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忍術鍛錬2

「それじゃ始めよっか?」


私がそう告げると女帝の懐剣メンバーと妖艶な姿になったマルシェラちゃんはニヤリと笑う。遁力を練りキーワードを口にする。


「忍びの極意《双身霊陣そうしんれいじん》ーー拡散、集中砲火!」


「「了解ッ!」」


私の身を包む黒の忍び装束とは違うピンクとブルーの分身がドロン、と音を立て白煙の中から姿を表した。



狙いはシズさん…と見せ掛けて後ろのレイアさんだ。マルシェラちゃんを放置するのも危険だがここは高火力アタッカーのレイアさんが最適解だろう。ドロシーは馬鹿正直に突っ込んでくる脳筋だが、シズさんの判断力、レイアさんの冷静な補助能力と合わさると爆発的に脅威となる。ならば先んじてリーダーであるレイアさんを倒すべきだ。


「秘術•紅蓮華くれないれんげ!」

「秘術•雷電拳纒らいでんけんてん!」


レイアさんの両サイドから炎の華と雷を纏った拳が襲い掛かる。苛烈な責めにもレイアさんは対応しており、あと一歩足りずと言った所だろうか。攻めあぐねている内にシズさんが指示を飛ばしドロシーが本体に突っ込んでくる。


「覚悟なさい!てやぁー!!えっ?!」


ドロン、と音を立てて私、ではなく分身が木の丸太に変わった。


「残念、そっちは偽物だよ!」


驚くドロシーが斬りかかった偽物ダミーの上空からほんたいは踵落としを繰り出す。手元に直撃しドロシーはリタイアだ。


ふふふ、私今すごく忍者っぽいことした!なんて自画自賛しているとレイアさんがドロシーがやられたのに動転し、槍を取り落としてしまった。残りはシズさんとマルシェラちゃん。


「あまりウチを舐めるなやッ!」


ザシュッ、という音と共にブルーが白煙となって消えていく。マルシェラちゃんの渾身の一撃が繰り出されたのだ。慌ててピンクを呼び戻し防御体系に切り替える。シズさんは不気味な程に静かなままだ。


「ふむ…ニンジュツとやら、中々に興味深い。だがリリィ殿もそろそろ遁力とやらの限界だろう。ならば攻めあるのみ。マルシェラ君、少し力を借りたい。共に勝利を手にしないか?」


「ええで!ウチは勝てるなら何でもするって決めとる!シズ姉の言う事に従うでぇ!」


どうやら一緒に戦うことを決めたらしい二人は私の元へ駆けてくる。マルシェラちゃんが吸血鬼状態となり背から灰色の翼とハートを逆さにした様な形の尻尾が生えてきた。

原作では終盤に多く見せる姿で吸血鬼として覚醒した姿となる。この時点で使えるのか…少し厄介だ。


致命振斬ヴォーパルスラッシュ!!血操槍ブラッドスピア!!」


覚醒している事によって種族固有技【血操術】を扱える。自らの血を好きな形に変え防御や攻撃に転用出来る中々のチート技である。大鎌の振り下ろしを後ろに下がって避け、血槍を蹴り砕く。


「中々やるわー。でもな、リリィ。後見てみぃ?あと一歩で線越えるで?」


予め描いていた三メートルの円の縁に私は立っている。かなり追い込まれたみたいだ。だが負けるわけにはいかない。


「秘術•窮地挽回!」


私とマルシェラちゃんの立ち位置が変わる。驚いたマルシェラちゃんの虚を突いて大鎌を蹴り上げた。


「はい、残念でした。マルシェラちゃんリタイアー!」


「きぃー!あともう少しやったのにぃー!」


「後はシズさんだけだけどどうする?まだ続けるのなら相手するけど?」


少し後方に佇むシズさんに視線を向ける。手に持った鞭を地面に放り投げ両手を挙げると降参の意思を示した。


「この状況下で私の逆転が出来るなど早々無いだろう。降参だよ…」


そう告げるとシュンとしながら肩を落とした。


やった、私の勝ちぃ!ーーって事でそそくさと着替えて皆に回復魔法をかけると出立の準備を終えたランゼ達と合流。ボストンはシュカさんを近くにある村まで送り届けてから王都に来るらしくここからは別行動だ。うーん、脈はありそうだけどこの先の旅にシュカさんが着いて来れるだろうか?最悪船旅になるかもだし、飛空艇をチャーター出来たとしてもどちらも揺れによる酔いが起きるからキツそうだけど。


ボストンが望めば護衛依頼は完了にして自分の人生を歩んで欲しいけど…まぁ、なる様になるか。一応その時ダリアにも契約解除の有無を確認しておこうかな?でもどうせガーファンクルの事を連れ戻すのが目的みたいだから付いて来るだろうとは思うけど。


追々考えるとして遁力を使いすぎて少し疲れた。具体的には全力でフルマラソンを駆け抜けた後みたいな?少し休もう。ランゼー、リンシャルに着いたら起こしてねー?おやすみぃ。




建物の屋上からリリアナ達を見つめる影が二つ。その視線は驚きと興奮に染まっていた。


「お嬢…!」


「あぁん…リリアナ様が三人も…どんな罵倒や教育をしてくださるのかしら…///」


お嬢が新しい技を身に付けている。

俺が見た中では魔王軍の幹部の女が使う技や見た目に近い。お嬢、一体どこでそれを覚えたんだ?それに昨日の今日でこの回復力。並の人間ならあと二日は床に臥している筈だ。お嬢は凄い…流石は俺が主人と認めたお方だ。詰めが甘いがスポンジの様に教えた事をどんどん吸収していく。俺には底が知れねえ。


「おう、マリアンヌ嬢。盛ってトリップすんのも良いがそろそろお嬢達に合流すんぞ?俺達だけじゃ敵は強大過ぎる。」


「……ハッ!そ、そうですわね!でも…わたくし…」


「お嬢に合わす顔がねえ…ってか?それは俺も同じだ。だがよぉ?」


お嬢なら、リリアナ•アルデン•センティスならばこんな風になっちまった俺達を笑顔で迎えてくれるんじゃねえか?


「そ、れは…」


「このクソ忌々しい呪印も案外お嬢に相談すれば何とかなっちまうかもな。」


仮面越しに忌々しい呪印をなぞる…マリアンヌ嬢も似た様な動作をした。


「ええ!わたくしの信仰するリリアナ様ならば、必ず…!」


「んじゃ、ちょっくら話を詰めようか。そうだな、リンシャルに向かおう。」


「そうですわね!」


マリアンヌ嬢を肩に乗せ俺は走り出した。


お嬢、どれだけ強くなってくれるかは分からねえが、俺は期待しちまってる。センティスの領館の執務机でだらけた姿もらしいっちゃらしいが、お嬢の本領は戦場にて輝く。俺の、俺達の光なんだよ。


その輝きが潰えそうになるなら、俺はこの命と引き換えにしてでも護ってみせる…!

遅く…なりました…半月以上更新が遅れ申し訳ございません。プライベートが大分忙しくて…なるべく更新したいのですが執筆時間を取ることも難しく気付けば大幅に遅れてしまいました。

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