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強化日本異世界戦記  作者: 関東国軍
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第22話 ヨンバハーツ大陸の動乱

第22話 ヨンバハーツ大陸の動乱


ヨンバハーツ大陸


この大陸のメンリルバス教同盟国側では数多くの奴隷達がいた。


理由はメンリルバス教を信仰せずに、他の宗教を信仰している、いわば異教徒らの国を侵略して得た捕虜達を奴隷にしていたからだ。



メンリルバス教同盟国の1国 マハルタ聖王国


このメンリルバス教同盟国側の中心部にある国では、反メンリルバス教同盟国から連れてきた奴隷達を売買する中心であり、そのため巨大な奴隷市場が出来ていた。


中小国で人口は400万人程の小さな国だが、奴隷産業により発展していた国だ。


その国の首都ハールニでは連日多くの奴隷達が奴隷市場に連れていかれていた。


「うわぁぁ!お母さん!いやぁ!」


「あぁ!せめて一緒に売ってください!こんなのあんまりです!!」


「黙れ!子供はまとめて売るのだからお前はこっちだ!」


そのとある場所では母と子供の親子が奴隷商人によって離れ離れにされていた。


そこ以外にも多くの奴隷が家族と離れさせられていた。


「ちょっと待ってくれ!あいつは俺の恋人なんだ!一緒に売ってくれたらそれだけで一生懸命働くから頼む!!」


「マック!いやぁ!連れていかないで!!」


「はぁ、面倒だな。さっさと連れていけ!」


「へい、旦那。」


恋人らしき2人が数人の男達により別々の店に連れていかれた。


恐らく男は労働奴隷として、女は性奴隷として売られるだろう。



         奴隷市場


ここ奴隷市場では、奴隷商人とその奴隷を買おうとする金持ち達が声を出して賑わっていた。


「さぁ!さぁ!活きの良い奴隷がいるよ!」


「こいつは上玉だぁ!まずは1000メニからだ!」


「1200!」「1400だ!」「こっちは1600出す」


「1600が出た!?さぁ他にいないか?・・・なら1600の方に決まりぃ!!」




とある店では子供だけを売る店があり、そこも賑わっていた。


「さぁ!お客さんこの子供は反メンリルバス教同盟国の貴族の子供だぁ!大変貴重な品だよ!?」


奴隷商人の言葉に参列していた金持ち達はざわめく


「なんと貴族か!・・・ならば私は4000出そう!」


「抜け駆けするな!私は4500出す!」「俺は5000出すぞぉ!!」「なら俺は6000だ!」


「慌てない慌てない!まだ貴族の子供はいるよ!でもこいつは6000が出たよ!?他にはいないか?」


その店の奴隷達が閉じ込められている地下室の牢屋では多くの子供達がいた。


子供達は皆、絶望しきった顔でいた。皆、平和に過ごしていた所をメンリルバス教の兵士達に村や街を攻撃されて商品として連れて行かれたのだ。中には親を目の前で殺された子もいる。


彼らはいずれ、金持ちに売られて、死ぬまで使われるだろう。この子達を助ける者は現れない。




そしてまた別の店では女性の奴隷達が並べられており、彼女達は布切れ一枚しか身に纏うことが許されておらず、更に客達の目の前にいる女性は奴隷商人によってその布切れを奪われ裸で客の前に立っていた。


