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強化日本異世界戦記  作者: 関東国軍
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第40話 アトランティス帝国という国

ちょっと説明みたいなのが多いかと思います。

第40話 アトランティス帝国という国


ムー共和国の使節団は、1週間の間日本に滞在した後、南方に位置する地球連盟国に向かった。


地球連盟国にも世界会議の招待そして国交開設を目的として入国したが、そこでもムー国のよりも高度な技術とデザインの車や街並みを見て驚愕していた。


世界会議の招待も国交開設も滞りなく済んだが、超大国としてのプライドと誇りを無惨にも砕け散った彼等は結局、超大国のアドバンテージを活かせぬまま本土に帰国した。


日本、地球連盟国の国交開設から既に半年が経過していた。今はもう11月、次の年まであと1ヶ月であった。そして世界会議は5月~7月の間のいずれかに行われる。そして今回は6月のアトランティス帝国領土で決定された。つまりあと7ヶ月後ということになる。


それにより、世界各国にある準列強国・列強国・上位列強国そして超大国は、世界会議の準備が既に本格的に始まっていた。


特に開催場所となるアトランティス帝国では、世界会議の会議場の設置等の準備で大忙しであった。


更に世界会議では、各国の代表が集まる行事だ。つまりここにくる迄には、その代表者を護衛する為の艦隊と特殊部隊を連れてくる。


それらの待機場所やそれを見ようと世界中から来る観光客や報道関係者の誘導等も含まれる為に、主催国の役人達は、毎回徹夜で準備をするのだ。




日本列島より西へ約60000キロメートルという日本の真反対にある大陸に超大国の1角であるアトランティス帝国があった。


面積はアメリカと同等の広さを誇り、所々に凹凸があるような楕円形の形をした大陸でその大陸をまるごと支配しているのがアトランティス帝国である。


魔法文明諸国の頂点に君臨し、経済力は世界一として名高い国である。


人口は約6億5000万人で異種族、亜種族問わず生活している。技術力は科学文明国とは大きく異なる為、不明である。しかし、一部の技術面においては、現在の地球国家を上回る可能性がある。



アトランティス帝国 首都 港湾都市 アトランタ


人口が2800万人を越える超巨大な都市で数多くの種族がアトランティス帝国人として生活していた。


日本の東京のように超高層ビル群こそないが、それでも200メートル級のビルが数多くあり、大通りでは、石油ではなく、魔法石で動く魔動式自動車が数多く走り回り、歩道には、人間やドワーフ、エルフは勿論のこと、身長5メートルはありそうな巨人に知性を感じるゴブリン・オーク・オーガまでもがいた。


更に上空を見てみると、街中を空を飛んでいる魔術師達が多くいた。軽く見渡すだけでも数百人はいそうだ。正に魔法文明ならではの光景であろう。


多種多様の種族が人権を認められその者達が知恵を溜め、この国を発展させていった。アトランティス帝国はそんな国であった。終わらない黄金時代の国、そうアトランティス帝国は呼ばれている。


そんな国の首都アトランタでは、幾つかの区画が分けられている。


まず1つがこの国で最重要区画である皇政中央区と呼ばれている区画だ。この区画は、皇帝をはじめとした各大臣・長官・局長等の政治・経済を管轄する責任者達やその職員達が勤務する区画でこの世界で最も厳重な場所と呼ばれている。




次に軍事区画である。首都アトランタの防衛を担う軍事基地があり、首都内に海軍基地・空軍基地・陸軍基地が設置されており、ここでは、軍事を管轄する大将等と総勢10万人前後の軍人が駐在している。




そして次に経済特化区画だ。アトランタ内でも特に経済活動を中心とする区画で、国内の大企業がここに本社を置いたり、世界中の主要国の会社が支店を設置している為に商社ビルが数多く、この区画に集中して建てられている。そしてここには、毎日数多くの貿易船や空中船が往来してきている。


空中船とは、この世界で唯一アトランティス帝国のみが保有そして運用している乗り物だ。


高純度の魔法石を液体化にしてエネルギー放出率をより効率化にした燃料にして数千トンの巨大な鉄の船を浮かばすように出来ている。


何故、海上からではなく、空中に浮かばせるかというと、この世界でも海の割合は大きい。地球と同じ7:3である。そしてこの世界では、地球よりも遥かに海賊が多く、そして何よりも海中に潜む魔物が多く生息している。


