第80話 勃発の瞬間
第80話 勃発の瞬間
バリアン大陸北東にあるジュミルノ半島
都市国家リバーテ
ジュニバール・ガーハンス連合軍が接収した軍港では、最初の部隊が上陸を完了してから充分な日数が経過した現在でも物資や部隊の陸揚げはいまだに続いていた。
港は勿論のこと、その周辺の海域にすらもおびただしい数の輸送船と軍艦が波を掻き分けるようにして埋め尽くしていた。
そんな大軍に支配された都市国家リバーテの街中では、上陸を完了した連合軍兵士が道を我が物顔で往来している。
同都市 旧都市長邸宅 現連合軍 司令本部
この街で住居としては最も広い敷地を持ち、立派な造りがされた邸宅では、ガーハンス鬼神国側とジュニバール帝王国側の第1陣のそれぞれの最高司令官と参謀、傘下の準列強諸国の派兵部隊の将校達が最終確認となる作戦会議を行っていた。
その邸宅の大広間を会議室として利用している空間で、ガーハンス鬼神国第1陣の前線司令官である陸軍 第56師団 師団長を勤めるガジル・ミホット・ボーン中将が目の前の机を挟んで座るジュニバール帝王国側の同じく前線司令官を勤める若きジルヒルン元老院議員を睨んだ。
「何度も申し上げるが、今作戦の先鋒は我々ガーハンス鬼神国に任せて頂きたい!」
軍歴50年以上を誇る熟練軍人であるボーン中将はそう力強くジルヒルン議員に訴えるが、当のジルヒルン議員は机に置かれた紅茶を優雅に飲んでから、自身の親と同年代であろう老将を見遣った。
「・・・そうは仰いますが、貴国は未だ補給に手間取っているご様子。
ここは我等へ先鋒を譲って頂きたいものですね。」
そうジルヒルン議員はボーン中将を嘲笑とも言える笑みで言い放った。
ガーハンス鬼神国側の補給が完全ではないのとを突かれたボーン中将は苦虫を噛み潰したような表情になる。それを見てジルヒルン議員は続けた
「精強なる我が国は、既に補給も万全の状態でありいつでも大陸の端にいる貧弱な日本軍を一蹴できる状態にあります。
此度の作戦では貴国は我々の後方支援をお願いしたいものですね。ここに参席している準列強諸国のように、ね。」
ジルヒルン議員の言葉に、参席していた準列強諸国の将校達は一様に頭を垂れた。作戦会議とは言っても彼等に発言権等はなく、実質列強2ヶ国の代表2人の会談のようなものだ。
今作戦の主力はあくまでも列強であり、この大陸にいる準列強諸国の役割は、基地建設や占領地の維持等の後方支援を期待されてのことだ。
ジルヒルン議員の提案に怒りを感じたボーン中将は最低限の礼儀を守りながらも正面の若き前線司令官との論争を繰り広げた。
前に進む様子のない会議をうんざりとした表情で見つめる1人の将校がいた。
結局、昨日の作戦会議から全く進むことも無く会議は今日も予定の時間を大幅に越えて昼食の時間が来たことで本日の会議は終了した。
先程の無意味な会議をうんざりとした表情で見ていた将校こと、ジュニバール帝王国の陸軍第48師団 266歩兵連隊の連隊長であるモリック・スロイス大佐は臨時司令部となっている邸宅から出て、都市リバーテの通りを歩いていた。
通りを暫く歩いてから、10分前の会議を思い出したスロイス大佐は足を止めて、大きな溜め息を吐いた。
「ずいぶんと大きな溜め息だな。 そんなだと部下に示しが付かないぞ? スロイス。」
「デリック・・・ここに部下は居ないよ。」
背後から掛かってきた声を聞いたスロイス大佐は瞬時に何者なのかを察して、きだるそうに、しかし僅かに嬉しそうな表情で声の主の方を振り返った。
そこには自身の親友であり、頼れる戦友でもある第55師団 第26投擲連隊 大隊長を勤めあげているウィンザー・ブァイド・デリック中佐が笑みをあげて自分を見ていた。
「その様子だと、会議は相変わらずか?」
「そうだ。だから俺が溜め息を吐いたのも頷けるだろ。」
本来なら5日前に終わる予定であった最終作戦会議だというのに、今日で数度目となる延長が確定した事を話したスロイスに、デリックは大笑いをした。
「はっはっは・・・お偉方は呑気なものだな。 聞いたか? 本国では既に戦勝祝賀会を開いているそうだぜ。」
気の速いこった・・・そうデリックは言うと、懐から愛用の煙草に火を付けて美味そうに吸った。
