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目が覚めたら目の前にドラゴンがいたのでとりあえず殴りました。  作者: 和田好弘
第4章:侵略を受けていますが概ね平和です
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01 経験値稼ぎに貢献してもらうとしよう

第4章(第4話)の投稿を開始します。

本日より毎日0時更新となります。

7話+閑話1話の予定です。


 ついに肉眼でこの世界の空を見たよ。


 そして砂漠と聞いていたけれど、想像していたほど暑くはない。


 いや、暑いことは暑いけれど、日本の暑さとは質が違うよ。こっちの暑さは“熱い”と書いても間違いがないんじゃないかって感じだ。


 カラッカラで、蒸し蒸しした暑さじゃないから、上からなにか羽織っていれば十分に我慢できる暑さだよ。長いこと地肌をだしてるときっと火傷すると思うけど。

 アラビアの方の服装と云うと、白い服っていうイメージがステレオタイプだけれど、あれも暑さ避けなのかな? 色付きの服だと熱を吸収するだろうからね。


 そんなわけで、私はそのステレオタイプなアラビアンな恰好をしているわけだ。男性の衣装になるのかな? 確かイスラム系の女性って、未婚女性は顔を見せちゃダメとかいうのがあったと思うし。……あれ? イスラムの女性っていうと、黒い衣装ってイメージがあるぞ? まぁ、いいや。黒だと暑さで死にそうだし。


 さて。いま私が立っているところはダンジョンの出入り口。隣にはメイドちゃんとダンジョンコア(端末)、そして肩にクアッドスライムがいる。


 あたりは岩でゴツゴツとしていて、ところどころに枯れたような灌木が生えている。あれ、枯れているようにみえるだけだね。


「ここを緑化とかしたら、気候変動とか起こったりするのかな?」


《この周囲を緑化することに成功したところで、気候に影響を与えるほどではありません》


 まぁ、だよねぇ。でもやるとしたら、北部の森のほうからだよねぇ。いきなり無理矢理砂漠のど真ん中を緑化しても、すぐに砂に飲まれちゃうよね。やろうとは思わないけど。


 さてと、それじゃ整地をして、町を作る範囲を壁で囲うとしよう。


 この周囲を含め、上空成層圏までダンジョンの範囲となっている。だから、ダンジョン・コアを通して確認すれば、俯瞰視点で周囲を見渡すことができる。


 まずこれで整地する範囲を決めて、あとは高さを自分の目で見て実行すれば――


 音もなく凸凹としていた岩々は消え、目の前に綺麗に整地された平地ができあがった。


 一辺が4×4キロメートルの正方形の形だ。だだっ広く感じるも知れないが、ここに馬鹿げた規模の塔を建てることを考えると、このくらいは必要なのだ。


 塔を建てる。これを考えるうえで一番考えないといけないのは、塔に隣接して作る町の日照権だ!


 そう、私が力強く云ったところ、メイドちゃんから生暖かい目で見られたよ。


 いや、大事なことだよ、と力説したんだけれど、ここの気候を考えると、一番暑い時間が日陰になることは、かえって歓迎されるだろうといわれたよ。


 まぁ……そうだね。この日差しと暑さ(熱さ)だと、肌を晒して外を歩こうものなら、たちまち火傷しちゃいそうだしね。


 でも健康にはお日様に当たらないといけないよ? 確か、ビタミンDを生成するには、お日様にあたらないといけないんじゃなかったっけ? 必要量を経口摂取するには難しいビタミンらしいし。


 骨粗鬆症とかにはなりたくないしねぇ。ビタミンD、骨の生成に必須なビタミンらしいから。


「丸一日日陰になるわけでもありませんから、問題ありません。洗濯物もここの気候であれば、日陰であっても十分に乾きます」


 まぁ、暑いし、乾燥しているし、すぐに乾きそうよね。


 それじゃ、壁を作りましょ。えーっと、町を作るまでは出入り口は造らなくていいよね。壁の高さは……ちょっとした城塞レベルにしちゃおうかな。10メートルくらいで。


 上を人が通れるようにしておこう。そうだ、城壁内部も移動できるようにしてしまおうか。よし、かなり分厚く高い壁にしたろ。となると、出入り口と壁に登るための場所も必要になるな。


 壁の内容はこれでよし。次は壁の形状だ。ただの四角形というのもあれだしねぇ。護りに堅い星型というのもいいけれど、星のトゲトゲ部分がデッドスペースになりそうなんだよねぇ。……花壇にでもする?