特にアトランティス帝国は世界最大の魔法石の産出国だ。それはつまり地中に含まれている魔力が他の大陸よりも多く、その溢れ出た魔力を魔物が吸収しやすいのだ。


その結果、地上の魔物と海中に潜む魔物が吸収して強力な魔物になりやすいことになっている。空中を飛行する魔物は、基本的に空中で生活する時間の方が多い為、そこまで吸収はしにくいのだ。なお、海中の魔物は海底にある魔法石に反応して強力な魔物になることがある。


そんな事情があるためにアトランティスは、空中を飛行する乗り物を開発するようになった。その結果、アトランティスしか造れない空中船は、海賊の手にも届かず、海中の魔物にも恐れることがなくなった。稀に現れる空中の魔物もいるが、大抵は貨物船の大きさに驚いて逃げていく。


そんなアトランティスが保有している中で最大のものはアトランティス内で最大の運送企業であるアハァーム・テレット会社の全長380メートルの巨大空中貨物船だ。この空中船は去年に運用開始されたものである。速度は35ノットだ。




そして次は、工場区画だ。アトランティス国籍の工場がここに集められており、日々多くの工業品や日用品が製造されている。特にこの世界で使われている魔動式自動車の約7割がここで製造されていた。


また、この首都で使用されている魔道具も、この首都内にある工場だけで約8割を越える割合が製造されている。正に世界最大の工場区画だ。



その次は、生活区画である。この区画だけで首都の約7割を占める巨大な区画だ。2000万人を優に越える住民達の多くが生活する場所で50メートル級のマンションらしき建物が数百も建てられている区画だ。


そして、この区画内部には、人間やエルフ、ドワーフのような身長が一般的な種族が生活する場所とゴブリン等の身長が1メートル以下の種族が生活する場所、巨人やオーガ、オーク等の身長5メートル前後の大きな体格を持つ種族が生活する場所で分かれている。




そして、この上位生活区画となる、上層生活区画では、国内の大富豪達が生活をする区画で、この区画内に住む者達の中には世界経済に何らかの影響を与える程の大富豪がいる。


区画内には、タワーマンションの様な建築物が幾つもあり、更にこの区画は有名な観光名所にもなっている。


夜になれば、魔法による花火で区画内の夜を照らし、高位の生活魔法を唱えれる魔術師が区画全体の気温を一定に保つ。更に膨大な魔法石を集めそれを特殊な魔法技術で凝縮した魔法石の結晶を使い、100メートル級の建物を空中に固定して、アトランタのシンボルにした建造物は、世界一有名な観光名所となっている。


世界中の富裕層達がこの区画に毎年、数百万人もの観光客として訪れて、この国に莫大な金をいれているのだ。




そして最後が魔法研究区画である。この国が超大国になれた最大の理由である魔法の研究を目的とした区画だ。


この区画には、毎日多くの研究に使われる魔法石と国内から集められた高名な魔術師に学者が集い、毎日、多種多様な魔法が開発され続けている。


開発される魔法は本当に多種多様だ。


泥水を浄化する魔法

植物の成長を速める魔法

雑菌を消毒する魔法

太陽光からの紫外線を遮断する魔法

数メートル程度の広さの土地の天気を変える魔法

貧血を解消する魔法

消臭する魔法

喉の渇きを潤す魔法

埃を消す魔法

枯れた植物を治す魔法

紙の皺を無くす魔法

木材に防水効果をつける魔法・・・等々毎日こういった魔法が開発されている。


更にこの区画内に、初学校や中学校、高学校に大学

が集中して建てられている。


そして日常的なことを教える学校だけでなく、魔法を中心に教える皇室魔法学院という世界で最も有名な大学院がある。


この大学院に入ろうと世界中の魔法文明諸国の列強国等の富裕層達が自分の子供を入学させようとしている。


だが、外国籍の者が入れるのは、稀で基本的にアトランティス国籍の者しか入学出来ない。だが、この大学院に入学出来れば、将来は約束され、卒業した者の多くが高名な魔術師、学者、軍人として活躍している。