デリックの話してくれた内容を聞いたスロイスは残念そうに呟いた。
「呆れたもんだな・・・まだ戦ってすら無いのにな。」
「まぁ、俺は気持ちが分かるがな。 何だって上位列強国が同盟を組んでの大作戦だ。 どこも勝利は確実だと踏んでる。
あの法国だって今回の作戦で全面的な支援を約束したんだぞ? 異界の国を占領っていう美味い話を逃す訳にはいかないってな。」
煙草を吹かしながら言う親友に、スロイスは複雑な心境となる。それを敏感に察したデリックが彼の顔を覗き見た。
「お? なんだ、稀代の天才軍人はこれにご不満かな?」
「茶化さないでくれ・・・」
デリックの言葉にスロイスは顔を歪めた。だか彼の言葉は別に嫌味でもなんでもなかった。事実、スロイスは本国では天才軍人として陸軍内では有名であった。
ジュニバール本国の士官学校では主席で卒業したのだが、ただの主席ではなくて歴代でも1番の成績を修めていたのだ。
その任官後でも多数の論文を提出したが、その殆どが評価されており、任官後の植民地や他国への出兵に参加した結果、彼の率いる部隊はどこの部隊よりも迅速に敵を撃破し、味方の損害も常に皆無という極めて優秀な軍人だ。
彼がこれまでに授与された勲章も数知れず、同年代の軍人では圧倒的な差を広げていた。
そしてそんな天才軍人の友であるデリックも優秀な部類に入る男で、更に彼の父親は陸軍近衛団の大将というエリート軍人であった。
それ故に齢27の2人してそれぞれ連隊と大隊の指揮を任されていたのだ。
そんな2人が仲良さげに会話していると、その彼等の上空を轟音を出しながら飛行する物があった。
ジュニバール帝王国空軍の主力戦闘機アブターⅡの編隊であった。恐らくは都市リバーテの周辺に建てた空軍基地の滑走路から飛び立ったのだろう。
「・・・空軍の連中、また偵察に行くのか。」
太陽の光が鋭く目に突き刺すがそれを片手で遮って空を見つめるデリック。空軍が編隊を組んで偵察に向かうのは今回が初めてでは無い。
「空軍の連中も暇なのさ・・・もっとも、開戦したら真っ先に攻撃するのは、連中なんだがな。」
「だとしても、やかましいだからもう少し数を減らせっつの・・・おっ スロイス。 あそこを見てみろよ。」
不快に顔を潜めていたデリックは一転、今度はその顔を喜びの笑みを浮かべてスロイスにある方向を指差した。
そこには、軍用トラックの荷台に乗った大勢の女性達が凸凹の道路で体を揺らされながらリバーテの街並みを興味深そうに眺めていた。
そんな軍用トラックが何台も連なって通りを走行していた。
彼女達の正体は従軍治癒魔術師であろう。魔術文明諸国が後方支援として本土の治癒魔術師達に募集を懸けて、この前線となるバリアン大陸に上陸したのだ。
「いやぁ~美人ばっかりで良いね。目の保養になる。」
デリックはそう表情を崩して隣のスロイスに肩を回して言った。
確かに女性達の多くがうら若き美しい女性であった。そんな彼女達を見つけた兵士達も、彼女達に手を振り、振られた彼女達は苦笑いや歓声をあげてそれに応えた。
デリックも例に漏れず、近くを通過するトラックの治癒魔術師ー特に若い子達にーに向けて手を大きく振った。
それに気付いた何人かの女性達がデリック達を見て一際大きい歓声をあげて応えてくれた。
デリックはとても満足そうな表情で、仏頂面をしているスロイスの肩を揺らした。
「おい見たか? あの子達、俺等を見てあんなにはしゃいでるぜ? やっぱり俺達はモテるんだなぁ。」
「ただ単に俺達の士官服を見たからだと思うぞ。」
一般兵とは明らかに仕立ての良く、指揮官帽子も被っていたから、それに激しく応えただけだと言うスロイスに、デリックは背中を叩いた。
「細かい事は良いんだよ! あの子達の声援に応える為に頑張れるだからな! へっへっへ」
やる気が上がってきたぁ!・・・デリックはそう片手をあげて気合いを高めると、そのまま通りを歩いてどこかへと消えた。
恐らくはどっかの飯屋で先程とは別の女治癒魔術師をナンパするつもりだろう。長い付き合いのスロイスはそれを察して溜め息を再び吐いた。
そんな親友が視界から外れたスロイスは気を取り直して、これから戦うことになる相手を思い浮かべる。
「日本か・・・異世界の国ってのは確かに興味はあるけどな・・・気が進まない。」
