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強化日本異世界戦記  作者: 関東国軍
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第59話 戦いは常に近くに 後編

遅くなって申し訳ない・・・

第59話 戦いは常に近くに 後編



チェーニブル法国陸軍魔術将校デレヘリック・リバイリナ大佐は今、非常に上機嫌だ。それもここ数年で1番かもしれない。


理由は至極単純、今から好きなだけ暴れられる状況だからだ。


チェーニブル法国の大使館で事務仕事を部下に放り投げて、街に出て気ままに歩いていたら、銃声が聞こえたのですっ飛んで来て見れば、複数の列強人と冒険者らしき集団が戦っているではないか。


これを見た彼は最高の気分で冒険者の中で最も強そうな気配を放つミスリルの冒険者へと突進した。


そしたら偶々、壮年の負傷者を抱いていた青年の列強人を助ける形になったが、それはさておき、彼は今から目の前のミスリル級冒険者と全力で遊ばせて貰う。


「チェーニブル法国の大佐だと?」


目の前の冒険者は先ほど自身が名乗った役職を呟いていた。


「そうだ!だが、そんなことはどうでも良い!さぁ!掛かってこい!」


リバイリナ大佐は両手を広げていつでも良いと言わんばかりに彼を挑発する。


「そうかっ・・・お前がチェーニブルの者なのだな!元はと言えば貴様の国が我が国を最初に侵略したのが原因だ!その罰を今!受けて貰うぞ!」


ミスリル級冒険者である彼はそう言い剣を構える。必ず目の前の男を殺そうという殺意を持って。


「その意気や良し!だが、弱者が強者に奪われるのはこの世界の理!嫌ならば力を持つしかあるまい!はっはっは!」


「ほざけ簒奪者よ!」


そう冒険者が言うや否や彼は、自身に強化魔法を唱える。


『能力強化!』『即反射!』『筋力向上!』


そう3つの強化魔法を唱える様子にリバイリナ大佐は思わず驚きの声を上げた。


「ほう・・・剣士でありながら、そこ迄の強化魔法を行使出来る程の魔術師でもあるのか!面白い!実に面白いぞ!ミスリル級とは言えども、そのクラスで剣士と魔法を両立している者は見たことがない!素晴らしい!」


そうリバイリナ大佐が言うと彼も強化魔法を唱えた。


『能力爆上昇!』『皮膚硬質化!』『脚力獣化!』


リバイリナ大佐も同様に3つの強化魔法を唱えているのを見て冒険者も驚愕した。


その様子を見た彼は満足そうにする。


「はっはっは!自分だけがそうだと思っていたか?それは残念!私もそうなのだよ!」


大佐はそう言うと姿勢を低くして両手を前に構える。武器は使わず素手で戦うようだ。


それを見た冒険者も再度、剣を構えた後、大佐へ向かって走る。


ドンッ!


そう強く地面を蹴るように走り、常人では出来ない程の速さを出す彼は、その勢いのまま剣を横へ振り、大佐の胴体を斬ろうとする。


だが、しかしそれは出来ない。


『防御結界!』


大佐はその姿勢のまま、結界魔法を唱えて、その斬撃を防いだ。


「っ!」


冒険者は自分の攻撃を防がれたと察するとすぐに次の攻撃へ移行する。


今度はその結界魔法を破る為に一点集中の突きを繰り出す。


「ふんっ!」 ドシュッ!


そう声を出して、全力の突きを出すが、結界魔法が破れる様子はない。それを確認した彼は連続の突き攻撃を行う。


ドシュッ! ドシュッ! ドシュッ! ドシュッ!


ものの一瞬の間に何発もの突きを出すと、大佐の結界魔法に亀裂が入った。


そして最後の突きをすると、遂に結界は崩壊した。それを見た彼は直ぐ様、今度は上からの斬撃を繰り出す。


「ふんっ!」


大佐を一刀両断しようと剣を振り下ろす。そこで大佐は反撃に出る。


『剛撃!』


大佐はそう攻撃魔法を唱えた。唱えた魔法は瞬時に発動され、大佐の両手に青白い靄が掛かり、その手を振り下ろされる剣の軌道にぶつける。


その手ごと両断されると思った瞬間、信じられない光景が目に映る。


ガキーンッ!


