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強化日本異世界戦記  作者: 関東国軍
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第42話 波乱の世界会議

第42話 波乱の世界会議



アトランティス帝国 首都アトランタ 世界議会堂


この世界の誰もがその名を聞いたことのある超大国このアトランティス帝国には現在、世界中の主要国の使節団がこの国の首都アトランタにある世界議会堂に集まっていた。


その理由はこの国で行われる世界会議に参加する為である。それらの中には、地球から転移してきた日本国と地球連盟国の大使もいた。


彼等は現在、世界議会堂の中にある世界会議室には、その大使達を護衛する者と大使の補佐官等も含めて100人は優に超える数がいた。


多数の大使が会議を行うこの部屋では、この世界議会堂の中で1番の広さを誇る広さで、この議会堂の中央部に設置されていた。


その世界会議室の中は、円形の議会席に各国の大使が着席し、その円形状の中心に設けられた席に今回の世界会議の主催国であり、議長に任命されたアトランティス帝国外務省のアクルトムズ・ウォーニール外務大臣が座っていた。


議会席は議長席に近い程、国際的地位の高い国が座る。つまり内側に座る国は、超大国・最上位列強国・上位列強国・列強国のことだ。


そして外側は多数の準列強国である。その中に今回の初参加の日本と地球連盟国の大使が座っていた。


そしてウォーニール議長が会議室をゆっくり見渡した後に世界会議の開催を宣言した。


「では、これよりっ!第17回世界会議を開催することをここに宣言するっ!」


その言葉に各国の大使はその議会席から盛大な拍手を送った。その後にウォーニール議長が続けて言葉を発した。


「前回の世界会議からこの3年の間に様々な出来事が起こった。それらについて論議したいが、その前に今回初めてこの世界会議に参加する国を紹介する。日本国大使と地球連盟国大使の両名は起立して自己紹介を。」


議長からの言葉に神谷大使とトールズ大使は同時に起立をして礼をしてから自己紹介をした。


「ご紹介頂きました、日本国外務省大臣の神谷勇治と申します。今回この世界会議にお招き頂だいて大変光栄に思います。」


「同じく地球連盟国外務省大臣ジョン・トールズと申します。新参者ですがどうかよろしくお願い致します。」


2人が自己紹介をすると拍手が起こり、2人は着席をした。それを見た議長は頷いて日本と地球連盟国から事前に教えて貰った情報を話した。


「うむ。この2ヶ国は知っている国もいらっしゃるでしょうが、もとは地球という星にあった国であるが、原因不明の転移によりこの星にきた国だ。」


その言葉に各国の大使達の多くは困惑した表情になった。事前に報道会社等からその情報を入手していたが、正式にそれが発表してもやはり少し信じられないものであったからだ。


「自己紹介も終わったので、本題に入る!まず最初にこの3年間に起こった出来事の中でも最も重要な事について論議する!それは、列強国であるオーマバス神聖教皇国及びレムリア連邦国の2ヶ国からの侵略を撃退し、オーマバス神聖教皇国を降伏させた先ほど紹介した日本国そして地球連盟国についてだ。この事についてレムリア連邦国大使より提案が出された。ドレムリット大使殿、お願いします。」


ウォーニール議長の言葉にレムリア連邦国大使のアンファーレド・ドレムリット外務議長が起立をして発言をした。


「はい。それでは、我が国レムリア連邦は、今回の戦争において、日本国そして地球連盟国は少なくとも列強国並の力を持っていると判断致しました。よって我々レムリア連邦はこの2ヶ国を正式に列強国に推薦し加入するべきと提案します。」


その言葉に議会は騒がしくなった。予期していたこととは言え、準列強国等は自国が次の列強国に推薦されるように努力して来たというのに、それを突然現れた国があっさりと推薦されたことに少なくない怒りがあった。


だが、列強国等は事前にレムリア連邦がそれを提案していたことは知らされていたので、全くと言って良い程、動じていなかった。


「静粛にっ!この加入提案についてだが、何か意見のある大使は挙手をするようにっ!」


そのウォーニール議長からの言葉で挙手をした国があった。その国はジュニバール帝王国の大使であった。


「それではジュニバール帝王国のアルマホモ・カモナリウス大使殿お願いします。」


「はい。では、確かにドレムリット大使殿の言う通りにあの2ヶ国は列強国を倒す程の力があることは認めます。しかし、幾らなんでもいきなり列強国に加入するのは、如何なものかと。我等は皆、準列強国から列強国へと段階を踏んでからそうなったのです。最初の3年間はまだ準列強国としてこの世界をもっと知ってからでも遅くはないかと。現に日本はエルミハナ大陸諸国に国際情勢に影響を与える程に極端な技術提供をして混乱を招いています。これは無視出来る問題ではありません。」