本国の連中はこの作戦に全力を注いでるのは分かってる。 だが前線司令官が軍事に疎いであろう元老院議員だというのは納得がいかない。
(あの議員さんも、どうせ軍に就いていたという箔を付ける為に軽い気持ちで来たんだろうが、迷惑な話だ。)
素人が下手に口を出して録な結果にならなかったのは良く聞く話だ。幸いなのは、今回の敵は僅かな戦力しか無いのでそこまで深刻な事にはならないだろう。
(出来ることなら、さっさと終わらして祖国の土を踏み締めたいものだな。)
彼はそう心の中で呟くと、兵士で賑わう通りを歩き出した。
バリアン大陸 西部
都市国家 ゾギントン 都市議会所
都市国家ゾギントンの要人達が集う会議室で机を強く叩く音が響いた。
「それは真か!? アリーネがニホン軍の手によって陥落したのか!?」
机を叩いた都市長は顔中に冷や汗を流して、報告をしたきた衛兵大隊長に聞き返した。
都市長だけでなく周囲の要人達も全員が驚愕に顔を歪ませた。
「ま、間違いありません。 それにアリーネだけではありません。 デポネ、ミリカルア、トゥロート等の都市国家も次々とニホン軍を前にして無血開城したとか・・・」
その報告に周囲は更にどよめいた。
「どれも西部の主要都市ではないか!? 有り得ない! 幾ら何でも速すぎる!」
「そうです! 誤報としか考えられません。我々の混乱を招こうとニホンが小細工をやっとしか・・・」
「だが、相手は列強国。 我々の想定を上回る力を持っていても不思議ではない。」
「何を馬鹿な事を! 地下にいるニホン人共を見たであろう! 全く魔力のない人間がそんなデタラメな力を持っていると!?」
会議室がどんどん荒れていると、騒いでいる彼等でも気付く程の異変が起こった。
「な、何だ?・・・この揺れは・・・?」
机や周りの調度品が小刻みに揺れており、騒いでいた彼等は口を閉ざした。
すると扉を蹴破るようにして、都市議会所に勤務する使用人があわだたしく入ってきた。
「た、大変です! に、ニホンの鉄の怪物達が押し寄せてきてます!」
その使用人の言葉に彼等は顔を見合わせた。
都市ゾギントン 城門
「おうおう、ずいぶんと歓迎してくれるんじゃねぇか・・・何だ? これがてめぇらの歓迎作法てか?」
城門のすぐ前にいる第2戦闘団の池田団長は90式戦車の指揮官ハッチから半身をさらけ出して、目の前で狼狽えている衛兵達を見下ろして言った。
池田団長に声を掛けられた衛兵達は槍を構えるが、90式戦車という鋼鉄の乗り物に恐れをなして狼狽えていた。
1台だけではなく、池田の後方には第2戦闘団の主な機甲部隊がエンジン音を轟かせながら待機していた。必要があればすくにでも、その鋼鉄の身体を使って暴れまわるだろう。
それに怯えている衛兵達を池田は睨み付けてまた声をかけた。
「おい、 聞こえてねぇのか? これがてめぇらの歓迎方法なのか聞いてんだろうがよ?
耳ついてんのかぁ?」
池田は1人の衛兵に狙いを定めてそう言った。目が合った衛兵は自分!?といった反応でしどろもどろになって返事をした。
「あ、あ、いや・・・そういう訳では・・・」
「あん? んじゃぁ喧嘩売ってんのか? 武器を構えてるのはそういう事かい?」
その池田の言葉を聞いた瞬間、慌てた様子で衛兵達は構えていた槍を離した。その反応に池田は更に眉を潜めて言った。
「けっ! 喧嘩も売れねぇ癖に槍なんざ構えてるんじゃねぇぞクソガキ共!」
「ひぃっ!」
「だっはっはっは! ジョークだよジョーク! 良い反応すんなぁ!」
怯える衛兵達の反応を見て、明らかに上機嫌になっていく池田を、同じ戦車に乗っていた隊員達は軽蔑していた。
そんな事などどうでも良いと思っている池田が楽しんでいると衛兵達の後ろから慌てた様子の集団がこちらへ走ってきた。
「来やがったな。」
それを見た池田は瞬時に頭を切り替えた。身を乗り出していた姿勢を正して、腕を組んで衛兵達の前に出た無駄に豪華な装飾を着飾った集団を見下ろした。
「で、誰が都市長だ? お前か?」
重厚なエンジン音を出す90式戦車を前にして目を見開く彼等を無視して池田は都市長を探した。すぐに真ん中の肥満体型の中年男が応える。
「わ、私がこのゾギントンの都市長である。 な、何の用で・・・き、来たのだ!」