「な!?」


驚愕している声が聞こえた。大佐は冒険者の声かと思ったが、どうやら後ろの青年のようだ。


その青年もとい木花が目にしたのは、靄が掛かっている大佐の拳は剣とぶつかった時、両断されると思いきや、その拳は何ともなく、逆に向こうの剣の刃にキズを付けていたのだ。


自身の剣を傷つけられた冒険者は数歩下がり、剣を構える。それを見て大佐はまた挑発する。


「どうした?これで終わりでは無かろう。」


その挑発に促されたかは、分からないが、冒険者はまた剣を構え直す。


大佐も拳を前に付き出して何時でも攻撃が出来るように体勢を整える。


「くっくっく・・・何時でもいいぞ?冒険者よ。」






木花は今、自分が見ている光景が信じられなかった。


目の前で起きている現象は、剣を装備した冒険者と

チェーニブル法国の大佐を名乗る武器を持っていない無防備な男が戦っている。


ミスリル級の実力を持つ男と素手だけで戦う男。結果は一方的な戦いになると思っていた木花だが、現実は違った。


目で追うので精一杯な程の速さで動き回る2人の戦いは、信じられないことに素手の男が優勢に見えた。


それに瞠目した木花だったが、ここで太田の負傷を思いだし、慌てて太田を背負いなおして、そこから離れる。


「組長っ!どうかもうしばらくの辛抱を!必ず助けますから!」


木花はそう太田に声を掛け続けて井岡達の元まで走る。


その後ろ姿を横目で見ていたリバイリナ大佐は、感心したように呟く。


「うむ!若いが大した男じゃないかっ!こんな乱戦状態に怯まずに負傷者を助けるとは・・・はっはっは!あの若造は見所がある!そう思わんか?」


「ふざけるなよ。」


「む?」


リバイリナ大佐は、相手のそんな返答に首を傾げる。


「貴様等、列強人は皆が悪だ。だからこそ、その天誅を下そうとしたのに、それをっ!貴様はいま、邪魔した・・・この罪は重いぞ。」


「分からんな・・・何故、冒険者ともあろう者がこんな無駄な事をする?いや、私は助かるのだがな。」


「他の大陸ではそうだろうが、この王国は違う。我々はバフマンの地で生まれ、バフマンの地で育った。その恩を返すとが無駄だと?」


その言葉にリバイリナ大佐は、空に視線を上げて息を吐いて、こう呟いた。


「なるほどな。哀れなものよ。」


「なに?」


「冒険者組合は今まで列強国に武器を向けたことは無かった。だからこそ、我々はお前達、武装勢力の存在を黙認し続けた。だが今日、お前達の行いによってそれは崩された。」


大佐は一呼吸おいて続けた。


「もはや、全ての列強は、世界中の冒険者を信用しなくなるぞ?そうなれは何が待っていると思う?

それは殺戮だよ。」


「殺戮だと?」


「冒険者組合は列強国に刃向かわない・・・その前提が覆ったのだ。なら、上層部はこう判断するだろうな。『冒険者は全て始末してしまおう。』と。

 全ての大陸にある冒険者組合は選択を迫られるだろうな。列強に吸収されるか・・・抗うか。」


「他の大陸の組合など知った事ではない。別大陸なぞ、対して交流など・・・」


「あぁ違う違う。その考えが違うのだよ。」


「なに?」


リバイリナ大佐は、まるで教え子に諭すように優しく教える。


「詳しく言うならば、きっと上は、組合にこう選択を与える筈だ。

『バフマン王国の組合を潰すか、バフマン王国と共に戦うか』そう言うだろうな。」


「なんだと?」


「考えても見ろ?我々だって冒険者の価値は知っているさ。大半は使い物にならんが、一部の・・・それこそ、オリハルコンや魔鉄鋼クラスの冒険者は凄まじい・・・まさにお前達の切り札だ!」


一呼吸置いて大佐は続ける。


「そんな集団と戦うというのは、流石に上層部は躊躇うだろう。しかし、冒険者を放っておくのは出来ん!なら、簡単な話だ。元凶を自分達自身で片付けて貰おう。」


「貴様まさか・・・」


彼の反応に大佐は楽しそうに両手を広げてこう大声で叫んだ。


「近いうちに来るだろうな!世界中からかき集められた、選りすぐりの!冒険者達がっ!この国へ、お前達を皆殺しにするために!」


大佐は愉快げに笑う。願わくばそんな彼等と戦えれば、どんなに楽しいことか。それを思うと興奮は止まらない。


「それだけでないぞ?お前達のその浅はかな行動は、我々を本気で怒らせたのだ。本国より、次々と増援が来るぞ?それら全てを倒せるとでも?」


「・・・」


大佐の言葉に彼は少なからず動揺する。今思えば、確かに浅はかな行動とも思えた。しかし、後戻りはもう出来ない。


(それにあの男が言ったのだ・・・間違いなく信用出来るあの男が。)