その言葉に多数の魔法文明諸国の準列強国の大使が賛同の声をあげた。


「カモナリウス大使殿の言う通り列強国などとんでもないっ!それは横暴だ!」

「そうだっそうだっ!」

「新参者がいきなり列強国など、認められん!」

「次の列強国には我がベガルタ帝国が相応しい!」

「何を言うっ!?数が多いだけの分際でっ!」

「何だと貴様っ!」

「幾らオーマバス教皇国とレムリア連邦を撃退したとは言え、確かにいきなり列強国は不安がありますな。」

「左様、その国際的地位を不当に扱う恐れがあります。」

「エルミハナ大陸と言えば・・・未発達の国が多い大陸の1つではありませんか。そんな大陸に問題がでる程の技術提供など、許容できるものではありませんな。」

「全くですっ!それでは勢力バランスが崩れ戦争を起きる恐れがあるではないてすかっ!」

「日本はその大陸諸国を使って戦争を始めるつもりでは?これは我等に対する宣戦布告と捉えても可笑しくないですぞ!」


この反応に神谷大使とトールズ大使は予想を上回る反感に内心で渋い表情をした。


「静粛にっ!意見のある方は挙手をっ!静粛にっ!」


議長が宥めていると、ガントバラス帝国のバニイリール大使が挙手をした。そしてカモナリウス大使に対しての怒声を上げた。


「何を言うっ!貴国はそうやって有望な国を縛り付けるつもりかっ!確かに無許可の技術提供は許容出来ないが貴国は転移して大混乱をしている国がこの世界の国際ルールを把握しろと言うのかっ!」


カモナリウス大使の言葉に今度は科学文明諸国の準列強国が騒ぎだした。


「そうだっ!そうだっ!」

「その通りだっ!日本も地球連盟国も既に列強国として必要な力を充分に持っている!」

「お前達魔法文明国は自分達の地位が揺らぐのがそんなに怖いかっ!」

「日本らに負けると思って不安なのかっ!」

「当事国であるレムリア連邦国が承認したのならば問題無いであろう!」

「確かに転移したばかりの国に国際常識を知ろというのが無茶があるぞ!」

「そんな無茶苦茶なことを言ってまで日本らを追い詰めたいかっ!」

「魔法文明国は臆病者が多いですからなっ!」


こうなると、魔法文明国の準列強国と科学文明国の準列強国の大使達が言い争いに発展した。


「今我々を侮辱したか!?」

「何を言っておるっ!貴殿の空耳であろう!」

「いいや確かに言っていたぞ!貴様ぁ!」

「ふんっ!群れてでしか動けない小物がっ!」

「そこまで言うかっ!お前達!あの若造を黙らせろ!」

「え!?し、しかし外交問題に・・・」

「ほぉ~護衛の者を使うかっ!そっちがその積もりならばお前達もあの老いぼれを黙らせろ!」

「た、大使!落ち着いてください!」


「静粛にっ!黙らぬかっ!!」


暴力沙汰になりそうなのを議長が止めるが言い争いは止まる気配がない。幸いにも護衛部隊は困惑して動きそうになかった。


神谷大使達はこれが国際会議とは思えない状況に困惑していた。堪らずトールズ大使は隣に座っていた準列強国の大使に質問をした。


「失礼、世界会議は毎回こんな感じなのですか?」


その質問に先ほどまで怒鳴っていた準列強国大使がトールズ大使の方を見て答えた。


「この臆病者めっ!・・・ん?あぁ、毎回このような感じですよ。こうして互いに足の引っ張りあいで牽制をしているのです。しかし今回は貴国等のお陰で我等も大きくでれますよ。はははっ!」


その言葉に流石のトールズ大使も苦笑いであった。


「そ、そうでしたか。」(予想以上に野蛮だな。これではいつ戦争が起こっても可笑しくないぞ?)