長くなってしまったがこの説明で、アトランティス帝国という国が常に発展の道を歩み続けている国だというのとがよく分かる。


そんな国の首都の皇政中央区の区画内にある外務省では、もうすぐ行われる世界会議への準備に大忙しであった。


「ジュニバール帝王国の大使から世界会議に来られる代表者の名簿が届きました!」


「チェーニブル法国より、準列強国のメホモニア王国の代表団を招待したいとのことです!」


外務省のとある一室では、連日、世界会議に参加する国からの報告、相談等の知らせがひっきりなしに来ていた。


そんな世界会議前に必ずくる現象を見て、この外務省の責任者であるアクルトムズ・ウォーニール外務大臣は、溜め息を漏らした。


「はぁ・・・毎度のことながら大忙しだな。」


そう呟いていると、外務大臣補佐官が茶色い封筒を持って歩み寄ってきた。補佐官は、周囲に目をやりながら、大臣の耳元まで近付き、誰にも聞かれないように報告をした。


「大臣、ムー国から日本国および地球連盟国の代表団の名簿が先ほど届きました。」


「日本国それに地球連盟国?」


ウォーニール大臣は、聞き覚えのある名前に眉を潜めながら思い出そうとした。数秒程でその国を思い出した。


「あぁ・・・あの大連合戦争の時の国か。何百もの国の名前を毎日聞くから忘れていた。それで?護衛の艦隊名簿も届いたのか?」


世界会議前には、代表団の名簿は勿論のこと、その護衛をする艦隊の名簿を開催国に提出する義務があった。艦隊だけでなく、地上での代表団の護衛を行う陸上部隊の名簿も提出しなければならない。


それを知っているウォーニール大臣は、補佐官にそう質問したのだ。


「はい。代表団の名簿と一緒にムー国の大使から直接貰ってきました。」


本来ならば、他国のそういった重要情報を持たせるのは、あってはならないことではあるか、日本と地球連盟国はアトランティス帝国とまだ国交を結んでいない為に、やむを得ずの処置であった。


そして、補佐官は手に持っていた、茶色い封筒をウォーニール大臣に手渡した。ウォーニール大臣は、その場でその封筒を開けて見た。普通なら自室に入り誰にも見られないように配慮するものだが、相手は超大国でもないので、彼はそういった気遣いは不要だと判断した。


「どれどれ・・・ふ~む、戦艦が無いとは、いや、ムー国のようなミサイルを使うと聞いたな。だが、イージス艦?聞いたことがないな・・・ムー海軍のモンフォールド艦みたいなものか?」


彼の言ったモンフォールド艦とは、ムー国が開発した艦艇の搭載する艦載システムで、地球でのイージス艦と似たようなものである。


そして、ウォーニール大臣が読んだ2ヶ国の代表団の護衛艦隊の内容が以下の通りである。


日本国 護衛艦隊


国防海軍


ヘリ空母 1隻


大型イージス艦 1隻


ミサイル駆逐艦 2隻


給油艦 3隻


の合計7隻から編成された護衛艦隊だ。更に別の用紙に陸上護衛部隊の名簿もあった。


日本国 内閣総理大臣直属特殊部隊 


特殊急襲制圧部隊 30名



そして次に地球連盟国の護衛艦隊と陸上護衛部隊である。


地球連盟国海軍


原子力空母 1隻


イージス巡洋艦 1隻


ミサイル駆逐艦 3隻


給油艦 4隻


地球連盟国 陸軍 特殊部隊


グリーンベレー 30名


というのであった。因みに地球連盟国の特殊部隊のグリーンベレーは、異世界転移後に、再建した特殊部隊である。アメリカ・ロシア・中国の現役軍人から選出された多国籍特殊部隊である。




「ヘリ空母・・・そして原子力空母?、ヘリ空母はともかく、この地球連盟国の原子力空母とは一体何なんだ」


世界会議での護衛艦隊では、基本的に戦艦・空母・巡洋艦を連れてやってくる。


特に空母は、上位列強国の中では関心が高く、いかにして大きく、そして多くの航空機を搭載出来るか関心が高まっている。


そして、この2ヶ国も例に漏れずに空母を連れてきたことにウォーニール大臣は、そう反応した。


「しかし、両国ともイージスなるものを連れてくるようですね?」


補佐官がそう言う。彼等はイージス艦がどんなものなのか分からずにいた。


「もし、ムー国のモンフォールド艦のようなものでは、もし、戦争にでもなった時に、いささか脅威では?」


「さぁな。軍事には詳しくない。我々が今、ここで論じても意味がない。さっさとこれをコピーして国家防衛省に見せろ。軍事にはあいつ等に見せた方がいい。それに、例え脅威でも、我が国には、あの戦艦がいる。問題はない。あと、お前はすぐに戦争になったなどとぬかすなっ!我々は戦争を起こさないようにするために居るのだ。それを忘れるな。」