若干、声が掠れながらもそう池田に言い放った都市長を彼は睨んだ。
それに身構える都市長。
「用が無ければこんなシケた街に来る筈ねぇだろうが。 頭沸いてんのか?」
「ぶ、無礼な! 私はと、都市長だぞ!? け、敬意を持たんか!」
「あん?」
池田がそう凄むと、足をタンッと鳴らして90式戦車を僅かに前進させた。
突如として動き出した90式に彼等は大慌てで下がり出した。
「うわっ!?」
「う、動いた!!」
立派な鎧を装備した衛兵達も守るべき都市長等を置いて城門の内側へと入ってしまった。
尻餅をついてしまった都市長を見て池田は声を発した。
「とっとと捕らえた日本人を返しな。 嫌っつうならよ、こっちが勝手にやるからよ。」
そこから姿勢を再度、前のめりにした。
「死ぬつもりで掛かってこいよ。」
「ど、どうぞお入りくだしゃいっ!!」
顔を何度も大きく上下に揺らして言う都市長を池田は満足そうに見た。
宿屋と飯屋を兼ねる店の1階にある席で遅めの昼食をとっていた傭兵組合に所属する青年ピットは外から聞こえてくる轟音に、顔を起こした。
「何だ? この音は?」
周りの席の連中も気になったのだろう、急ぎ足で席から立って店から出た。ピットも椅子にかけてあった剣を腰に付けてから店を出る。
店から出ると既に大通りの歩道を埋め尽くすように大勢の人々がいた。ピットは近くにいた人に声をかけた。
「何があったんだ? それに、この音は?」
「ニホンだよ! あのニホン軍がこの街に来たんだよ! それも訳の分からない鉄の怪物共を引き連れてな!」
説明を聞いてもピンとこなかったピットだが、すぐに納得することになる。
城門側の大通りから見慣れない大型の乗り物の車列が先程の轟音を立てながらピット達の前を通り過ぎたのだ。どうやら人が乗っているらしい。鉄の怪物の頭から人間が見えた。
「なん・・・だ・・・ありゃ?」
唖然とした表情でピットはそう口に出した。周りの連中も同じで隣の仲間と話し合っていた。
「ニホン軍がなんだってこの街に来るんだよ?」
「あの都市長の馬鹿がニホン人を拉致ったんだよ。 きっとその報復さ。」
「・・・だとしたら俺等もヤバくね?」
「なぁに、いざとなったら全員で掛かればどうってことねぇよ。 あんな図体なら鈍くて狙い膨大さ。 冒険者連中みたいに連携をとれば簡単に殺れる。 第一、あんなのは・・・」
ピットの近くで傭兵の1人がそう自慢気に語っていると、突如として前の鉄の怪物達が止まった。
「何だ?」
急に止まった鉄の怪物に、ピット達は不思議そうにしたが、先頭を進んでいた鉄の怪物に乗っていた白髪の男が先程の語っていた傭兵を指差した。
「おい、そこのチンピラこっちこいよ。てめぇだよ。てめぇ」
どう見てもさっきまで自慢気な顔で語っていた傭兵の事を指差しており、彼は顔を蒼白させた。
「へ?・・・お、俺ッすか?」
慌てて慣れない敬語で声を掛けてきた白髪の男に聞くが、男は鋭い視線を向けて頷いた。
「てめぇ以外に誰がいんだよ、あぁ?」
その瞬間、傭兵の周りにいた人々は一斉に彼から遠ざかった。
「へ?・・・え、お、おい!」
彼は周りを見渡してそう言うが、周囲は関わらないようにと更に距離を取った。
「さっきから聞いてれば言いたい放題言うじゃねぇか。 そんなに俺達は弱そうか?」
それを無視して白髪の男は傭兵に言う。当の彼は恐怖で足をガクガクと震わせていた。あの騒音と距離で彼の言葉が聞こえるとはとんでもない地獄耳だ。
「べ、別にそんな意味じゃ・・・」
そうしどろもどろにになって弁明する傭兵を白髪の男は、恐らくはあの鉄の怪物の中に別の人間がいるのだろうなにかを命令していた。
「おい、こっちの方向に砲弾撃ち込めや。」
「え? 都市内ですが・・・」
そう返事がピットの耳に入った時、白髪の男は何かを蹴るような動作をした。
「いたッ!?」
「馬鹿野郎、上空に撃つんだよ。さっさとしろ。」
「・・・了解。 ・・・装填 完了。」
そう聞こえると白髪の男は耳をふさいだ。
「撃て。」
その瞬間、鉄の怪物の妙に突っ張った筒から炎と物凄い轟音が通りを轟かせた。
「きゃあぁ!?」
「何だ!? 雷か!?」
(違う! あの怪物の筒から何かを発射したんだ!)
