第21話 日本側の内情
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第21話 日本側の内情
日本国 東京 国会議事堂前
ここ日本の政治の中枢の前では大勢の人々が群がっていた。
ここにいる人々は皆、西平島と海北島・北海道が上陸されたばかりか多くの民間人が死亡したことで、備えを疎かにしていた政府を非難するデモ隊だ。
「首相は責任を持って辞任しろ!」「何故上陸されるまで気付かなかったんだぁ!」「慢心をして民間人を殺した現政権を追い出せ!」「今すぐに反撃しろ!」「国交と称して侵略行為を止めろ!」
と多くの人々が現政権の甘さに批判をしていた。
その数は数万人を超えているだろう。
国会議事堂 地下会議室
その様子をモニターで見ていた総理達は、皆苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
「・・・とまぁ、このような状況でして。何かしらの目に見える対応をせねば国民の不安と不満は爆発するでしょう。既にとあるメディアのアンケートで、現政権を支持する割合は4割を切っているとされています。」
国家公安委員会からの報告に総理が発言する。
「分かってはいたがここまでとは・・・まぁ今更言っても仕方ない。外務大臣、オーマバスとレムリア連邦について何か分かったか?」
外務大臣は、手に持っていたタブレットを見ながら発言した。
「はい。レムリア連邦のあるレンモネス大陸の、ハビラニ王国から情報を集めて参りました。」
外務大臣はタブレットを操作し、総理らが持っているタブレットに報告書を送る。
ちなみにハビラニ王国とは、西平島を解放してから数か月後に日本と接触した国で、第13話に出たメーンズバナ商会のある国だ。この国はレムリア連邦らと敵対しているため、日本に積極的に情報を渡していた。
「内容について説明します。まずオーマバス神聖教皇国について。この国は序列7番目の列強国で、オーマ島という島を本土とする宗教国家です。ヨンバハーツ大陸には、メンリルバス教という宗教を信仰する国が大小6ヵ国程あるのですが、それゆえ、その総本山であるオーマバス神聖教皇国と友好的で、今回の派兵にも参加していたようです。」
ここまでの報告で、総理らは宗教国家という単語に嫌悪感を示した。
この世界での宗教国家でしかも列強国ならば、面倒な宗教を国教にしているかも知れないと思ったからだ。
「なお、このメンリルバス教については、ヨンバハーツ大陸にあるハットバ国から情報を集めました。ハットバ国はオーマバス神聖教皇国らの信仰するメンリルバス教に敵対しているようです。その理由ですが、メンリルバス教は他の宗教を一切認めず、異教徒を容赦なく弾圧するそうです。ハットバ国らはメンリルバス教を信仰する国々に何度も攻撃されており、多くの国民を殺されているのだと。」
この報告に周りがざわめき出した。予感していたことが当たり、しかもそれが列強国であり、信教の自由を認めている日本を敵視している。それが確定したことで、落胆した。
そして外務大臣の報告は続く。
「続いてレムリア連邦についてです。レムリア連邦はヨンバハーツ大陸より北にある広大な大陸、レンモネス大陸のおよそ4割を支配しており、数百万人の兵士を常備軍としているようです。」
その言葉に総理らは驚愕した。数百万もの兵士を常備できるなどかなりの大国であり、覇権主義に違いないと思ってのことだ。
「そしてこのレムリア連邦とオーマバス神聖国は、互いに活発な貿易をしており、レムリア連邦の一部の地方ではメンリルバス教を信仰しており、更にオーマバス神聖国は毎年レムリア連邦に上納金を納めているようです。」
「なに?列強国が列強国に金を納めているのか?」
総理が思わずそう質問する。列強国が列強国にそこまで下手に出るのは地球では無かったからだ。
「はい。詳細は分かりませんが、確かに毎年払っているらしく、オーマバス神聖国はそれによりレムリア連邦からの支持を受けてメンリルバス教をヨンバハーツ大陸以外の国に広めているようです。」
「・・・なるほどな。オーマバスとレムリアが共同戦線を張るのも分かってきた。信教の自由を認めるこの国は彼等にとって邪魔なんだな。他の国々が我々に注目すると。」
「恐らくは・・・それとハットバ国らはとある国を盟主として反メンリルバス教同盟を結成しているらしいです。その国と接触して共同戦線を張れないか検討しています。ただヨンバハーツ大陸周辺の海域は、殆どがオーマバス神聖国により監視されているらしいので、難航しています。私からはこれで以上です。」
「盟主・・・味方が出来るのはそれだけでありがたいな。うむ、その国と接触出来るよう、防衛省とも協力するように。・・・あぁそれと、世界情報通信会社にクレームを入れておけ。今回の件は、彼等が情報を出し渋ったのもあるしな。」
