154.娯楽とカメラ
お腹いっぱい・・・。一休みするために、暫くみんなぼんやりしていた。食事中父さんと母さんはお酒が飲みたかったようで、チラチラとあたしを見たけど出さなかった。だって出したら最後、夕ご飯まであたしが作るはめになる。こんなに食べる人たちの食事作るのは勘弁して欲しい。まだ10歳。こういう時だけだが、強調したい。
ああ、日本のレトルトまでとは言わないけど、簡単混ぜるだけ、炒めるだけ、炊くだけ・・・。いいよね。マジックバッグもアイテムボックスもあるから、作っておけばいいじゃん。って思うでしょ?作ってるつもりなんだけどね。あっというまになくなってるんだよ。謎だよね。
焼き肉のたれを色々作ったと同じように、生姜焼きのタレ、甘酢タレまでは作れるし、混ぜるだけスープも作れる。現在難しいのはカレー粉と麻婆豆腐のような香辛料のタレか。ラー油は手作りが流行った時作ったことあるけど、豆板醤を買ったからできた。豆板醤もそら豆から作ることは知ってるけど・・・。やっぱり辛子?
一度この大陸全部回って見たいな。市場で探してみるのも面白そう。大きな街のお店だったら、調味料が色々あってもおかしくないし。
そうだね。グランやグレイトで偵察して貰って、安全確認が取れた場所に行けば、いい気がする。お金はあるのだ、お金は。何でも一から作らなくても、あるものを使えばいい。まあ、問題は子供一人で大量買いが出来るか、ってことだね。
「さあ、一度帰ろう」
父さんの一言で精霊村に帰った。
帰ったら帰ったで、まあ・・・そうなるよね。今度は家族で何を狩ってきたのかと、話を聞きに皆が集まってきた。要はあたし達の冒険は娯楽扱いだ。
どうせならばと、広場でシートを広げ早く食べて貰いたい奴たちを並べた。
「「おお――――――」」
「時間がある人はこれらを捌いて」
お留守番をしていた子たちがエディを囲む。そして今日のことを話してくれとせがんでいた。エディはすっかりみんなのお兄さんで、ヒーローだ。
大人たちが魚やらタコやら捌いている中で、子供たちはエディの武勇伝を聞く。みんなの、キラキラしたお目目が可愛い。
物語かぁ。
絵本、作ってもいいかもね。
文字の勉強にもなるし、娯楽にもなる。どうせなら数字のカードを作って、数字を覚えさせ、足し算引き算とかも遊びながら出来るようにするのもいいかも。そうと決まったら、明日にでも試しに作ってみよう。
紙は力業でしか作れないから、基本木簡で。劣化しないように保存してしまえば、少々手荒にしても大丈夫なものになる。
鬼を退治にしにいく話を魔物退治に置き換えて、お供は2精霊と契約獣でいいでしょ。後は努力をすることの大切さを説く奴とか?でも、この世界で昆虫ってみんな興味ないから知らない。下手すると魔物のアントの方が知ってそう。ピンと来るかな?働き者と怠け者代表が分かればわかりやすいけど、情報がなさ過ぎて難しい。下手すると図鑑の方が人気でそう。
精霊村にできるキノコ一覧とか。
あ、これダメなパターンだ。絵本も1つだけ作って後から考える。他の町で本が買えるなら買ってみてから考えてもいいし。後はありきたりなオセロだね。
って、また違う方向へ話が飛んだ。うん、追々で。
結局今日もなし崩しに宴会へ突入。ご飯作ってもらえるなら、ありがたい。
「あ、おいちゃん。それお肉のように燻製にしたらおつまみにいい感じだと思うよ」
天ぷらが食べて美味しかったと聞いて、早速揚げてもらおうとしていたおじさんに何げなく声を掛けた。
「それは、本当か!」
「うん、多分・・・」
出したタコ全部がなくなる勢いでぶつ切りにされていたが、皆の手が止まった。
「じゃあ・・・今日のところは魚にしとくか」
「魚も生で食べないで焼くのなら、一度塩に浸した後、干してみるのもいいかも。うま味が凝縮されるし、美味しさが違うから」
「えっ、じゃあ・・・この鋏のついたエビたち?」
「生でも天ぷらでも行けると思う」
それならばと、今日の食べ物はメインがエビとなった。天ぷらの気分になっていた皆は、天ぷらの一択で。
この世界の人たちの胃は、本当に丈夫すぎやしないだろうか。あたしの腕と同じぐらいのエビを何本も食べられるなんて、凄すぎる。
あたしはお昼の残りのタコ飯と、スープでいいかな。
うん。もぐもぐ。普通が一番。
次の日は朝から鬼ダコの燻製と干し魚を作るために、村の半分以上が動いている。雪が積もらないと言っても冬はそれなりに寒い。魔物も冬眠するし、畑も豆類以外は植えるものがなくなる。そうなると家でのんびりする時間が多くなるのだ。となると当然飲み食べに走る。美味しいものを食べるために、村全体が今働くのだ。
こういう時に子供たちが出来ることは限られている。ならば、大人しく遊んでもらうのが一番だ。
素早くテーレとソルに木でカードを作ってもらって、それに数字を書いた。1~10までを黒の墨で2枚ずつと赤のインクで2枚作れば合わせて40枚。まずまずの数だ。反応が良ければあと何セットか作る。
絵を描かないのかって?
皆を混乱に陥れる自信があるから、描かないよ。
さてと。
まずは数字が読める5歳~10歳前後の子5人に渡してみる。
「これをこうやって捲って出た数字と同じ数字を当てるの。当てたら、その子のカード。最終的に数字を当てて一番多くカードを持っていた子が勝ち。捲る順番はじゃんけんで決めようね」
それなりに面白かったようで、他の子たちもやりたがったのですぐに同じものを5セット作った。
数字が分からない小さな子には、★☆◆◇■□▲〇●◎で作った。
中々白熱した戦いが広げられたと言っていたのは、順番で子供たちを見てくれているおばさんだ。
そしてそのおばさんはどうやら絵が描けるらしく、それならと報酬をチョコレートにして「野菜シリーズ」「果物シリーズ」で神経衰弱が出来るように作ってもらうことにした。大人しく遊べるし、物知りになる。いい感じ!
これらが村の中でヒットを生み、色んなシリーズを作ることになるのは当然のことで。
それらが進化して図鑑シリーズを作成中。その中でも欲しいと言われたのが魔物図鑑。これらをイラストにするためには見ないといけないわけで。
カメラがあればと呟いたあたしは悪くない。
『カメラ?とは!』
ソル達に囲まれて質問という名の尋問を矢継ぎ早に受けて、第一号が出来た。
あったら嬉しいけど、嬉しいけどさ。外に出せる物なのかとか考えたのは一瞬で。
今更だったと開き直って作ってもらったから、明日からこっそりとシエロと激写の旅に出ることにした。
読んで頂きありがとうございました。
眠い…。
これから少し遅れるかも。




