってることなのだきゅぴ。流石に、首塚さんまで作っているのはル・ベリさんにも知らせていない事だけれど、僕達は知っているのだきゅぴ。
≪まぁ、それを僕らが漏らすことはないけどね、あはは≫
≪に、人間さんの身体さんとか内臓さんも、用途が多いからね……小醜鬼さんと同じなところ、多いし……≫
≪『煉因強化』さんの要求素材~『人皮魔法陣』さんの材料~ル・ベリさんの魔眼さんの触媒さん~ダリドちゃん達が小醜鬼さんいじくる時の練習道具~≫
≪多様性って奴だぁ!≫
≪あとは紡腑茸さんから作り出した移植用臓器さん達だよね!≫
そうなのだきゅぴ。
造物主様は、なんと「生き残り」さん達のうち、凍傷さんで腕とか足とか鼻とか耳とかが無くなっちゃったさん達に、紡腑茸さんから紡ぎ出した「りある義じゃない手」さんとか「りある義じゃない足」さんで手当てさんを命じていたのだきゅぴ。
≪そうそう! それでナリッソさんに――神威さんを【闇世】さんで行使する検証さんとかもやったんだよね!≫
≪ナリッソさん吹っ飛んでってたね~≫
≪仕方ないよね……ナリッソさんならまだ頑丈な方だから治せるけど、リシュリーちゃんの方は……ダメだものね≫
≪あはは、まぁ維管茸さん達で応急処置さんしてたし、大丈夫でしょ≫
無論、これは「ただの人間さんの死体」さんのお話。
それ以外の『戦果』さんは、もっと色々価値さんや調べないといけないことさんがあるみたいなので、造物主様やルクさん達が持って行ってしまったけれど。
超覚腫さん達が手伝って、魔法学さんだけじゃなくってもっと多角的な視点さんから調べつつ、あとル・ベリさんの魔眼さんの力も使って【情報】さんを引き出せないかと試しているようだけれど、それは僕達も結果を待ちながら、言われたり頼まれたりした作業さんをしながらリアルタイムでパントマイムさんなのだ。
≪うん、だってそもそも今絶賛『貴化』さんしてる途中だしさ、僕達、あはは。迷宮さんの管理って意味だとすっかりジーとトリーに任せちゃっててねー、アルファさん達の"進化"さんにつきっきりだものー≫
≪きゅー、イエッきゅぴー、モノ!≫
≪ぶち進化すぅ!≫
きゅええ……モノの部下きゅぴちょっと怖いのだきゅぴ。
頭とお尻さんを隠しておこう。
≪エイリアン=スポアさんの中にすっぽりいるのに何言ってんのさ……≫
◯【紋章石】さんとか兵糧丸さんとか毛長馬さんとか
これも造物主様やルクさん達にとっては、物凄く価値がある『戦果』として早速『性能評価室』に持っていった品々なのだきゅぴ。
でも……。
≪ん? どうしたのさウーヌス、急に黙っちゃって、拾い食いでもしてお腹壊した?≫
失敬な! 僕をヒュド吉と一緒にするななのだきゅぴ!
≪ちょっと待て、われはお前達にどう思われてるの!?≫
むむっ! ダメだぞヒュド吉、ここはきゅぴきゅぴしていないと入れない神聖さんな会議室さんなのだきゅぴ。確かにお前は断面さんがちょこっとぷるぷるぞわぞわさんだけれど、それではまだ僕達の境地さんには至れない……そうとわかったら今日も小醜鬼さんの頭フリスビーで特訓を――。
≪お姫ぇ~ヒュド吉は造物主様に連れて行かれちゃったぁ~≫
きゅむむ、それは仕方ない……あの『兵糧丸』さんとかいう、この世のシワシワさんというシワシワさんを藁さんと干し草さんと練り合わせてパサパサさんにしたかのような、砂を食べる方がマシだとしか思えないとんでもねぇ食べ物もどきさんの実験台にして精神さんを鍛えてやろうと思ったのに。
適当な小醜鬼さん達に食べさせて生体濃縮さんさせてから、それをヒュド吉に食べさせてみるプランにシフトするのが良いきゅぴねぇ。
≪確か【悪喰】家さんの携行食料さんなんだっけ? 食べさせてみたら……【闇世】生物さん達にとっては猛毒になっちゃったんだよね……?≫
≪そうそう、そうなんだよ! 人間さんが食べても平気、というかちょっと魔法防御能力さんが向上? したのに、何も加工さんとかしていないのに不思議だよね!≫
≪それでいてエイリアンさん達には影響無しだから不思議だよねぇ、あはは。何なんだろね、これ。ただの魔法の食料さんってわけじゃなさそうだけれど≫
モノや、僕のモノや、美味しくいただけないものに議論さんと情けさんをかけてやる勝ち組さんなどこれっぽっちもないのだよ。それでもルクさん達にとっては【悪喰】家さんの秘密さんに近づくことができる貴重な試料さんだ、ということだから、もちもちのお餅屋さんとして任せておくのがいいのだきゅぴ。
それよりも、僕が気になるのは――ナーレフ軍さんが使っていた『毛長馬』さん!