「うぅ・・・」


「ほぉー・・・中々良い体つきだ。」


「へへへ・・・こいつは滅多に見ない上玉ですよぉ!さぁ!幾ら出しますかいな!?」


「私は4000出そう!」「ふんっ!なら俺は8000出そう!今夜はそいつで楽しんでやる!」「何をぉ、なら私は10000出してやる!」


「「おぉー!」」


「10000が出た!!さぁ他にいないか!?いないなら10000のお客さんに決まりだ!!」


奴隷商人は落札された女奴隷に首輪を着けて落札した金持ちに差し出した。


「ふむふむ。やはり良い女だ。今宵は期待してるぞぉ~。」


「ひっ、」


彼女は怯えた目で周りを見るが、その周りは自身を嫌らしい目で見てくるだけだった。


彼女は絶望した顔でその金持ちの屈強な使用人に馬車に乗せられた。


その数時間後、彼女の悲痛な泣き声がとある屋敷の寝室で響いた。


彼女はじきに飽きられ、使用人の性処理として使われるか、面白半分で殺されるだろう。



そんな国の首都の王宮のとある部屋では国王と宰相が深刻な顔で話し合っていた。


「な、それは真か!?オーマバスが寄付金の増額を要求してきたのか!?」


国王が宰相にそう聞く。宰相は悲痛な顔で頷く。


「はい。外務卿からオーマバスの使者殿より、今年の寄付金を倍にしろと・・・そう間違いなく要求したそうです。」


「なっ!・・・そんな余裕などもうないぞ!?」


国王の言うと通りこのマハルタ聖王国は厳しい状況だった。この国だけでなくメンリルバス教同盟国は全てがそうだった。


特に酷いのが軍事だ。先の日本侵略作戦で自国の精鋭とも呼べる兵士や軍船を大量に送ったのに、結果は多くの奴隷や財宝が手に入るどころか、僅かな生き残りが帰還したのみだった。


中には帰還した兵士が1人も居ない国すらあった。


そのため現在反メンリルバス教同盟国との戦闘は小規模になっており、返り討ちにあった部隊もあった。


その次に酷いのが財政だ。日本の豊かな財宝等を得るために多額の金を投資したのにそれが失敗したのだから、どの国の財政はかなり追い詰められていた。


そのため各施設の維持費が減らされており、王族の歳費も減らしたことによりその王族からの苦情が大量にきていたのだ。


そんな状況で盟主からの更なる寄付金の増額など出来ないに決まっている。だがそんなことで納得してくれるとは思えない。


だから必死に資金を集めるしかないのだ。もし出来なければ破門にされて国から追放されるだろう。


この大陸で破門にされて追放されたら、誰も助けてくれない。反メンリルバス教同盟国にでも向かえばそれこそ、八つ裂きにされる。


それを理解している2人は青い顔をするしかなかった。


「・・・たとえ無くても無理矢理にでも集めるしかありません。今は軍の余裕も無いため侵略以外の方法を探しましょう。」


「だが、何がある?他国に支援を要請しようにも、恐らく他も同じ状況だろうし・・・そもそもニホンとはどうなる!?あの列強の2ヵ国が敗れたのだろう?報復でもされたら不味いぞ。」


「オーマバス神聖教皇国が何とかするでしょう。そうじゃなくてもレムリア連邦も助けてくれる筈です。」


2人の相談はまだ続くが決定的な解決策が見つからぬまま時間が過ぎ去っていった。


だが、民は国のトップ達が苦しんでいることも知らずにいつも通りに生活していた。





ハードソン連合王国 鉱山


この国も同じくメンリルバス教同盟国であり、この同盟国内ではオーマバスに次ぐ軍事大国だ。


上位大国で人口は3100万人であり、反メンリルバス教同盟国との戦争ではこの国を中心に戦っていた。


そのためこの国には他の国よりも多くの奴隷達が存在しており、特に鉱山や農地には奴隷達で一杯だった。


そんな国のとある鉱山では毎日奴隷達が働いていた。この鉱山ではハードソン連合王国の兵士が使う鎧や武器を作るための鉄が採掘されており、今日も奴隷達が働いていた。


「はぁ!はぁ!」


「こぉら!そこ、遅いぞ!もっと速く運べ!」


「は、はい!すみません!!」


この鉱山の警備兵が奴隷の1人を怒鳴っていた。


先ほど怒鳴られた奴隷は運んでいる鉄鉱石の入った袋を持って歩いたが、躓き鉄鉱石を散らかしてしまう。


「あ!あぁすみません!!」


「貴様!!何をやっている!!」


「ひぃぃ!すみませんでした!すぐに拾います!」


そう謝るが警備兵は持っていた鞭で力一杯にその奴隷を叩く。


硬い馬の革で作られた鞭は力一杯に叩くと、その威力で叩かれた奴隷の肌が裂かれ血が飛び散った。


「ぎゃあぁぁぁ!!」


「ええぃ!黙れ!このマヌケが!」


痛みで叫ぶ奴隷を構わずに叩く。周りを見ていた他の奴隷達は気の毒な目で見るが助けようとはしない。当たり前だ、変に邪魔して自分も同じ目にあうと良そう出来る。事実、以前親友を助けようとした奴がいたが、そいつは不興を買い、片目を剣で潰され、足の関節を鶴橋で貫かれた。


