表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
強化日本異世界戦記  作者: 関東国軍
29/102

第24話 日本とメニア公女

第24話 日本とメニア公女


海上自衛隊 第1潜水隊群 


日本が世界に誇る潜水艦の精鋭艦隊は、ヨンバハーツ大陸との間にあるオーマバス海軍基地を、先行して攻撃していた。





第1潜水大群 輸送潜水艦 「はぜ」型


この潜水艦は、対中国戦において中国軍の秘密基地を強襲する為に開発された、輸送型の潜水艦だ。丸い筒の様な船体が上下に2つ重なっており、上の筒が陸上戦力を待機・発進させる場所になっている。


全長 97.5メートル


全幅 24メートル 


喫水 6.8メートル


水中排水量 9800トン


水中速力 19ノット


乗員 90名   輸送人員 120名


兵装 660ミリ魚雷発射管 2門






加えて、「そうりゅう」型とその次級の「たいげい」型が参加していた。


この潜水艦隊は現在、日本から800キロメートル離れたオーマバス海軍基地の近海10キロメートル程にいた。


水深200メートル 「そうりゅう」型 


「艦長、敵の駆逐艦の動きを確認しました。港から出るようです。既に射程距離に入っています。」


「そうか・・・では、攻撃開始だ。他の潜水艦にも命令を、特に海獣共を優先的にやれ。」


「了解」


艦長の命令により、533ミリ魚雷が港から出港しようとしている駆逐艦に放たれた。


続けて他の潜水艦も、停泊している駆逐艦・戦艦や海獣らに狙いを定めて魚雷を発射する。


その後、2隻の輸送潜水艦「はぜ」型が浮上し、上部の筒のハッチが開き、まず最初にスクリュー装備を着けた特殊急襲制圧部隊が発進する。



最初に狙いを定めた駆逐艦が爆発し、その後も停泊していた駆逐艦・戦艦の爆発を確認した後、海中で潜んでいた特殊急襲制圧部隊は先程、魚雷によって倒した海獣の死体を避けて両側の港に上がった。


そこには、港で炎上している戦艦の消火作業を行っている兵士達がいた。彼等はいきなり黒い化物が現れたことに驚き、手に持っていたホースを落とす。


「ひぃっ!」「な、何者だ!?」


だが、隊員は構うことなく、背中に掛けてあった重機関銃を手に持ち発砲する。


ドガガガガガガガアァン!


「うぎゃあぁぁ!!」「て、敵襲だぁ!!」


兵士達は大慌てで隠れるが、殆どはいきなりの襲撃に対応出来ず、殺られてしまう。


その最中、隊員の1人が、反対側の港の建物に数人が入るのを確認。無線機で別の班に知らせる。


「こちら、A班、そちらの港で基地の責任者らしき人物が建物に入るのを確認した。急げ。」


「こちらB班、了解。これより上がる。」


まだ上陸していなかったB班が、反対側の桟橋に上がる。そこでも突然の出現に、敵兵達が驚いていた。


間も無く、両方の港の制圧が完了。数人が、これから来る本隊の援護のために待機していた。


「もうじき本隊が来る。警戒を怠るな。」


「「了解」」


その返事の後にボートのエンジン音が聞こえ、海上を5隻の大型ボートが来るのが見えた。


5隻のボートは両側の港に止まり、100名の陸上自衛隊員が上陸する。


「第2師団所属第1中隊ただいま到着!これより制圧に取り掛かる!」


「こちら本部、了解。迅速に行動せよ。」


その後、特殊急襲制圧部隊と合流した陸上自衛隊は建物に入り、制圧作戦に移行した。


特殊急襲制圧部隊B班は、司令官らしき人物が逃げた建物に向かう。この基地の責任者を生け捕りにする計画だった。


その中の1人が、4人の兵士に連行されている女性を発見した。その女性はこの基地には似合わない高貴な服装をしており、彼は困惑する。


(・・・なぜここに女性が?)