ウォーニール大臣は、そう補佐官に注意した。その言葉に補佐官は、謝罪した。


「も、申し訳ございません!」 


補佐官はそう言い、書類をコピーして国家防衛省の方へ向かった。


「・・・日本に地球連盟国、新手とはいえ、世界情報通信会社のこともある。警戒すべき相手だな。皇帝陛下にも御報告した方が良さそうだ。」


そう言ってこの場を後にしようとしたが、ここであることに気が付く。


「ん?待てよ・・・確か世界情報通信会社では、国防軍なんて無かった筈だ。あー・・・そうだっ!自衛隊だった!何故呼び名が変わったんだ?元からあったのか?」




       軍事区画 空軍基地


ここアトランティス帝国軍がアトランタ内に駐屯する区画の空軍基地では、ある空中船が青白い光を出しながら、この基地に着陸しようとしていた。


空軍基地内には、戦闘機を離着陸する為の滑走路があるが、それ以外にも、空中船を離着陸させる為の長方形のコンクリートで固められた区域があった。


戦闘機用の滑走路が約5000メートルぐらいで基地内に3ヶ所あるが、空中船・・・いや空中戦艦用の離着陸スペースは縦80メートル、横400メートルの区域が全部で4ヶ所あった。


その内の1ヶ所に今、空中戦艦が着陸の最中であった。


付近には、魔動式の手振りライトを持った信号官が空中戦艦の操縦者に合図を送り、その周りには、その空中戦艦の整備や燃料・弾薬補給の為であろう、多くの整備士らしき者と乗り物があった。


そしてその空中戦艦は、ズシーンと音を出して後に、青白い光が消えて着陸を完了した。




空中戦艦 「エドバニア」


全長320メートル


最大幅58メートル


速力 41ノット


兵装 


魔動砲 52センチメートル砲弾 2連装 3基


副砲 30センチメートル砲弾 単連装 10基


魔動自動追尾機関砲 40ミリ弾 2


魔動式対空ミサイル 40発


魔動式自動散布爆弾発射基 8基


魔動式電磁波放出機


魔動式自動防御魔法展開機


飛行型魔動式ゴーレム発射基 2基


その他 武装 多々あり


という能力を持っており、アトランティス帝国しか保有していない空中戦艦であり、海上を進む軍艦よりも強力とされている艦だ。


「エドバニア号たった今、着陸完了しました!」


空中戦艦にある艦橋で、操舵員の1人が後ろで座っている男性に報告をした。


「うむ、ご苦労。私はこのまま大臣と面会してくる。この艦を任せたぞ。」


「了解っ!」


この空中戦艦エドバニア号の艦長である空軍所属のメザフォン・ニッパヘレ空軍大佐は、そう言ってこの艦から降りた。 


艦の下半分に地上から階段を取り付けられた場所から降りた後、この基地に来ていた国家防衛省の職員が大臣の元まで案内をした。しかし、彼は途中で後ろを振り向いてエドバニア号を見た。


海上を進む軍艦の様に上半分は主砲や艦橋や魔動式レーダーが搭載されており、このまま海上を進んでも違和感が無さそうな見た目をしていた。


だが、艦の真下にも主砲が2基が付いており、しかも様々な発射管が見えていた。下半分の横にも副砲が取り付けられており、空を飛んでいようとも、死角がないようになっていた。


