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強化日本異世界戦記  作者: 関東国軍
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第32話 急展開

遅くなりました!


本当にすみません!

第32話 急展開



        オーマ島上空 


ここオーマ島の上空10000メートルという、この世界では一握りの者しか到達出来ない高度を、複数の物体が飛んでいた。


それは、日本の爆撃機と戦闘機である。爆撃機は「よざくら」が6機で、戦闘機はF-32Jがその護衛として21機。合計27機だ。


彼等はオーマバス神聖教皇国に降伏勧告を行ったが、それを無視し攻撃をしてきたことから、更なる爆撃が必要だと判断し、このオーマ島内にある主要基地の爆撃に向かっている。


攻撃する箇所は全部で3ヶ所だ。2ヶ所はオーマバス陸軍基地であり、残りの1ヶ所はオーマバス海軍基地である。


それぞれに「よざくら」が2機とF-32Jを6機ずつ向かわせることになっている。


F-32Jの残る3機は、首都に向かわせて再度、爆撃をする。これはオーバマスの首脳陣に直接の警告を与え、首都の住民に心理的打撃を与えるのが狙いだ。


もしこれでも降伏しないのなら、本国から更に爆撃機を動員して、オーマバス最大の工業都市デモホンニア(ドバラキ公国の使節団から聞きだした)に、大規模な爆撃を行う予定である。


ただこれは、多くの民間人を巻き込んでしまうこと、戦後の反日勢力が増えることが懸念されるため、なるべくならやりたくないのである。





      同地域 「よざくら」機内 


この日本最大の爆撃機のコックピットでは、4人の搭乗員がこの機体を操っていた。無線で基地や他の機体と交信しながら。


その時、司令部から無線が入る。


「こちら司令部、まもなく散会ポイントに到着する。これより各機は各々の爆撃目標へ向かえ。」


「こちら1番機、了解。」


「こちら2番機、了解。」


と各機から返信が入り、27機もの飛行機は複数のチームに別れて爆撃ポイントへ向かった。


1番機の向かう場所は、オーマ島の北東の端にあるオーマバス陸軍基地へと向かう。


パイロット達は、衛星写真から作成された地図を元に、飛行経路を確認していた。







  オーマ島 北東 オーマバス陸軍基地

       「フームンブ基地」



ここはオーマバス陸軍の主要拠点の1つで、基地の周囲は民家や農地が一切無く、荒野となっていた。


基地の周囲で実弾を使用した演習を行い易いため、常に数万を超える兵士が駐屯している、オーマバスでも有数の大きさを誇る基地だった。


基地内には、兵器を保管する倉庫のある区画と兵士達が寝泊まりする区画、訓練区画や高い建物が多い司令部区画等、4つの区画に別れており、兵器を保管する区画では、大砲や魔動ゴーレムに、亜種族に装着する装備等が倉庫内にぎっしり入っていた。


そして司令部では、首都にいる軍の高官から命令書が来ており、基地司令官が困惑していた。


「う~む・・・ここまで酷いことになっているとは・・・」


60代程の立派な髭を伸ばしたドワーフの司令官は、自分1人だけとなった私室でそう呟いた。


その原因となっている書類には、第1級極秘指令という、本人しかその情報を閲覧してはならない極めて重要な内容が書かれていた。


レムリア連邦が宣戦布告をした為、フームンプ基地に駐屯している第3・4師団を即刻、オーマ島北部のアルカハヤ基地に移動させ、戦闘に備えさせるように。


という内容だった。


彼は、自身が想定していた以上にこの国が追い詰められている現状を把握し、戦慄した。


ちなみにアルカハヤ基地とは、オーマ島北部の中心部にある陸軍基地で、オーマバス陸軍基地の中で2番目に大きい基地である。


ちなみに当然、そのアルカハヤ基地も爆撃目標の1つである。


そこに、この基地の主力である第3と第4師団を送るということは、この基地が手薄になることで、それは、万が一この基地にレムリア連邦が襲来してきた際には、この基地を見捨てると言っているようなものだ。


このフームンプ基地の周りは、確かに何も無く、大きな道路も無い。そのため、万が一ここが占領されても、そこからすぐに主要都市や首都が攻撃を受ける可能性は少ないが、それでもこのオーマバスの中でもかなりの歴史を誇る基地であり、多くの部下がいるのだ。


レムリア連邦に攻撃でも受ければ、圧倒的な数に呑み込まれて、すぐに陥落するだろう。


感情面で考えると、どうしても不満を感じるが、彼は軍人だ。嫌でも従うしかない。


司令官はそう考え、その指令書を発火魔法で燃やした。


その上で、部下に派遣部隊の編成準備をさせるため、机に置いてある小型の魔信に向かおうとする。しかし突如、基地内に空襲警報が鳴り響いた。


ウぅぅぅぅぅぅウ!