 つか、ちゃんと外壁のことを考えてから整地すればよかったよ。これ、あとでまたやり直さないと。行き当たりばったりでやるもんじゃないな。出入り口も移動しないといけないし。DPの無駄遣いだよ。


 暫し悩んだ末、結局円形の外壁にすることに。それに合わせて整地をし直して、外壁を一気に作成。外壁の幅は5メートルもある分厚いもの。とはいっても、内部を移動できるようにしてあるから、壁の厚さは1メートルだ。


 街壁の上に上がる階段、兼衛兵の詰め所とする塔は等間隔に12ヵ所に建てた。……多いかな? いや、塔と塔の間は1キロ以上離れるし、問題ないだろう。


 使った石材は石灰岩。ピラミッドに使われている石と一緒だ。表面は漆喰でしっかりと固めて見た目上を整えてある。

 なんとなく石灰岩というと脆そうな気がするけど、ピラミッドがあれだけ長い間残っているんだから、問題ないだろう。そもそも外壁もダンジョン化するから、壊れる心配をするまでもない。


 よし。完成。外敵に対しては、自重せずに近代兵器を壁の上から撃ちまくればいいや。ちょっと頑張れば近未来兵器だってつくれるしね。


 ……いや、私はなんと戦うつもりなんだ。こんな場所で攻城戦じみたことをやることなんてないよ。そもそもそんな軍団が砂漠……砂海を渡ってこれないよ。砂蟲に襲われて終わるって。


 それにこの見渡す範囲、ほぼすべてうちのダンジョンの範囲だし。


 やろうと思えば流砂とかアリ地獄的なものも作れるし。難攻不落どころじゃない場所だからね、ここ。


 町を作ったら、なんとか貿易路とかも整備しないとねぇ。というか、砂漠を渡る手段をなんとかしたいな。


 ファンタジーとかSFだと砂上を走る船とかあるけど。潜砂艦なんてものも登場した漫画もあったよね。そういや、動甲冑も同じ漫画が元ネタだっけ。


 さて、これで下準備はできたかな。あっと、ダンジョンの入り口を移動しないと。


 先に塔を建てる場所を決めてから整地するべきだったよ。


 町を日陰にするから、整地した範囲の南寄りにダンジョンの出入り口を移動。これくらならすぐに修正できる。


 ついでだから塔の土台というか、1階部分も作ってしまおう。直径500メートルくらいでいいかな? もっと大きくしようか。


「メイドちゃんや」

「なんでしょう、マスター」

「ダンジョンの側に町があって、きちんと管理されている場合って、ダンジョンに入る冒険者って日に何人くらいなのかな?」


 これによって、塔の大きさを考えなくてはならない。


「そうですね……どんなに大きな町であるとしても、5桁に届くことはありません。いいところ、2~3千人というところでしょう。もちろん、盛況な場所での話ですが」

「多いと見るべきか、少ないと見るべきか微妙ね。まぁ、1万人を最大として考えて作ればいいか。じゃ、予定通り直径500メートルくらいで塔を建てよう。全52階建てを予定しているから。もうちょっと広い方がいいかな?」


 先細りの塔にする予定だからね。高さは300メートルくらい?


 天辺は直径400メートルくらいになるようにすればいいかな。


 ま、いいや。とりあえず1階部分を作ってしまおう。


 間取りを決めて、ポチっとな。


 ダンジョンマスターのレベルも上がってるからね。このサイズでも一発で作れるようになったよ。


 よし。いい感じにできたよ。1階部分だけだから、ちょっと寂しいけれど。うん。これから毎日1階層ずつ積み上げていこう。


 この1階部分はダンジョンではなく、探索者支援施設を各種いれるつもりだ。


 探索者支援組合事務所とか特殊なアイテム屋とか。あとガチャ部屋なんてものも作ろうと思っているよ。


 それじゃ、お家に戻ろう。


 おっと、その前にこのあたりにある廉価コアを回収しておかないと。


 コアに案内されて、北北東方面へと歩いていく。数分ほど進むと、石を積み上げて造られた豆腐建築が見えてきた。一応、装飾らしきものはある。


「なんか、祠みたいになってるけど」


《ここは私の領域になっていますので、この廉価ダンジョン・コアは異物扱いとなっています。ですが、どういう目的でここに置かれたのかは分かっていますので、こうして保護しています》