彼は何故か信用出来る、あの怪しげな男を思い出して、決意を固める。


そのタイミングで大佐に向かって攻撃魔法が飛んでた。


「むっ!」


だが大佐は、それをすぐに察知して大きく飛んで回避する。


放たれた魔法はそのまま誰もいない空間に数秒の間、炎で覆われる。そこへ魔法が放たれた方向から、4人の冒険者風の集団がミスリルの男へ駆け寄る。


「リーダー!援護に来たぞ!」


どうやら、彼と同じチームの様だ。これで数は5人、リバイリナ大佐は、己の状況を悟る。


「ふむ・・・ミスリル級のチームか。流石にちと厳しいな。」


大佐は目の前で戦闘態勢を整えるチームを冷静に観察する。


前衛は、最初に先程まで戦っていた剣士の男と、レイピアを持った女騎士に軽装備であることから恐らく盗賊の類いの細身の男に、後衛は魔法使いらしき女と神官の姿をした中年の男性がいる。


中々にバランスの良いチームだ。欲を言えば重装備の者がもう1人居れば文句無しだろうが、厄介であることには、変わらない。


周りを見てみれば数では圧倒しているといのに、列強側は少数の冒険者達に良いようにされている。実に情けない。


褒めれる点は、あの日本人集団であろう。意外にも一番勇敢に戦っているのだ。


銀級や金級等の比較的低位の冒険者を確実に倒していっている。よってたかって大勢で襲ってるのは、少し大人げないが、何処よりも仕事をしているのは、間違いないだろう。


一応、ガーハンス人やジュニバール人も戦ってはいるが、彼等は白金級やミスリル級の冒険者達に積極的に狙われているようで、どんどん死体をつくられている。


ただ、ジュニバール人の親玉らしきあの大男は、そんな冒険者相手にも日本人に負けない程に果敢に戦って向こう側の死体を次々と作り出していた。


今もその手に持つ大剣で同じ位の白金級の巨漢の重戦士と鍔迫り合いをしているところだ。


そして、大佐が最も気になっている点があった。


大佐はふと、冒険者達が立て籠っている建物へ視線を向ける。


冒険者の中には銃を使う者がいるのは知っている。しかし、それは火縄銃等の原始的な物を使用しているのだ。


しかし、今、視線の先にいる彼等は・・・


「我々の武器を使っている?」


大佐はそう呟いた。まさかだが、彼等はどうやってかは知らないが、自分達『列強国の銃』を使っていたのだ。何処の列強のまでかは分からないが、性能は良さそうだ。


もちろん全員ではない。中には魔法や弓矢を使ってる者もいる。しかし、明らかに連発式の銃を撃っている者もいるのだ。


そんな彼等に此方側は次々と撃たれている。今も近くの荷車に隠れて狙撃していたガーハンス鬼神国の兵士が撃たれて倒れたところだ。


(腕も悪くない・・・身体能力の高い彼等だからこその命中率なのか?それとも何者かが教え込んだ?だが、なんの為に?)


戦闘中にも関わらずに大佐は、悩んでいた。ふと、遠くから大勢の足音が聞こえたのでその方向を見ると自分の部下達が兵士を大勢引き連れてこっちに来ていた。


「しまった!?もう、来たのかっ!」


大佐は思わずそう叫ぶ。余りにも考えすぎていたようで、自分の遊ぶ時間に終わりが見えた事に衝撃をうける。


「居たぞっ大佐殿だ!援護しろ!」


「要らん要らん!お前達は来るなぁ!!」


部下の1人が自分を見つけてそう指示した。それに慌てて下げようとするが、そんな大佐の性格を熟知している彼等は無視して走る。


更には、別の方向からもレムリア連邦やガントバラス帝国の兵士もやって来た。


「これは!?」


「ぬぅ~!冒険者ごときがっ!お前達!連中を1人たりとも逃がすな!」


大佐は本格的に戦況が決まったことを悟る。それは目の前のミスリル級チームも同様で、大佐にこう言った。


「どうやら、ここ迄の様だな。これで終わりだと思うなよ?」


「ま、待て!まだ足りぬぞ!」


大佐はそう引き留めようとするが、盗賊が大佐に撹乱用の煙幕を出す。


「ぬ、ぬうぅ~!!」


それを受けた大佐は目を瞑ってしまう。気が付いた時には既に彼等は遠くにいた。


周りも不利を悟ったようで次々と撤収していく。それを追い掛ける列強人達だが、撤収を援護する為に建物からの狙撃が激しくなっているので、断念をする。


「大佐!ご無事ですか!」


部下がそう大佐に声を掛ける。無事なのは分かりきっているから形式的なものだが、それを大佐は無視して不機嫌そうに歩く。


それを部下は呆れたように首を振る。








ついさっき髪を掴んで逃がさないようにした銀級の軽剣士を、その身に付けている鎧の隙間を狙って小刀を数度刺して虫の息になったのを確認した五十嵐はその冒険者を離して周りを見渡す。