周囲が混乱するなかピットだけが正確に音の正体を推測した。
「おう、どうだ? これでも俺達は弱いか?」
狼狽える民衆を無視して白髪の男は傭兵を見た。彼は身体中から汗を出しながらも大きく顔を上下に揺らした。
それを満足そうな表情で見た白髪の男は正面に向きを変えて、そのまま怪物を走らせた。
「おっかねぇ・・・」
白髪の男の乗る怪物が通り過ぎると先程の傭兵が呟いた。それに周囲は心の底から同意した。
都市長邸宅 地下室
「・・・案の定だなこりゃ。」
通りで砲撃をさせた池田はその後、この街の都市長の邸宅を押し入る形で突入して地下室での惨劇に、そう呟いた。
傷だらけの男性の遺体を部下が丁重に外へ運び出し、体液で汚れた女性に衣服を着せてこれまた外へ丁重に連れていく部下を横目に、地下室の端で縮こまっている都市長に肩を回した。
「へひっ…」
その体型に相応しく情けない声をあげた都市長を池田は楽しそうに口を開いた。
「全く、とんでもねぇ事をしてくれたな都市長さんよ・・・アンタ、このままじゃ間違いなく死刑だぜ?」
「そ、そんな・・・どうかお許しください! たかが平民じゃないですか!? こんな仕打ちはあんまりです!」
都市長がそう悪びれもなく言う様に池田の背後にいた隊員がゴミを見るような目で都市長を睨む。
「勘違いしてもらっちゃ困るぜ。 日本じゃ、身分の違いなんて無ぇからな。 お前は酷い死に様を迎えちまうなぁ。」
池田はそれを面白おかしく、からかうように都市長に告げた後、耳元で囁くように言った。
「だが、助かる手はあるぜ?」
一瞬で顔色を直した都市長
「本当ですか?」
「勿論だとも。 なぁに簡単な事さ・・・」
食い付いた都市長を池田は口をいっぱいあげて笑みを浮かべた。その恐ろしい笑みに都市長は飲み込まれるのを確信した。
「ふんっ・・・やっぱり溜め込んでやがったな。」
池田の前で積み重なっていく大量の金貨や財宝の山を見てそう吐き捨てた。
使用人達が次々と邸宅内にあった金目の物を集める様子を横目で都市長は池田に言う。
「ほ、本当にこれで見逃してくれるのですよね!?」
そう必死の形相で池田に懇願する都市長を彼は無視した。やがて全てかき集め終えたと判断した池田はようやく口を開いた。
「・・・まぁよく集めたもんだな。」
金貨の山から1枚をとってそう呟いた池田はぶっきらぼうに部下に指示した。
「そこのデブをさっさと連行しろ。」
その指示を聞いた都市長の顔色がまた悪くなった。慌てて池田の服を掴む。
「な!? ま、待ってくれ! 話が違うじゃないか!! 私を助けてくれるってはなしじゃないのか!? 私を騙したな!」
そう荒々しく揺らしてくる都市長をうんざりした表情で池田が向き直る。
「あのなぁ、俺達はあの禿げから犯罪者共を本土へ連行しろって命令されてんだよ。
軍人が命令を遂行しないでとうすんだよ!」
その時、背後にいた隊員2人が都市長の両脇に立った。
「そ、そんな・・・酷すぎるぞ!?」
隊員達に両腕を捕まれて連行されていく都市長を見送った池田は、目の前に積み重なった財宝の山を見つめる。
「・・・それはどうするのですか?」
そこへ背後にいた幹部隊員が、池田にそう聞いた。答えによっては即座にこの男を連行する構えであった。
「安心しろよ、別に俺がこのまま頂く訳じゃねぇ。 軍資金は必要だろ? 」
池田はそう言うが、大量の金貨を前にして表情を崩しているので幹部隊員は怪しんでいた。
ある程度、見て楽しんだ池田は幹部隊員の方へ振り返った。
「よぉし! この街のお偉方を集めろ。」
国防隊員達から会議所の会議室に集められた要人達はみんな一様に不安げな表情をしていた。
「私たちはどうなるんだ?」
税の徴収を担う財務官長が落ち着きなく言う。
「そもそもゾギントンにいるニホン人を捕らえろと提案したのはお前ではないか。」
「な、何を言うか! お前だってあの時賛同してたじゃないか!」
言い争いになりかけたタイミングで池田が入室した。彼等の前にまで歩いた池田は腰に手を付けて口を開いた。
「お前等も知っての通りに、既に周辺の都市はこの都市と同様の状態だ。 俺達の目的は2つある。 1つは捕らわれた日本人の解放、そして残る2つ目は・・・」
要人達を見渡しながら池田は続ける。
「お前達にもこの戦争に協力して貰うぜ。勿論、断っても構わねぇが、そん時は都市長みたいに本土に連行する。 分かるな?」
そう意地の悪い表情で問いかける池田に、彼等は取り繕った顔で大きく頷いた。
ノル・チェジニ軍港
第一戦闘団本部
「師団長、各都市への救出は滞りなく達成したようですが・・・池田団長がゾギントンという都市で軍資金の調達を無断でしたようです。
更に都市内への砲撃も、上空に向けての様ですが確認してます。」
幕僚からの報告を鬼導院中将は視線を作戦地図から逸らすことなく応えた。
「構わん。周辺都市へは良い警告になっただろう。 奴にはその調子でやらせろ。」
