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強化日本異世界戦記  作者: 関東国軍
28/102

第23話 メニア公女

遅れました!


すみません!!

第23話 メニア公女


ドバラキ公国公女が乗る商船は出航してから既に2週間が経っていた。


だが、オーマバス海軍らの軍艦に見つかるのを防ぐために遠回りに航路を通っていた。


まだまだ食糧等は余裕があるが、一刻も早く日本と接触し、軍事支援を受けなければオーマバス神聖教皇国によって近いうちに祖国は滅ぼされてしまう。


それを誰よりも分かっているメニア公女は落ち着きが無かった。


そして、そのメニア公女は船内の王族専用の部屋でその長い金髪を弄っていた。


「・・・ハーリカ。日本にはあとどれ程で着く?」


今日で何度目かの質問にハーリカは慣れた様子で答えた。


「あれから順調に進んでいるので、あと数日程かと。」


「そうか」


その短い会話で終わるが、やはりメニア公女に落ち着きが無い。


(姫様のお気持ちも分かるが、この調子では不味いな・・・お体に悪影響が出ないか心配だ。)


そう女性親衛隊のハーリカは心配するがその直後に、メイドのカラナが大慌てでドアを開き、メニア公女の名を叫ぶ。


「姫様!!」


カラナのただならぬ様子にメニア公女は何が起こったか聞く。


「何事だ!もしや日本か?」


その言葉にカラナは首を横に振る。その答えは最悪なものだった。


「オーマバス海軍です!オーマバス海軍の軍艦が周りを囲むように現れたんです!」


その最悪な報告に2人は青ざめた。ついに恐れたことが起きたのだ。





ドバラキ公国の大使を取り逃がした報告を受けた教皇は軍務大臣に地方艦隊の総力を上げて捜索するように命じたのだ。



その為、軍務大臣は日本の通ると思われる海域にいた第1・第5地方艦隊に捜索命令を出していた。


その内の第5地方艦隊の艦隊が偶然見つけたのだ。


商船の周りには前弩級戦艦1隻と駆逐艦5隻が周囲を囲んでいた。




「とうとう、見つかったのか・・・あと少しなのに!」


そうメニア公女が悲観しながら呟くと外からオーマバス海軍の兵士が拡声魔法を使い呼び掛けていた。


「我々はオーマバス海軍である!そこのドバラキ公国の船は直ちに停船せよ!さもなくば砲撃して沈める!!」




その言葉に操縦室にいた商船の艦長は悩んだ。


「艦長!如何なさいますか!?」「ここは強行突破です!」「どうやって突破するつもりだ!姫様を危険に晒すな!!」「では、どうしろと!?もう少しなのですよ!?」


部下達の言い争いが起きた。皆、ここで諦めれば祖国は今以上に危ない立場になるのは間違いない。


だが、下手に抵抗すれば砲撃される。何が正しいのか分からなくなったのだ。


すると操縦室にメニア公女が入った。その姿に部下達は驚いた。


「姫様!?」


「・・・姫様!申し訳ありません。私が不甲斐ないばかりに見つかってしまいました。」


艦長が申し訳なさそうに頭を下げる。だが、メニア公女は気にするなと言い、命令を出す。


「こうなっては仕方ない。停船だ、下手に抵抗して殺されるよりはマシだ。」


「姫様・・・畏まりました。」


艦長は反論しようとするが、彼女の今にも涙か溢れんばかりの目を見て止める。


彼女も辛いのだと気付いたのだ。であれば従うしかない。生きていれば次がある。





その後、オーマバス海軍の船員が商船に臨検を開始し、直ぐにメニア公女らは見つかる。


メニア公女らはオーマバス海軍の弩級戦艦に乗せられた。商船はメニア公女を人質に取ったことで素直にオーマバス海軍軍艦に付いてきた。


その後、オーマバス海軍基地の1つにである島に辿り着いた。そこはヨンバハーツ大陸からかなり離れており、日本からも遠い場所だった。


その島に着いたメニア公女らはメニア公女以外の船員は皆拘束され、その島の牢屋に入れられた。


この島は、Uの字型の形をしており、凹んでいる場所、湾に港があり、そこの両脇側の陸地には建物が建てられていた。


この周辺海域では一番大きい海軍基地である。更にその周辺には全長15メートル程の大きさの海蛇のような海の怪物も複数体いた。


そしてメニア公女はこの基地の司令官の元に通された。


「これは・・・まさかあのお美しいことで有名な公女殿下でしたとは、いやはや恐れ入りました。」


司令官の言葉にメニア公女はつまらなそうに返す。


「お褒めの言葉は嬉しいが、そなたのような男に褒められても意味がないな。もっと立派な殿方に褒められたいものだ。」


その言葉に司令官は苦笑いして応える。


「おっと、それは失礼しました。さて貴方は本国に移送されますので、そのおつもりで。抵抗はしないようにお願いしますよ?部下達があなたの部下達に何をするかわからないのだから。」