「っ!これは空襲か!?」


司令官がそれに気付いた時、廊下から複数の足音が聞こえた。扉が開いて飛び込んで来たのは、彼の側近達であった。


「司令官!日本の爆撃です!地下室へ避難してくたさい!」


「日本だと!?レムリア連邦からではなく?」


司令官の反応に、側近の1人が報告する。


「先ほど見張り員から魔信による報告が!単葉翼の大型飛行機とその護衛と思われる小型の飛行機を確認したそうです!とんでもない速度で飛行しているとのことから、レムリア連邦ではなく日本のものだと思われます!急いで避難してください!」


「あ、あぁ解った。すぐに行く。」


派兵どころではなくなった事態に困惑しながら、通路を急ぎ足で歩く彼ら。廊下にある窓を見ると、基地内では、多くの部下達が、対空砲を準備しており、外に置いていた大砲等を頑丈な倉庫に収用していた。


「日本の飛行機は恐ろしく高性能だと聞くが、防衛体制は強化しているのか?」


「いいえ、首都の爆撃以降、強化する予定だったのですが、数日ではさすがに無理でした。」


「そうか・・・糞。だとすると不味いな。敵の正確な数はどうなんだ?」


「数機程度とのことですが、連中の爆弾は、軍務局の頑丈な建物を地下まで貫通したそうです。油断はできません。」


そう司令官達が話している間に、とうとう敵機が来たらしい。外から対空砲を発射する音が聞こえてきた。


ドドドドドドッ!!


「っ!遂に来たか!地下まで間に合ってくれよ。」


司令官はそう祈るが、突如、爆発音がした。その爆発に廊下を走っていた彼らは驚く。


ドガアァァァン!


「糞っ!予想よりも速いな!」


「司令官!急いで下さい!」


そう部下に急かされるが、次の瞬間、部下がいたその場所が爆発した。F-32Jの放った対地ミサイルが、司令部の建物をピンポイントで直撃したのだ。


その爆風と熱風をもろに受け、近くにいた司令官達は瞬時に絶命した。


外の基地でも、主に兵舎が爆撃されていた。迎撃準備を急いでいた兵士達は、その爆撃に慌てる。


ドガアァァァン! ドガアァァァン!