艦の真下の4隅には、先ほどまで青白い光がその4ヶ所に出してあったが、その場所を見てみるとその青白い光を出す四角形の放出口らしきものが見えた。


止まっているこの艦を見た者は多くの者が、この威厳溢れる兵器に恐れをなすであろう。そう艦長が思っていると、さっきまで先導をしていた国家防衛省の職員が声を掛けた。


「艦長、お急ぎください。大臣がお待ちです。」


「あぁ、分かった。すぐ行く。」


職員の案内の元、基地内にある司令官の部屋まで歩いた彼は、ノックをして、入室をした。


「失礼します。メザフォン大佐ただいま帰還しました。」


部屋に入ってそう敬礼しながら、周りを確認すると2人の男性が部屋で座っていた。


1人はこの空軍基地の司令官であるシュコルフ・イバナ空軍中将であった。


もう1人が、国家防衛省の大臣であるモバレド・カルニハナ大臣だ。


「うむ、ここからでも着陸の音が聞こえたよ。ご苦労であった。まぁ座ってくれ。」


「はっ、失礼します。」


カルニハナ大臣がそう言って彼を椅子に座らせた。


「いきなりで済まないが、先ほど外務省から書類が届いた。日本と地球連盟国の艦隊に関するものだ。」


メザフォン大佐は、すぐにこの2ヶ国について思い出す。数ヶ月前から何かと軍内部で、話題になっていた国だ。


「世界会議の護衛艦隊についてですか?」


「その通りだ。その艦隊の編成報告が届いたのだ。別にそれだけならば、話し合うものでもないが、何せ今回はあの噂の国だ。こうして話し合いたいと思ったのだ。」


イバナ中将が、そう言ってメザフォン大佐に護衛艦隊の編成書類を見せた。メザフォン大佐もそれを受け取って中身を読んだ。


「・・・原子力空母ですかっ。これを製造して運用するとは、この地球連盟国は、もしやムー国並みの技術力をっ!」


「恐らくそうだろう。確か原子力にはウランという鉱物資源を使う筈だ。それならば向こうはそれだけでなく、核兵器なるものを開発しているかも知れん。」


「っ!!・・・もしそれが事実ならば、油断出来ない相手です。」


「全くもってそうだ。そして日本にも書いてあるが、このイージス艦、ムー国のモンフォールド艦のような物だと仮定する。そうなると防空能力もそこらの上位列強国以上ということになる。あくまでもこれは仮定である。だが、過小評価をしてオーマバスの二の舞はごめんだな。」


「・・・となると、今の海軍には、この2ヶ国は少し手に余るということですか?」


メザフォン大佐の質問にイバナ中将は、肩を竦めて反応した。


「海軍の連中は絶対にそれを認めないだろうが、ひょっとするとその可能性はある。だが、大連合戦争での情報では、ミサイルらしきものが使用されたと聞く、そして、恐ろしく速い戦闘機、黒い化物のような見た目をした兵士・・・調べれば調べる程、面白くなってくるよ。」


「閣下はそれを欺瞞だとは思わないのですか?」


「最初は私もそう思ったが大臣がそれを否定した。」


「あぁ、そうだ。私も調べて見た。知り合いの魔術師に千里眼の魔法を使ってだ。」


「千里眼っ!それを使える魔術師殿がいらっしゃるとはっ!」 


千里眼とは、主に捜索等に使われる魔法だが、捜索魔法の中では最上位魔法であり、使える者は限られていた。


この魔法は術者が発動すると、その場にいながら、遥か先の光景を見ることが出来る。術者の技量によるが、最大で数千キロ先まで可能だ。


だがそれでも、自衛隊の駐屯しているオーマ島まで足りないので、その術者はわざわざヨンバハーツ大陸まで行ったのはまた別の話である。


「その者によると、音速を出していると思われる戦闘機と黒い怪物を見たらしい。更に調べて貰おうと思ったが、その直後に魔力切れで、気絶してしまったらしい。お陰であの者に法外な金を要求されてしまったよ。」


「な、なるほど、閣下はそれで信じることにしたのですね?」


「そう言うわけだ。今度の世界会議は中々に面白いことになりそうだ。」


「楽しそうですね。」


「未知なるものと知り合えるのだ。これ程までに楽しいものはない。それに、だ。」


イバナ中将は、一呼吸置いて話を続けた。


「・・・このアトランティスが超大国となってから、我々軍人は、何度戦場にいったか分かるか?」


突然の問題に少し困惑するが、メザフォン大佐はこれまでの歴史を思い出し、答えた。


「確か・・・バサラマニア海戦とベッソール戦争くらいてしたね。」


「そうだ、たったの2回だ。しかもその2回が我々空軍は録に参加出来ずに陸軍と海軍で終わらせてしまった。更に酷いのはベッソール戦争では陸軍のほんの1部隊で撃退したということだ。」


ベッソール戦争・・・アトランティス帝国が支配している大陸の周りには、島々があるが、それらの島に文明を持った国が支配していた。


それらの国々をアトランティス帝国は超大国になって以降、属国として統治し続けていた。最初はその統治方法が限界まで搾取をするものであった為に、属国の1ヶ国のベッソール王国がその統治に我慢の限界が来て反乱を起こしたことで起こった戦争だ。