「人質か・・・列強国とは思えないほど卑怯なやり方だな。」


メニア公女はゴミを見るような目でそう言う。


「ふんっ!そうやってほざいて居なさい。いずれあなたの祖国は滅びる。その際には国王は残虐な方法で殺されるでしょうな!」


司令官の言葉にメニア公女は怒りを露にした。


「神の名を使い罪の無い民を苦しめるばかりか、父を殺すだと!?そなたらはこれ以上罪を重ねるつもりか!!」


「罪だと?はっ!面白いことを言いますね。メンリルバス教を信仰しないことが罪なのだ!よって邪教を信仰しているお前達は充分に罪人と呼べるではないか!」


「邪教?ふざけるな!そなたらのメンリルバス教の方がずっと邪教であろう!一体どれ程多くの民を殺してきた!?」


すると司令官は呆れたように溜め息を吐いた。


「はぁ。これでは水掛け論ですね。・・・まぁ良いでしょう。貴方は数日後に来る本国からの船で我が国に行って頂きます。その際にメンリルバス教の素晴らしさを理解してくれるでしょう。」


司令官の言葉にメニア公女は察した。奴等は本国に連れ帰って、自分を洗脳するつもりだろう。魔法の中には洗脳等の魔法もあると聞いた。


洗脳等の脳に影響を与える魔法は高位の魔術師しか使えないと聞いたから恐らくメンリルバス教の高位の神官がやるだろう。そうなれば、解除はかなり難しい筈だ。


「洗脳するつもりかっ!貴様らはどこまで卑怯なことを・・・」


「どうとでも言いなさい。さて、今日はもうお疲れでしょう?貴賓室があるので、そちらでお休み下さい。」


そう司令官は言い、部屋の外にいた部下を呼びメニア公女を外に出した。


メニア公女は最初は抵抗するが、屈強な兵士達の力に抗えず連れていかれてしまう。


その様子を見ていた司令官は疲れたように呟く。


「・・・全く。王族とは思えない程に礼儀がなっていないですねぇ。」





貴賓室に無理矢理連れていかれたメニア公女は現在、窓際にある椅子に腰掛けていた。


当然の事ながら、ドアは鍵が掛けられており、窓も魔法で強化された頑丈な魔化ガラスが使われていたため、逃げる事が出来ない。


何よりもカラナ達が人質になっているため、下手なことは出来ない。カラナ達もメニア公女の事が心配な為に反抗できない。


「これで望みも絶たれたか・・・父上、皆、申し訳ありません。あと少しだったのにっ。」


メニア公女は今にも泣きたい気持ちだったが、公女として、誰も居ない場所であろうと堂々としていた。


気分転換の為に、窓から見える海軍基地を見る。


そこには弩級戦艦が停泊しており、駆逐艦は哨戒の為だろう、出港しようとしていた。


メニア公女はそれを見つめていた。あと数日したらあそこから自分を迎える船が来るだろう。それまでにこの状況をどうにかするしかない。だが、名案は浮かばない。


(どうすれば?・・・このまま大人しくしていれば、連中の思う壺。だけど・・・)


そうメニア公女が悩んでいると、駆逐艦が動き出した。そうして湾から出ると思った時、突如その駆逐艦が大爆発した。


ドガアァァァァァン!


「え、え?なんで?」


あまりにも突然過ぎる出来事に、思わず目を見開く。


オーマバス海軍の軍人らも突然の爆発に驚いた。


「な、なんだ!?事故か!?何故急に爆発した!?」


港で仕事をしていた時のいきなりの爆発に、何かの事故かと思い声を荒げる司令官。が、続いて港に停泊していた残りの駆逐艦が爆発する。


ドガガガガアァァァァァン!!!