状況は良くない。数の上では圧倒しているというのに、倒れている死体の数は明らかに此方側が多いのだ。


「ちっ列強の軍隊も情けねぇな。」


五十嵐は冒険者相手に銃の撃ち合いで負けているガーハンス鬼神国の兵士を見てそう呟く。


「しっかし・・・冒険者の癖になんで銃なんて使ってやがるんだよ。」


建物の窓から狙撃している冒険者達を見て思わずそう呟いてしまう。


「ん?」


そこで彼はあることに気付く。


「あの拳銃は・・・俺等の所のか?」


五十嵐は遠目からだが、狙撃している冒険者の1人が構えている銃を見つめる。


見覚えのある銃、それは極道社会では、安価で信頼性のあるトカレフ銃に間違い無かった。


何故、奴等が地球にしか無い筈の銃をこの世界の、しかも冒険者が使っているのか?そう疑問に思ったタイミングで横からまた冒険者が剣を振り下ろしてきた。


「っ!邪魔すんな!」


五十嵐はそんな冒険者を蹴ってそう怒鳴った。すぐさま周りにいた組員がその冒険者を斬り付ける。


組員の1人が五十嵐に話し掛ける。


「兄貴!ご無事ですか!?」


「誰に言ってやがる?さっさと始末しろ。」


五十嵐はそう言うと近くにいた冒険者に狙いを定めて走る。


ちょうどジュニバール人の1人を殴り倒した金級の女格闘家を飛び蹴りで後ろに倒す。


「っきゃ!?」


女性特有の甲高く小さな悲鳴を挙げる女を見下ろした五十嵐は流れるような動作で手に持っていた小刀を胸に突き刺す。


「おっ?」


と思ったが女格闘家に、その一歩手前で五十嵐の腕を掴んで止められた。


「流石は金級の冒険者か・・・本土に引きこもっている俺でも大体は知ってるぜ。金級は冒険者としては成功した部類に入るんだろ?若いのに大したもんだ。」


「っ・・・黙れっ!」


そんな五十嵐の言葉を女格闘家はそれで殺すかと言わんばかりに睨み付けてそう言った。


「むっ・・・」


五十嵐は驚く。自分は全力で突き刺そうとしているのに、徐々にだが、小刀と胸との距離が離れていく。


全盛期は過ぎたとは言え、それでも其処らの一般人よりも身体能力に自信のある彼と力負けしていることに驚く。それも女を相手にして。


「俺も年かね。女相手にこうも手こずるとは。」


「舐めるなっ!」


女格闘家は両手で掴んで五十嵐の腕を押し返す。しかしそれを黙って見るほど五十嵐は甘くない。


五十嵐は唾を顔に垂らして女格闘家の動揺を誘う。


「っ!?下衆が!」


そんな罵声にも五十嵐は気にも止めずにヘラヘラしていた。


彼のそんな行動もあってか小刀があと少しで胸に刺さる所まで下がってしまう。


「っ!?~~~!」


女格闘家は何とか再度、押し戻そうとするが、それも虚しく遂に胸に小刀が触れる。


「グフッ!ガバッ!」


小刀が胸に刺さり、そこからズルズルと奥まで刺し込まれ肺が傷付いたのか、口から血と血泡を吐いてしまう。


「やれやれ・・・面は良かったんだがなぁ。勿体無い・・・」


完全に助からないと判断した五十嵐は最後にもう一度グッと力を込めて刺し込んでトドメを刺した。


立ち上がり吐かれて顔に付いた血を拭う。足元に倒れ付している女を見ているとその目は五十嵐を睨み続けていた。まだ息があったらしい。恐ろしい生命力だ。


「そう睨むなよ。」


五十嵐はそう言い捨ててその場から離れた。懐からハンカチを取り出して血脂で汚れた小刀を拭き取る。


そうしていると大通りから列強の軍人達が駆け付けてきた。それに続いて続々と軍が乱入してくる。


「・・・終わったのか?」


援軍が来たことにより、冒険者が逃げていく様子を見て五十嵐は、そう呟く。周りには血塗れの組員達が息を荒く吐いていた。


歴戦の彼等でも冒険者達との戦闘は消耗が激しいのだろう。その顔は疲労に包まれていた。


「どれくらい殺られた?」


五十嵐は近くにいた組員に聞く。聞かれた組員は気まずそうに答える。


「ざっと20人は殺られてます。他の列強共はもっと酷いですぜ。特にあのゲーソイの所は殆ど殺られてますわ。」


「他の所なんざどうでも良い!・・・ったく!あの人数相手に情けねぇ!」


周りを見ながらそう不機嫌そうに呟いた五十嵐はそこで木花を見つけた。


木花以外にもその手下らしき者も大勢いた。どうやら太田の手当てをしているらしい。慌てて止血してる所からかなり危険なのだろう。


「ん?」


そこで五十嵐はあることに気付く。木花達以外に明らかに日本人ではない者も複数人いたのだ。


「金髪の女に・・・使用人らしき2人、そして男?なんだあいつらは?」


五十嵐は訝しげに彼等を見る。どう見ても日本人では無く、ましてや列強人でも無かったのだ。


服装からして現地人であろう。だが何故こんな状況で木花達の近くにいるのか。あの冒険者達と仲間ではないのか?


