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182.60階層ダンジョン

長とシャンスは頑張ったのだと言わんばかりに、ボス戦で出た肉を見ている。

わかっているよ。

でーん、と鉄板を出し、鉄板を一度火で焙る。鉄板が煙を出すのを確認して、肉の塊を適当に切って並べたらそれはそれは美味しそうな匂いが、ボス部屋に漂う。

うん、これは匂いの暴力だね。

お肉とチェダーチーズを挟んでバーガーにして食べようと思っていたのに、肉の焼ける匂いに勝てる気がしない。

「テーレはどうやって食べる?パンとチーズにはさむ?このままお肉?」

「パンにチーズと一緒にはさむというのがいいな」

それを聞いた長とシャンスも、自分たちもそれが食べたいと騒いだ。


「あなたたちのお腹が膨れる程、パンがないよ。大トロはそのまま焼いたのを食べて、赤身のお肉にチーズ乗せてあげるから、それにして」

『仕方ない。それでいい』

『僕も!』

そうそう、それでお願い。これ以上グルメになられても困る。

こんな贅沢が毎日できないし、されても困る。長やシャンス精霊達に病気はなくても、人間にはあるんだからね。成人病というか太ったら困るし。

『マリーは加護があるから、病気にはならないわよ』

ちょっとすねたような声のアリアがボス部屋に響く。

ごめん、て。

ダンジョンばかりで、顔を出せてない。

それに今回ダンジョンに入る前にはアリアの気を感じたから、人間一人はいるあたしを気にしてくれているのが分かっていた。だからこそ、謝るしかない。

「ここが終わったら、バーガーもって遊びに行く」

『それならいいのよ』

どうやら遊びに行くという言葉で、機嫌を直してもらった。まあ、美味しいものに釣られたのもあるのだろうけど。

ということは…、他の精霊にも伝わってるわよね?

『ええ、羨ましがってるわ』

テーレが断言したことで、がっくりと首を垂れた。帰ったらみんなに振舞うしかないね。肉は大量にあるし、チーズもそこそこある。足りなければボス部屋にまたくればいいし、――頑張りますか。


この後のことを考えながら、バーガーを2つも食べたらお腹が膨れた。

テーレもそこまで力を使っていないために3つでストップしたが、長とシャンスはまあ…食べたね。ボス戦で出た肉の塊はなくなり、チーズも半分はなくなった。

あたしとしてはチーズがあれば今回は当たりだと思っていたから、この後は気合を入れることにした。大きさも一回り大きくなるのだ。チーズも食べ応えがあるだろう。それに大量に取れるならば、栄養満点だし日持ちするし他の街に販売してもいい。精霊村セカンドに行った人たちに、お裾分けしてもこれらは喜ばれるだろう。この間の肥料たちもかなり喜ばれたからね。

それじゃあ、60階までは頑張りますか!


そしてあたしはチーズにホコホコ、長達はお肉にホコホコしながら60階層まで来た。正直、お肉は精霊村の人だけだと一生食べるに困らないぐらいの量になっている。

やり過ぎた。

無制限で時間停止が出来るマジックバッグで助かった。神様、様様だ。

さて、60階層は何が出てくるのか。


って、くさっ!!

ボス部屋を開けた途端に悪臭に襲撃された。匂いで死なないけど、死にそうなぐらいヤバいよ。この臭い。

完全に水の腐った臭い。どぶ川の端に立たされたような鼻が曲がりそうな臭い。

すぐに健康被害が起きそうだとばかりに、結界が臭いを跳ねのけたが、一体何が?!

『邪水妖』と出たヘドロの塊が襲ってくる。

これは浄化一択しかない。杖で一気にボス部屋を浄化すれば、すぐにヘドロの塊に変化が起きた。

泥のように溶けていった後に残ったのは、全身水色の手のひらサイズの可愛らしい妖精だった。


『酒妖精』…酒をこよなく愛する妖精。家のあちらこちらに忍び込み、酒を浴びるように飲む。満足して出て行くときにお代として、宝石を置いていくことで有名。


えーと…どうしろと?

『この子どうやら王城に忍び込んで、王様の秘蔵の酒を飲んだみたいね。そのせいで呪いをかけられて、こうなったみたい』

うん。

『マリー…この子、ここに置いてたら、また邪妖精になるわよ』

「契約するのはいいんだけど、酒妖精って。騒動が起きる予感しかないんだけど」

『契約すればそこまで酒を飲まないから大丈夫。マリーから魔力補うから。足りない分を補う為と嗜好が重なって、やらかしてるだけだから』

「テーレがそういうなら」

期待で目を輝かせている酒妖精に、名前を付ける。

(あお)

単純だと言われても、それしか思いつかなかった。だって、宝石をお代にするならね。

って、思ってたんだけど、サファイアになるってどういうこと?!

『このサファイアを持ち歩いてたら、酒妖精が呼び出せる、召喚アイテムね』

「召喚なんだ。それはいいけど、どういう時に呼ぶの?」

『祝いの席で酒を祝福させることで、幸福度が上がるわよ。あとは宝石の鉱山を見つけるのが得意とか、お酒造りが得意だから、材料を用意してあげれば、好みのお酒を造ってくれるわよ。1/3は酒妖精が飲むけど』

飲むんだ。自分が飲みたいから作ってもらう、って感じかな。なんともドワーフと気が合いそうな妖精だ。


一気に疲れた。

それに次から臭いは遮断して進むにしても、ドロッとした雰囲気のダンジョンって気が乗らない。

『この階からはドロップ品は、宝石か、酒だな』

長が鼻を鳴らして、そう予告した。


読んで頂きありがとうございました。

ダンジョン、難しい。


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