「取り込めなかったの?」


《許可を得られませんでしたので》


 ……。


 放置プレイ過ぎじゃないかな、前マスターは。


 それじゃ、廉価コアを……この祠ごと取り込んでしまおう。ダンジョンの方のストレージにはいるから、あとはダンジョン・コアがなんとかするだろう。


 さぁ、帰るとしよう。



 ★ ☆ ★



 当ダンジョンは絶賛侵略者に侵され中である。今のところはスライムさんたちに対処として、防衛に徹してもらっている状態だ。


 こっちで始末すれば、DPになるからね。


 尚、侵略行為を行って来ているダンジョンは3つ。いや、ひとつはこっちがダンジョンと分かった時点で穴を塞いで撤退しているから、実質ふたつ。多分、領域を広げてたらウチとぶつかって慌てて逃げたんだろうな。とはいえ、それは予想、予測でしかないのだから、警戒はしておく。


 他のふたつのうちのひとつは繋げたまま沈黙し続けている。一度モンスターを送り込んできたらしいけれど、すぐに撤退したそうだ。多分、なんらかの手段で情報収集でもしているんじゃなかろうか。恐らく、そのうちまた侵攻を開始するだろう。


 そして残りのひとつ。こいつはいまもモンスターを送り込んできている。侵略開始直後からずっと大牙砂蟻に撃退されつづけているというのに、懲りずに送り込んできている。

 それも、なにかしら対策をするという様子もなく、ただ愚直に。


 なにをやりたいんだろ?


 アリを駆除してしまったから、好き勝手にうろつかれないようにスライムさんたちに処分して貰っている現状だ。


 スライムさんたちはというと、いかにして上手く殺れるかと、罠を張ったり奇襲したりと、いろいろと狩る方法を試しているようだ。


 ……我ながら、とんでもないものを創ってしまったんじゃなかろうか。クアッドスライムが指揮をしているわけだけれど、かなりえげつないよ。スライムってもっと、動きが遅いものじゃなかったっけ? 狭い廊下でスーパーボールを壁に叩きつけたみたいに、凄い速度で跳ねまわってるんだけれど。


 6体のスライムによってたかってバシバシと体当たりを受け、力尽きていく敵性モンスターの姿が酷いことに……。


 肉たたきで叩き過ぎたブロック肉みたいになってるんだけれど。


 モニターに映しだされているモンスターの映像は、どう控えめに云ってもグロ画像だ。見る人によっては、しばらくお肉が食べられなくなるんじゃないかな? 私は平気だけれど。


 こうしてモニターに映像が出せるようになったのは、ダンジョン全体を完全に管理支配下に置けた結果、本来のダンジョンの機能を過不足なく使えるようになったからだ。


 だからダンジョンのどこの映像でも、ポン、とだせるようになっている。


 大型モニターに映し出してくれているから、凄くありがたい。


 いや、最初にお願いしたら脳内映像になって、一瞬、目が回ったからね。


 でさ、攻めてきているやつが気持ち悪いんだよ。


 頭の無い人間。


 代わりに胴体部分に顔がある。それだけでも気持ち悪いのに、その顔がさ、なんていうの? お耽美系少女漫画に登場するキャラみたいな顔なんだよ。


 長いまつ毛に切れ長の目。スッと通った綺麗な鼻筋。でもって艶っぽい唇。それが乳首、鳩尾、臍のあたりについているんだよ。


 下半身? なにも履いていないから丸見えだよ。


 男性個体ばっかりで、女性個体はいないみたいだ。せめて顔がもうちょっとこう、ホラーチックというか、気味が悪ければあれだったんだけれど。


 ……なんで少女漫画風なんだよ。しかも無駄に声がいいんだよ。なんで悲鳴がミュージカルっぽいんだよ。


 あまりに生理的に受け付けなくて、夢にまで見てうなされたんだけれど。


 くそぅ、どうしてくれよう。


 ん? 侵略を受けているのに随分と呑気だって?


 いや、対策は立てているよ。


 沈黙している方には、ステルススライムに偵察に行ってもらっている。


 で、現在、継続してモンスター……アケバロイっていうらしいけれど、これを送り込んできている方は半ば放置。一応、こっちにも偵察は送り込んである。


 今のところはスライムの経験値稼ぎと、私の練習台にしている。


 ダンジョン内の罠の設置の練習ね。上手い具合に、全自動屠殺場をつくれないかなと試行錯誤している。


 即死系の罠はちょっと手に余りそうだからね。いかにして微妙な罠で確実に死に至らしめるか、なんていうことを考えてやっているよ。


 さて、しばらくはこっちの経験値稼ぎに貢献してもらうとしよう。


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