そんな疑問がよぎり、五十嵐は組員を連れて木花の元へ近付く。彼等はそれにまだ気付いていない。






安全な所まで避難した木花は、すぐに太田を横にさせて傷口を塞いで声をあげる。


「急いで医者を呼んでこい!速くっ!」


その指示に手下の何人かが慌てて近くの診療所へ向かって走る。


本当ならば直接そこまで連れていけば良いのだろうが、出血が酷くこれ以上太田を揺らせば先に出血死をするのは明白なので、先ずは止血することを優先した。


「包帯はないのか!何でも良いから持ってこい!」


落ち着きが無い木花を見て、アリアが声を掛ける。


「落ち着けキハナ、神官に頼めばこれぐらいの出血は問題なかろう?」


治癒魔法を行使できる神官ならば、瞬時に傷を癒してくれるのを知っている彼女はそう提案したが、木花達は否定気味な様子だ。


それに疑問を覚えたクッダが思わず問いかける。


「何だ?なにか問題でもあるのか?」


「我々に魔法は効かないんだよ。」


井岡が代表して答えた。しかし、それに納得出来ないクッダは更に聞いた。


「効かないだと?・・・どういう意味だ?」


井岡は手短に説明する。


魔法の実在しない地球で生きてきた彼等だが、この世界に転移して数年が経過していたので、ある程度はこの世界の原理を理解していた。


木花たち地球人は、当然ながら魔力を有していない。


そしてこの世界の魔法の多くは、相手に魔法の影響を与える際に重要なのは繋がりを持つことである。


魔法を行使した際にその相手が持つ魔力と魔法が繋がる事で様々な変化をもたらしている。


そうすることで、相手の傷を治したり、身体能力を向上したりすることが出来る。


しかし、木花達のような魔力を一切持たない地球人は、魔法と繋がる手段を持たない故に魔法で癒したりすることは不可能である。


治癒魔法をかけても地球人には全く変化が無いのだ。


だが、体に直接影響を与える攻撃魔法の類いは、相手に魔力が無くてもその魔法のみで充分だが、間接魔法では地球人には、意味を成さない。


それを知っている彼等は神官では無く、外科手術等が行える医者に頼るしかない。


それらを聞いたアリア達は驚愕する。列強国でありながら、魔力を全く有していない彼等が信じられないのだ。


「そんな馬鹿な・・・」


「だがそれが真実だ。あんたらの中には魔力を察知出来る術を持っているようじゃないか。それを試せば分かる。」


「・・・」


アリアは尚も信じれずにいた。しかし、そのタイミングである集団が近付いていた事に遅れて気付く。


井岡達も気付いて、その集団を警戒して注視するが、すぐにそれを解除する。相手が何者なのかを察して。


「木花ぁ・・・この連中は何者だ?えぇ?」


その集団のトップである五十嵐は、血塗れのスーツのまま、必死に太田の手当てをしていた木花の胸ぐら掴んだ。


「っ!」


「聞いてんのかぁ?俺の質問に答えろ小僧。」


胸ぐらを掴んだまま離さない五十嵐を木花は睨み付ける。それに五十嵐は気分を害した様で唾を吐いた。


「何だその態度は?・・・武竜会直系傘下である王神組に対してどういう積もりだ。あぁ?」


そう凄む五十嵐だが、それに全く怯まずに木花はこう聞き返した。


「・・・何故だ」


「あ?」


「何故!組長を放っておいたんだ!?あんたが助けてればこんな事にはっ!!」


その態度に五十嵐の後ろにいた組員達が一斉に殺気を纏う。そしてそれは五十嵐も同様だった。


「おい餓鬼、口の聞き方に気を付けろよ。」


五十嵐はそう言うと胸ぐらを掴んでいる木花の腕を握り、無理矢理引き剥がした。


「っ!」


それに体勢を崩した木花に追い討ちを駆けるように木花の腹に前蹴りをする。


思わず後ろに倒れて静かに悶絶する木花の髪を掴みあげる。


「もう一度聞くぞ木花ぁ、そこの連中は何者で、どういう付き合いだ?

