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07 モンスターを作ろう!


 モンスターを作ろう!


 ダンジョンに付きものといったら、お宝、罠、そしてモンスターだろう。後は無様に散っていく冒険者?


 その辺りはさておいて、モンスターの作成だ。


 一応、ダンジョン・コアに予め登録されているモンスターというのもある。


 ……そういや、これ、なんで登録されてるんだ?


《リンクしている子ダンジョン・コアより取得した情報です》


 子ダンジョン・コア?


 確認したところ、例の祖竜は完全な不死化をするために、何度か実験を行ったのだそうな。


 “卵返り”の要領で、子供を作ったらしい。なんというか、不死化の実験の一環で。……ドラゴンって、単為生殖できるんだ。


 そうやって作り出された竜が6体。この竜は祖竜に命じられて、人間他もろもろの文明を築いている種族の行動をコントロールしているらしい。


 要は、研究の邪魔をさせないように見張っとけ、ということだ。


 なんでも今は、この世界の宗教を牛耳っているとかなんとか。


 で、この竜たちを解き放つ際に、ダンジョン・コアのレプリカ、子ダンジョン・コアを渡したのだそうな。その子ダンジョン・コアで作られたモンスターの情報などを、オリジナルであるダンジョン・コアは取得しているそうだ。


 尚、その子ダンジョン・コアがさらに廉価版のダンジョン・コアを生み出して結構な数を世界にバラまいているらしい。


「バラ撒くって、なんでそんなことになったの?」


《竜の内の一体が、このダンジョンに向かう輩を減らすには、ダンジョンを増やせばいいと考えた結果です》


 ……あー。確かに。


《その竜は人間等をコントロールすることはせず、拠点も持たず、現状も一体で世界を放浪しているようです》


「もってるダンジョン・コアが宝の持ち腐れ状態なんじゃない?」


《廉価ダンジョン・コアを作っているので、多少は役立っているかと》


「ところでさ、親分である祖竜はもう死んじゃってたわけだけれど、その6体の竜って、そのことを知ってるの?」


《さぁ。ですが、ここを出てより5千年経ちますが、一度も戻ってきていませんから、気にしていないのでしょう》


 ……これはあの祖竜を哀れむべきなのだろうか。まぁ、どうでもいいんだけれど。


 さて、話を戻してモンスターだ。


 モンスターは大雑把にふたつに分けられる。


 肉体があるかないかだ。


 ほら、RPGだとモンスターを討伐すると、アイテムを残して消えちゃうじゃない。


 そういうタイプと死骸が残るタイプ、と考えてもらうと分かりやすいと思う。一応、例外っぽいものもあるけど。いわゆる幽霊みたいなモンスターとかね。幽霊型は今回作る気はないから、ひとまず除外しておくよ。


 で、消えるタイプ。


 こいつらは行動原理だけを決めたAIみたいなものに、ロマン溢れる魔素で疑似的な肉体を造って包んだ代物だ。だから一定以上のダメージを与えると、構成してた魔素が雲散霧消してしまう。


 設定によって、ドロップするアイテムを持たせておくことも可能。


 まぁ、こんな感じだ。


 利点としては、こいつらは生物ではないから、ダンジョン内が不衛生になることはないということだ。魔素を吸収して活動しているものだから、なにかを食べて出すなんてことがないからね。

 そしてもうひとつ。お手軽。作成に要するDPがリーズナブルだ。数の暴力用かな?


 次に、肉体のあるタイプ。


 こいつらは完全に生物だ。とはいえ、中核となる部分は魔素型と一緒だ。ただ、肉体があるだけに、魔素型にくらべると非常にしぶとい。そして経験を積めば積むほど強くなっていくのが利点だ。


 欠点……というか、完全に生物個体となるわけだから、生命活動を行う。要は食べて出す訳だ。また装備品やらなんやらがそのままドロップ品となるから、ダンジョン攻略側からしてみれば、非常に美味しいモンスターとなる。


 作成に要するDPは魔素型に比べると高い。ゴブリンで魔素型と受肉型の生産DPを比べると、倍ぐらい違うからね。


 ちなみに、魔素型はダンジョンから出られない。出ると消滅する。受肉型は出ることができる。……それらが野生化して生態系を作ってたりもするらしい。実にはた迷惑な。


 さて、モンスターの作成だ。


 魔素型はもう、メニューからポチってやって、数を設定して作ればいいやって思ってるから、今回は放置。練習にならないからね。


 なので、練習でつくるのは受肉型。いや、こっちもメニューからぽちるだけでできるんだけれど、それはやらずにカスタマイズをする。


 カスタマイズと云うか、モンスターのデザインからなにから作る感じだ。


 はっきりいおう。(デザイナー)のセンスが問われる。


 センスが問われるのだ!


