第232話
僕は幼馴染みの皇族の姫とカフェテラスでお茶している。
「ふふ。ありがとうブタオさん。本当に嬉しいわ!」
少しやつれ、目にクマがある幼馴染みが満面の笑みを僕にした。
正直その顔が美しかった…
確かに外見もだが…
絹のような黒い長い髪、
大きな黒い瞳に、長いまつ毛。少しつり目の切れ長な目。
透きとおるような白い肌。
高い魔力血統からなる遺伝による完璧な容姿に綺麗な左右対称。
まるで造形のよう…
だけど…そんな外見よりノーネームの僕が当主様を殺したと偽り、絶望を味合わせた顔から、抗おうと抗おうと必死な今の姫様に僕は見惚れていたかも知れない。
僕は自分だけが酷い目に合うこんな境遇だと…
世界が僕に対してだけ理不尽が過ぎるとずっとずっと思っていた。
チカラを得た僕はまるで子供みたいに開き直り、人間を見下し、好きなときに癇癪を起こせ世界すら滅ぼるのかな?って…
僕は調子に乗り過ぎていたかも知れない…。
他人に使うために得たチカラでは無いけど…
自分のためだけに、生き延びるために得たこのチカラを他人に使うのは美しいことじゃないのかって…
僕は…はじめてこのチカラを他人に振るおうって思えた。
それは、
全てを思いのままに出来る権力を有し、誰からも憧れ羨まれる存在なのに…
立場や境遇は違えど幼馴染みは幼馴染みで絶望し苦悩し必死に足掻き続けている。
いまは日本を担う皇族家次期当主としてその重圧は計り知れないだろう…
愛していた母と父を失い…
そして今まで守っていた国民からは当主様の国葬を機に税金泥棒と手のひらを返され…
それでも守り続けていく…か。
これから外交なども大変になるだろう…
なにか国が上手くいかなければそれは一身に幼馴染みへと悪感情が降り注ぐ。
それでも自分の足で歩みを止めない幼馴染み…
そんな全てを1人で背負う幼馴染みの覚悟が僕には今わかった気がした。
産まれたときからなにもない僕と、
産まれたときたら何不自由なく、だけど使命を背負い大切な者を失い続ける幼馴染み。
だから僕は
「なるよ…え、と…皇族家探索者部隊の見習いに。
弱い僕だけど…あ!アルバイトでね!
行けるときはなるべくいくよ!」
以前当主様にスカウトされていて、保留にしていた返事を今した。
本来はなる気がなかったが…気が変わった。
いや、僕の新たな覚悟か…。
「え…?ブタオさんいいの?あ、あんなに渋っていたのに?」
嬉しビックリしている幼馴染み
「うん…姫様の…君のチカラになりたい!
まあ、なれるかわからないけど…僕を必要としてくれるのなら!ちなみに初代勇者様のスキル、不撓不屈は本当にないよ?それでもいいの?」
「ええ!!もちろんよ!ありがとうブタオさん!
本当にありがとう!!」
姫様は僕の手を握り大いに喜んでくれた…。
僕も嬉しかった。
昔の憧れ、遠い夢だった存在の幼馴染み…。
ブタオの僕は君の希望となり、ノーネームとしての僕は絶望を君に…
どちらも生きる希望として君に与え続けよう…
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読者の皆様 初心者の拙い文章ですが
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