≪ちょっと身が硬すぎるかなぁ~≫
ウーノ、ウーノ、造物主様に桜の木の下のお肉さんを振る舞うのもいいけれど、【人世】社会さんでの貴重な運搬手段さんなのだきゅぴ。これを大々的に代胎嚢さんで育てて量産すれば『珍獣売り』さん計画をさらに推し進めることが……。
≪大変だ、ウーヌスが知恵熱出しすぎて真面目になっちゃった!?≫
きゅきゅう! しっかり者の『賢者蟲』アン、僕だってチーフ……じゃなくて「お姫」としてやるときはきっちりやるんだよぉ! 僕のこの灰色のぷるんとした脳髄は、常に目を見開き、耳も見開いて、あとついでにお鼻も見開いて、造物主様の目となり目となり目となって役に立つものを入手することに余念さんなど無いのだよ!
◯武器とか防具とか金属製の道具とかのうち魔法効果の無い者達さん
実は、多分『因子:被鉄』さんとかの影響だと思うのだけれど、煉因腫さんが地味に"金属素材"さんも求め始めるようになっていたのだきゅぴ。僕達みたいな有機ゅぴ物じゃないものをどう研究さんするんだろうというのが、ちょっと科学ゅぴ的に気になるところではあるんだけれど……。
≪というわけで、ソルファイドさんを中心に『溶鉱炉』さんを作ってるんだよねぇ! 燃えてきたぁ!≫
≪まとめて鋳潰してしまうってわけだねー、持ってても邪魔だし、あはは。でもうまいこと……鞭網茸さんとか触肢茸さんとか、防具さんにできたら面白いしね!≫
そうなのだきゅぴ。
造物主様の【エイリアン使い】さんという力は、迷宮領主さんとしての"認識"さんによる。『因子:被鉄』さんの存在を強く意識した造物主様は、ちょっと、そこでこの進化系統図上のチョークポイントさんにもなっている因子さんを一気に解析する秘策さんを思いついたみたいで、それを僕達は火属性砲撃茸さんとかに頼んで実施しているということ。
ただで廃棄さんしてしまうのももったいないし、かといって走狗蟲さん達にくくりつけるのも使いにくいし、加工さんできれば万々歳さんということなのだ。
◯【騙し絵】家の戦士さん達が持ち込んだ魔導具さんとか
あと、他にも魔導具さん系で重要な情報源とかアイディア源さんになると造物主様が言っていたのが、【騙し絵】家さんの戦士さん達が持ち込んだ、色々な魔法が付与さんされた武器さん達。
僕達「エイリアン」の力と"役割"の源さんである『因子』と違って、この世界さんの【人世】では人間さん達は『魔法』の力だったり『属性』さんそのものの力を、普段使う色々な道具に"付与"させるという技術さんがあるようなのだけれど、それによって日進月歩さんで色々なことを便利にしていっているのだ。
≪僕達にも『遷亜』さんとか『煉因強化』さんとか、もっと言えば創造主様が新しい"役割"さんを定めて進化させることもできるけどね、あはは≫
≪でも、それは創造主様が【黒き神】さんから迷宮領主の力をもらってるから……だからね、普通の人間さん誰にでもできることじゃないよ≫
≪だから、少しずつ『魔法』さんで工夫しているってわけだね! 使えない人も、使えるように――それが『魔導具』さん。造物主様は、そこに力を入れていこうとしているつもりみたいだけれど≫
考えてもみれば、魔石さんと命石さんだけを電池さんのように用意しておくだけで、その場にいなくてもルクさんとかダリドちゃんとかキルメちゃんの補助魔法さんが走狗蟲さん達にかかるようになるということ。
一ツ目雀さんは一度に一つの属性しか使うことはできないし、【魔法陣】さんは準備に時間がかかるから、その意味では、僕達にとっても、あらかじめ決められた魔法さんが発動できるというのは便利なことなのだ。
≪デェイールさんの"首飾り"も~手に入れたしね~≫
≪中身の【空間】魔法さんそのものは証拠隠滅さんされちゃったけど……でも、機構さんをそのまま再利用できるかもしれないって、ルクさん達言ってたものね~≫
≪人間さんでも小醜鬼さんでもどっちでもいいんだけど『皮』の魔法陣さんは、やっぱり保存とか大量生産さんにちょっと難があるからねー、もっと造物主様とか"名無し"さん達が自由に【転移】魔法さんを使えるようになるのが、管理的には楽だよ! ほんと!≫
≪そこはほらぁ! ついに【空間】魔法さんを使う属性砲撃茸さんみたいな存在の! 次元拡張茸さんが登場するじゃないか!≫
≪あはははは、そうだねイェーデン。僕達の想像通りの能力さんだったとしたら――創造主様が僕達に命じてくる迷宮拡張計画さんが、多分、すっごくすっごいことになるんじゃない? あはは≫
≪うわぁあああい! 張り切ってきたよぉ!≫
◯サーグトルさんとハンダルスさんの死体さん
きゅぴ。
みんなできゅぴ藹々していたけれど、本題さんだ。
関所街ナーレフさんの『執政』ハイドリィさんの部下の一人で、【春司】さんとかルルさんを酷い目に遭わせていた魔法使いの……『学者』さん。
