※ ただ今準備中
「なぁ、知ってるか? あの噂」
「噂? とある伯爵家の坊ちゃんが幼女趣味だってことが判明して、公爵家の末のお姫様との縁談が破談になったってやつか?」
冒険者ギルドにほど近い酒場で、そのふたりは遅い朝食をとっていた。他に客はおらず、彼らの他の仲間も、既に各々の用事を済ませるために出掛けていた。
「ちげーよ。っつかなんだそれ? すげぇ興味があるんだけど」
「いや、かなりえぐい内容だぞ。こうして云う分には笑い話みたいだが」
「……なんか嫌な予感がするんだが」
「詳しいことは聞かない方が良いぞ。上っ面だけなら笑い話で済む話だからな。で、そっちの噂話ってなんだよ」
「ホルスロー大砂海、知ってるだろ?」
「知らないわけないだろ」
「ならホルスロー半島の入り口のロージアンの町は知ってるよな? 砂走船の港町だ」
「あのな、幾ら興味のないことに無頓着な俺でも、さすがにここらの有名な土地くらいは知ってるぞ」
「……この間、カーペンタ湖のことをカンペータ湖っていってただろ。あの後、パメラの奴がちゃんと湖の名前を云えなくなって嘆いてたぞ」
冒険者……ティモシーの言葉に、スティーブンは視線を逸らした。
「で、ロージアンがどうしたんだよ」
「その近くで祠が発見されたんだと。発見されたというか、いつのまにか建てられていたそうだ」
「ダンジョンか?」
「かもしれんな。まぁ、それはひとまず構わないんだ。問題は、その祠の近くで確認されたモンスターだ」
ティモシーが急に声を潜め、目の前で湯とさし指を振った。
「何が出たんだ?」
スティーヴンが釣られて声を潜める。
「宝石ガニ、って呼ばれてる。全身がルビー、もしくはガーネットでできたと思われるでかいカニのモンスターがいたらしい」
「うそだろ!?」
「マジだ。ほかに黄金のカニもいたって話だ。でだ。どうするよ?」
ティモシーがニヤニヤした笑みを浮かべている。
「……噂の信憑性は?」
「かなり高いぞ。確認がとれていないから、ギルドじゃ表に依頼をだしていないが、いくつかの貴族から依頼が来ているらしい」
「ってことは、公式としてはまだそのカニの所在は確認されていないんだな?」
「あぁ、公式にはな。いまなら早い者勝ちだ。ハサミひとつでも落として回収できれば、一生……とまではいかないまでも、冒険者を引退して店を開くくらいはできるだろ」
「出発はいつだ?」
「他の連中が戻って来てから決める。なんでも四腕熊くらいのサイズらしいからな、そのカニ。さすがに俺たちだけじゃ相手にできねぇよ」
そう云ってティモシーは不敵な笑みを浮かべた。
★ ☆ ★
ロージアンの町をでて3日、彼らはついに目的の祠を見つけた。
月明かりの下、流砂帯まであと少しという所に、その祠は建っていた。こじんまりとした石積みの祠で、このあたりでは珍しい瓦葺きの屋根の建築物だ。大きさはたいしたものではない。大人が数人も入れば一杯になってしまうだろう。
「あそこか?」
「みたいだな」
「こんな砂だらけのところに、カニなんていんの?」
「普通は川辺とか海にいる生き物だしな」
「あくまでも噂だからな」
ティモシーは答えた。
時刻は夜半。砂漠地帯とあっては、昼間の暑さの為にまともに活動などできないため、この時間帯に彼らは移動してきたのだ。
ひとまず祠にまで歩を進める。そこを拠点として、周囲を探索するつもりだ。
探索するつもりだった。
「なんだこりゃ?」
祠の前には立て看板が突き立っていた。かなり長い支柱を使っているのか、相当深くまで刺さっているようだ。砂地であるというのに、押してみてもビクともしない。
そこには、こんな文言が記されていた。
+--------------+
ただ今準備中
近日オープン
+--------------+
4人は祠の前に立っているそれを見て、目を瞬かせた。
「準備中ってなんだよ」
「知るかよ。さすがにこんなのは聞いてないぞ。多分、ここに建ってからさして時間が経ってないはずだ」