「糞っ!なんなんだよ!空襲警報からそんなに時間が経ってないだろうが!」


「見張りは何をやっていたんだ!?というよりも速く撃ち落とせよ!」


「お前達!ガタガタ言ってないで、さっさと退避しろ!ここはもう駄目だ!」


兵舎の外では既に対空砲を撃っていたが、砲弾が上空にいる敵機に届いているようには見えなかった。


「なんだ?たったのあれだけか?」


彼等の目の先には、数機のF-32Jが見えていた。


「いや、後方に別のがいるぞ!?」


「あ・・・あれってかなり高いところにいるのか?てか周りにいる奴等、かなり速いぞ!あんなの当たるのか!?」


「いや、そもそも届いてないぞ!?」


慌てて兵舎から出てきた兵士達は、爆撃を受けているというのに、見たことのない速度で飛ぶ戦闘機に呆気にとられていた。


爆撃とはいえ大した数ではないことと、この種の経験が無いことで、兵士達には、どうすればいいのか判らなかったのだ。


オーマバス軍というのは、爆撃を受けた経験が殆ど無く、戦闘機という物を軽視していた。その為に空軍も、最近になってようやく創設されたのだ。


そういった事情があるのだが、呆気にとられる兵士達を見て上官が怒鳴る。


「貴様等!!ボケッと立ってるんじゃない!早く反撃せんか!!」


その言葉にようやく、兵士達は慌てて対空砲に駆け寄った。





その頃の日本の爆撃部隊



     爆撃機「よざくら」1番機


「・・・そろそろ投下するか?」


地上を見ていた爆撃手がそう言う。


「いや、あの高い建物に投下しよう。おそらく司令部だろう。敵の指揮系統をマヒさせられるかもしれん。」


そうパイロットが提案する。そこまで移動すると、爆弾倉が開き、爆撃手が投下ボタンに手を掛ける。


「・・・投下!」


その言葉を合図に投下ボタンが押され、約30トンの爆弾が、高度8000メートル上空から投下された。


更に、その少し後方を飛行していた2番機も投下を開始する。


合計約60トン・・・450発余りの小型無誘導爆弾が、フームンプ基地内の司令部区画に向けて落下する。


先ほどまで呑気に見ていた兵士達は、その様子を見て今度は愕然とした。


たったの2機から投下されたとは思えないほど大量の爆弾が、この基地で最も重要な区画に落ちて来るからだ。


勿論、司令部区画にもそれ相応の防衛設備が整っているが、それでもあの数の爆弾をどうこう出来る筈がない。


ヒュウゥゥ~


爆弾が空気を切る音と共に落下する。




    フームンプ基地 司令部区画


その頃、司令部区画にいた将校達は、重要な書類等を持てるだけ持って地下にある避難所へ向かおうとしていた。


「みんな急げ!」「おい!押すな!」「痛てて!足を踏んでるって!」「何やってんだ!速く進めよ!」


区画内にある施設の廊下では、将校達が慌てて避難するが、無情にもそこに大量の爆弾が降り注ぐ。


バババババババアァァァァァァン!!!


短い時間で多数の爆発音が重なり、遠くにいても耳を抑えたくなる程の轟音が辺りに響く。


呆然としていた兵士達も思わず耳を抑えていた。中には、腰が抜けて動けない者もいた。




任務を完了したのか、上空にいた敵機が引き返し始めた。対空砲は、逃がさずに撃ち落とそうとするが全く当たらず、ただ砲弾を消費するだけだった。


この爆撃により、司令部区画は、約7割以上の施設が破壊され、倉庫区画もミサイルにより、2割近くが破壊されていた。


基地の司令官は勿論のこと、副司令官、施設長や基地内の上位に立つ者達が亡くなったことにより、フームンプ基地では大きな混乱が生じた。



このフームンプ基地だけでなく、アルカハヤ基地も爆撃を受けており、甚大な損害を受けていた。この基地では、運良く司令官と施設長が生き残っており、迅速とは言えないが、それでも比較的早く復旧作業が行われる。


別の目標である海軍基地では、司令部区画はそこまで破壊されなかったが、代わりに基地内にある5つのドックや、修繕中の軍艦が破壊された。


軍艦は兎も角、すべてのドックが破壊されたことにより、この基地での軍艦の修理が不可能になってしまった。





    オーマバス首都 シンメネリア


この人口数百万を誇る巨大都市では、先日の空襲の一件により、今の教皇や政府に対して不満を感じる者達がいた。


だが、その不満を言うものならば、都市内を警備している警察や憲兵達に問答無用で連行されるため、表だっての変化は無かった。


今日もいつも通りの日常だと思っていた住民達は、上空から聞こえてくる轟音に、それは勘違いだと思い知らされる。


その音の発生源は、上空5000メートルをマッハ1.4で飛行して来た日本の戦闘機F-32Jである。


この3機の戦闘機は、オーマバス政府と国民に、2度目の警告を与えにやって来たのだ。


「あ、あれは!日本だ!奴等の飛行機だぁ!」


「な、何でだ!?まだ3日しか経ってない筈なのに!」


「そんなことよりも、速く逃げろ!」


住民達は、政府から事前に、日本の空襲の可能性が有るとは、知らされていなかった。今日も絶対にくるという保証は無かったため、もし今日来なければ、余計な混乱を招くのを防ぐためだ。軍のメンツのためでもあるが。




3機の戦闘機は、轟音を発しながら首都上空を飛び回っていた。


事前に空襲が起きると知らされていた、兵士達も急いで対空砲の位置に着いて発砲するが、前回同様に全く当たる様子がなかった。


ドドドドドドッ!


「糞、やはり駄目だ、全然当たってない・・・」


「あいつら前回の奴と違う。あんなに速いだなんて・・・どうすれば!?」


彼等は、自分達が見てきたどの航空機よりも圧倒的に速い機体に、手も足も出ない状態だった。


飛び回っていた3機のF-32Jが、ミサイルを放つ。その目標は、この国の最も重要で歴史のある宗教施設、オーマバス大聖堂だった。


バシュン~! バアァン!!