トールズがそう内心で呆れていると、議長がマイクだけでなく、自身の拡声魔法を使って大声で大使達を黙らせた。


「・・・よし、では続ける。先ほどの2ヶ国の列強国の推薦が出されたが、様々な案があることでしょう。しかし、皆さんの意見を聞いてはまた無用な争いが起きる。ここは列強国による多数決で決を採りたいと思います。」


その言葉に今まで黙っていた列強国の大使達が拍手をし始めた。列強国の大使達もこの怒鳴りあいにうんざりしていたようだ。


因みにこの決には列強国以外の超大国2ヶ国も参加することになっている。この多数決に参加する国は以下の通りである。




・アトランティス帝国 超大国

外務省副大臣 サミニバル・ジニミイル


・ムー共和国 超大国

外務省大臣 アリパトロ・ヴェネイラ


・チェーニブル法国 最上位列強国 序列1位

外務省大臣 ホリット・ケイソン


・ガーハンス鬼神国 上位列強国 序列2位

外務省大臣 レシーベ・モラナ・ガカリバ


・ガントバラス帝国 上位列強国 序列3位

外務省大臣 リガムシウ・バニイリール


・ジュニバール帝王国 列強国 序列4位

外務省大臣 アルマホモ・カモナリウス


・レムリア連邦国 列強国 序列5位 

外務議団議長 アンファーレド・ドレムリット

 

・ディネートモル首長国 列強国 序列6位 

外務省大臣 ババニア・リンジーメバ


・オーマバス国 列強国 序列7位

外務局大臣 ウォルト・イーサン


・パースミニア王国 列強国 序列8位

外務省大臣 リゾット・ベン・テヘラン


の計10ヶ国がこの多数決で日本と地球連盟国の列強国の加入を承認するかが決まる。



因みに初めて登場した序列6位の列強国であるディネートモル首長国とは1920年代のロシア帝国のような技術力で魔法文明国である。


人口は約8600万人で日本列島から西北に3万キロメートル先にあるエジプト程の大きさの島を2つと、200余りの島々を支配している国だ。



そしてこの多数決の参加国の大使達の前に数センチ程度の小さい紙が配られた。その紙は只の紙ではなく、念じるとその念じた言葉がその紙に刻み込まれる魔紙と呼ばれるものであった。


この魔紙は魔力が低い者でも短い単語ならば刻み込めれるので、科学文明諸国の大使でも使えるものであった。


配られた大使達は慣れた手付きでその紙を軽く握り目を閉じて念じた。


その後は紙を折り畳んでその紙を回収しにきたアトランティス帝国外務省の職員に手渡した。


(多数決とは言っても・・・魔法文明国と科学文明国同士で反対と賛成で別れるだろうけど、状況的に考えて決まらないんじゃないか?)


神谷大臣がそう心の中で呟いた。その通りで、魔法文明国は7ヶ国だが、その内の2ヶ国はオーマバスとパースミニアでそれが明確に科学文明側に回ったのだ、それで5ヶ国に減ったことになる。


そして科学文明側は元々3ヶ国であったが、これで5ヶ国になり丁度半分になる。しかし、これでは引き分けになり決まらない気がするのだ。


これに関しては初参加なので、周りの大使もそれを分かっているが慣習として形としてやっているのか、この事態が初めてで向こうも困惑しているのかが分からなかった。


(神谷大臣、これをどう思いますか?)


すると隣の席に座っていたトールズ大臣が小声で話し掛けてきた。


(どうもこればっかりは・・・貴方の方の大使殿に聞いてみては?)


(既に聞いてみましたよ。しかし向こうもこんな状況は初めてだと言っておりまして。場合によっては後日またということになるかも、とだけしか。)


(そうですか・・・やはり初めての事態でしたか。)


それから5分程でウォーニール議長に結果の書かれた紙が手渡された。議長はそれを広げて読み上げた。


「多数決の結果が出ました。日本国及び地球連盟国の列強加入案は・・・賛成が7票そして反対が3票でしたっ!よって列強加入は承認とする!」


まさかの賛成が7票という驚きの数に世界会議室内は驚愕の声が溢れ出た。


「何だと!?そんなバカな!」

「何故賛成が7票も・・・一体何処の列強が?」

「これは・・・まぁ我々としては有難い話だが。」

「幾らなんでも・・・これでは、我等魔法文明国はとうなるっ!」

「オーマバスとパースミニアは間違いないが・・・あとの2ヶ国は何処の国が?」

「はははっ!これで我々は安泰だ!」

「しかし新参者に列強の地位を容易く獲られたというのは少しあれですな・・・」

「ふぅむ・・・確かにそうだが、魔法文明国では無いのだからまだマシと言える。」


準列強国の大使達が驚く中、最上位列強国であるチェーニブル法国のケイソン大使は誰にも気付かれないようにホッと安心の息を漏らしていた。


(ジュニバール共め・・・あれほど日本らに突っかかるなと警告したのにっ!確かに科学側の勢力が増すのは度しがたいが、それで戦争になったらどうするつもりだ!バカがっ!)