見たところ・・・バフマン人の様だが、あの冒険者共の仲間じゃねぇのか?」


その五十嵐の言葉にアリアが反応する。


「随分な言い様だ。少しは落ち着いたらどうなのだ?その血もいい加減に拭いたらどうだ?」


「女は黙ってろ。俺はこの餓鬼に聞いてんだ。」


「無礼なっ!この方をどなたと・・・」


「良いのだ・・・私はキム家の者だ。領政官の娘と言えばわかるか。」


「領政官?」


五十嵐は聞き慣れない単語に首を傾げるが横にいた組員が耳打ちをすると、納得したように頷いた。


「・・・あぁ成る程な。だが、妙だな。そんな高貴な家の者が何故、こいつとつるんでるだ?」


「なに、個人的な付き合いがあるに過ぎん。そなたが気にすることではない。」


「ほーん・・・そうなのか?」


五十嵐は木花の頭を持ち上げて聞く。それに木花は憎らしげな目を変えずに答えた。


「あぁ・・・そうだ。」


その言葉に五十嵐は木花の髪を放し、アリアと正面から向き合った。


それにセイル達が立ち塞がろうとするが、アリアは右手を挙げてそれを静止する。


両者共に一歩も引かない睨み合いの状況になる。


「お嬢さんや、肝っ玉があるのは認めよう。だが、おたくからは怪しい匂いがプンプンするな。」


「ほう、どんな匂いかな?」


五十嵐は鼻を何度も鳴らして顔を近づける。そしてアリアの首もと付近まで顔を近づけると、2人にしか聞こえない様な声音でこう言った。


「人殺しの匂いだよ・・・えぇ?」


「っ!」


その言葉にアリアは言葉を詰まらせる。その反応を確認した五十嵐は軽く薄ら笑いを浮かべて離れた。


「実に興味深いな。宰相相当の娘が、他国の陰の人間と関係があり、俺達と同じ匂いを持つ女・・・良いぜ。今回は下がってやる。当事者はいるしな。」


五十嵐は木花をチラリと見てそう言った。すると組員の1人が五十嵐に声を掛けた。


「兄貴、国防軍の連中が来やした。」


その言葉を聞いて周りを見ると確かに向かいの大通りから、武装した日本国防軍の隊員が来ていた。


「今頃来やがったか。ここはお前等に任せた。おい、木花、お前もこい。」


五十嵐は木花の襟元を掴んで歩き出す。これから大使館職員等からの面倒な事情聴衆は部下に任せて、五十嵐はさっさとその場から離れる。


だが五十嵐は最後にアリアの方を見てこう言った。


「こんな大事件になったんだ。互いに暫くは動けないだろうが・・・また、会おうや。」


アリアは五十嵐の言葉を無視して木花の方を見つめる。それを見た五十嵐は、からかうように言った。


「なぁに心配すんな。こいつには何もしねぇよ。そこの組長さんもすぐに治療を受けるんだ問題ない。今回のも俺達は被害者側なんだ。正当防衛で凌いでやんよ。」


「どうだかな、そなた等の国では、ヤクザというのは、随分と待遇が悪いようじゃないか。」


「けっ、こいつから聞いたのか?確かにその通りだが、俺達は武竜会だ。幾らでも逃げれる手段は持ってる。」


「こんな大事件でもか?そっちは何人も死んでおろうに?」


「けけけけっ。ここの大使館職員の弱味なんて沢山持ってんだよ。だからこの国にも大勢で来れたんだ・・・おっと、そろそろ離れないとヤバいな。あばよ。」


五十嵐は数人の組員と木花を連れて急ぎ足で離れた。


「お嬢様、私たちも離れましょう。」


トンニョの言葉にアリアは頷いた。しかし、視線の先は変えない。その意図を汲んだクッダが声を掛ける。


「奴なら大丈夫さ、また会える。急ぐぞ!」


その言葉に従いアリア達もその場から離れる。


その場には、残った井岡達や王神組の組員やゲーソイ等が遅れてやって来た各国の軍との対応をしていた。






場所は変わり、人気のない裏通りで息を切らしていた数人の集団がいた。


「はぁはぁ・・・追手はいないな?」


そう首もとにミスリルの冒険者プレートを付けている先程までリバイリナ大佐と戦っていた彼は自分の仲間にそう問い掛けた。


その言葉にこの面子で最も捜適能力のある盗賊が答えた。


「あぁ、奴等、俺達を追い掛ける程の余裕はないようだな。」


それに彼は安堵したように道端に腰を下ろし呟いた。


「ふー・・・奴の言った通りになったか。」


奴、という言葉に仲間が反応する。


「全くだ。今日、あの時間に列強人達が集まる、よくもまぁ・・・そこまでの情報を集めたもんだ。」


「だが、あの乱入者は予想外だったな。チェーニブル法国のリバイリナ・・・あの男は要注意人物だ。下手に関わるなよ?」 