「前から思ってたけど、ティムってどっから情報を仕入れて来てんのよ」
「俺の役割は知ってんだろ」
「……斥候」
パメラはそう答えてから、はっとした。
「え? もしかしてそっちの人?」
「ギルドに入ってるだけだ。そっちの仕事はしなくても、上納金だけ払ってりゃ問題ないからな。おかげで情報収集は楽だぞ。……金は掛かるが」
「だからいつも金欠なのか」
「金欠じゃねぇよ。節約してるだけだ」
ティモシーが不満そうに云った。
「この祠、奥に階段があるぞ」
「階段? 祠じゃないのか? 5教のいずれかか、どこぞの土着宗教の」
「祠風の建物ってだけなんじゃない? ……奥の方が明るいわね」
「……行くぞ」
ティモシーが先行して階段を居り始めた。
「おいおいおい、カニを探すんじゃなかったのか?」
「こっちのほうが面白そうだろ。ここを確認してからでも、カニは探せる」
「それもそうね。日が昇ったら、ここで過ごせばよさそうだし。明かりはいる?」「いや、先が明るいからな。不要だ」
斥候であるティモシーを先頭に、そろりそろりと階段を降りていく。本当ならもっと潜んで進みたいところだが、隠れるような場所はない。おまけに、ひとつめの踊り場を過ぎたあたりからやたらと明るくなった。これでは忍ぶなど不可能だというものだ。
となれば、出来ることは気配や罠を探ることのみだ。
長い長い階段を降り、4つ目の踊り場を介してさらに降りていく。壁面に手摺があるのはまだ分かるが、中央にある金属製の敷居と手摺を兼ねたようなものの意味が不明だ。
やがて階段が終わり、通路となった。
クリーム色のやたらとつるつるとした壁の通路。天井には光るタイルが等間隔に並んでいる。
「ここ、かなり変わってるけど、確実にダンジョンだよな?」
「うん。でないと、天井の明かりの説明がつかない。でも魔力を全然感じないわよ」
魔法使いのパメラの言葉に、皆が足を止めた。
「マジか?」
「うん。訳が分かんない。調べてみたいけど、下手なことすると不味そうだし」
杖を握り締めながらパメラが答えた。
「後でもできるだろ。すぐ先が開けてるぞ」
一行は進み、そっとその開けた場所を覗いた。
そこは広く長い部屋。なんの装飾もなく、なにも置かれていないがらんとした部屋だ。
その部屋の奥に誰かがいた。
壁際に屈み込み、そこに取りつけられているのであろう灰色の扉を開け、なにかしら作業をしていた。その足元には細工師が使うような道具がたくさん散らばっている。
不意にその人物が冒険者たちの方を振り向いた。
隠れ場所がない上、この灯りの下では姿を隠すこともできない。
彼らに気が付き立ち上がったその人物は幼女……いや、少女というべきだろうか。
年の頃は10歳前後といったところだろう。亜麻色の髪を束ねた少女。オールインワンのオレンジ色をした奇妙な服を着ている。そこかしこにポケットのある服だ。
少女は扉をパタンと閉めると、テクテクと歩いてきた。
「ねぇ、立て看板は見なかったのかな? 立ってなかった?」
「いや、ちゃんと立っていたぞ」
ティモシーが答えた。
「んー? それじゃ読めなかった? ここら辺なら、西方共通語だけで大丈夫だと思ったんだけれど」
ラーテルン語とかでも併記しておいた方がよかったかな? などと少女がブツブツ云っているのが聞こえる。
「えっと、ちゃんと読めたけれど、ここがなんなのか知りたくて入ってみたのよ」
「あー、なるほど。ここは駅だよ。書いてあった通り、まだ開業していないけど」
「駅?」
「そう。旅馬車ってあるじゃない。町から町へ人を運ぶ馬車。それみたいなものだよ」
一行は顔を見合わせた。旅馬車というが、そのようなものはどこにも見えない。それに、この行き詰った部屋からどこへと向かえるというのか。
「その、ここからどこに向かうの?」
「えーっと、なんていうんだっけ。宿場町? ダンジョンに隣接した町だよ」
「町? 名前はなんていうの?」
「まだついていないよ。だから準備中って立て看板に書いといたんだし」
