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185.慰霊祭

レオナルドさんについていき、指定された場所まで来た。

『アリア・テーレ・グンミ・リュビ・ソル・シン・クロ』来て。


それぞれを象徴する精霊たち全員が突然現れたことに、みんな驚き…そして跪いた。

『ソル、テーレ。ここに慰霊碑を建てたいの。サクレの木で作れないかな?』

≪温厚篤実なツェルスト公国の国民に安らかな眠りを≫

『アリア、みんな疲れてるみたいだから、大規模な癒しお願い』

『他のみんなは果物を大量に出しておくから、盛り付けてくれない?』

『急いで、パオロさん連れてくるから』


みんなに念話で伝えながら、あたしは精霊村に戻った。

まっすぐにパオロさん指定で戻ったので、目の前にいた。

パオロさんが、このタイミングでここに居るとは。


「パオロさん、ツェルスト公国に戻って来ている人がいるの。それでね、慰霊祭を急遽することになったの」

「それは、真か?」

「うん。様子を見に行ったら、『村』ぐらいには人がいたよ。だからね、パオロさんも行こう?」

「お願い出来るだろうか。あと、例の遺物も」

「もちろん!」

パオロさんと手を繋いだら、ツェルスト公国に転移した。


すぐに戻ったが、精霊達が動いている中どうしていいのか分からない人たちが、あたしの顔を見てホッとした顔を見せた。

あ、一言言ってから行けばよかった。

「レオナルドさん、突然いなくなってすみません。こちら…」

「パオロ・ペイネ殿」

紹介する前に、レオナルドさんがパオロさんを見て声を掛けた。

やっぱり国の重鎮だった人だし、この国の将軍の義父だもん。知ってるか。

「レオナルド ・ヘンネベリ殿…、よくぞ御無事で」

「カイル将軍に、民衆の避難の指揮をとって欲しいと。共に戦うことも出来ず…」

「レオナルド殿がいたからこそ、カイル将軍も戦えたのでしょう。相変わらず見事な地下道を」

やっぱりそうなのか。レオナルドさんの地魔法があったから、皆が逃げられた。それにこの人には精霊とも相性がいいようだ。先ほどからみんな興味津々に見てるし。精霊村に一度来てもらったら、この人は問題なく精霊と契約できる気がする。この地には清廉なものだし、精霊達も居心地いいと思う。精霊達がこの地を気に入れば、サクレがこっそり慰霊碑から育っていそうだ。

この後のこの国のことをぼんやりと考えていると、パオロさんとレオナルドさんとの話が終わった様で、あたしを二人が見た。

仕切ってくれる大人がいるのが有難い。

すぐにカイル将軍とその側近らしき人達の遺品も、ソルが作った石板にクロが書いた文字と、それをテーレがサクレの枝を蔦のように這わせて囲い、それを土台とした慰霊碑の前に置いた。誰の遺品なのかすぐにわかった様で、慰霊碑の前で皆跪いて泣いている。


テーレが何かを呟くと、ふわふわとピンクの塊がやってきて、慰霊碑を囲んだ。

森の精だ。

森の精たちが一斉に音を奏で始めた。

今までに聞いたことのない音。

前世で聞いた死者に送る鎮魂歌にも、一切の生きとし生けるモノは、幸せであれ。有名なあの言葉のような願いのようにも聞こえる。きっと聴く者によって響き方が違うのだろうと、皆の表情を見ると思う。

自然と始まった厳かな慰霊祭。

跪いている人たちの表情が和らぎ始めた時、音がゆっくりと止んだ。

皆の顔が自然と上がり、頬を緩ませたことにあたしもホッとした。


よし!静かに送るのか、みんなで騒ぐのかはわからないけれど、皆で故人を偲ぶ時には多分お酒は必要だよね。一人一杯は飲めるようにしたいから、持っているだけ出しておこう。

子供にはセカンドで作った果実水をだして、お肉も遠慮されないようにダンジョン産の暴れ牛の赤身をドドンと。みんなの一番後ろにいるあたしは、リュックから酒・肉・果物以外にも、パンとチーズを出して並べていった。

何人いるかわからないけど、これぐらいかな?

村の人たちが3日ぐらいで食べ切るぐらいの量だと思う。

後は解体前の魔物たちを凍らせて渡せば持つかな?


「マリー…」

「どうかした?パオロさん」

「いや、これだけの物資を出しても大丈夫なのか?」

「うん。お酒以外は自分が手に入れたものだから、問題ないよ。お酒もまあ、ダンジョンに潜ればいいことだから」

ドラゴンが面倒だけど、という言葉は口を紡ぐ。


「そうか。こんな時だ、遠慮なく頂くとしよう」

パオロさんがそう答えたら、後ろに控えている人たちからも頭を下げられた。

そんなに感謝されるほど、何もできてない。


「カイル将軍がとてもこの国を愛していたのだと、この遺品に触れるとわかります。こうやって会えたのも、何かのご縁。この地に祝福を送ります」

杖を出しグンミに呼びかければ、慰霊碑の前に小さな湧き水が誕生した。

精霊の泉の水を慰霊碑にかけてサクレに浄化を願えば、キラキラとしたエフェクトが辺りを包んで小さな結界が生まれる。

「この慰霊碑が枯れない限り、野菜や果物がよく育つでしょう」

あたしの言葉にざわめきが起きた。

この国の人たちが正しく生き慰霊碑が育てば、精霊村ほど強固な結界ではないが、魔物に襲われることもなくなると思う。種は巻いたけど、結果を出すのはこの国の人たち次第。


「さあ、皆さん。食べましょう?」


読んで頂きありがとうございました。

ゆっくりですが、更新していきます。

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