「本当によろしいのですか? 略奪行為のようなものですが・・・」
「捕らわれた国民への慰謝料だ。 それやりも連合軍の報告をしろ。」
「はっ・・・本日1300にて、敵司令部と思われる都市リバーテの近郊から偵察機と思われる飛行隊がこちら側へ向かっているようです。
場所的に考えて、こちら側の無人観測機と接触する可能性も否めません。撤収させますか?」
「いや、そのまま続けさせろ。 周辺の地形を完璧に把握せねばならん。
それよりも気掛かりなのは、輸送部隊だ。」
「はい?」
「リバーテから敵飛行隊が来るのであれば、そちら側へ向かわせた救出部隊の輸送トラックと何台か鉢合わせするだろう。」
鬼導院中将は地図でバリアン大陸の東側の都市国家へと向かわせた部隊の帰還路に指を這わせた。
「確かにそうですが、まだ宣戦布告は来ていない以上は、攻撃はしてこないでしょう。」
幕僚の言葉が鬼導院中将の耳に入るが、彼は険しい表情を維持したまま地図を睨んだ。
「とにかく部隊の帰還を急がせろ。」
「はっ。」
幕僚はそこで鬼導院から背を向けた。
バリアン大陸 東部 上空
陸にいても暇なので今回も偵察という名目で愛機であるプロペラ機 アブターⅡの操縦舵をカトラ少尉は軽く握り直して周囲を見渡した。
5機編成の1個小隊が5つで計25機編成されるジュニバール帝王国空軍 第91飛行大隊の小隊長を勤めるカトラ少尉の周りを僚機が飛行陣形を維持して飛行していた。
今日の愛機の操縦性は良好。毎日、整備士ではなく自分が念入りに清掃する程に航空機をこよなく愛するカトラ少尉に、備え付けられた魔信機で少し後方を飛行する若き編隊員が声をかける。
『隊長、いつになったら自分は日本軍と一戦構えれるんですか?』
そんな無邪気に質問をしてくる自分の部下をカトラ少尉は魔信機を取り出して応えた。
「初めての戦地だからって浮かれるなキアル。 そんなに戦いたいなら昨日の散々な訓練結果を忘れるな。 聞いたぞ? お前、また同期の連中にボロ負けしたそうじゃないか?」
『うぐっ・・・』
カトラ少尉の言葉にキアルと呼ばれた青年飛行士ノアリス・キアルは、そう苦しげに応えた。それを茶化すように別の機体から声がかかった。
『それだけじゃないですよ隊長、こいつ、またエンジンを過熱させ過ぎて整備長にしこたま叱られたそうですよ。』
『ちょ! それ言わないでくださいよ!?』
ジュニバール帝王国空軍が主力機として採用しているアブターⅡのバガット社製のエンジンは癖のある代物で慣れるのに大変な時間がかかった。
まだ経験の浅いキアルはそれのせいで、エンジンの使い方がなっとらんと、叱られたと容易に予想できたカトラ少尉はため息を吐いた。
「全く・・・そんな調子で日本空軍とやりあうつもりか?」
『け、けど今回の日本空軍は対した連中ではないんでしょう? 自分だってやれますよ! ガーハンスの奴等に引けなんてとらないです!』
『ほぉ・・・言うじゃないか!』
『面白い! お前が誰よりも先に日本空軍機を撃墜したら良い女を紹介してやんよ! どうせお前は経験ないんだろ? 経験豊富な女にしてやっから安心しな!』
『良いじゃねぇか! 確か・・・リバーテでお前と同じ年頃の治癒魔術師の少女がいたな。先にアタックしたらどうだ?』
強力な空軍戦力を持つガーハンス鬼神国と張り合う可愛い後輩を茶化すように部下達がはやしだてた。
カトラ少尉はそれを聞き流していると、別の小隊長から魔信が入った。
『カトラ隊、そちらの左方向の地上を走行している車両が見えるか?』
どうやら地上で車両を見つけたようだ。カトラ少尉はすぐにコックピットから顔を動かして地上に視線を移した。
注視すると確かに舗装されていない道路を走行する数両の車両がカトラ少尉の視界に入った。
「こちらカトラ隊、確認した。 見る限りでは輸送トラックの様だが・・・どこの国の車両だ?」
見慣れない型の輸送トラックにカトラ少尉は眉を潜める。すると別の小隊長が応えた。血気盛んな男で知られるベボ少尉だ。
『カトラ! ありゃきっと日本の輸送トラックだ! 数日前にも見たことがあるぜ!』
「日本? だとしたら随分と遠くまで来たな? 何を載せてるんだ?」
『日本ですか!? どこです!?』
カトラ達の魔信内容を聞いていたキアルは初めて見る敵に興奮した。それをベボ少尉が愉快な声で答えた。
『がはっはっ! 異界の敵に興奮しちまったか? 小僧のすぐ下を走ってる奴だ。見えるか?』
『み、見えました! あれが・・・』
声だけでも非常に興奮しているのが分かるキアルをベボ少尉がある提案をした。
『どうだ? 試しに機銃で撃ってみるか?』
『え?』
『ベボ! 何を言ってる? 攻撃は控えろと司令部から言われてるだろ。』
別の小隊長がベボを宥めるが、ベボは反論する。
『だったら何時になったら俺達は働くんだ?どうせ司令部は互いの面子のために論争してるからまだよせっていってんだろ? だったらよ俺達がキッカケを作るのはどうだい?
