110.マリー、意気がる子たちに、コッコの凄さを教えることにする。
グレンからの報告がグレイトに入っている。
聞いている限りは、旅は順調に進んでいるようだ。
夜営をしてカランキ村に少しだけ寄り、ボルテモンテの町を目指しているとのこと。
途中、カランキ村で衝撃を受けた後は、みんながどん欲に頑張っているとのこと。
その決意する時の様子を、グレイトが三人それぞれの声真似をするものだから、ちょっと可笑しくて笑った。
そして同時に安心もした。
あたしに出来て自分たちに出来ないはずはない、と暴走するならば、商隊の人たちに迷惑をかける前に、ひこちゃんに強制的に連れて帰ってもらわなければならなかったからだ。
正直、反省である。
自分が周りにどう思われているのか、気にしなさ過ぎた。
村の人たちと居るよりも、長や精霊達と一緒にいる為に、多分人間の常識が一番欠けているのはあたしだと思う。
村の人たちと居たとしても、子供たちよりも大人たちと一緒にいる方が多すぎて、コミュニケーション不足は否めない。
その為最近では、余り話をすることがなさ過ぎて、微妙に溝を感じていた。
特に15歳~18歳の人たちとのコミュニケーションは皆無だと思う。
今更公園で遊ぶ年齢ではないし、精霊とコミュニケーションをとるのにも、どうしていいのか戸惑っているうちに今に至る年代だ。
あたしとエディに近い子供たちは、精霊達と遊ぶことに戸惑いなどなく、遊び感覚で魔法を使って覚えていった。だから精霊と契約をしている子が、とても多い。
その為、成人したばかりの人たちが、コンプレックスに苛まれるという事態を引き起こしていた。
今回の3人はその掃き出しをさせる為の、第一弾になっている。
これが成功すれば、第二弾が予定されるのは間違いない。
それだけに、ちょっと力が入り過ぎていると思わないでもない。
だけど、それぐらいでいいと思う。
いつだって計画通りに行ったことなんてなかった。
行き当たりばったりで、強硬手段に出たことなんて何度もある。
でもそれは精霊達が、長やシエロたちが力を貸してくれたからだ。
警戒しすぎて、何もなかった。
これがベストである。
さて、この調子だと二日か三日後にはボルテモンテの町には着くだろう。グランがいうにはひこちゃんがいるのもあって、魔物は全く寄って来ないみたいだし。
冒険者希望の二人には、ちょっと物足りないものになるかもね。
さて、あたしも負けないように頑張ろう!
何をするかと言えば!
ひこちゃんとぴぃちゃんの間に、今5羽の子供がいる。その子供の子供が10羽。
騎獣になる予定のオスは、そのうち3羽。
その子たちに乗って狩りに行く人たちの見守りというか、コッコの通訳みたいなものだ。
ひこちゃんとぴぃちゃんの血筋だからか、あたしにはこの子たちの声が普通に聞こえるのだけど、残念なことに、他の人には聞こえない。
その為にコッコたちの言葉を人間が分かるようにするための訓練。
魔物が来たから戦う、逃げるために飛ぶ、走るなど意思疎通が出来なければ困ることがある為だ。
ちなみにコッコは、あたしの言葉だけでなく人間の言葉を理解している。
だからこちらからの指示は、的確に伝わる。
勿論脇を長とシャンスで固め、何があっても大丈夫な布陣で出動だ!
まずは慣れるところからということで、目の前の草原で騎乗するところから始めている。
相性もあるので、希望者10人が3羽のこの子だと思うコッコに乗り、村の周りを一周した。
その時にやっぱりというか予想できたことだったけれど、大人になったコッコたちがひよこの時から遊んでいた子たちの方がスムーズだった。
遊びの延長上とはいえ、一緒に寄り添うことが出来る子たちと、必要だからと乗り始めた子との差は歴然としていた。
やっぱりそうだよね。
自分に寄り添ってくれる子のほうが、コッコ達も一緒にいて楽しいに決まっている。
どうしたものか。
それでも皆身体能力は元々高いので、それなりには乗れている。
コッコ達がBランクの魔物ぐらいやっつけてしまうぐらいだから、問題があるとすればスタンピードぐらいだ。
それも長たちが居てくれるお陰で?(Aランクを食料だと狩ってくる)起こることもない。
だから普通にこの辺りを旅をするだけなら、問題はない。
問題はないのだけど・・・ね?
「マリー、どんな感じだ?」
「・・・父さん。まあ、予想通り?」
「だろうな。あの年は意気がりたい年頃だからなぁ」
あ、まぁ、わからないでもない。
多分、年下のあたしにさせられている、という感情が先に来ちゃうんだろうな。
正直、あれぐらいの子たちに絡まれれるのは、面倒くさい。
即死じゃなければどうにかなるんだから、好きにすればと言いたくなることも、多くある。
見かけ10歳の子供に何当たってるんだよと言いたいもん。
でも、それを言っちゃ、終わりだよね。
あ、振り落とされた。
どうやらあたしがボンヤリしている間に、コッコが激怒して降りろというのを降りなくて、ロデオ状態になっていたようだが、乗っていた子が力尽きたようだ。
「従魔の癖に、なにするんだ!お前は処分だ、処分!」
コッコの騎乗練習に参加するにあたり、あれだけ注意事項を父さんと相談役の一人が滾々と言い聞かせていたのに、忘れたのか。
頭痛い。
『ほお、小僧!死にたいのか?!誰かお前なんかの言う事を聞いてやるか。自分では何もできないくせに、人のせいにばかりするガキが、意気がるのもたいがいにしろ』
やっぱり、怒っちゃったか。
あれだけコッコの方が立場が上だと言い聞かせていたのに、馬鹿か。
ああ、もう面倒くせぇ。
コッコの凄さを分からせておいたほうがいい気がする。
見かけトットの大きい版みたいだけど、元々獰猛な魔物だということを。
「ねえ、父さん。このまま狩りに行っちゃった方が良くない?」
「・・・マリー」
「あたしもね、コッコをコケにされて黙っちゃいられないんだよね」
「だから、お前はなんでそんなところまで、母さんに似るんだ」
「イッシシシ」
「一応、皆と相談しよう。保護者と本人が希望すれば、森へ連れて行く」
「そう来なくっちゃ!コッコの凄さを知って、慄くがいい!」
「本当に、なんでリセそっくりになったんだか・・・」
そんなホセの嘆きは、緩やかに吹く風に流されて行った。
読んで頂き、ありがとうございました。
暫く入院でバタバタするために、更新遅くなります。




