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準名誉子爵、砦を案内する


「お待たせして申し訳ございません!朝方まで徹夜しておりまして寝坊しました…公爵自ら来るとは露知らず…ただいまより部屋にお通しして紅茶の準備を致します。」


私は全力で駆け寄り土下座した。待たせてしまったのは私なので謝ったのだ。



「お、おう…気にするな。お主の頑張りを見させてもらうとしよう。どれ、案内してくれるか?」


公爵はドン引きしていたが、話題を変え私を立ち上がらせると服の埃を払ってくれた。見た目に似合わず紳士的!



「ではこちらへどうぞ」


私は視察団を案内した。



「「「おぉー!」」」


皆日本式の建築物に驚きの声を上げている。


あれ、もしかしていけるっぽい?


「これは…どうなんでしょう?王国建築法に抵触するのでは?」


一人の貴族が心配していた事柄に触れる。やっぱりそうなるよね…?助けて公爵様!


「いや、かまわん。そんな古臭い中身の伴っていない法律など知らん。儂が許可する!」


と、公爵が男らしく仁王立ちし宣言した。


「確かにこれは、今までに見たことない建築方法ですね。センティス卿、この建築方法はどこで?」


一人の眼鏡を掛けた神経質そうな男が私に語りかけてくる。


大丈夫、言い訳は考えてきた。



「ええ、実は私の趣味が読書でございまして、過去の文献を読み漁りたまたま知っていたものです。ですが、本来の建築方法ではなく私の魔力を使った土魔法で、作ったものですが記憶の中のものと一致する様に苦戦しました。」


必殺【本で読んだことがある】である。これで大抵の事は乗り切れる!(体験談)


「ほほう、どちらの著作者でしょうか。私も是非読んでみたいものですね」


「申し訳ありません。何分多くの書物を読みすぎて何処に片付けたのか記憶にありません。」


「そうですか、残念です」



オホホホと笑い誤魔化す。だが、探せば何処かにそんな本はあるだろう。


ゲームでも南東の方に日本風の島国としてヤマトという国に修学旅行へ行ったというシナリオがあった。


何故かその島国の人達は甲冑や忍服だったので城くらいあるだろう。



「ふむ、これを土魔法だけで…何と立派な事か。趣があり、堅牢そうな建物だ。センティス卿、中を見せてくれないか?」


「畏まりました、どうぞこちらへ」


それから言われた通り、一通り中を案内してから個室に全員を入れ座らせた。


ジェシカが紅茶と茶菓子を用意してあり皆舌鼓を打っていた。


流石ジェシカ、出来るメイドは違う。



私と目が合うとどや顔されたのでウインクを返しておいた。


それから図面を取り出し今回ってきた場所を改めて説明する。天守は伯爵以上、もしくは司令官、軍師のみが立ち入り可能とし、機密情報を守る事にした。


熱心に羽ペンと羊皮紙で書き写している者が数人。


だが一人だけ顔付きが違っていた。


部下に教えるため、全員真剣に書き写しているのにそいつだけはニヤニヤしているのである。


これは…もしかして?


私は一度解散をさせ公爵に呼び出された。


「リリアナ嬢よ、よくもこれだけの物を一晩で作り上げてくれたものだ。リリアナ嬢を責任者に据えて良かったと思っている。」


「いえ、この程度の事私にとっては造作もございません。公爵様、一つだけお話があるのだが」


「言ってみなさい」


「一人だけ怪しい動きをしている者が居ました。案内の道中もしつこく私に語りかけて来て不信感が募り相談しました。そこの席に座ってた者です。内通者の可能性があるので捕まえますか?」


「何?モーゼット卿が?…いや、それは儂に任せてもらおう。だが、地図を書き写されたのは不味いな」


公爵が顔を強張らせる。軍事機密だからね。


「それは構いません。魔法で作ったので魔法で部屋の配置を替えることは可能です。如何しますか?」


「ふむ、そうだな。ならば…」


私と公爵は二人で密談をし、指針を決めた。ちょっとした悪企みである。


上手く行けばいいなぁ程度の策の一つなのでそのまま放置した。


午後、公爵が帰ってから幾つか意見を貰った私はそれの対応を始めた。


まずは物見台…というより塔を建設した。


東西南北、南東、北東、南西、北西の八つだ。


監視と矢での狙撃、地下には牢屋を設け各所をトンネルで行き来出来るよう繋いだ。


これで捕虜の移動も楽々である。


またトンネルをアルデン側に一キロ伸ばし緊急時の避難経路も忘れずに作っていく。


メジャーなんて便利な物は無いから背が高い兵士(約二メートル)を寝かせ、彼一人分で1マーカスという単位まで作った。


マーカスは彼の名前で敬意を表して単位の名称にしてあげた。


もちろん協力のお礼にお金と酒を渡すと凄く喜んでいた。


追加で馬小屋も兵士達に指示しながら作った。


基礎を土魔法を使い石造りで建て兵士達には藁や水桶などを各部屋に配らせる。



五階建てでスロープで登り降り出来る様になっている。


万単位の人が詰めるのだ。


全員が馬に乗る訳ではないが、馬小屋もそれなりの規模が必要である。


「さて…次は鍛冶小屋かな」


戦場でもっとも必要な物と言えばやはり武具だろう。


折れた剣や槍などを即座に直すことが出来れば兵士達も戦いやすいだろう。


更に鏃を自前で用意出来るのと出来ないのでは雲泥の差だ、これは作っておいて損はないだろう。


本丸と少し離れた場所に竈、ふいご、金床などを用意して建物を作っていく。


石造りだが、火を使うので風通しを意識している。


まぁ、後は実際に使って貰って不満が出れば後日改善しよう。


気づけば既に日が暮れていた。二日連続で夜更かしは色々(美容とか成長とか)まずい。今日は早寝しよう。



おやすみなさい。

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