幸いこの時、大聖堂内には誰もいなかった。大臣や教皇達は、別の建物の重要人物専用地下避難所にいたので、人的被害は無かった。


だが、国の象徴であるオーマバス大聖堂は、ミサイル攻撃により、建物の正面が崩壊してしまった。


度重なる改修工事や強化魔法により、どの建物よりも頑丈になっているため、完全な倒壊はしなかった。しかしそれでも、大聖堂が攻撃により大きな被害を受けたという事実は、オーマバス国民に衝撃を与えるには充分過ぎるものだった。


大聖堂を大きく損傷させ、満足したF-32Jは、そのまま対空射撃を無視して帰還していった。


1度ならず2度までも空襲を受けて、軍務局に続き大聖堂までもが損傷した事実に、オーマバス国民は大きく動揺した。






 オーマバス神聖教皇国 臨時政府地下会議室


首都シンメネリア内、オーマバス大聖堂の代わりとなるオーマバス議事堂の地下で、緊急の会議が行われていた。


その会議室には、教皇と各分野の大臣らが集合していた。だが、軍務大臣の席だけが空席だった。


彼は、第1師団の敗北をいち早く知った後、家族を連れて何処かへ逃亡してしまったのだ。


現在は、憲兵達が必死に捜索しているが、足取りは掴めていない。


そんなことがあったが、教皇達はそれを置いて今、直面している問題について論じる。


宰相が口を開いた。


「・・・皆さんも把握しているでしょうが、オーマバス陸軍の第1師団が敵の上陸部隊と交戦、敗走しました。師団長の直轄攻撃部隊は全滅。師団長自身も戦死しました。」


「そして、奴等にまたもや空襲を受けた・・・ということですね?」


教皇が報告を遮って宰相を睨んだ。宰相は悪くはないが、不機嫌な教皇に対して、そんなことを言える者はいない。


「は、はい。そういうことになります。」


「空軍は何をやっていたのです?」


その言葉に、軍務大臣席の後ろに立っていた、その補佐官が答える。彼の顔色はかなり悪そうだった。


「はっ!・・・空軍は現在、稼働率が低下しておりまして、出動が遅れました。更には、陸軍の各主要基地も爆撃を受けており、もはやすぐに動かせる師団はありません。海軍も同じように、殆どの軍艦は、動かせるような状態ではありません。」


「植民地にいる艦隊はどうなのだ!」


教育大臣がそう質問する。だが、それを植民管理大臣が反応する。


「な、何を言う!?植民地の艦隊を動かしたら植民地の全てを失う可能性があるのだぞ!!」


「そんなことを言ってる場合か!植民地よりも本土の方が重要だろうが!!」


「そうだ!今本土には異教徒共が上陸して、あまつさえこの首都に爆撃をしてきたのだぞ!植民地は放棄するしかない!」


「そんなことをすれば、戦後はどうなる!?国内の工場は潰れ、産業が崩壊するぞ!!」


「それは困る!そんなことになれば、我々の立場が無くなるではないか!なんとしてでも植民地の軍は、動かすべきではない!」


「お前達は何を考えている!?軍を動かさなければ、それこそ我々は終わりなのだぞ!?」


大臣達の間で、言い争いがおこり、それを教皇は疲れた目で見ていた。


(・・・なぜこうなった?ワグスは何を考えているのだ!?自分達だけ助かろうとするなど!!どうすればいい?・・・もはや講和も出来ない。降伏などもっての他だ。糞っ!!)