彼は結局、その数時間後に出血が原因で死んだ。誰にも助けて貰うこともなく。


それを知っているから彼等は助けない。自分の仕事を続ける。


そうしている間に叩かれていた奴隷の叫び声が聞こえなくなった。


恐らく声が出ない程痛め付けられたのだろう。横目で見ると酷い状態だった。


顔を守っていた腕の肌は殆どが裂けて骨が一部見えていた。足も叩かれたのだろう、肌が裂けており、顔も頬が血塗れで血がポタポタと垂れていた。


叩き疲れたのだろう、警備兵は深く呼吸をしながら腰に着けていた剣を持ち、その奴隷の足に向けて思いっきり振り下ろす。


「ふん!」


ザシュッ!


「あ!?あぁぁぁぁぁ!!!足が!足がぁ!?」


振り下ろされた剣は硬い骨に当たったのだろう、足を切断する一歩手前で止まっていた。


だがその奴隷の感じる痛みは想像を絶するものだ。彼は泣き叫びながらうずくまる。


「ふん、そのまま泣いていろ。すぐに死ぬからそれまで休んでおけ。」


警備兵は剣を引っこ抜いて鞘に戻した。その場にはうずくまり、泣いている奴隷だけが残った。


「ひぃっあぁぁ・・・痛ぇぇよ、助けてぇ」


彼は助けを求めるが無視されそのまま死んだ。


それを見ていた奴隷達はそんな目に合わないよう必死に働いた。





ドバラキ公国 港湾都市  


ここドバラキ公国の港湾都市の中にある港では多くの人達が集まっていた。


港に停泊しているのは小さな商船であるがその乗組員らは皆、公国の兵士であり腕利きとして国に仕えてきた者達だ。


彼等はある人物を護衛するために集められた。その人物こそが日本と接触し、軍事支援を取り付けるための大使の役割を担うメニア・フィール・ドバラキ公女である。


「姫様・・・どうか無事に帰ってきてください。」


幼い頃から仕えていた老執事がそう言う。


「案ずるな、必ず無事に戻って来る。なぁに少し遠出するだけだ。」


メニア公女はそう笑顔で応えた。


老執事の後ろには彼以外の小さい頃から仕えてくれていたメイド達がいた。


どこにオーマバスらの密偵がいないか分からないため少数だが、優しい公女を見送りたいと思う者達は多い。だからだろう、彼女等は皆、涙目でこちらを見ていた。


「うぅ、姫様・・・」「どうかご無事に・・・」


メニア公女はその気持ちに嬉しくて涙を流しそうになるが、ぐっと我慢した。


すると後ろから唯一同行を許されたメイドのカラナが声をかけた。


「姫様、まもなく出発するそうです。中にお入り下さい。」


「そうか、分かった。」


メニア公女は船に入った。そして甲板から見送りの老執事達に手を振った。


密偵に見つかる可能性があるため、側付きの親衛隊の女性、ハーリカが声をかける。


「姫様、何処に敵の目があるか分かりません。そろそろ船内にお入り下さい。」


「分かった、入ろう。」


メニア公女はこれから向かう日本を思い浮かべながら船内に入った。





その同時刻、列強国であるパースミニア王国海軍が陽動のために、ヨンバハーツ大陸東側のドバラキ公国近くの島にあるオーマバス海軍基地を攻撃した。


パースミニア海軍の編成はこうだ。


パースミニア海軍


弩級戦艦 2隻


巡洋艦 1隻


駆逐艦 2隻


と数少ない戦艦を公女のために動員したのだ。


だがオーマバス海軍は教皇からの「決して日本と接触させるな」と直々の命令が来ていたため、オーマバス海軍の第2地方艦隊がこの海域の警戒にあたっていた。


そしてその海軍基地には以下の軍艦が待機していた。


オーマバス第2地方艦隊所属対ドバラキ艦隊


弩級戦艦 3隻


巡洋艦 2隻


駆逐艦 4隻


潜水艦 2隻


海怪獣 4体


とパースミニア海軍と比べるとかなりの戦力だ。


そのためパースミニア海軍は奇襲を掛けるが哨戒中の潜水艦に見つかり、そこから魔信によって報告される。


その海軍基地は大急ぎで迎撃に取り掛かった。

この基地の司令官は考える。


「ふぅむ、やはり動いたか・・・恐らく陽動のために動いたのだろう。だが、なぜここに?ここを大使が通るのか?それともそう思わせるために?・・・取り敢えず他の海域基地には援軍は不要だと伝えろ。」


「はっ!」


彼は悩むが敵は他の海域が目的だと考えた。


準備が整った弩級戦艦2隻と駆逐艦3隻と潜水艦1隻が先に基地から出た。


はっきり言って、あの程度ならこの艦隊でも対応は可能だが、念のために他の艦も急いで準備をしていた。


そこで司令官があることに気付く。


「ん?・・・ひょっとするとこの海域基地を空けるのが目的か?だとすると・・・他の海域から行くのではなく、この海域が目的か?いや、そう思わせるのが目的・・・はぁ悩むなぁ。」


