第149話
わたしはSランクダンジョンマスター、時の牢獄。
はじめてのお客様…破壊神は未熟だった。
そしてなぜこの破壊神が未熟かというと、完全に殺戮と破壊の衝動に呑まれていたから。
わたしは最初からある程度はコントロール出来ていた。
そしてその破壊神のふくよかな容姿を見てわたしはつい、昔を思いだした…
それはわたしがまだ平民英雄騎士をしていた頃…。
わたしを慕ってくれていたふくよかな平民の少年…
まるで弟のように懐いてくれていた。
けどわたしが魔女と認定され磔にされた時は楽しそうにわたしに石をぶつけて来たっけな…。
おかげで片目は潰れましたよ。
と、わたしには勝てないとふくよかな少年に告げると、炎雷竜神纏という竜神化、ドラゴニュートになる。
ほう…なかなかやりますね…。
魔力無しでここまでの戦闘能力を持っているとは…
だけど、残念。
わたしは唯一無二の時空魔術の使い手…。
ふくよかな少年の時間を止め、封印監獄無間空間へと全魔力を使い封印した。
相手は神…やはり対策しといて良かった…。
ふくよかな少年を鑑定してステータスを覗き見たけど、
完全回復レベルMAX極のスキルがあったから千日手なんて骨が折れるどころではない…
わたしは全ての魔力を使い破壊神の封印が完了し、
Sランクダンジョン1000階層にて椅子に座り一息つく。
「ふう…また、魔力をダンジョンから供給し直しますか…。そして供給元を全ての世界、星、銀河、異世界のダンジョン外からもすることを新たな概念とし、わたしは無限の魔力を手に入れ…」
え?わたしの胸に突如刀傷らしきものがあいていた
「ん?なにか…な、?!な、なんですか??こ、これは!!」
穴が段々大きくなる
「ま、まさかあの人間?いや、でもわたしには完全無効レベルMAX極のスキルが…なぜ?
いや、そもそも無間空間の封印は絶対なはず!
なぜ?どうやって?どうやったのですか?」
そしてそれが焦りかわる
「なぜ??なぜ?おかしい、なんだ!なんだこれは?
空間掌握のスキルを会得していたのか?それともわたしの知らないスキルか?止まれ止まれ止まれ!おかしい!!おかしい!おかしい…」
「そ、そんな?!ば、バ…カ…な…、わたしが…わたしが…創造した…も、の…な…の……に……」
わたしは消滅した…。
わたしのなにがいけなかったの?
教えて…
ねえ教えてよ。
わたしはただ…
神様から神託を受け…
国や民を想い…平和へと導いた。
平和になりわたしが不要となれば魔女として処刑された。
わたしはその復讐をしたくて、ダンジョンという名のものを創り上げた…
わたしに何の非があったであろうか?
理不尽だ…
わたしにだけ理不尽が過ぎる…
おかしいおかしいおかしいおかしい!!
そしてわたしは凄まじい巨大な魔石と成り果てた…
薄れゆく意識の中で、あの破壊神のふくよかな少年の声が聞こえてきた…
「わからないけど他者…ダンジョンからの魔力で何かを成そうとする者より、自分のチカラだけで何かを成す者が勝ったということだ。」
そう…
そういこと…
わたし間違ってたのかな…
はあ…そういうことでしたか…
まあ最後に気づけてよかったかな。
わたしは自分に降りかかる理不尽を他の奴らにも、同じく理不尽を味合わせてやりたかった…他ならぬそいつらから集めた魔力で復讐の代わりをしようとしていた。
それが敗北の原因か…
自分のチカラで…
自分のチカラだけでなにか成せたら…か。
わたしは厄災の魔女…
この世界にダンジョンという厄災の概念をつくり、
復讐を忘れ永遠にダンジョンに囚われた存在。
今は、時の牢獄と名乗り無限の魔力を手に入れ更なる災いを招こうとした者だった…
ありがとう。
ありがとう…
やっとわたしは逝ける…
わたしは…
本当は…
…ずっと死にたかったのかも知れない…
復讐を忘れ…ダンジョンにずっと囚われ…
ずっと孤独で…永遠と思えるような…
長かった…
本当に長かった…
どれくらいダンジョンにいたのでしょう…?
ああ…段々眠たくなってきた…
眠くなるのがこんなにも幸せなことだったなんて…
わたしはずっと寝ていなかった…
いや、肉体変異してずっと眠れなかった…
だからありがとう…。
わたしと同じ境遇を得たであろう破壊神の少年…
わたしに死を…
新たな概念を創り変えてくれて…
ありがとう
…
……
………
あれ?
わたしは死んだはず…
わたしは意識?目を覚ます…
わたしに身体は無い…
けど視界と思考が段々クリアになる…
手足の自由は効かない…
いや…なんとか手は出せそうな気が…。
けど扱いがまだ難しい…
上手く出せない…
声も出せないみたい…
ってここは…?
え??
ふくよかな少年?
って破壊神?
わたしは破壊神の彼に消滅させられたはず…
なのになぜ?
なぜ彼はわたしを生かしたのでしょう…?
わたしの身体はありませんが…
わかりません。
けどとても心地よい…。
暖かい…。
わかりませんが…
わたしは破壊神の中でどうやら生きていると自覚しました。
御慈悲を頂けたのでしょうか?
こんな愚かな魔女と呼ばれていたわたしを…
厄災の根源のわたしに御慈悲を?
なぜ?
わからない…
わからないけど…
今は昔と違いすごく心が満たされている…
これが幸せ?
この御方はこんなにも愚かなわたしに幸せを与えて下さるというのですか?
ならわたしは…
敬意いや、親愛をもって
「マスター…」
と声をかけてみました。
− − − − − − − − − − − − − −
読者の皆様 初心者の拙い文章ですが
☆ ♡ コメント など
いつも本当にありがとうございます。
励みがんばって参りますので今後ともよろしくお願いします。
思い付く限り執筆 不定期に投稿しますのでぜひフォローよろしくお願いしますm(_ _)m
また
魔力0 残念王子の黒騎士 異世界より地球に転移しどちらも無自覚最強無双
も執筆してますので良かったら暇つぶしによろしくお願い致します。




