第7話 自衛隊の戦い
第7話 自衛隊の戦い
モイリーン砦
グースは敵の陣形を見て目を見開いた。
敵の陣には鉄の筒が置かれており数は数百は越えるだろう、モイリーン砦側の兵士達はあれが何なのか分からずただ困惑していた。
「あれは・・・まさか噂に聞いた大砲というものか?」
グースは高度文明大国らが保有する大砲について噂程度にだが聞いていた。だが大砲を使ってくると思ってもそこまで深刻に考えていなかった。
大砲っと言ってもバリスタよりも多少だが厄介程度に考えていたからだ。ただ数が多いため魔術師らに防御魔法の展開を急がせた。
「魔術師らは城壁の上に展開し時が来たら結界を発動しろ。」
メールニア帝国軍陣地
メールニア帝国軍はマスケット銃を装備した歩兵が6万8000人で大砲が250門で砲兵が1250人で騎兵が4000人そしてゴブリン兵4200体オーク兵2100体オーガ重装甲兵が60体 軽装甲が150体の大軍勢であった。
「大砲の発射準備は整ったか?」
カリーナ皇女が側近のサファリナ補佐官が長い金髪が風に吹かれて揺れている髪を邪魔そうに見ながら報告をした。
「はい殿下。既に全大砲の準備は整いました。あとは殿下のご命令を待つのみです。」
そう聞いたカリーナ皇女は頷き魔信を持ち命令をした。
「砲撃を開始しろ。」
前線には待機していた砲兵達が命令を聞き攻撃をする。
「よし!命令が聞こえたな?撃てぇ!」
250門からなる大砲が一斉にモイリーン砦城壁に向けて砲弾が放たれた。
250発の砲弾が城壁に待機していた兵士達にあたった。
ドオォーン ドオォーン
「うわぁぁぁぁぁー!!」「一体何なんだこれはぁ!!」「助けてくれぇ!!」
城壁上では悲惨な状況だった。砲弾に当たって即死する者はまだ運がよかった。砲弾に掠ったり砲弾に当たった石が弾けてそれが手足に当たり千切れたり、内蔵が弾けたりした兵士は地獄のような苦痛を受けていた。
「な、何なのだこれは!?これが大砲の力なのか!?」
グースも予想以上の威力に驚くことしか出来なかった。だが直ぐに命令を出す。
「は、早く魔術師達に結界を発動させるのだ!!」
グースの命令に魔術師達が結界を発動するがそれも三度目の一斉砲撃で砕け散った。
「バカな・・・たったあれだけの砲撃で魔術師達が・・・これは不味いぞ!!」
その頃のモイリーン砦の治療所では地獄のような光景だった。手足が千切れていたり、内臓が吹き飛んでいたり、顔の一部がなくなっていたりなど悲惨な状態であった。
「ぁぁぁあ・・・痛いよぉ」「殺してくれぇ」
「うぁーぁ」「誰か!目が見えないんだ!誰かいるのか!?」
砲撃から1時間後には正門付近の城壁は完全に崩壊していた。
「不味いぞ! 援軍はまだ来ないのか!?」
既にモイリーン砦側の被害は8000人を越えていた。
メールニア帝国軍陣地
「そろそろ、潮時か・・・砲撃を中止させゴブリン共に突撃命令を出せ」
前線の砲兵達は砲撃を中止しその後から亜種族兵士らが雄叫びを上げて突撃を開始した。
崩壊した城壁から次々と入り込まれモイリーン砦側は大混乱だった。
「落ち着くのだ!重装甲歩兵らは大盾を装備し敵の侵攻を阻止しろ!」
その命令を聞いた大盾を装備した重装甲歩兵大隊が崩壊した城壁に向かうが突如上空より火炎が放たれた。
ドォーン ドォーン バシャァー
「ぎゃあぁぁぁぁー!!」「あついあついよー!」
「な!? あれは黒龍か!クソっ!飛竜を急いで出撃させろ!!」
すぐさま竜騎士らが黒龍に向かうが黒龍の圧倒的なスピード200騎という数と火炎攻撃により50騎いた竜騎士達は全滅した。
「そんな・・・いくらなんでもこんなに直ぐに全滅するなど どうすればいい!?」
バードン共和国上空
場所が変わってここより60キロ離れたバードン共和国上空8000メートルに時速900キロで飛行する飛行物体が18機がいた。その機体には日の丸の国旗が付いていた。