彼は悩みやすい性格なのでこういう状況では大変困るのだ。


「むぅ・・・念のため海怪獣にはドバラキ公国から援軍が来ないか、見張らせろ。」


彼はドバラキ公国が使者として来るとは考えなかった。


ドバラキ公国は海軍戦力はほぼ無いに等しく、更にそんな余裕など無いだろう。


だが、彼はあることに気付く。


「あ・・・ひょっとすると軍艦ではないのか?そう言えばドバラキ公国の商船は遠方の国にも航海できる位頑丈だったな。・・・まさかドバラキの王族を送るんじゃないか?」


彼は悩む。いくらなんでもまだ未知の多い国に王族が使者として送るとは思えないからだ。


それに商船は余りにも危険過ぎる。軍艦でもあの海は危険なのだ。日本侵略の時なんて、何隻かの戦列艦が途中で沈んだのだ。


だがドバラキ公国の船の多くは荒れた海でも航海出来る為の強化魔法技術があると聞いた。


「ひょっとすると・・・有り得るな。よし!海怪獣は見張りを!基地に残っている駆逐艦の2隻もドバラキ公国を見張れ!他の巡洋艦は基地に待機させろ!」


「了解しました!」


珍しくテキパキ指示する司令官に部下は少し驚くが、それが本来の司令官の務めだと思いだし、行動に移る。



その後、パースミニア海軍とオーマバス海軍が激突するが、数と質を上回るオーマバス海軍が優勢だった。


海戦場所は大陸の端にあるドバラキ公国から東南に約40キロメートル離れた海域だった。




そしてメニア公女の乗った商船はパースミニア海軍らが交戦したと聞くと急いで日本に向けて西側に向かった。


既に海戦場所から東南に約20キロメートル程離れていた。


だが、運悪くドバラキ公国の領海周辺を監視していた、駆逐艦の1隻がメニア公女の乗る商船を発見した。


「艦長!見張り員がドバラキ公国国旗を掲げた商船を発見したようです。」


部下がこの駆逐艦の艦長にそう報告する。


「そうか、では停船命令を出せ。他は臨検の準備だ。」


「はっ!」


艦長は面倒臭そうに命令する。怪しいが、まさかドバラキ公国が、しかもこんな速くに当たりを引くなど彼は考えなかったからだ。


もし、大使が乗っていれば、教皇直々にお褒めの言葉を頂けるだろう、敬遠なメンリルバス教徒なら誰もが羨むが、そんな幸運を自分が手にする筈がない。そう彼は考えていた。


だが彼はその当たりを引いていたのだ。





「姫様!オーマバス海軍です!すぐに避難部屋にお入り下さい!!」


ハーリカがメニア公女の部屋に入り開口一番にそう言う。


「なんだと!まさかもう気付かれたのか!?」


メニア公女は焦った様子で聞く。


「恐らくは違うかと、偶然連中の監視網に引っ掛かったのかと・・・」


「ぬぅ~だとしたらかなりの災難だな・・・どうするつもりなのだ?」


「相手は停船命令を出していますが、艦長は逃げに徹する様です。臨検されれば見つかる可能性が高いですので・・・それよりもお早く避難部屋に!」


「あぁ、分かった。」


メニア公女はハーリカの案内でこの商船で装甲が張り巡らされた部屋に入る。


この船は王宮が保有する王族の避難用の船で当然様々な改造が施されている。