「第一、今は国民の信用が地に落ちているのだ。植民地を優先すれば、更に酷いことになる・・・何事だ!?」


財務大臣が話していると、突如扉が開く。飛び込んで来たのは、この議事堂の警備兵だった。彼の表情はひどく強ばっていた。


「い、一大事です!!」


その報告に大臣らは顔を見合わせた。


「何だ!暴動でも起きたのか?だったら早く兵を送って鎮圧させろ!それも予想の範囲内だろうが!」


先ほどまで怒鳴っていた植民地管理大臣が不機嫌そうに言った。だが、その言葉に警備兵は首を横に振った。


「そうではありません!軍務大臣が挙兵をして、この議事堂内に侵入されました!」


その衝撃的過ぎる報告に、大臣らと教皇は呆然とした。まさかあの男が、そこまで大胆なことをするとは思わなかったからだ。


「・・・あいつ!我らを差し出して自分だけ助かろうとしているのか!!!」


先に立ち直った外務大臣がそう言う。彼は日本に媚を売って助かろうしているのだ。


このまま逃げ回っても、すぐに家族と一緒に捕まって悲惨な末路をたどる。それならば、挙兵して日本に降伏すれば、首の皮一枚は繋がるだろう。彼はそれに賭けたのだ。


「急いで退避してください!もうすぐそこまで来てるのです!!」


その言葉に大臣らは我先へと退出した。教皇も近衛兵に守られながら退出した。






その頃の軍務大臣は、議事堂内に200人程の兵士を連れて侵入していた。


彼は議事堂の門にいた警備兵を買収しており、すぐに侵入できた。


「行け行け!地下にいる愚かな政治家共を捕らえてこの戦争を終わらせるのだ!!」


彼は、挙兵したあとで国民に戦争を終結させることを宣言し、この戦争を終わらせた英雄として生き残る計画を立てていた。


第1師団を撃滅した連中は、すぐに報復に首都を爆撃してくると考えて、首都に潜伏して爆撃が来るのを待っていたのだ。


そして、住民らが恐怖で震えているところを突いて、挙兵。首都の住民らの支持を得て、日本に降伏することにしたのだ。


どうせ、逃げ回ってもまともな未来なんて来ない。それならば、一か八かで挙兵して成功する可能性に賭けた方がマシだと考えたのだ。


議事堂に突入した兵士達が、地下へ進んでしばらくのち、部下が報告をしてきた。


「大臣!逃げていた大臣らを捕らえました!」


「っ!そうか!!よくやった!お手柄だぞ!教皇も捕らえたのか!?」


「い、いえ。それが・・・教皇は、近衛兵が護衛しておりまして、返り討ちにあいました。」


「な、なんだと!?教皇がいなくては意味がない!捕らえろ!なんとしてでも教皇を捕らえるんだ!」


軍務大臣は、教皇を今回の戦争の最大の原因として日本に差し出すつもりなので、その報告に大いに焦った。





その頃の教皇は、近衛に守られながら地下を走り回っていた。


「猊下、まもなくこちらに秘密の通路があります。」


「そうか。」


近衛の言葉に教皇はホッとしたように反応した。


(あの男め・・・恩を仇で返しおって!)


暫く進むと、通路に辿り着いたのだろう。近衛が立ち止まった。


「猊下、ここです。」


近衛が言ったその場所は、何もないただの壁だった。だが、近衛が呪文を唱えると壁は消えて、通路が現れた。


「む!幻術か。」


教皇はその正体を見破る。幻術の魔法は脳に影響を与えるものなので、高位の術士でないと使えない魔法なのだ。


「左様です。これは近衛の隊長クラスの者にしか知らされていないので、ご安心ください。」


教皇と近衛の計12名は、そのまま通路へと進んだ。全員が通ったのを確認した近衛は幻術の魔法をかけなおし、通路はまた何の変哲もない壁へと戻った。



軍務大臣達は、既にいない教皇を血眼になって探していた。



すっかり遅くなってしまいました。


本当にすみませんでした。


ちょっとリアルの方が今週に入ってから忙がしくって、来週もかなり忙しくなるので、遅くなると思います。


さて、いかがでしたか?


ちょっと今回は自信が無くて・・・問題があれば、ご指摘ください。

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― 新着の感想 ―
[一言] メルリンバス教は穏健派か穏健になれる派閥以外は解体物理でしょうね。 歴史的に見て宣教師がよき教師であり隣人であった時期は存在するので植民地も教化だけではなく高等知識層としてまともに運営されて…
[気になる点]  メルリンバス教そのものの末路も気になりますね。滅びるとは思えませんが、敗戦後は、それまでの権威は完全に失われる。  日本がオーバマスに『宗教の自由を認めること』を要求するのは確実だし…
[気になる点] そう言えば気になることを一つ。 教皇が『降伏などもってのほかだ』と考えるのは、なぜなのでしょう? メルリンバス教の権威そのものが失われるからでしょうか?
感想一覧
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