パメラは納得した。納得したが――
「ここはダンジョンじゃないの?」
「一応ここもダンジョンだけれど、通路の端っこみたいなものだよ。それじゃお姉さんたち、開業したらまたきてね」
そういって少女は先ほどの場所まで戻ると、ちらばっていた道具類を側の箱へと片付け始めた。
その様子をみながら、4人は相談をはじめた。
「どうする?」
「どうするもなにも……ここがダンジョンであることは確かみたいだな」
「うん。それは確実」
「ってことは、あの子供は魔物ってことか?」
シュテファンの言葉に、3人は後片付けをしている少女に目を向けた。少女は道具が足りないのか、キョロキョロとあたりを見回している。
どう見ても魔物には見えない。見えないが――
スティーブンが剣を抜いた。
「……殺すか?」
「ねぇ、いま、お姉ちゃんを殺すって云った? 云ったよねぇ? しっかりと聞こえたもん」
背後から子供の声が聞こえた。
慌てて振り向くと、階段の前にその子供、幼女は立っていた。
「ねぇねぇ、あなたたちは殺してもいい人間? 殺してもいい人間だよね? 殺してもいい人間なら殺してもいいんだよね? なんてったって、お姉ちゃんを殺すって云ってたもんね。殺すって云ったからには殺される覚悟もあるってことだもんね。だからあんたたちは殺してもいい人間なんだから殺してもいいんだよね! きゃははははははは!」
立っていたのは5歳くらいの幼女だ。やたらとフリルのついた赤いドレスを纏った赤毛の幼女。だがよく見ると、金属製のヴァンブレイスとレガースを身に着けている。そして、その右手は長い柄のなにかを引き摺っているようだ。
だがなにより目に引くのはその幼女の表情だった。
コクンと傾げた首に浮かぶ表情。その目は大きく見開き、嗤うことを止めたその口は三日月のように開いている。
狂気。
見て取れるのはそれ。
くるりと何らかの柄を逆手に持ち直す。
直後、一気にこちらに向け駆け出したかと思うと、ぐるんと前のめりに勢いよく倒れるように身を伏せ――跳んだ。いや、思い切り振った手の巨大なメイスに引っ張られるように、飛んできた。
パーティの中央に巨大な金属塊が飛んでくる。
慌てて4人が散開する。その中央にメイスが鈍い音を立てて叩きつけられた。叩きつけられ、その勢いで柄が向こうがへと振られる。それを掴んでいる幼女ごと。
すたっと着地した幼女はすかさず身体をぐるんと横に回転させる。当然、それに合わせてその巨大なメイスも、ぶぅん! と横殴りに振られた。
そして振られたメイスがまたも飛ぶ。そう、幼女の軽い体重では、いかな怪力でメイスを振ることはできても、その振った勢いに踏ん張り耐えることができずに振り回されてしまっているのだ。
そしてこともあろうに、その幼女はその状況を利用している。
パメラはどうにか飛んできたメイスは避けた。避けたが、一緒に飛んできた幼女の蹴りを躱すことはできなかった。
振り回されている状態で、体重もなにも乗っていない蹴りはたいした威力はない。だが回避途中に蹴りなど受けてしまえば、バランスを崩して転倒もする。
そしてそこを狙いすましたように、更に飛んでくるメイス。
パメラは顔を引き攣らせた。
「ぬぁっ!」
変な声をあげてスティーブンが手を伸ばしてパメラを引き寄せた。
直後に堅い音を立ててメイスがパメラのいた場所に叩きつけられた。
幼女の持つそのメイスは異様だった。そのサイズが2メートル近くもあることはもとより、そのヘッド部分の装飾が薄気味悪いのだ。
三角柱状のヘッド部分。それぞれの面には人面のレリーフが彫られていた。そのいずれも苦悶の表情。だが、どれも違う苦悶の表情を浮かべていた。叫ぶような顔、歯を食いしばる顔、いまにも泣き出しそうな顔の3面。
錆色をしたその巨大なメイスは、まるで塗り込んだ血が乾いて出来ているようだ。
「きゃはははははは! みんな上手く避けるねー」
幼女が嗤う。巨大なメイスを振るう。絶対にそんなものを振るえる力があるとは思えない幼女が巨大なメイスをぶん回す!