避難部屋もそうだが、船のエンジンも改良されており、更に軽量化や荷物を出来るだけ減らしているため速力は28ノット。対するオーマバスの駆逐艦は26ノットで、ドバラキ公国の方が速い。


だがここから見える距離を考えても互いの距離は20キロメートル(地球よりも広いため水平線の距離はかなり長い。)程離れていても向こうには大砲がある、もし相手が業を煮やしてこちらを沈めようとすれば、かなり不味い状況だ。



だから商船の艦長は全速力で逃げることを選んだ。そしてその様子は駆逐艦の方も気付いており、困惑していた。


「何故こちらの命令を無視する?商船が軍艦の命令を無視すればそれこそ危険だというのに・・・まさか、当たりなのか?嘘だろ?まさか俺が・・・いかん!全速力で追え!!砲撃はするなよ!無傷で教皇様に捧げるのだ!」


駆逐艦の艦長は遂に自分にも幸運の女神が来たことに感激する。


(今まで駆逐艦の艦長程度で我慢していたが、遂に!なんとしてでも逃してなるものかぁ!!)


艦長の命令により、全速力で商船を追いかけた。


だが、商船の方が僅かに速いため、距離は少しずつ離れていた。


駆逐艦側も最初は気付かなかったが、流石に1時間も経過すると艦長は怒鳴った。


「どういうことだ!?何故追い付かないんだ!?糞っ!魔信で急いで応援を呼べ!」


彼は手柄を一人占めにしたかったため、報告をしていなかったが、これでは逃げられてしまうため、報告をすることにした。


だが、それは既に手遅れだが、他の艦隊はずっと後方におり、更に海戦も続いていた。


海戦は終始オーマバス海軍が圧倒していたが、それでも損傷は受けているため、追い掛けるのは無理だろう。


「えぇい!砲撃だ!当てるなよ!?近くに砲撃して停船させろ!」


「し、しかしこの距離では届きませんよ!?」


「いいから速く撃て!」


艦長の命令により、駆逐艦の砲撃が始まった。



この砲撃により、商船側は焦った。


「糞っ!奴ら遂に砲撃してきたか!」


だが、砲弾は商船より手前に落ちたために、まだ大丈夫だと安心した。


「このまま全速前進!日本までなんとしてでも辿り着くぞ!」


「「「おぉう!!」」」


艦長の意気込みに部下達は頼もしく反応した。


その数時間後、駆逐艦は遂に諦めた。とうとう駆逐艦からでは商船が見えない程に離れてしまったためだ。


「糞っ!糞っ!糞っ!なぁんでこんなことに!!」


駆逐艦の艦長はせっかく舞い降りた幸運を活かせないことに泣き叫んだ。





その頃の商船では避難部屋から出てきたメニア公女がハーリカと共に甲板に出て海を見渡した。


「・・・後は日本と接触するだけか。」


「はい、姫様。このまま東にオーマバスらに見付からないように航海するので数週間程掛けます。」


「そうか、長いな・・・速く着くといいが」


そしてメイドのカラナがメニア公女に食事の準備が出来たと伝える。


「姫様ぁ!お食事の準備が出来ました。美味しい物を食べて体力を付けましょう!」


カラナの元気のある声にメニア公女も笑い、船内に入った。



そしてドバラキ公国の大使が乗ったかもしれない船が日本に向かったという報告を聞いた教皇は珍しく怒鳴り、取り逃がした駆逐艦の艦長を破門したというのは、また別のお話。




    