「うわぁー!」「糞っ!どうなってやがる!?」


「こ、これは敵襲なのか!?総員戦闘配置!!潜水艦からの襲撃かもしれん!海獣に調べさせろ!」


司令官は海中からの攻撃だと考え、急いで海獣に敵の潜水艦を探させた。


その最中、今度は戦艦が爆発した。それも2回続けて。これで完全に何者かの攻撃だと確信した。


「そんなっ!ええぃ!さっさと敵を探さんか!はっ!公女を別の場所に連れて行け!!」


この基地での最重要人物であるメニア公女を、目立つ貴賓室から別の場所へ移すように部下達に命ずる。


「戦艦は!?どうなった!?」


司令官は旧式とはいえ、貴重な戦艦の状況を聞いた。


「駄目です!浸水が激しく、動かせません!」


部下からの報告に司令官はショックを受けた。大事な戦艦が暫く動かせないことになったのだから。


幸い、水深が浅いため沈没は免れたが、それでも専用のドックで修理をしなくてはならないだろう。


「糞っ!海獣は何をしている!?まだ、見つけられんのか!?」


司令官は怒り心頭で部下に尋ねる。


「はっ!現在周辺を捜索させていますが、見つからないようです。」


「そんなことがあるか!?ここが襲撃されたのだぞ!?ならば、この近くにいる筈だろうが!」


司令官がそう喚いていると、彼の元に、海獣を操っていた魔術師が青ざめた様子で報告しに来た。


「あ、あの・・・先ほどまで操っていた全ての海獣の反応が途絶えました。恐らく攻撃を受けて殺られたのでしょう。」


「な!?5体ともなのか!?そんな・・・」


司令官は驚く。海獣は潜水艦には及ばないが、それでも列強国以外の艦を圧倒出来る程の力を持っているのだ。それがすべて倒されるなど、信じられなかったのだ。


その時、島の反対側の港で銃の発砲音が聞こえた。だが、それは明らかに自国の銃の音ではなかった。なぜなら、恐ろしい程の連続音だったからだ。


ダダダダダダダダダダダダアァン!!


「この銃撃音は一体何だ!?我が国の銃ではないぞ!?」


「司令官!魔信によると、突如海中から黒い人型の化物が現れ、それが発砲しているようです!」


「何だと!?まさか、日本の兵士なのか!?」


「判りません!兎に角ここは危険です!直ぐに退避を!」


「あ、あぁ。糞っ!予想よりも反撃が早い。」


部下からの提案に司令官は同意し、急いでこの基地の地下へと退避する。


すると司令官の居た港にも、黒い化物が海から上がってきた。


「ひっ何なんだこいつは!?」


港に残っていた兵士がそう叫ぶ。


その化物は港へと上がった後、背中に掛けていた大型の銃器を持ち、港にいたオーマバス軍人に銃弾を浴びせ始めた。


ドガガガガガガガアァン!!


「ぐわあぁぁ!!」「ひぃぃぃ!!」「糞っ!あの爆発は奴等の仕業か!?」


残って警戒していた兵士達は、慌てて物陰に隠れて発砲するが、黒い化物には全く効いておらず、あっという間に制圧された。


その黒い化物達は、無線機で通信していた。


「こちらB班、港を制圧した。これより建物に入る。なお、軍艦の無力化を確認した。」


「こちらA班、こちらも完了した。我々も建物に突入する。」


「こちら本部、了解。本隊もこれより突入する。援護を忘れずに。」


「「了解」」


その後、黒い化物達はそれぞれの建物に突入する。港にはこれから来る本隊の援護の為だろう、数人を置いていた。


暫く待つと、島の近海から潜水艦が現れた。その潜水艦は2つの筒が縦に重なっているような形だった。直後に上の筒が開き、そこから高速で海上を走る船が5隻程出てきた。


その船には1隻に20人程が乗っており、港に着くと一斉に散らばって建物に入った。


100人程の陸上自衛隊員が乗り込んだのだ。


そして先行していた黒い化物達は、特殊急襲制圧部隊である。彼等は現在、建物を占領中で、目的はこの基地の制圧だ。


ドガガガガガガガアァン!


「糞っ!奴等は一体何処から湧いてきやがったんだよ!?」「また、殺られたぞ!!」「チクショウ!なんて強さだ!!」


そしてこの騒ぎは、貴賓室にいたメニア公女にも聞こえており、第3者の勢力がここを攻撃していると判った。


(もしや噂の日本なのか?だとしたらこれは好機なのかもしれん、だが・・・もし違えば・・・いや、そもそも彼等が友好的に接してくれるかも賭けなのだ。どうすればいい!)