ねぇ悪くない提案だと思いませんか? 大隊長! いい加減、偵察と訓練は嫌になりましたよ!』
ベボ少尉の言葉に、この編隊の最先任である第91飛行大隊の大隊長が呆れとも言える声で返答した。
『・・・はぁ、全く貴様は血の気が多い。 確かに本来ならば本日が開戦という予定だった。 良いだろう。 我々第91飛行大隊はこれより地上の敵車両を攻撃する!』
大隊長の言葉を聞いた飛行大隊員達の歓声が魔信越しからカトラ少尉の耳に入った。
「大隊長、本当によろしいのですか?」
『構わん。責任は私がとろう。まぁもっとも何処の部隊も速いとこ暴れたいと思ってるのが現実だ。 司令部もこれを機に重い腰をあげるだろう。』
『そう言うことだカトラ! お前ら! 俺に続け! カトラ、お前とこの小僧を借りるぞ!』
ベボ少尉はそう言うと配下の機体とキアルを連れて急降下をした。目標は地上の日本の車両部隊だ。
遠方の都市国家から拉致された民間人を乗せた輸送トラックとその警護車両として2両の軽装甲機動車が上空のジュニバール国籍の戦闘機を見て急ぎ足でノル・チェジニ軍港へと急いでいた。
軽装甲機動車の上部に7.62mm固定機関銃を握り締めて上空を飛行する飛行隊を睨む国防隊員が忌々しげに言う。
「くそっ・・・数が多いな。もう少し速度を上げられないのか?」
運転席でハンドルを操作する隊員が答える。
「無茶言うな。 後ろのトラックには重体の民間人がいるんだぞ。 これ以上こんな未舗装の道路で速度上げたら不味いぞ。」
さっきから無視できない程に揺れまくる車内で、都市国家から解放した傷だらけの民間人をいち早く本部へ移送する為に本隊から抜けていた事情の彼はそう反論した。
「だからヘリを寄越せって言ったんだよ俺は。」
「連中の陣地付近でヘリを飛ばしたら向こうを刺激するから無理だって何度も言われたろ。」
車内で同僚がそう話していると、無線機で後方の輸送トラックの同僚から掛かってきた。
『こちら2号車、速度をもう少し下げられないか? 重傷者の容態が気になる。』
「こちら1号車、了解した。 速度を少し抑える。」
通信を終えた運転手はそこで溜め息を軽く吐いてアクセルペダルに乗せていた足を緩めて、サイドミラー越しで後方に視線を送った。
どうやらこの揺れで民間人の体調が悪化したのだろう。予定到着時間に多少の遅れが生じるな、と考えた直後、上空を警戒していた機関銃手が怒声をあげた。
「畜生っ! 速度をあげろ! 奴等、こっちに向かって来てるぞ!?」
「っ!?」
その声とほぼ同時に戦闘機のプロペラとエンジンの轟音が近くなり、運転手は急いで緩めていたアクセルを勢い良く踏み込んだ。
一気に加速された車体のすぐ後ろを、恐らくは戦闘機から放たれた機関銃の銃弾が飛んできた。
『こちら3号車! 急に奴等、攻撃してきたぞ!?』
「何なんだよ! 宣戦布告をされたって聞いてないぞ!?」
「撃って良いのか!? 撃って良いんだよな!?」
「司令部に報告が先だ! 発砲はまだ待て!」
「こちら回収班! ジュニバールの戦闘機から攻撃を受けている! 反撃許可を求める!」
すぐに司令部から応答が入った。
『こちら司令部、可能な限り迅速に現場から離れよ。 すぐに応援部隊を送る。 相手側からの宣戦布告はまだ届いていない故に反撃は許可出来ない・・・な!? し、師団長!?『寄越せ。』は、はい!?』
無線が少し乱れたがすぐに声が届いた。その後の言葉を聞いた隊員達は驚く。
『こちら鬼導院だ。攻撃は間違いないな?』
まさかの師団長が無線に出てきたことに一同は驚愕するがすぐに返答する。
「はい! 20機以上から攻撃を受けています! 反撃許可を!」
『許可する。 生き残ることを最優先にせよ。以上。』
そこで無線が切れたと同時に、後方を走っていた軽装甲機動車に戦闘機の機銃が命中したのが見えた。
『3号車がやられたぞ!? 無事か!?』
『こちら3号車! 後部座席の衣川が殺られた! 伊織も胴体に当たっている!』
「くそっ! 卑怯者共がぁ!!」
機関銃手が上空を飛び回る戦闘機にひたすら発砲するが牽制にすらならなかった。
ベボ少尉の機体が最後尾を走る車両に機銃を命中させると魔信機から興奮したベボ少尉の声がカトラ少尉の耳に入る。
『よっしゃ! 俺が1番乗りだ! 次は小僧、お前だぞ!』
『は、はい!』
キアルの緊張した声が聞こえると大隊長が魔信機で話し掛ける。
『相手は機銃で反撃しているが、たったの一門だ。 焦るなよ。 これで当てたら、お前は一気に有名人になれるぞ。』
『り、了解であります!』
そう言うとキアルの機体は高度を下げて、機銃で反撃する戦闘車両に照準を定めた。
(一発で決めてやる!)