日本の独自開発されたA-2BというF-16のようなジェット機であった。
その攻撃機には国際法で禁じられていたクラスター弾が1機につき4発を装備していた。
「まもなく攻撃目標が射程距離に入る準備をしろ」
パイロット達はミサイルの発射スイッチを押す準備をした。
「・・・射程距離に入った!攻撃を開始しろ!」
それを聞いたパイロット達は一斉にスイッチを押した。
機体から離されたクラスター弾が2発ずつ放たれた。
続いて第2波のクラスター弾も放たれた。合計72発のクラスター弾がメールニア帝国軍に向けて放たれた。
「我々の仕事は終えた。帰還するぞ」
仕事を終えたパイロット達は帰還した。
彼らはアルシンダ王国に与えられた土地に構築された空自基地に帰還する。
そのうしろにはまた別の空自の戦闘機F-16が飛んでいた。数は20機そして各機体には対空ミサイル
が8発を装備していた。
「よし!攻撃機隊の連中からの引き継ぎは終わったぞ。ミサイルを発射しろ!」
パイロット達は一斉にスイッチを押す。第1波は80発が放たれた。
続いて第2波が発射された。同じく80発が放たれる。合計160発の対空ミサイルが放たれた。
最初の異変に気づいたのはモイリーン砦の上空にいた竜騎士達であった。
「ん?なんだあれは・・・光?」
最初竜騎士らは鳥かと思ったがよく見ると明らかに鳥とはかけ離れた物であり、それが何十も見えた。
その光は彼らが今まで見たこともない速さで飛んでおりあっという間に地上にいる味方に降り注いだ。
ドガアァァァァァーン!!
「は!? え? 何なんだあれは!?」
地上にの前線にいた亜種族兵士らはその光によって殆どがやられた。
「グアァァァァァー!!」
オーガらの叫び声に混じりクラスター弾にある数百もの子爆弾が散らばり肉体がバラバラになった。
地獄はこれで終わりでなかった。第2波からなるクラスター弾が今度は後続にいた歩兵らに降り注いだ。
「何なんだ!?あれは一体どこから来たんだ!?」
兵士の誰かが叫んだ。それはこの場にいる兵士の全員の気持ちを代弁しただろう。
だがその兵士達はその直後に何も言わぬ肉片となった。36発のクラスター弾により2万人の兵士達が死亡した。
この光景を上から見ていた竜騎士達は何処からの攻撃なのか必死に探していた。
「一体何処からの攻撃なのだ!?あの方角には何がいるというのだ!?」
黒龍隊の隊長は光が飛んできた方向に向かおうとしたが部下が何かを発見したと報告した。
「隊長!また何かが飛んできます。」
隊長は部下からの指差した方向を目を向けた。するとそこには先ほどの倍ほどの数の光が見えた。それは真っ直ぐこちらに向かってきていた。
「あれは・・・不味い!全員回避しろぉ!!」
隊長の命令に全竜騎士は回避したがその光は追尾してくるために一方的に攻撃を受けた。
「追尾してくるぞ!?」「うわぁぁ!!嫌だ嫌だぁ!」「助けてくれえぇぇ!」
部下からの悲痛の叫びに隊長は何も出来なかった。
「くそぉ!一体何なんだあれは!?」
隊長がそう叫んだ時隊長の黒龍もミサイルを受けて死亡した。
黒龍らと地上の兵士達の壊滅にカリーナ皇女らは混乱するしか無かった。
「これは一体・・・どういうことなのだ!?」
カリーナ皇女の悲痛の声に側近達は何も出来なかった。
サファリナ補佐官が進言をする。
「殿下!ここはもはや危険です!直ぐに撤退を!」
「撤退だと!?ここまで一方的にやられて逃げれば我々はとんだ恥さらしだ!それを分かっているのか!?」
「しかし次の攻撃ないとは限りません!今殿下を失えば軍は一気に戦意を失います!どうかご決断を!」
サファリナの言葉に他の側近達も頷く。今ここで帝国の若き英雄を失えばここで敗北する以上の打撃をうけるとこになるからだ。
「・・・分かった。撤退だ騎兵らを殿に撤退急がせろ。大砲は捨て置け。」
「畏まりました。・・・ありがとうございます殿下っ。」