強烈な一撃を盾に受けて、シュテファンが弾き飛ばされた。弾き飛ばされ、壁に勢いよく叩きつけられた。
衝撃に全身が痺れるも、戦うには問題はない。問題はないが、手にしていた鉄盾は大きく歪んでしまっていた。
幼女の振り回すメイスの威力に、思わず青くなる。
「おいおいおい、なんなんだよこの子供は!」
「あんなクソでかいメイス、俺でも振り回せねぇぞ!」
「人間……じゃないな?」
幼女のケタケタとした嗤い声が止まった。
「どーだろー? あたしは人間と一緒だと思うんだけどなー」
幼女は答えると、ずるずると苦悶のメイスを引き摺り歩んで来る。
とにかく戦いにくい。普通なら相手が武器を振り下ろした直後の隙を狙うものだが、この幼女の場合はその武器に振り回されて自身も飛んでくるのだ。そして着地と同時に更に武器を振り、振り回される。
まともに反撃も出来ないまま、そんなことが数度繰り返される。
こうなったら人質を、と思い部屋の奥を見るが、さきほどの少女の姿はもうどこにもなかった。
ごぅん!
急に轟音が響き、片側壁が上に動き始めた。
その壁の向こう側が露わになる。そこは大きく円状にくりぬかれたようなトンネルだった。この長細いなにもない部屋は、そのトンネルの側面に合わせて作られていたのだ。
自分たちの立っている床より深く掘り下げられた円状のトンネル。
そこには、巨大なカニの化け物が一匹いた。綺麗な青色のカニだ。その体表は正に磨き上げられた宝石のように滑らかで輝いていた。
「宝石ガニ!?」
ティモシーが叫んだ。
直後、そのカニが跳び上がり、4人の側に降り立った。そして――
バチンッ!
そのカニ……カニ型騎乗機械カラッパ3号機が自機を中心に電撃を撒き散らした。95万ボルトの広域スタン攻撃である。
冒険者たち4人は全てその範囲内に入っていた。
それで戦闘は終わった。電撃で麻痺状態となった冒険者たちはその場に倒れた。
ティモシーとパメラは気絶。意識を保っているスティーブンとシュテファンも行動不能に陥っていた。
このまま、自分たちは頭を潰されて終わる。そう、ふたりは考え覚悟した。
だが――
「やっ子ー、帰るよー」
カニから声が聞こえた。
「お姉ちゃん、あたしまで巻き込もうとしないでよ!」
「あんたなら当たらないでしょ。当たってもたいしたダメージじゃないし問題ない問題ない」
「でも当たったら痛い!」
「大丈夫。私は痛くない」
「酷い!」
幼女は手にしていた巨大なメイスを何処かへと消すと、宝石ガニの背に飛び乗った。そして楽しそうにパタパタと倒れている冒険者たちに手を振る。その顔は先ほどのような狂気に塗れたものではなく、年相応の無邪気な表情となっていた。
「お兄さんたち―。誰かを殺そうとするなら、その相手はよく選ぶことだよー。そうじゃないと、すぐに死んじゃうよー!」
幼女の右目が一瞬光る。
「あたしみたいに遊ぶだけなんて稀なんだからねー! だからそれは授業料だよー! それじゃーねー!」
宝石ガニの上から幼女は再度軽く手を振る。そして宝石ガニはその幼女を乗せたままトンネルの奥へと消えていった。
直後、音を立ててゆっくりと壁が降りてきて、トンネルを完全に塞いでしまった。
ややあって、やっと身体が動くようになった。
既に幼女と宝石ガニの姿はない。あの少女の姿も消えている。それよりもなによりも、トンネルへと繋がっていた場所は壁で隔てられていた。
