第189話
わたしは皇族の姫
わたしが大魔術の準備をしている間ノーネームは何もしてこなかったわ。
先ほどわたしの強化した氷柱を全て捌ききった、不可視の手で思ったより消費が激しかったのかしら?
ならチャンス!!
時間を稼げたわ!
「ハァハァ…これで…終わりです!!」
「来るがよい!氷姫よ!」
余裕な声色…
まだノーネームは余力はあるとみたほうがいいわね…
ここは殺すのではなく閉じ込めるわ!!
「氷柱十氷牢!!!!」
わたしは大魔術をノーネームに放つ!
今回は殺傷性より、氷柱の強度を最大限に全ての魔力を使う。
もうわたしの魔力は0…
そして大気に含まれている水分が一気に凝縮され全て凍る。今は豪雨なのもあり、
超巨大な氷柱十本が出来上がりそれがノーネームを全方位から囲み押しつぶしたわ。
これでかなりの時間を稼げるはず…
増援を更に呼びノーネームはわたしが殺す!!
……
…
ハァ…ハァ…つ、疲れたわ…
けどなんとかやりきったわ…
あとは増援要請をギルドに…
「我がチカラに刮目せよ!!炎雷竜神拳!!」
え…?
パリンパリンパリンパリン!!
わたしの大魔術、氷柱十氷牢が全て粉々に砕け散った…
強度は最大限のはずなのに…
一瞬にして…
そこから出てきたのは…
竜…
とてつもなく大きい竜だった…
黒い炎がメラメラメラメラと燃え…
黒い雷もバチバチバチバチっと鳴り響き…
それを纏う竜が降臨したの…
それに呼応するように空から落雷が響きわたる。
ピカッ!!!
ゴロゴロゴロゴロ!!!
そして空中で暴れ狂う漆黒の炎と、漆黒の雷を纏う竜…
わ、わたしは夢を見てるのかしら…
こ、これは現実?
けど凄まじい熱風がわたしを焦がそうとする…
「もういい。昇れ竜神よ。」
そしてノーネームがそう言うと竜は天へと還っていったわ…
先ほどまでの豪雨が嘘みたいに、雨は一気に止んだ。
まるで、全ての雨だけを蒸発させたのように…
「あ、あ…そ、そんな…」
ノーネームはあの竜神というのを制御していたと、わたしは理解したわ…
これが謎の探索者ランキング1位…
四本腕のノーネームの実力…
お付の侍女、皇族探索者部隊、いえ、わたしすらも…
もう戦意喪失し、皆立っていられず座り込んで俯いた…。
勝てない…
あんな化物に…
勝てるわけないわ…
人間技じゃない…
いえ、人間ではない…
わたしは一体なに戦ってたのかしら…
いえ、これは戦いにすらなっていなかったんだわ…
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魔力0 残念王子の黒騎士 異世界より地球に転移しどちらも無自覚最強無双
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