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結論から言えば私達が殺させる事は無かった。


 いや、まだ油断は出来ない。


 でも、ここから行く場所は何となく予想ができる。


 多分、私達の新しいご主人様を決める、えっとなんて言うんだっけ......あぁ、里親探しだっけ?


 ご主人様とお散歩に行った時に見た記憶がある。


 多分、ここで新しいご主人様を見つけることが出来たらあずきは死なずに住むと思う。


 よし! 希望が見えてきた。是が非でもあずきの里親さんを探すんだ!


 そう思うと、今まで鉛のように重いと思っていた心も少しは軽くなる。


 あとは、ここの芝生が気持ちいのも理由かも。


 お日様もぽかぽかで気持ちいい。


 あっ、あずきが来た!!


『きなこ! 会いたかったよ!』


『うん! 私も! あずきー!』


 私達は、会えた喜びを発散させる為に芝生の上でぴょんぴょんする。


 えへへ、こんなにはしゃぐのも久しぶり。


 でも、あずきが幸せになる為にはこれだけは伝えないといけないことがある。


 再会を喜びあった後、『ちょっと言いたい事があるの』と切り出した。


『私達はここでお別れかもしれないの』


 そう、私達はここでお別れかもしれないんだ。里親さんを見つけられても、私達2人一緒とは限らない。


 もしそうなった時は悲しいけどあずきは1人で幸せに生きて欲しい。


 私に拘って、あの檻に戻されたら最悪だ。


 あずきが今にも泣きそうな表情をしてる。


 そうだよね、私達は今まで2人で頑張ってきたもんね。


 私も悲しいよ。でもね、君の命よりも大事な物は無いんだ。


『きなこ、どう、して......?』


 今すぐにでも『冗談だよ』と言いたい。でも、その気持ちをぐっと堪える。


 ここで突き放さないと。あずきは本当の幸せにはなれない。


 突き放さないと。突き放さないと。突き放さないと。


『......ぅ、つ。あっ、あのさ』


 あずきが、こちらの真意を確かめようと全てを見透かすような目でじっとみてくる。


 そんな目に、このタイミングでドキッとした自分が嫌になる。


 でも、カッコイイのがいけないんだよ。バカぁ。


『わ、わたしたちは、離れてても気持ちは1つでしょ? だから、へいき! うん。そう、そうだよ! だから、大丈夫! ねっ!』


 自分でも何を言ってるのかよく分からない。


 でも、私のせいであずきが死んじゃうのはもっともっと嫌だ。


 私をこんなんにしたんだから、責任とっても生きてもらうからね!


 そう思うと、少し勇気が出てきた。


 すぅーっと息を吸い、真っ直ぐあずきの目を見る。その目をじっと見据え、静かに息を吐いた。


『あずき、あのね私ここがどういう場所か知ってるの』


『うん。そうなんだね。でも、それがどうして僕達が別れることになっちゃうの?』


 あずきは、声を震わせながら聞いてくる。その目は今にも涙が溢れそうで、さっきまでの私だったら耐えられなかったかとしれない。


 でもあずき、ごめんね。私はもう覚悟を決めたんだ。大好きで愛おしくて、最愛の君を失うよりは私は君と別れることを選ぶ。


 だからね、さよならだよ。


『ここはね、新しいご主人様を見つける場所なのよ! 素敵よね! あんな檻にも入れられずに済む! 私はね、幸せになるの! でもね、2人で居ることは難しい、んだ。ごめん、ね?』


 私がそう言い切り、ふとあずきの事を見ようとすると────もうそこには居なかった。


 新しいご主人様の候補の所に駆け出したあずきの姿が見える。


 うん。これでいいんだ。あのお馬鹿は、こうでもしないと私を見捨ててくれないからね。


 あずきが居た地面に大粒の水滴があるが気のせいだ。




 最愛の君の姿が、ぼやけて見える。太陽が余計に眩しく見えて、広場の風景が少し歪んで見える。




────ポトっ




 覚悟は、決めたはずなのに意思に反して弱い自分が流れていく。


 もうっ、お別れなんだもんね。うぅ、ねぇあずき。




『あな、だの!ごとが、ほん、とに、ほんとに、だいずぎ、でじだ!』




 今更、本当に今更だけど私はあなたの事を愛していたの。


 お願い。これは私からの最後の願い。




『じあわせに、いぎでね!』

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