そう考えていると、前方の兵士が発砲してきた。だが、パワードスーツは小銃弾程度ではびくともしない。それを知っている彼は、そのまま敵の前に立ちはだかる。


銃が効かないのを見た兵士達は、動揺しているようだ。あの女性もかなり驚いているのが判る。


彼自身も内心困惑するが、とにかく女性を保護しようと決める。向かって来る彼に、動揺している兵士達は、女性を連れて逃げ出した。


「逃がすかっ!」


彼も走り、重要人物かも知れない女性を追い掛ける。その直後女性は転んでしまい、兵士達は必死で立たせようとするが、諦めて置いて逃げた。


女性に声を掛け、話してみると、なんと彼女は異国のお姫様だという。


自分の仲間を助けてくれと乞われるが、取り敢えず安全な場所まで避難させることにした。


彼女、メニア公女を連れて戻ると、10人ほどの陸上自衛隊員がフォーメーションを組んで待機していた。


「っ!ご苦労様です!・・・その女性は?」


この部隊の隊長が尋ねてくる。彼は取り敢えず、彼女がドバラキ公国の公女であること、日本に軍事支援を要請するために来たこと、この基地に彼女の仲間が捕らわれていることを説明した。


「それは・・・本部に聞いてみないと動けませんね。私の方から報告しておきます。」


「お願いします。私はこれから、この基地の制圧をするので、この方をお願いしますね。」


「かしこまりました!健闘を祈っております!・・・それでは殿下、我々に着いてきてください。」


「解りました。どうぞ宜しくお願いします。」


メニア公女は、緑色の迷彩柄を着た兵士達に従う。彼らを疑っていないわけではないが、どうせ他に選択肢は無いのだ。


暫く進むと建物の広間に出る。そこには、迷彩柄の兵士以外にも、あの黒い化物が数人いた。


(あれ程の強さを持つ黒い兵士がまだいるのかっ!)


メニア公女がそう驚いていると、あの隊長らしき人物が近付いて来た。


「殿下、本部に報告しましたので、あちらでお待ちください。」


彼がそう指差したのは、広間の片隅にある椅子だった。メニア公女は素直に従い、そこに座る。彼女は、この基地の何処かに捕らわれている皆を案じた。


(カラナ・・・皆は大丈夫なの?あぁ!どうか無事でいて。)