もちろん、情報が取り出せないかなぁという意味でルクさんミシェールさん達が「検体」さんは持って行って、ル・ベリさんとかと一緒にあれこれ調べることにはなっている、けれど。
確保さんする時に、造物主様が高レベルに育てていた超覚腫さんや、『最果ての島』さんを征服さんする時から造物主様と一緒に走っていた古参の走狗蟲さんが3体、やられてしまったのだ。
≪ルクさん達は、【精霊】さんっていうのを初めて『感知』できたって、言ってたけどねー。僕達には皆目検討もつかないさん、だよねこれ、あははは≫
≪完全に、消えちゃったよぉ~……かわいそう~≫
≪か、仇さんはいつか必ず取らないと……?≫
迷宮さんの力ではないし、かといって、迷宮という仕組みを作った【闇世】の神様さん達……に対抗する【人世】の神様さん達の力、でもないのだきゅぴ。
ルクさん達は、それを【精霊】さんに違いないって言っていたし、それはきっと魔法に詳しいさんなリュグルソゥム家のみんなが言う通りなのかもしれないけれど。
≪あれだよね! 「上」に対して「下」みたいな!≫
≪そうだそうだよ、「陰」に対して「陽」みたいなだなぁ!≫
消されてしまった超覚腫さんや、古参の走狗蟲さん達から、僕達副脳蟲6芒星は、直接、その感覚さんをフィードバックさんしたから。
――あんな感覚さんを、造物主様に直接"認識"させるわけには、いかなかったから。
死んでしまった、とか、苦しかったとか痛かった、とか、そういうのではないのだ。
まるで触れ合ったら全てが、パンッ、と破裂するように消えてしまうかのように――あの【精霊】さんとかいう連中さんと同じ量だけ、僕達を、迷宮領主さんの被造物である僕達というか、迷宮そのものというか、ううん。
≪【闇世】の法則さんそのものを、って感じかな? ウーヌスが言いたいのは≫
その通りきゅぴ。
モノの言う通り、アレは、迷宮も眷属も、【闇世】そのものも――全部全部許さない存在さんであるとしか、僕達には感じられなかったのだ。
≪ナリッソさんがぶっ飛んじゃったのとは、全然、違ったよね……≫
≪迷宮核さんが~うるさかった~≫
≪【闇世】で神威さんは絶対に厳禁! 使っちゃった人が死んじゃいかねないよ!≫
当然、『因子』としては『呪詛』さんでもない。
造物主様は、色々なものと出会って、色々なものに触れて、【因子の解析】さんの性質が変化していて、【春】さんだとか最近だと【魂魄】さんみたいな、『因子』ではないけれど「そういうもの」さんを認識していっているけれど――【精霊】さん達は、そうではない。
アレが何なのかを、僕達もまた、ちゃんと分析さんも解析さんもできていない。
それに、大事な造物主の被造物の同胞を、その「心」や「意識」さんを救うこともできずに、まったく、全部、全て、跡形もなく消滅さんされてしまったのが、僕達にはとても悔しいことだったのだ。
≪それでも"次"が無いとは限らないから【八覚感知】さん持ちの超覚腫さんを、また育てておくしかないよね……≫
当然なのだきゅぴ。
だって――。
≪あんなものが造物主様に触れたら! ――どうなっちゃうかなんて、考えたくないもの!≫
***
この世界さんは、16の属性から成り立っているのだきゅぴ。
造物主様は【魔法学】さんについて、属性分類さんには"裏"があると考えているけれど、それは決して根拠さんが無いものではない。
実際にベータさんとか、ル・ベリさんの技能テーブルさんに、【闇世】Wikiさんにも出てくる『ルーファ派』の神様さん達の名前が出ているように、システムさんレベルでは、確かにこの世界さんの根っこの部分さんに諸神さん達が関わっている。
そして、そんな諸神さん達が、それぞれ担当さんしている「自然」さんだとか「現象」さんだとか「要素」さんだとかを分け合ってこの世界さんを作り上げているという話で――きゅうううん、僕もう頭がぽかぽかだぁ、HELP ME MONO ! バトンタッきゅぴぃ。
――――。
あー、はいはい。わかりましたよー、あははは。
ウーヌスがいつになくみんなの「お姫」らしく知恵熱出しちゃうもんだから、僕らぁ逆に冷や冷やひえひえさ、ウーヌスはいつだってバカやってりゃいいんだって、あはは。
難しい話は、この僕に任せたらいいからねー、えっとね。
そりゃー創造主様の「元の世界」の科学的知識だとか神話だとか高等教育さんだとか、そんなの持ち出すまでもなく、分類しようと思えば世界さんの「構成要素」なんてのは、無限に分類できちゃうよね? でも、あはは、少なくとも、「誰が」どういう理由で「そう」分けたのかは置いておいて、この世界で『長女国』の魔法使いさん達なんてその筆頭さんなんだけれど、一様に信じられているのはー次の通りさ!