賛成に回った国というのは実は、チェーニブル法国とアトランティス帝国であった。


というのも、これで日本等が列強国加入に失敗すれば、科学文明国と魔法文明国との関係は一気に悪化するのは間違いなく、それを恐れていたのだ。


ケイソン大使は、別に戦争事態を恐れているわけではなく、準備期間もない戦争を恐れているのだ。


今までならば、そこまで警戒をしなかったが、日本・地球連盟国が下位列強国とは言え列強であるオーマバス神聖教皇国を短期間で降伏させ、レムリア連邦を屈服させたのを聞いて侮る相手ではないとアトランティス帝国がチェーニブル法国に警告をしてきた為に今は無闇な敵対行動を避けるようにしていたのだ。


ケイソン大使はこの会議前にそうジュニバール帝王国・ガーハンス鬼神国・ディネートモル首長国の大使に伝えたのだが、向こうとしては科学文明側の列強をこれ以上増やすのは愚の骨頂だと捉えたようだ。


(はぁ・・・それでいきなり戦争になったらどうするつもりだ。我が国とアトランティスはまだ動くつもりはないからな?それに、我々も手はうつと言ったのに。)


そうケイソン大使が心の中で呟いていると、ウォーニール議長が宣言をした。


「この決により、ここに新たなる列強日本国と地球連盟国が加入することを認める!!」


その宣言に世界会議室内は喝采の音で包まれた。アトランティス帝国大使もチェーニブル法国大使の2人が拍手しているのを見て魔法文明国側の大使達も次々と不本意ならが拍手をした。


すると、アトランティス帝国大使のジニミイル副外務大臣が挙手をした。


「議長、新たな列強国が誕生しましたが、この2ヶ国は科学文明国であります。これでは国際バランスに崩れが生じてしまいますので、私の方から提案があります。」


「うむ、提案ですか?よろしいでしょう。」


と議長は言っているが彼はアトランティスの大臣であるので、その提案の内容を知らない筈がない。


「それでは、先程カモナリウス大使殿が仰ったように日本国と地球連盟国はエルミハナ大陸等の国々に対して無許可の大規模技術提供を行っております。これにより準列強国クラスの国が複数突如として現れました。これにより科学文明国側の力が極端に増大し、大混乱を招く恐れがあります。」


「ふむ、確かにそうであるな。」


ウォーニール議長がそう言うが、科学文明国側の大使達は今まで魔法文明国側が科学文明国側を追い詰めていた癖にと思っていたが相手がアトランティスなので言葉には出さなかった。


「そこで我が国は準列強国であるベガルタ帝国及びケネエシタラ連合王国に大規模な技術提供の許可を願います。」


その言葉にムー国外務大臣のヴェネイラ大使が挙手をして反対をした。


「議長!ジニミイル大使殿が提案した案は到底受け入れられるものではありません!これこそが世界バランスを崩す行為です!」


その言葉に他の大使達も同意した。ガントバラス帝国のバニイリール大使も声を出して反論をした。


「ヴェネイラ大使殿の言う通りです!これは超大国の立場を利用した悪質な行為です!」


それらの反対意見に今度はチェーニブル法国のケイソン大使が反論した。


「お二方、その発言はいくら超大国と上位列強国でもいささか無礼ですよ?それにこれは日本国らが無闇に技術提供をしたからです。貴国方はその行為を認めるおつもりですか?」


「そういう訳ではない!あの2ヶ国には厳重注意処分で今後そのような事が二度とないようにすればよいではないですか!」


そうバニイリール大使が反論した。しかしその発言に魔法文明国側のジュニバール帝王国のカモナリウス大使が発言した。


「それでは釣り合わないと言っているのです。科学文明国側が勢力を増せば万が一暴走を起こした時に止める為の手段が限られるのですよ?」


「我等が暴走すると言うかっ!」


「そういうことでは無い!もしもに備えることが大事なのだっ!」


そう怒鳴りあっている様子を見ていたムー国のヴェネイラ大使の頭の中に声が聞こえてきた。通信魔法を使っているのだろう。


『失礼、ヴェネイラ大使殿、私です、ジニミイルです。重大な事をお伝えしたいので、こうしました、』


『・・・何の用です?』


ヴェネイラ大使はそれに答えた。彼も一応幾つかの魔法を行使できるので応えることが出来た。


『そんなに警戒しないで下さい。用と言うのは、今回の技術提供の件についてです。承認をしてくれませんかね?貴国が頷けば他の科学文明国も頷くでしょう。』


『我々のメリットが無いように気がしますが、気のせいですか?』


『ヴェネイラ大使、我が国は日本国らの列強加入に賛成をしました。あのまま列強国の多数決で決まらずにいたら今度は準列強国も混ぜた多数決で決める予定でしたが、数で勝る我々の意見が反映されていた筈です。しかも議長は我が国の外務大臣ですよ。』