特殊急襲制圧部隊 


彼等はこの基地の責任者を探していたが、無線で、他国の王族を保護したという報告が入った。追加任務で、その王族の仲間も保護することになった。


だが、まずは責任者の捕縛だ。責任者を捕らえ、オーマバス軍の情報を少しでも多く吐かせたいのだ。


建物の捜索中に何度も兵士達と遭遇した。


「うぁっ!」「糞っ!ここまで来やがったか!」


そう叫ぶ兵士達も直ぐに黙らせ、探しまくった。


隊員の1人が、地下に繋がる階段を見つける。


「隊長、ここに地下への階段があります!」


それを聞いた隊員達は集まり、フォーメーションを組んで降りた。階段付近には念のため数人を置いてだ。


慎重に降りると、そこは地下牢の様だった。空いている牢屋もあるが、何者かが入っている牢屋を発見した。


見張りも6人程確認した。全員が臨戦態勢だった。隊員らは一斉射撃で制圧することにした。


「いいな?3、2、1、で撃つぞ。」


「「「「了解」」」」


隊長の指示により、隊員達は腰に付けていたサプレッサー付きのハンドガンを、各々の目標に向け構える。


「3」


「2」


「1」


パスンッ  


隊員の一斉射撃により、6人の見張りは瞬時に、同時にその場に倒れた。


急に見張りが倒れたのを見て、牢屋に閉じ込められていた公女の部下達が驚く。


「な、なんだ!?」「何故急に倒れた?」「毒かも知れん!息を止めろ!」


そう騒ぐが、直ぐに隊員らが現れて更に騒ぐ。


「うぉ!?誰だ!」「ひぃっ!」「カラナ!下がって!」「何者だ!?」


混乱している彼等を落ち着かせる為に隊長が話す。


「皆さん落ち着いて下さい。我々は日本国の兵士です。公女殿下からの要請で、あなたたちを救出に来ました。」


その言葉に彼等は静かになる。だが、まだ怪しんでいる様子だ、無理もない。すると中から、若い女性が声をかけてきた。まだ10代後半だろう。


「あ、あの!姫様はご無事なんでしょうか!私は姫様のメイドのカラナです!」


その質問に隊長が答える。安心させる様に優しい声でだ。


「殿下はご無事ですよ。我々の仲間が護衛しておりますので、ご安心下さい。」


「それは本当なんですね?失礼、私は姫様の護衛を務めるハーリカです。」


「えぇ、勿論です。我々が合流場所まで送りますのでどうか信じて下さい。」


そう話している内に部下が、牢屋の鍵を壊して扉を開ける。


最初は怪しんでいた彼らだが、隊員らの説得により、地上に出ることになった。通路の途中で倒されているオーマバス兵を見て、カラナ達も次第に警戒を解くようになった。


「こちらB班、広間まで後少しで到着する。」


隊員の1人が無線で、広間に待機している陸上自衛隊に報告する。合流する際に誤射を起こさない様にするためだ。


そうして、広間に到着した隊員とカラナ達はメニア公女と再会した。


すると、カラナというメイドとハーリカがメニア公女の元へ走る。


「姫様!」「ご無事でしたか!」


メニア公女も彼女等を目にすると笑顔で出迎えた。


「皆!無事であったか!」


そうして無事に使節団は再び合流することが出来た。感動の再会をまだ続けていたいが、メニア公女は大使としての仕事を思い出し、特殊急襲制圧部隊の隊長の前に歩み出た。


「今回の件、貴方方のお陰で救われました。心の底から感謝申し上げたい。」


そういい、メニア公女はドバラキ公国式の敬礼をした。他の使節団達も敬礼した。


それに隊長たちも、日本式の敬礼で応える。


「我々は職務を全うしただけです。どうかお気遣い無く。」


そう話していると、陸上自衛隊の隊長が持つ無線機から、声が聞こえて来た。


暫く無線で話したのち、特殊急襲制圧部隊の隊長に話しかける。


「先程、本部から指示が来ました。使節団は安全確保の為に、これより第1護衛大群旗艦「あかぎ」までお連れするようにとのことです。それと・・・」


小声で使節団には聞こえないように話す。


「彼女等が本当に使節団なのか確かめるため、現在、ハットバ国の外交官に確認しているようです。恐らく「あかぎ」の方にも外務省の者が来るでしょう。」


「わかった・・・殿下、これより皆様は安全確保の為、我々の艦隊までお連れいたしますが、よろしいですか?」


メニア公女は、念願の日本との交渉の糸口が見えたことに喜ぶが、それを顔に出さず応えた。


「勿論構いません。出来るならば、国家交渉が出来る方とお話ししたいのだが・・・」


「それに関しては、本部に報告しますので、ご安心下さい。」


「解りました。では、どうかよろしくお願いします。」


その後、基地内の制圧が完了した。司令官は、島のはずれに繋がれていたボートで逃げようとしたが、わずかに間に合わず捕らえられていた。もっとも、逃げ出したところで洋上で捕まる運命だったろうが。


基地の制圧後、港に輸送潜水艦「はぜ」が到着。メニア公女らは見たことの無い潜水艦に驚いていた。


「これは・・・初めて見る潜水艦だ。」


商船の船長はこれをまじまじと見ていた。他の乗組員達も珍しい物を見る目で見ていた。


メニア公女もカラナとハーリカ達と一緒に見ていた。


「姫様!凄い船ですね!あの筒にボートが次々と入っていきますよ!」


カラナは興奮した様子ではしゃいでいた。


「カラナ落ち着け。気持ちは分かるがお前も使節団の一員なんだから・・・」


それをハーリカがたしなめる。とは言えハーリカも興味深そうに見ていた。


メニア公女はひたすら「はぜ」を黙って見ていたが、そこに陸上自衛隊の隊員が近付いてきた。


「殿下、準備が出来ましたのでお乗りください。道中は我々がお守りしますので。」


隊員はそう言い、停泊している「はぜ」の開いているハッチを指差した。既にボートが1隻待機している。つまり、あれに乗って収容するのだろう。


「解りました。道中はよろしくお願いします。」


そうして、使節団は無事に日本と接触を果たし、第1潜水隊群の護衛のもと、第1護衛隊群に向かっていた。





ドバラキ公国からの使節団について報告を受けた日本政府は、ハットバ国の外交官に、実在する国であることを確認。そして状況から見て、日本に向け使節団を送った可能性が高いことも判明し、急ぎヘリで第1護衛隊群に外交官を送ると決定。


その後、外交官が対応をし日本に招待する予定だ。




いかがでしたか?


最近、投稿が遅れ気味ですみません!


でも失踪はしませんのでご安心下さい!


それでは、またお会いしましょう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] さて、前線基地がやられたことを知ったオーバマス側が、どんな反応を示すか。 当然、定時連絡はしているはずだから、早ければ数時間、遅くても一日で、オーバマス本国も気付きます。 そもそも、日本の反…
[気になる点] ちょっと気になるのですが、日本側、これでは簡単に信じすぎでは? メニア公女たちの言うことを。 彼らの言うことが本当かどうか、そもそも彼らが本当に外交使節団かどうか、それすらはっきりしな…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