「「分かりました。」」
外務大臣と防衛大臣の2人が返事をする。
「さて、次は財務大臣、頼む。」
「はい。」
次は財務大臣がタブレットを操作して報告する。
「今年の我が国の歳入は約179兆6340億円です。この内、防衛予算は約14兆6400億円です。2年前よりもかなり上がっておりますが、この件により更に増額するつもりで予算草案を作成します。」
日本の歳入は転移前は180兆4205億円で日本が転移して最初の歳入は170兆0864億円とかなり減少している。
だがこれはマシな方で、もし秋津島の資源が無ければ更に酷いことになっていたのは間違いない。
だがその次の年は、エルミハナ大陸や他の大陸との貿易や、秋津島等の開拓が順調に進んだため、日本転移前の歳入に戻りつつあり、来年には上回ると思った矢先に今回の侵略が起こった。
日本政府は、覇権主義国家の多いこの世界では、現在の戦力ではまだ心もとないと考え防衛予算を増やしているのだが、更に増えることになりそうだ。
「ちなみに今回の被害はどれ程なんだ?」
総理の疑問に財務大臣が再び答えた。
「港の被害そして遺族の賠償金に、敵艦隊により航海中の貨物船らが沈められたため、被害額は約4000億円です。」
実は敵の艦隊をレーダーで発見したすぐあとに、日本の貨物船の何隻かが沈められてしまったのだ。
「そうか・・・奴等には何としてでもそれを払わせてやる。防衛大臣、遠征は出来そうか?」
今度は防衛大臣が報告をする。
「はい。偵察衛星によりオーマバスらの大陸と我が国の間の地理を調べていたところ、あることが判明しました。」
そう防衛大臣は言い、タブレットを操作して会議室のモニターに地図を写す。
それにはオーマバスらの大陸と日本の間に、数多くの大小様々な小島が写っていた。
「戦列艦隊がなぜあの数を、そして兵士達がなぜあそこまで活発に動けたのか疑問でしたが、奴等はルートの途中にあるこれらの小島の一部に手を加え、補給基地にしていたようです。」
列強国らの軍艦は分かるが戦列艦等では、あれ程の距離では兵士はかなり疲弊していておかしくないのだ。それなのに自衛隊からの報告では、疲弊はしていたが余力を感じたと報告されていた。その理由が、偵察衛星の画像を見て判明したのだ。
ナポレオン時代でも、地中海経由でエジプトに向かう際には500隻程の大艦隊で向かったが、やはり兵士達の疲弊は酷かったのだ。
あの当時の戦列艦の中身は不衛生で、食事も最初の内はまだ新鮮な物が食べれたが、最終的には非常に硬く更に蛆虫の湧いたビスケットや腐った水、塩っぽい干し肉等、偏った食事の為にビタミンCが不足し、多くの兵士達が壊血病を患ったという。
ちなみに蛆虫が湧いたビスケットは、生魚を近くに置いて放置すると蛆虫はそちらに向かうため、そうしてから食べていた。
「なるほど。ではその補給基地を我々が占領して使えるのか?」
「恐らくは使えるでしょう。しかし、潜水艦による監視を行った際に、海中に巨大な生物を確認したようです。」
「巨大な生物?」
「はい。偵察衛星でも確認が取れました。それがこちらです。」
防衛大臣はタブレットを操作して写真を画面に写した。
総理らは、それを見て驚愕した。
それには、小島の近くに30メートル程の巨大な海蛇みたいな生物がいた。そして、その首らしき所には、首輪らしき物が見えた。
「こ、これは?」
総理が質問する。
「・・・これをメールニア国の外交官に聞いてみたところ、これはオーマバス神聖教皇国の魔術師らが魔法により支配する海の怪物で、潜水艦が開発される前から海中の戦力として使われてきたようです。そんな生物が、小島周辺や大陸の至る所で確認されました。」
「なんとなぁ。これは生半可な戦力を送るべきではないか。」
「はい。その為我々は第1護衛隊群を動員します。更に第1潜水隊群も動員し、海中の怪物らを中心に討伐させます。」
「虎の子の第1護衛隊群を使うか。」
「えぇ。今回は我々の油断を突かれてこのような大損害を被りました。ならばここは徹底的に叩きのめして、全世界に我が国の力を見せ付けます。おそらく国民も、こうまでしないと納得しないでしょう。」
「確かになぁ。ならばその方針で頼む。・・・特殊急遽制圧部隊も使うか?」
「当然です。」
そこで総理が思い出したかのように呟いた。
「あぁ、そう言えばあの捕らえた捕虜の中に、特殊急遽制圧部隊と互角に渡り合った連中がいたな。連中は今どうしている?」
総理は、先日特殊急遽制圧部隊のカメラが記録した映像を思い出す。
あの虎の子である特殊部隊と渡り合える実力は、今後の軍事開発に大きく影響するだろう。
「はい。彼女等は現在旭川にある収容所で収容しています。」