「勿論分かってるよ。リーダーと真っ向から戦って無傷なんだから、奴の強さは嫌って言う位に分かるよ。」 


「一先ず、今日はこれで撤収だ。忘れるなよ。すぐに次がある。奴からの合図を待て。いいな?」


「了解だよリーダー。」


彼等はそう言い、暫く息を整えた後、その場から離れる。


誰も居なくなったと思ったが、物陰から1人の男が現れた。


誰も居ない空間でその男はこう呟く。


「奴?一体何者なのかね?・・・はてはて入国した途端にあの乱戦とはね。よりにもよって熊光組に王神組が巻き込まれるだなんてなぁ。」


その男は今日、入国したばかりの日本の裏の更に裏の公安のオタクであった。彼は懐から無線機を取り出して連絡をする。


「あぁ・・・もしもし?早速だけどヤバい事になったよ。うん、どうも何者かが裏で引いてるみたいだね。だから計画変更ね。こっちはこっちで自由に動かせて貰うよ。」


彼はそこで無線を切った。


「さて・・・冒険者達の言う奴とはいったい何者か、調べるかなー・・・ん?」


後ろから足音がしたので、彼はまた物陰に隠れる。


「ぜぇーっ!ぜぇーっ!」


そう荒く息を吐いて呼吸をしているのが聞こえる。彼は気付かれないように顔を出してその人物を見る。


視界に入ったのは大きな剣を持った大柄の男だった。服装から判断して列強の者であろう。


その大男は、膝をついて呼吸をして暫くするとこううねるように呟いた。


「糞っ!あの冒険者共めぇ!必ず殺してやる!キハナと一緒にぶち殺してやる!」


「?」


キハナという単語に彼は反応する。まさか、自分と同じ目標を狙っているのかと考えて。


そこで彼は思い出す。事前の情報で彼の顔写真を見たことがあった。


確か・・・ジュニバール帝王国出身のキョンムサのリーダー格の男だった筈だ。この街ではそこそこ名の知れたマフィアと覚えている。


しかも、先の乱戦にも大活躍していたのを確認している。



その大男、ゲーソイは乱戦後の軍人達から逃げたのであった。


本国では指名手配を受けており、自国の軍に捕まれば死刑は間違いないからだ。


何とか逃げ切れたゲーソイは暫くそうして休んだ後に、隠れ家へと向かうために立ち上がった。


そこでゲーソイは目の前に1人の男がたっていることに気付く。


「誰だ!」


ゲーソイは声を挙げて目の前の男を見つめる。見た限りでは、小柄ですぐに殺せるだろう。


その小柄の男はゆっくりと歩き、こちらに近付いてきた。


「動くな!殺すぞてめぇ!?」


その言葉に男は怖じ気づいたのか、そこでピタッと止まった。そしてこう口を開いた。


「あんた、木花とどういった御関係で?」


「あぁ?てめぇキハナの仲間か?」


それに男は首を横に振り、否定した。


「いいや、ただ同じ日本人なだけさ。」


「!・・・そうかてめぇも日本人か、ならちょうど良いな。」


ゲーソイはそう言うと大剣を抜いて近付く。間違いなく殺すつもりなのだろう。


それを見た男は溜め息を吐いて懐から銃を取り出す。


「っ!?ちぃっ!」


銃を見たゲーソイは、慌てて地面を思いっきり蹴り出して男を斬り殺そうとその剣を振り下ろす。


しかし、男は冷静に銃口の狙いをゲーソイの膝に定めて撃つ。


サプレッサーを付けた銃は辺りに銃声を出すことも無く、膝を破壊し、ゲーソイのバランスが崩れた。


「ぐぅっ!?」


ゲーソイは思わず剣を手放し、無様な姿を晒してしまう。


「糞っ!てめぇ等日本人は、卑怯者ばかりか!?」


「ノーコメンツで。」


彼はそう言い容赦無く額に銃弾を放つ。





物言わぬ死体となったのを確認したオタクは、銃をしまいこう呟いた。


「ごめんね?木花はまだ泳がしときたいんだわ。」


オタクはそう言い、その場から離れる。







場所は変わり、バフマン王国の王都の日本国大使館では、多くの職員が走り回っていた。


先の列強人と現地人との大規模な銃撃戦により、多数の死傷者が出た。


問題は更に深刻で、その現場に日本人が大勢居たこと、そしてその死傷者の中にも日本人がいるということだ。


しかもその日本人は、堅気ではなく、よりにもよって裏社会の住民であるヤクザであることだ。


現在その場にいたヤクザは何とか全員を収容したようだが、状況は非常に不味い。


真っ当な者では無いとは言えども、仮にも日本人が殺されたのだ。政府が動かなくてはならない。


「すぐにソウバリンに居る全ての日本人をこの大使館に集めろ!それと、あの熊光組とかいうヤクザ共は、絶対に逃がすなよ!?奴等の事務所やけいえいしてる店は全て捜索しろ!」


