第362話
わたしは皇族の姫
わたしは真剣な眼差しでお父様を殺したのがノーネームと剣聖ちゃんに伝えた。
箝口令を敷いた張本人だけど許してほしい…。
ノーネーム配下になってる剣聖ちゃんは唯一の情報源になりうるわ。
けどお友達なの。
だからわたしは正直に話した。
「ちょ、ちょっと信じられないかな…。けど決闘とかしてたの?」
「ち、違うと思う…」
お父様は背中から鋭利な爪、竜爪で背中を一突きに心臓を…。竜爪かは定かではないけれど…。
だけど…ノーネームほどのチカラがあるのになぜ背後から卑怯なことを?
と、わたしはおかしいことに気づく。
「思うっさあ、見てないの?」
「う、うん…。」
「ただ聞いただけ?」
「そ、そうよ。」
「なんでノーネームがおじさんを殺すのさ?理由は?」
「つ、都合が良かったって…」
「なんの都合?ノーネームになにか得があったの?」
剣聖ちゃんが矢次にわたしに質問してくる。
不可解に思っているのかも…。
わ、わたしだってそう思う…。
ノーネームは皇族家を助けてくれたことがある…。
一度や二度ではなく三度も…。
ダンジョンで侍女を守るために断層を切り裂く斬撃。それから、わたしのためにダンジョンSランク以上のコアを頂いたわ…。
最後に昨日の模擬戦も…。
皇族家が敗北する寸前に乱入し、侍女を庇っていたわ。
「わ、わからないわ!わたしには…もう、なにがなんだか!」
ノーネームがわからない。
理解が出来ない…
「じゃあ、ただ言っただけじゃん。
ぼ、僕だって…あの日おじさんに加勢いけなかったわけだし、おじさんが討たれた責任はあると思う…。でも、なんでもかんでもノーネーム一人の責任にするのは違うと思うな。例えおじさんを本当に殺したとしてもさ。」
「確かに…。けどなんで殺したとしても責任がないのかしら?ねえ?」
わたしはついムッとなってしまう。
愛する親を殺されて仕方ないって…
あまりにひどいわ。
「だって僕達は、命を掛けて戦う探索者だよ。
探索者同士の殺し合いだってあるし、決闘でのアクシデントも。
たしかに家族を殺されたら怨みはするとは思う…。僕は体験したことが無いからわからないけどさ…。
けどさ、責めるべきは自分のチカラの無さなんじゃないかな?おじさんはチカラが相手より劣ったから死んだ。
んで、結局僕達はギルドや国の言いなりで本当に大切な者を守りにいけなかった自分の弱さじゃん。けどそうしたら一般人はたくさん死ぬだろうね。
その選択すら人任せじゃん!責任を背負いたくないから!
それに助けにいけたとしても弱ければ意味ないし。
だから僕は仕えるのをロシアからノーネームに鞍替えするよ。そして剣の頂きを目指し大切なものを守れるようになりたいんだ!」
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