■諸神さんのまとめ
◯ジンリ派八柱神さん
・亜々白々なる輝きの御子:【光】属性
・真贋と法統の裁者:【均衡】属性
・破邪と癒しの乙女:【活性】属性
・戦詩と鯨波の海帥:【水】属性
・啓明と炎影の老師:【火】属性
・宝穣と鉱髄の地母:【土】属性
・風駆と天袖の踊子:【風】属性
・閃雷と踏躙の驍将:【雷】属性
◯ルーファ派九大神さん
・全き黒と静寂の神:【闇】属性
・夢幻の狭間の遊び子:【崩壊】属性
・七ツ掌と欺きの盲者:【空間】属性
・嘲笑と鐘楼の寵姫:【精神】属性
・星翳と双月の番人:【重力】属性
・無邪気と遠目の悪童:【混沌】属性
・魂引く銀琴の楽女:【死】属性
・果香と腐根の隠者:【土】属性
・凍砂と瞑睡の旅人:【氷】属性
神様達が直接は観測さんとか認識さんされない、創造主様の「元の世界」さんと違い、少なくとも僕達を含めて、超常さんとか魔法さんという不思議な現象さんが起きている「この世界」さん。
その"不思議"さんの範疇に入る【闇世】Wikiさんで、実際にそうだって言及されているから、この17柱の諸神さんにそれぞれ分担された「属性」さんは、あはは、ただ属性さんであるというだけで大きな力を持っているのだ。
これって、ただ単に世界さんの「構成要素」さんとして必要なだけではない。
この世界に住んでいる生命さんの根本的な原理さんとか法則さんを貫いていて、欠くことができなくて……だから【闇世】さんができた時にも、元々は担当さんしていない属性さんを『ルーファ派』の神様さん達が強引に解釈さんしてなんとか作っているというわけ。
例えば【嘲笑と鐘楼の寵姫】さんが【火】とか、【全き黒と静寂の神】さんが【光】とかって具合さ、あはは。
そしてそのために、僕達の存在の源でもある『魔素』さんと『命素』さんを、今は【人世】さんと呼ばれているところから吸い込むのが、あはは、"異界の裂け目"さんだってことだね。
ま、それもこれも【闇世】さんに逃げてきたっていう、元々のこの世界さんに居た人間さんとかその他の動植物さん達のために、同じような自然法則さんが必要だからってことだけれど――少なくとも、それは16の属性さんを通して、作り上げられている。
≪でもでも、モノ! そういうわけなのに『魔法類似』さんって『長女国』さんでは言われているけれど、属性だけでは分類しきれない超常の力さんがあるってことなんだよね?≫
そうそう、そこが創造主様が一番疑問に思っているところなのさ。
だって、全てが16属性さんで説明つくなら――【春】さん、あははははは、つまりさぁ、「ひととせ」って創造主様が認識している【時間】さんが16属性じゃないこととか、【魂魄】さんが【死】属性さんとか【活性】属性さんとどう違うのさって話じゃないか。
でも実際に、それらは、そういう力として「属性の外」に確かに「有る」ってことでしょ?
創造主様が"認識"さんしている『因子』さん達と、16属性さん達の違いって……あははは、これを僕がこれ以上言っちゃうのは、もうまずいかなぁ。
≪ああ~そうか~、そういう話なんだなね~これは~≫
そういうこと! だから、ウーヌスが疲れちゃうのは、あはは、当たり前なんだよね。
まぁ、僕は――創造主様が自分の力さんで少しずつ気づいていくのを待ってからじゃないと、創造主様には直接言えないからね。みんな、これからも創造主様とウーヌスのこと、しっかり支えていこうね、あははは。





