正妻戦争
マリアンヌ視点でございます
私様は今初めて戦場と言う場所を体験するため従軍しています。
きっとリリアナ様には私様が着いて居なければ不便をすることでしょう。
例えば少し休む時に椅子が欲しいのに無い!どうしよう?
とお困りになった時、リリアナ様の柔らかく程よく引き締まったお尻を受け止めるのはその辺の地面では怪我をしてしまうかもありません。
ですが私様が居れば安心!最近少し鍛え始めてから腕と背筋には自信がありますの!
他にもお父様にお願いして聖教騎士を駆り出させました!
ですが、その騎士団長であるセリーヌが軍議で少しお痛をしてしまい、リリアナ様の顔を叱めさせる結果を出したのです…
それを小耳に挟んだ私様は直ぐにセリーヌを呼び出し叱り付けました。
リリアナ様にご迷惑をお掛けするなど、どういうことなのか、と。
セリーヌは唇を噛み、ゆっくりと供述し始めました。
曰く、教会上層部に圧力を掛けられ少しでも戦功を稼げ、と。
曰く、大恩あるお父様に恩を返すため、と。
曰く、これを切っ掛けに教会の権力を軍部にも適応させたい、と。
その様な子供じみた言い訳など、認められる筈がありません…!
私様にも理解出来るのですから。
教会が軍部に割り込むなど、ジェネシス家、果ては王家を馬鹿にしていると捉えられてもおかしくありませんわ。
何よりリリアナ様にご迷惑をお掛けした事が許せません。
当面はセリーヌではなくボローニャに指揮を執らせセリーヌは私様の元で護衛と言う名の監視をすることに決めました。
聖教騎士を一人手紙を持たせお父様の元へ走らせました。
今回セリーヌが起こした件と共に
『教会側から戦争に口出しをすれば王家、ひいてはジェネシス家を敵に回す可能性がある』
という内容の忠告を認めたものです。
リリアナ様に教皇へして貰ったも同然なのに、恩を仇で返せばどうなるのか、あの人は理解しておられないのですから。
翌日、移動を済ませてリリアナ様にセリーヌの件を正式に謝罪へ行くとリリアナ様は笑っておられました。
「あぁ、大丈夫大丈夫。セリーヌの焦る気持ちも分かるけど聖教騎士の人達には元々後営陣地を担当して貰うつもりだったんだから。まぁ遅かれ早かれ不満は出ると思ってたからねー…いきなり顔合わせの場で言われるとは思わなかったけど…」
笑顔で話すリリアナ様の何とお優しい事か…!一生着いて行く、という過去の決意を強固に思い返しました。
聖歴951年6月3日
遂に開戦となり、私様はセリーヌの側で柄にもなく手を握り締めていました。
やっぱり…怖い…!
だけど愛しいリリアナ様は陣頭指揮に立ち凛々しい姿を御披露目して下さっております、あぁ…麗しい!
その姿を見ているだけで勇気づけられて、怯えている自分が情けなくなりました。
幸い本陣間近まで敵が押し寄せる事はなく、王国軍の勝利で初戦を飾る事が出来ましたが、リリアナ様の指揮、王国三剣の活躍があってこそのものでしょうね。
ともあれ疲れたリリアナ様を癒すのは私様の役目!特に頼まれては居ませんが、夕食を終えたこの時間ならば無下にされることも有りませんわ!
リリアナ様の柔らかく引き締まったお尻をこの背中全体で感じる為に私様はセリーヌの監視の任を放棄し、足早にリリアナ様の天幕へ向かいました。
「リリアナ様!リリアナ様!貴方様のマリアンヌが来ましたわ!」
「あー、そういうの間に合ってるんで…お引き取りください」
「酷いですわ、リリアナ様!ですけど、面白い冗談ですのね!フフフ!」
「リリー、貴方様のってどういうことですか?」
将来私様の伴侶となるリリアナ様は照れ隠しに悪態を吐きますが可愛らしいお方ですわ!
それに私様は何も間違った事は言っていないのですから。
王国では禁止されていますが、他国の貴族間では同姓婚など世に溢れておりますわ。
寧ろそれが主流、次代の跡取りなど錬金術師や薬師の作る薬で事足りるのですから。
リリアナ様はもしかしたらその事を知らないのかも知れません。
若しくは知っていて子供を作る段階の事を考えているのかも知れません。
まぁ、私様とリリアナ様のお子ならば、どちらが産もうと宜しいのですが…
「リリアナ様!あまり照れなくても宜しいではないですか!わたくしとリリアナ様は既に肌を重ね合った仲、今さら気にすることなどありませんわ!」
「ーーリリー…?」
「うーん、この子は…レイン、誤解を解く様に説明するとマリアンヌが一方的に布団に潜り込んだり椅子になりたがっているだけで私から命令したり、要求したりした事はないからね?それとマリアンヌ、そのクネクネした動き止めて…正直気味が悪い…」
「ふぅ…頭の痛い発言ですがリリーを信じます。リリー続けて?」
リリアナ様の座る横にはレインさんが居て夕食後のスイーツを楽しんでいるみたいでした。
リリアナ様のメイド、モルガナさんの淹れた紅茶を口に含み香りを楽しみます。
「あら、これはカモミールとハーブ、ローズヒップのブレンドですわね?とても心が安らぎます。」
「…ありがとうございます。」
戦場という非日常の中で少しでも主人が安らげる時間を提供する矜持、流石としか言い様がありませんわ。
「この子、無駄に紅茶に対して知識があるんだよね…いや、貴族令嬢としては真っ当な教育なんだけど…別の面では変な風に成長してるよね。」
「リリー、失礼ですよ?八割方貴方が原因なのではないですか?」
リリアナ様とレインさんが何か二人で話していますが私様はモルガナさんの淹れた紅茶に興味を牽かれ上手く聞こえませんでした。
とりあえずレインさん、そこを代わってくれませんでしょうか?
「それでマリアンヌ、何の用件で来たの?一応私、こう見えても忙しいんだけど…」
「それは勿論、リリアナ様を癒す為ですわ!さぁ、わたくしを好きにして良いのですよ!」
「好きにして良いのですよって…はぁ…レインどうする?」
「マリアンヌさん、今夜はお帰り頂いてまた後日というのは如何でしょう?一応ここは本部の天幕となっており私的な場ではございませんわ。伝令が続々と駆け付け気を休める事も出来ませんよ?それにマリアンヌさんはセリーヌ卿の監視役の任に着いて居たのでは?」
「うっ…」
痛い所を突かれましたわ…!
レインさん、流石はリリアナ様のハートを射止めただけあって有能です…
ここは一時撤退も吝かではありませんわ!
この正妻戦争、敵は誰も彼も強者ばかり…
レインさん然り、ルルさん然り…最近は成りを潜めていますが、オリヴィエさんやナナリア王女殿下まで…クッ、ですが私様は負けませんわ!
「ぐぅ…胸を引き裂かれる様な思いですが、ここは一旦帰らせて頂きますわ…レインさん、覚えていらっしゃってくださいまし!何れ…この正妻戦争を勝ち抜くのはわたくしですわ!オーッホッホッ!」
指を突き付けばっちり決めた所で私様はセリーヌの待つ天幕へと戻るのでした。
マリアンヌが飛び出した後の天幕にてーー
リ「せーさい戦争って何?」
レ「フフ、リリーは知らなくて良いのですよ。どうせ私が勝ち残るのですから…ククク」
レインさん、真っ黒…。
尚マリアンヌはIQ高い設定です…(驚愕
更新遅くなり申し訳ございません。
執筆時間があまり確保出来なくてこんな時間となりました。
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