         2週間後


   

日本 横須賀 海上自衛隊基地


ここ海上自衛隊基地では日本の誇る第1護衛大群が出撃準備を整えていた。


そこのとある会議室では今回の第1護衛大群・陸上自衛隊の指揮官らがいた。


第1護衛大群総司令官 今村総一大将


第1護衛大群参謀長 横林健太少将


第1護衛大群旗艦「あかぎ」艦長 神谷源司 大佐


第1護衛大群「やまと」艦長 藤本勝一 大佐


第1護衛大群「とうかい」艦長 原宗田 大佐


陸上自衛隊第2師団師団長 永山光 中将


陸上自衛隊第12師団師団長 細谷建次 少将


陸上自衛隊第19師団師団長 山田守 少将


特殊急襲制圧部隊連隊長 加瀬渡 大佐


と名だたる指揮官達がいた。これで参加している指揮官は全員ではないが、既に最終調整は終わっているため、今回はただの雑談だ。


「さて、いよいよ反撃が始まるわけだ。」


総司令官の今村大将がそう言う。


「ふむ。アメリカも参加してくれるのは有り難いが、最低限の調整をしていないから少し不味いのでは?」


第2師団師団長の永山中将がそう言う。


「確かに少し不安だが、前から中国に備えて合同訓練していたのだ、まだ大丈夫だろう。」


「とうかい」の艦長である原大佐がそう応える。


「うむ。私はそれよりも加瀬さんの部隊が気になりますなぁ。」


第19師団師団長の山田少将が特殊急襲制圧部隊の連隊長である加瀬大佐にそう言う。


山田中将の言葉に他の指揮官も一斉に加瀬大佐を見る。


加瀬大佐はその視線に反応して口を開く。


「我々は目の前の敵を叩くのみです。海上では海上自衛隊の皆様に頼みます。」


「それはありがとうございます。ただ、陸上戦では楽しみにさせて貰いますよ。」


その言葉に少し頭を下げるだけで、特に何の反応をしなかった。


その反応に周りは苦笑いした。彼はそういう性格だと知っているため、何時も通りの行動に少し可笑しく思ったのだ。


「さて、最終調整も終わった。総理からは敵を特にオーマバス神聖教皇国・レムリア連邦はなんとしてでも黙らせるしかない。・・・我々は国民の為ならば、多くの敵を殺すことになる。まぁ、それを伝えたいために集めたのだ。他の連中は忙しいのでな、後で彼等にも伝えるつもりだ。」


今村大将の意外と中身の無い話に皆はキョトンとした。


だが、その後すぐに理解した。恐らく緊張や復讐で自分達の仕事を忘れさせないように忠告したのだろう。


自分達は自衛官だ、しかし憲法改正により遅くてもあと十年後には、軍人に変わるのだ。


そうなれば、本格的な軍事行動をすることになるかも知れない。その時に備えて出来る限り今回の戦争で軍人としてのノウハウを学ぶように伝えたいのだ。


それを察した彼等は一斉に今村大将に敬礼した。


今村大将も敬礼をした。


その数十分後に準備が整い、第1護衛大群と陸上自衛隊を収用した輸送艦隊、そして地球連盟国の海軍と輸送艦隊が西の大陸に向けて出撃した。





だが、既に第1潜水大群が日本とヨンバハーツ大陸の間にある小島の敵海軍基地付近にいた。


そしてその潜水艦には総員50名の特殊急襲制圧部隊が乗っており、海軍基地を襲撃しようとしていた。





いかがでしたか?


ちょっと中身が薄い気がしますが、もしそう感じたらすいません。


そして遂に日本の反撃か始まりますね!


気長に読んでいて下さい。

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― 新着の感想 ―
[一言] オーマバス神聖教皇国って、想像以上にひどい国だったんですね。敵のみならず、味方にすらこれでは。 もはや、メルリンバス教を信仰する国々のためにも、滅ぼすしか無いでしょう。少なくとも実質的には。…
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