この日 メールニア帝国軍先方8万人は合計で3万人の死傷者をだし撤退した。
陸軍上層部は衝撃を受けた。カリーナ皇女率いる精鋭部隊が万単位で失いさらに黒龍にいたっては生き残ったのはたったの23騎しかいなかったのだから
モイリーン砦のグースも帝国軍と同じように混乱していた。
「先ほどの攻撃は一体何だったんだ・・・まさか神からの鉄槌だと言うのか」
伝令兵が慌てた様子でグースの元に近寄る。
「どうした?」
「は!魔信からの連絡によりますと先ほどの攻撃はニホン国からのようです!」
「なに?あのニホン国からのだと?あれほどの攻撃をニホンが?」
「私も上から聞いただけですのでそこまで詳しくは・・・ただあと数時間後でニホンからの軍勢がここまで来られるそうです。」
「そうか・・・分かった。砦の修復と負傷者の手当てを急がせろ!援軍の対応は私がする。」
「は!」
その数時間後陸上自衛隊第3、4師団合計で2万4000人が到着した。
(これがニホン軍だと?鎧らしきものも着けておらんし皆同じよつな緑色の模様だが一体だれが指揮官なのか分からん。)
グースは自衛隊のあまりの異色さに困惑するしか無かった。
その後自衛隊の指揮官とグースらの顔合わせが行われた。
「私は日本国陸上自衛隊第3師団指揮官中将の木下薫です。」
「同じく第4師団指揮官少将の義沢英明です。」
自衛隊からの自己紹介にグースも応える。
「私はバードン共和国モイリーン砦司令官のヨハネス・グレイ・グースである。本日は援軍に感謝する。先ほどの攻撃も貴国らのものだと聞いている。お見事な攻撃だった。」
「ありがとうございます。彼らも喜ぶでしょう。」
「して貴殿らはこのあとはいかがなさるのか?見ての通りこの砦は暫く使い物にならん。我々はここを放棄し後退するがどうする?」
グースからの質問に木下達は答える。
「我々はこれより首都にむけて進軍をします。」
「何!?首都にだと?いくらなんでも危険すぎる!」
彼がこういうのも仕方ない、何せ自衛隊らはどんなに多く見ても2万強だろう。しかし帝国軍は未だに30万人もの兵士がおり、予備軍も合わせれば100万は下らないだろう。
いくら質が高くとも無理があると言うが彼らは考えを変えなかった。
「我々は帝国との戦争を速く終わらせたいのです。そのために我々は陸からだけじゃなく空からも進軍をしますよ。」
「空から?噂に聞く鉄の飛竜か?」
グースはそう言うが彼らは首を横に振った。
「いいえ鉄の飛竜とは違います。我々が使うのはあれですよ。」
木下が指差した方向を見るとグースは目を見開いた。
「あ、あれは一体なんだ!?」
彼が見たのは左右に何か薄い板が高速で回っており爆音を鳴らせていた。
日本が独自に開発した大型輸送ティルトローター機である。
全長は約30メートルほどで横幅は優に8メートルは越えるだろう。航続距離は4100キロそして90人を乗せれる性能を持つ「隼」だ。
さらにその後ろには「隼」型の大型攻撃ティルトローター機で30ミリ機関砲 対空対地代対艦ミサイルをそれぞれ10発ずつ左右に合計60発のミサイルを1機で装備できる「雷鳥」だ。
それらが全部で40機が飛んでいた。
「あれで首都に侵攻し帝国の皇帝を捕らえ交渉の席に座らせます。」
木下の言葉にグースはただ驚くことしか出来なかった。
その頃海上自衛隊第2護衛大群はアルシンダ王国を攻撃しようとする500隻もの艦隊を相手にしていた。
第2護衛大群旗艦 大型護衛艦「やまと」 CIC
「敵艦隊真っ直ぐに我々の警告を無視し向かってきます。」
「そうか、木造船相手にミサイルは勿体ないから主砲で攻撃する。全艦隊はこのまま速度20で前進。距離が10キロになったら砲撃を開始しろ。」
「了解」
海上自衛隊とメールニア帝国海軍との戦いが始まろうとしていた。
長くなりました。
とうとう自衛隊が出ましたね。
次は海上自衛隊がメインです。