 だからスライムをつくるよ。


 ……そんな目で見ないでくれ。初めてなんだから、簡単なものから作るのは基本じゃないのさ。それにスライムは魔法生物だから、餌がいらないんだよ!


「スライムですか。なかなか奥の深いモンスターを選びましたね。どのタイプを基準に創りますか?」


 メイドちゃんが私の隣にきて、開いているメニュー画面を覗いている。


 ……うん。スライム。基本だけで数種類あるんだよね。


 単細胞型、多細胞型、群体型といった具合に。形状も信玄餅、涙滴、デロデロ、立方体といろいろある。


 あとは、毒もちとかかな?


 私が選ぶのは信玄餅。色は透明。単細胞型。毒はなし。普通に取り込んで消化というスタンダードなスライムでいこう。要はでっかいアメーバだ。


 でもこれだけだと、既に用意されている。なので、ここからカスタマイズだ。


 先ず、知性をUPする。私との意思疎通が出来るように、会話……って、発声器官がないか。テレパシー的な能力を付与。このスライムには、指揮官役になってもらうからね。配下はもちろんスライムだけれど。要はスライム軍の親分だ。


 それと、あっさりと倒されたりしないように、というか、条件付きの不死身にしてやろう。


 スライムの中核、コアは基本単体だ。いや、普通にどのモンスターも単体だ。こいつを4つにする。そう、クアッドコアにするのだ。例えコアのひとつを破壊されても、即時他のコアが修復、もしくは再生するようにしておく。これでコア4つをほぼ同時に破壊しない限り、死ぬことはない。


 ついで分裂能力。各コアごとに4体に分裂可能。


 ふふふ。3-1で2体に分裂させて、コア1個体を私と常に一緒にしておけば、死ぬことはないのだ。しかも、死ぬような目に遭っても、それによって得た経験で強化されていく。


 最弱個体を最強個体にするのはやはりロマンだよね。


 これに加えて、いくつか能力を追加して――と。


 さてさて、これでどのくらいのDPを消費するかな?


 カスタマイズ画面の右下に示されているコストを見る。


 必要DP:202,520


 高っ! 普通のスライムはいいとこ5なんだけれど!?


 む……あぁ、知性UPが馬鹿高いのか。そら単細胞生物を人並にしたんだから、コストもかかるわな。しかもそれを×4したんだもの。仕方ないね。……あれ? ということは、このスライム、4重人格? それはちょっと困るな。そこはダンジョン・コアに調整してもらおう。大丈夫? 大丈夫。うん。良かった。お願いね。


「ま、マスター、これを創るのですか?」

「え、創るよ」

「あの、創造コストが……」

「初期投資と考えれば安いと思うよ」

「現在のリソースはどの程度あるのでしょうか?」


 メイドちゃんに問われ、私は所持DPを見せた。相変わらず桁が多過ぎてまともに読めない。10の何乗とか云わないとダメかな、これ。


 あ、なんだかメイドちゃんが頭を抱えた。


 そりゃ理解不能だよね。この桁数。でもこれでも、億単位で消費したんだよ。拠点作成と発電所作成で。


「マスター……」

「なに? メイドちゃん」

「このリソース量ならば、祖竜を創造することも可能なのですが」

「ドラゴンはいいかな。とりあえずは」

「わかりました。ですが、防衛できる程度の戦力は整えましょう」


 ん? 防衛?


 そいうえば、ダンジョン・コアが喫緊の危険はないってたけれど、逆に云えば危険がゆっくりと迫ってるってこと?


 怖くなってきたな。うん。戦力は整えよう。まずはスライム軍だ。この親分をつくって、配下を……ひとまず3万もつくればいいだろう。


 あれ? なんでまた頭を抱えてるの?


「さ、3万ですか?」

「うん」

「スライムばかりを?」

「そだよ。数の暴力は基本でしょ?」


 なにか間違ってる?


 私はそう思い、首を傾げるのだった。


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