緊張で額に汗をかきながらもキアルは照準機の丸の真ん中に敵車両を固定させる。
敵からの反撃だあろう機銃の薄い弾幕に、神経が磨り減らされるが、キアルは絶好のタイミングまで機銃の発射ボタンを待つ。
『小僧、今だ!』
ベボの言葉が聞こえた。それを合図にキアルは発射ボタンを押した。
プロペラの間から機銃の銃弾が高速で飛来し、目標であった敵車両に見事、命中させた。
命中したことに安堵するのも束の間、すぐに操縦桿を引き上げて機首の角度を安定させた。
気が付けば汗で身体中がびっしょりになるが、すぐに魔信機から歓声がキアルの耳に入った。
『やるじゃねぇか小僧っ!! まさか本当に当てやがるとはな!?』
『おいおいキアル! お手柄じゃないか!』
歓声を聞いてすぐにキアルは後ろを振り返って車両を見た。すると自分が当てた車両から黒い煙を出して沈黙する姿が目に映った。
「やった・・・隊長、自分やりましたよ!! 見てましたか!?」
キアルは嬉しさのあまりに直属の上官であるカトラ少尉に言った。すぐに彼から返信が来る。
『しっかり見てたぞ。 良くやった。これでお前も一人前だな。 帰ったら基地で祝いだ。』
その言葉にキアルは口元を笑みで溢した。周りを見ると、残った輸送トラックを潰そうと先輩達が大挙した。
正面の護衛車両が敵の機銃によって煙を撒き散らすのを見て、トラックの運転席に座る隊員が無線機で問い掛ける。
「こちら2号車! 無事か!? 応答しろ!」
しかし応答が無いことに彼はハンドルをぶっ叩いた。
「ふざけやがって!」
隣の助手席の隊員が慌てた様子で後ろの荷台の民間人と同僚に声を出す。
「次が来るぞ! 伏せろ!」
同僚が軽傷者と重傷者達を庇おうと彼等の上に体で覆うと同時に敵機からの機銃攻撃が着弾した。
運転手の隊員は、荷台にいた仲間が機銃で引き裂かれる瞬間が見えてしまった。
「あぁ糞・・・」
彼が呟いた瞬間、トラックの燃料タンクに着弾した銃弾によって輸送トラックは爆発した。
炎上するトラックを見て魔信機では、まるで敵の大軍を殲滅した時のような大歓声がカトラ少尉の耳に入った。
『いやっほぉい!』
『当てたのは俺の機銃だからな!』
『いやいや、俺のだ!』
そんな彼等を他所にカトラ少尉は沈黙した車列を見つめる。
「・・・他愛もないな。 キアル、これから忙しくなるぞ。」
『はい! 任せてください!』
『各員、今日の仕事は終えた。 基地に帰投するぞ。 戻ったら祝いの準備をしろ。
だが・・・飲み過ぎるなよ。』
大隊長が言い終えると、ベボ達は歓声と共に基地の方向へ戻った。
ノル・チェジニ軍港 師団本部
「回収班からの通信が途絶えました・・・」
一通りの通信内容を聞いていた鬼導院は背後の幕僚に指示を出す。
「すぐに本国へ報告しろ。 あと全戦闘団へ直ちに戦闘配置を整えさせろ。」
「はっ。」
幕僚は出ていくと、鬼導院は通信科の隊員へ指示を出す。
「攻撃をしたのはジュニバールで間違いないな?」
畏れながらも隊員は答える。
「はっ、通信内容から見ても間違いないかと。」
それを聞いて鬼導院は、そうか、とだけ答えると壁に貼ってあるバリアン大陸地図を見て、口を開いた。
「目標は決まった。 我々が最初に攻撃するのはジュニバールだ!」
次回でいよいよですかね・・・