メニア公女がそう考えていると扉からオーマバス軍人が数人程入ってきた。


「何しにきた!」


メニア公女はとっさに下がるが、彼等は有無も言わさずメニア公女の両腕を掴み、無理矢理部屋の外に連れていった。


「ええぃ!放せ!無礼者!」


メニア公女は何とか振りほどこうとするが、鍛えられた兵士達には抗えずにいた。


2人がメニア公女を拘束し、もう2人が先行して歩いていたが、突如前を歩いていた兵士が立ち止まり、前方に銃を向ける。


その先には、見たことのない黒い化物が立っていた。


(何なのだ?あれは・・・人なのか?それにあの手に持っているのは銃か!?糞っ!早く振りほどかねばっ!)


メニア公女は前の黒い化物が撃つ前に逃げようとするが、その直後に前方の兵士2人が発砲する。


パァン! パァン!


だが、銃弾は弾かれた。あの黒い化物は平然と立っていた。それを見ていたメニア公女は驚いた。


「な!?」


(何なのだあの硬さは!鎧なのか?!)


兵士達も動揺しており、少しずつ下がっていた。


「あれは何だ!?」「知るか!取り敢えず奴は撃つつもりは無いらしい。下がるぞ!」


一方で黒い化物、特殊急襲制圧部隊の隊員も困惑していた。


(あの連中は一体何だ?後ろにいる女性は明らかに軍人ではなさそうだし、拘束されているし・・・まさか異国のお姫様じゃないだろうな?)


迷った彼は、取り敢えず女性に何かあっては不味いと思い、銃ではなく格闘戦で兵士達を無力化しようと考えた。


それを見た兵士達は慌てて走り出す。メニア公女も連れて。


「な!糞っ!走れ!!」「あぁ!放せ!放さぬか!!」「黙れ!」


隊員も当然、走って追い掛ける。


パワードスーツを着用している隊員は、たとえ重装備であろうとも、普通の大人よりも速い。


「うぉ!?なんであんなに速いんだよ!」「糞っ!このままじゃあ追い付かれるぞ!」


動揺している兵士達を見て、公女はある方法を思い付いた。わざと転び、兵士達を慌てさせる。


「きゃ!」


「はぁ!?なんで転ぶんだよ!?こんな時に!!」「おい!そいつは諦めて逃げろ!」「あぁ!糞!!」


兵士達は、転んだメニア公女を置いて逃げだす。あの黒い化物はそれを追うかと思いきや、彼女の前で止まり、声をかけてきた。


「大丈夫ですか?お嬢さん。」


メニア公女は、意外にも人間らしい声と紳士的な対応に驚く。だがすぐに気を取り直した。


「えぇ、大丈夫です。お気遣いありがとうございます。」



取り敢えず立ち上がり、質問をする。


「貴方は一体何者なのですか?」


「私・・・いや我々は日本という国の兵士です。ここから少し戻った所に仲間がおります。そこまで行けば取り敢えずは安全ですので、向かいましょう」


『日本の兵士?!』。メニア公女は、目的である日本国の兵士と接触出来たことに驚き、喜ぶ。しかも彼を見ている限り、噂以上の強さを持つように感じた。


しかしその時、カラナ達がまだ捕らわれていることを思い出す。


「その前に!私の大切な仲間達が捕らわれています、どうかお助け下さい!私はヨンバハーツ大陸の準列強国であるドバラキ公国の公女、メニアと申します!ドバラキ公国とパースミニア王国の使者として、貴国日本に軍事支援を要請するために来ました!どうか!」


予想の斜め上をいく言葉に、隊員は驚く。


(マジかよ・・・しかも公女って・・・これ完全に俺じゃ手に余るよな?)


混乱した隊員だが、取り敢えずこのお姫様を、安全地帯まで避難させることにした。


「必ず貴方のお仲間達は救います。その前に貴方を安全な場所まで連れて行きますので、着いてきてください。」


彼はそう言い、メニア公女を連れて、来た道を戻った。


その先には陸上自衛隊員が、フォーメーションを組んで待機していた。




はい。


なんか中途半端な所で終わりましたが、取り敢えずここで区切らせて頂きます。


ここまでで、なんか不自然な所があれば、ご指摘くださいませ。

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― 新着の感想 ―
[一言] メニア公女は、無事日本と接触できたわけですが、しかし……。 日本のオーマバス打倒に、ドバラキ公国とパースミニア王国が、はたしてどれだけ貢献できるか。 はっきり言って、かなり、いや相当に、疑問…
[一言] オーマバス側の独善と傲慢、ほとんど底無しですね。 自分たちは正しいと信じて、疑おうともしないのだから。 いやそもそも、疑うことすら、メルリンバス教への冒涜だと考えているように見えます。 メル…
[一言] 中途半端だからこそいいwww 次も読みたくなるwww
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