この大使館の責任者である岩井大使は部下に次々と指示をする。そこへ職員が携帯を持って報告をする。


「岩井さん!本国からお電話です!」


その報告にすぐさま、岩井はその携帯をぶんどるように取る。


「もしもし!?状況は先程申し上げた通り緊急事態です!直ぐに第1即応艦隊を送ってくださ・・・はぉ!?ふざけてるんですか!?」


岩井の様子に周りにいた職員は一瞬動きが止まる。それに構わずに岩井は電話の相手に怒鳴るように話す。


「とにかく、すぐに部隊を寄越してくださいよ!こっちはそちらが思ってる以上に深刻なんてすよ!?分かってるですか!?あ、もしもし!?・・・糞っ!切りやがった。」


「どうしたんですか?」


「艦隊の到着が遅れるだとよ!」


「はい!?」


「港から出たのは良いが、天候の悪化に、大型の海獣の出現が重なってるからもう暫く待てだと?ふざけやがって!」


岩井はそう言って机を叩く。そして近くにいた国防隊員に聞く。


「この大使館にいる隊員は、200名、そうでしたね?」


「はい。そうですが、通信科や衛生科等も含まれるので、純粋な戦闘員だとその半分の95名です。」


「・・・あのヤクザ共は、押さえつけれますか?」


「奴等は全員を収容していますので、一斉に暴れられても問題なく対処出来ます。ご安心を。」


その言葉を聞いて岩井は決心したように周りの職員に指示を出す。


「よし!・・・今日中には何としてでも国内の日本人を保護するんだ!いいな!?」


その指示に職員は勢いよく応え、再び動き出す。


岩井は願わくはこれ以上の問題が起きないことを心の底から神に祈る。


しかし、彼はこの後すぐに来る報告に血の気を引くことになる。





 日本国 東京


あの大事件から数時間後の夜中の22時、場所は変わり、日本国東京にいる野村総理は首相官邸で仕事をしていた。


何時もならばこの時間は仕事は終わって眠りに着いているが、今日は違う。


バフマン王国の事件の報が来てから次々と来る報告の対応にこの時間まで仕事をしていたのだ。


そんな時に野村総理のいる部屋に突如、2人の男が入室した。


ノックも無しに入ってきた2人を見て野村は首を傾げる。


2人とも知っている顔だ。1人は官房長官で、もう1人は国防省の国防事務官の事務総長だ。


「今度は何だ?バフマン関連か?」


「そうですが、更に不味い報せです、総理。」


「昼間の銃撃事件よりもか?」


「その通りです。」


その言葉に野村は机から2人を凝視する。2人はそれに構わずに続ける。その内容は野村を驚愕させるのに、充分過ぎた。


「先程、バフマン王国の岩井大使から緊急の報告で、ソウバリンにて、大使館が暴徒達に包囲されたようです。」


「何だと!?」


「日本だけでなく、レムリア・ガントバラス・ジュニバール・ガーハンス・チェーニブルの列強国の大使館も全て包囲されている様です。」


「暴徒の中には昼間の冒険者も多数参加しているとか。しかし、問題は更にあります。」


「更にだと?」


事務総長が続けて報告する。


「バフマン王国の正規軍も一部が同時に反乱を起こし、暴徒と共に各列強の大使館を攻撃してます。」


「なっ!それは、本当か!?」


「事実です。すぐに第1即応艦隊に航空機の出動許可を出してください。それと特殊急襲制圧部隊の動員も願います。事態は一刻も争うのです。」


「わ、分かった!彼等の出動を許可する!バフマン王国政府にも急いで領空通過を知らせろ!」


野村は直ぐ様、出動許可を出す。事態は彼等の予想を遥かに越えた状況となった。





そして、バフマン王国のソウバリンでは、数千、いや、数万にも膨れ上がった暴徒が各国の大使館を襲撃していた。


そしてその場には木花とアリア達もそこにいた。


事態はあの大事件だけで終わりでは無かった。寧ろここからが地獄の始まりに過ぎない。

いかがでしたか?


いやぁ、ここまで遅くなって申し訳ないです。仕事が忙しくなってきたもので・・・


多分、今月の後半も投稿が厳しくなってくると思います。すみません。


さて、次は大使館襲撃編でございます!


ちょっと大事件編が期待以下であった方は申し訳ありません!


ここから更に激しくさせて頂きたいのでご勘弁を!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 事態は予想以上に大きくなっている様子、第1即応艦隊の一刻も早く到着する事を祈ります。 [気になる点] 弱みを握られていた大使館職員に明るい未来は無さそうですね、多くの一般日本人まで巻き込む…
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