スティーブンは身を起こすと、右手を握ったり開いたりしていた。まだまともに力が入らない。
「見逃された?」
「いや、あの感じだと、遊ばれただけだな」
シュテファンの答えに、思い切りため息をついた。
「あれは……魔物だったのか?」
「わからん。だがあれは子供じゃないな」
「俺もそう思う。子供のようななにかだ。……人型で怪力の魔物ってなんだ?」
スティーブンとシュテファンは顔を見合わせた。
「人狼」
「人虎」
「人熊」
「人獅子」
「……いや、ライカンスロープの類は、変身しなけりゃ人よりちょっと強いだけだろ。となると……吸血鬼か?」
「鬼……にしちゃ、角がなかったな」
「角無し鬼なら、オーガ、いや女だからオグレスか」
いろいろと知っている魔物を云いあうが、答えは出ない。
そしてシュテファンがそれに気が付いた。
「スティーブン、その剣、どうしたんだ?」
「剣?」
シュテファンに云われ、スティーブンは自分の剣をみた。先だって買い替えたばかりの剣だ。
その剣を見るがどこもおかしなところは――あった。
柄にほど近い刀身の真ん中に穴が空いていた。その大きさは小指の先ほども無いが、確かに穴が空いていた。当然ながら、もともとそんなところに穴などは空いてはいなかった。
スティーブンは顔を引き攣らせた。
「ものの見事に穴が空いてるな」
「いつやられた? いや、なにをやられた?」
「知らん。だがあの子供がやったんだろう? 授業料と云っていたし。お前が殺すとかいうから」
スティーブンは頭を抱えた。
穴の空いた刀身。常識的に考えれば、剣としての強度が落ちるはずだ。だが、この程度なら大丈夫なんじゃないかとも思える。しかし――
「町にもどったらおやっさんに見てもらえ」
「嘘だろ!? 買ったばかりでこの有様とか、殴られちまうよ!」
「だったら、どうしてこうなったか事情を話すんだな」
シュテファンの言葉にスティーブンは青くなった。
なにしろ彼が懇意にしている鍛冶屋の親父は、子供好きで有名なのだ。
かくして彼は、懐だけでなく、信用まで無くしかねない状況に陥ったのである。
余談ではあるが、彼らの報告から件の伯爵令息が興味を持ち、祠の調査依頼を出した。その依頼内容には幼女の保護も含まれていたとのことだ。
※帰り道でのよっ子とやっ子の会話
「やっ子ー。目を使った感じはどうだった?」
「ドールの時と変わらないよー。でも使った直後は視力が喪失するー」
「焼きつけかな? どのくらい」
「5秒くらい真っ暗になるから違うと思うよー」
「うーん。生体になった結果の欠陥かなー」
「威力は変わらないかなー。剣に穴を空けられたし」
「お母さんに報告はしておこう。もしかしたら除装することになるかな?」
「滅多に使わないし、いいんじゃないかなー。目からビームはロマンだけど」
「ロマンねぇ。そういえば、お母さんがレーザーブレードを創ってたなー」
「え? でもレーザーって延々と伸びるから、剣にならないんじゃ?」
「なんかうまくやってたよ。でも産廃だって」
「なんで?」
「物理的受けができないから、それならレーザー砲でいいって」
「あー。確かにそうだねー。この視力喪失現象が直らないかなー」
「なんとかお母さんと研究してみるよ」
「ふふふ。ロマンは正義」