『我が国はそれを頼んだ覚えはないですが?』


『ですが、それでも貴国方は我々に恩があるでしょう?もし拒否するならば我々は日本の無断の技術提供をとことん吊し上げますよ?あの行為は準列強国は何処の国も本心では不満に思っているのはお気付きでしょう。大規模な経済制裁でもすればどうなりますかな?日本だけでなくそれを庇った複数の国でやれば?』


ジニミイル大使の言う事は確かである。科学文明国側の準列強国は日本を庇うような発言をしているが本心では、不満に思っている国は多い。


エルミハナ大陸という辺境の大陸が列強の支援を得て自国よりも発展をしているのは何処の国も怒りを感じるであろう。


ガントバラス帝国もバニイリール大使は知らんが本国の高官は良い思いはしていなかった。そしてそれはムー国にも当てはまる。


そしてアトランティスが日本に経済制裁をすれば何処の国もそれを行うであろう。別に魔法文明国だけならば日本は問題無いが、それを庇った此方側にも経済制裁を喰らえば経済にそれなりの影響が出てくるだろう。


損害はある程度は我慢出来るが国民の生活に影響が出れば元凶の日本に対して悪感情を持たれる可能性がある。科学文明国の主力を担って貰うのにそれで反日感情持たれるのは困る。


『・・・どれ程の技術提供を?』


『そうですな・・・まぁオーマバス程度で構わないでしょう。』


超大国や上位列強国程度ならば問題ない技術レベルだが、他の国の技術レベルを考慮するとかなりの技術だ。


(だが、今アトランティスらとの関係をより悪化するのは避けたい。悩んでる時間が無い・・・仕方あるまい。)


『その程度ならば問題無いでしょう。これで貸し借りはなしで。』


『ありがとうございます。それではまた。』


通信魔法が終わるとヴェネイラ大使は挙手をして発言をした。


「議長、技術提供案についてですが、賛成にします。確かに世界バランスを整えるにはそれが最も正しいでしょう。」


「なに?」


その言葉にバニイリール大使は激怒しそうになるが、その横に控えたいた副大使が慌てて抑える。そして耳打ちをしてなんとかバニイリール大使を落ち着かせた。


「急に意見を変えましたが、本当にそれで良いのですか?」


議長が確認の為にそう聞いた。周りでは主に科学文明国側の大使達が困惑しているのが分かる。


「はい、問題ありません。」


「む、ムー国がそう考えるのならば我が国も賛成します!」

「わ、我が国も同じく異論ありません!」

「一体何があったのだ?」

「もしやジニミイル大使殿と話し合われたのでは?通信魔法とやらで」

「何か取引したという訳ですか・・・」


様々な憶測が流れるが各国の大使達は超大国の2ヶ国が賛成したので、自分達も賛成にすることを表明した。


バニイリール大使は断固として反対するが、それも虚しく技術提供案は可決となった。


その様子を見ていた神谷大使達は自分達の行動でここまで荒れたことに驚いていた。


(エルミハナ大陸の件でここまで荒れるとは・・・早急に国際常識を把握しないといけないな。)


「それでは次にルバガタニア大陸にいる亜種属の巨大魔獣の大量発生についてだが・・・」


世界会議はこの後も続いた。


『チェーニブル法国』


最上位列強国であり、人口は約3億3500万人で技術レベルは1950年代のアメリカ並みの技術力を持っている。


領土はアトランティス大陸に4000キロメートル程の距離にあるアメリカ大陸と同等の広さの大陸を約半分を支配している。その隣国は準列強国のベガルタ帝国がある。



如何でしたか?


次回も世界会議編にするか、それとも新しい展開にするか悩んでいます。


どっちが良いですかね?感想辺りで答えて頂けると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[一言] >次回も世界会議編にするか、それとも新しい展開にするか 私は、新しい展開にする方に賛成します。 世界会議編で、これ以上描くべきことが有るとは考えにくい、そう思えるので。
[良い点] 日本と地球連盟国が無事に列強入りできてよかったです。 [気になる点] 確かに古株にとってはぽっと出の新参者に抜かれるのは面白くないでしょう。 国際会議で暴力沙汰寸前にまでなってしまうとは…
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