第293話
わたしは皇族の姫
ノーネームが一番隊組長さんに久しいなと話かけたわ。
けど一番隊組長さんは覚えてないんだろうな…とも言った。
「誰かな?君は?君みたいな下郎は知らないよ僕は。
ちなみに人質を解放しなよ。しなくても君を誅することには変わりないんだけどね!」
「ん?我を誅するだと?
フハハハハハハ!!!良かろう。漆黒顕現!!
来るがいい!!現代に蘇りし英霊よ!!!
お前のチカラを我に見せてみよ!!」
ノーネームから漆黒のモヤ?が出てきて気絶してるかわからないけど侍女を観客席へ丁重に運んでくれたわ。
わたしはふと思いだす…
そういえば、
ダンジョン88階層でオークキングに、ノーネームが放ったと思われるダンジョンの壁を貫通させる斬撃…それに侍女とわたしを助けられたわ。
あとはわたしの謹慎処分を解こうとしてSランクダンジョンのコアを無償でくれたこと…
そして今は侍女を助けたようにも見えなくもない…
この模擬戦は皇族家の負けだったのに…
ノーネームが今介入してくる意味がわからないわ…
もしかしてわたし達皇族家をまた助けようとしているの?
ならなぜ?あなたはわたしの大事な家族である、お父様を殺したの?
なぜこんなことをするの??
分からない…
分からないわ…
ノーネームが分からない…
なにが本当でなにが嘘?
あなたの目的は?真意は?
わたしが思考の渦に飲まれている間、一番隊組長さんは
「ハァァ!!!縮地!!!」
と奇襲を仕掛けていた。
ノーネームは侍女を漆黒のモヤで運んでいるから、観客席を見ていた。
だから意識外からの奇襲かしら?
一番隊組長さんが卑怯にも思えたけど…
これは模擬戦じゃない。
殺し合いだわ!!
一番隊組長さんは魔女の名を騙りマスターを愚弄したノーネームを誅するって…
凄まじい威力の刺突に、一番隊組長さんの足元がえぐれる。
いえ、刺突の一直線上にも地面がえぐれていくわ…。
ガン!!!!!
菊一文字則宗という刀がノーネームの脳天に突き刺さった…?
え?
あ、あっさりすぎない?
ノーネームを殺したのかしら…
違う…ノーネームはワザと受けたんだわ!!
刀がノーネームのヘルムを貫通出来ていないわ!!
ヘルムで受け止めている?!
「愚かな…なぜそこにいる氷姫と協力しないのだ?
我がその程度で討てるとでも思ったか?
愚か…誠に愚か…英霊よ。」
と、ノーネームは四つの腕を大きく広げたわ。
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