ベッソール王国は、準列強国並みの技術と国力を持つ有力な国であり、この反乱に複数の属国も参加し、対アトランティス連合軍が結成された。


ベッソール国の島に30万もの大軍が終結され、今にもアトランティス帝国の支配するアトランティス大陸に上陸すると思われたが、それは叶わなかった。


アトランティス帝国陸軍の特殊部隊が対連合軍の司令官達そしてベッソール王国の王族と大臣達が特殊部隊によって皆殺しにあったのだ。


指揮官がいなくなった連合軍は、指揮系列が崩壊して連合軍は戦うこともなく、解体され、この反乱は終結した。それ以降、アトランティス帝国は全ての属国と属領の統治方法を変え、穏和政策がとられるようになった。


そしてこの特殊部隊は、アトランティス帝国軍内部

でも特に身体能力、魔力の高い者が選抜されて入隊する部隊でアトランティス帝国軍はこういった部隊を複数保持している。


アトランティス大陸は、魔法石が大陸中に豊富にある為に、その魔力を帝国人が吸収して魔力を高めた者が多いので強力な軍人が多いのだ。


その為にこれらの特殊部隊の中には、たったの1人で数千もの兵を圧倒する程の力を持っている。冒険者でいうところのオリハルコン級の強者や魔鉄鋼級の伝説級の者まで在籍しているのだ。


そんな強者がいる為に空軍はまともに参加せずに戦争が終結して、戦課を上げることが長い間出来なかったのだ。それ故に空中軍艦というものが開発されても陸軍や海軍は大して注目しなかった。


「私はな、楽しみなのだよ。我々を活躍させてくれるかもしれない国の存在にだ。」


「戦争をする前提でそう楽しむのは如何なものだと思うぞイバナ中将。」


カルニハナ大臣がそう言ってイバナ中将に注意をした。


「これは申し訳ありません。しかし、どうしても期待してしまうのですよ。私の勘では日本国はムー国を上回る国だと思っています。」


その言葉に2人はきょとんとした。まさかの言葉にそう反応してしまったのだ。


「ムー国をですか・・・それは日本が聞いたら喜びそうですね。仮にそうだとしたら交戦したくありませんね。私は」


「敵を過小評価するのは愚かだが、過大評価も誉められたものではないぞ?」


2人のその反応にイバナ中将は苦笑いした。確かに普通はそう応えるであろう。彼は一応、個人的に千里眼で偵察を頼んで正確な情報を得ていて、それを上に報告書を提出したが、信じてはくれなかった。


これは仕方のないことだと、諦めたが、いつかこの報告が役に立つだろうとも考えていた。


「やはりそう反応しますか。まぁ私個人の感想です。ただ・・・私はそうだろうと確信していますよ。あの国はきっとムー国を上回る大国だと。」


その確信めいた言葉に2人は互いに目を合わせる。彼の勘はよく当たるというのは余り聞かないが、千里眼を行使する者からの情報を得ているのもあり、信憑性があるのだ。ひょっとしたらというもので困惑してしまう。


その2人をよそにイバナ中将は非常に楽しみそうな表情で呟いた。


「あぁ・・・楽しみだ。いつか楽しませてくれよ、日本よ。」


彼の言葉は日本に届くことはないが、いつか日本と自分の空中軍艦が交戦したとき、彼の夢が叶うことを願った。

如何でしたか?ここまでありがとうございました。


誤字脱字報告いつもありがとうございます!


遂にアトランティス帝国の詳細が出ましたね!まだまだあの国の力が不明な所が多いですが、どうかご期待下さい!


追伸 3月11日 21時52分にアトランタの都市人口を変更致しました。


これ以降に読まれた方には影響はごさいません。

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― 新着の感想 ―
[良い点] アトランティス帝国は意外とまともでした。 反乱を起こされたのを機に融和政策に切り替えたのでしたら反乱を起こした兵士達も報われそうです。 [気になる点] 帝国の工業力の殆どが首都に集中してい…
[気になる点] あれ? 今気付きましたが、空中戦艦、速力は海上戦艦とほとんど変わりませんね? ということは、違うのは、空を飛べて三次元機動ができることだけ、ということになる。 ASM-3改のような大威…
[気になる点] アトランティス帝国という国、意外にも、傲慢でも独善的でもなく、好戦的でもないようですね。 しかし……うろ覚えですが、以前こんなことを聞いた覚えがあります。 「国内に武力を養いすぎ、しか…
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