「あれ程の身体能力を持つ連中を閉じ込めて大丈夫か?」
「はい。彼女等も同意の上ですし、念のため特殊急遽制圧部隊も監視していますので。近い内に別の場所に移す予定です。」
「それならば良いのだがな。ではすぐに反撃についての計画を立案してくれ。急がねば敵はまた来るかもしれんからな。」
「分かりました。次に南亜島の地球連盟国の米軍と合同作戦を提案しており・・・」
その後も彼等の会議は続いた。
北海道 旭川
場所は変わり、ここ北海道の旭川にある捕虜収容所では、約4万人程の兵士達が捕虜として収容されていた。
10メートル程の高さで厚さ2メートル程の塀で囲まれており、捕虜も5つの棟で収容されている。
その、とある棟の中の独房に、レムリア連邦陸軍中将のジェネットがいた。
彼は重要人物の1人として独房に入れられていた。
彼は本日何度目かの溜め息を漏らす。
(・・・本当にここは収容所なのか?どこも清潔だし、虐待もなく、飯も粗末な物ではなくちゃんとした物が出るなど・・・一体何なんだこの国は。)
彼は収容所に連れて来られた時、拷問や虐待を覚悟したのだが、簡単な尋問等があるくらいで、それ以外は特に何もされてこなく、混乱していたのだ。
彼だけじゃなく、ここに連れて来られた兵士達は皆、日本兵による虐待に怯えていたのだが、3食の飯があり、運動時間も確保でき、日本語ではあるが本も読める等、彼等の予想外に厚待遇なことに驚いていた。
そしてまた別の独房にはレムリア連邦海軍主席指揮官であるノムファもいた。
彼は現在、日本の文字を勉強しており、この収容所にある本を少しずつ解読していた。
「ふむ。これが日本の都市名ということか・・・そしてこれが日本の有名人か?うん。だいぶ解ってきたぞ!」
彼は毎日こうして日本語の勉強をし、日本の本を読み知識を蓄えていた。
「しかし・・・こうして読んでみたらとんでもない国だな。あの黒い怪物といい光る矢といい、日本はどうやってあれを作ったのだ?」
彼の疑問は誰にも聞かれることなく響いたのだった。
そしてまた別の棟では、他の棟とは違い大陸諸国の冒険者達がいた。
冒険者達の棟では比較的自由に行動ができ、他の運動場よりも設備が整っていた。
棟の中の一つ、その食堂では、特殊急遽制圧部隊と互角に渡り合っていた「宝玉の剣」のリーダーであるアンナ・ヒリシタリアとその仲間達が談話していた。
「はぁ~、何時になったら解放されるのかねぇ?」
アンナがテーブルの上に足をのせてそう呟く。
「ちょっとアンナはしたないよ。」
同じチームメンバーである魔術師のヘンナ・リンメトが咎める。
「いーじゃん。誰も見てないんだから。」
そう彼女は言うが、当然棟の室内や外には至る所に監視カメラがあり、彼女達の行動は全て見られていた。そして今の姿も、モニター室にいる看守に見られていた。
だが、テレビカメラなど彼女たちにとっては想像外の代物で、当然、監視されていることに気付くはずもなかった。
「しっかしここは本当に収容所なのかねぇ?とてもそうは見えないぜ。」
チームメンバーの重戦士のアンダレス・ポーカーが周りを見渡しながら呟く。
「全く同意件です。彼等は捕虜を虐待している様子もなく、更には負傷者にはちゃんとした治療を施している・・。治療魔法を使っている様子や魔力の反応も見られないので、完全な科学技術で成り立っているようですが、相当発達していますよ。」
チームメンバーの神官であるリキシンテ・マルナが、天井のLEDライトを見ながら自分の意見を言う。
この世界には魔法も科学も両方あるが、総合的には魔法技術の方を採用している国が多く、魔法の方が優れていると考える者が多い。
彼もそんな人々の1人だった。
ちなみに科学は石油等を中心に使われているが、魔法にも魔力以外に魔法石という魔力の宿った石があり、魔法文明は科学文明の石油と同じくらいに重宝されている。
そして、ヨンバハーツ大陸には、そんな魔法石が多く埋蔵されていることから、魔法技術を採用している国が多い。
「ん~。本当にスッゴい所ねぇ。あの黒い兵隊さん・・・また戦いたいなぁ~。」
アンナの言葉にヘンナが反応する。
「え?あんな、化物とまた戦うつもり?・・・全く懲りないねぇ。」
「いや、だってあんな面白そうな奴、滅多にいないよ!はぁ~あの中身は一体どうなってるんだろ?」
「はぁ・・・アンナにそこまで興味を持たれるあの黒い奴には同情するよ。」
因みにその特殊急遽制圧部隊の見張り役は彼女等に圧力を掛けていると思われないように、別室で非常時に備えて待機していた。
その部屋には当直の10人程の特殊急遽制圧部隊がいた。
彼等は冒険者達や捕虜達が暴れた時にすぐに出動できるようにフル装備で待機していた。
「しかし、あの冒険者の動き・・・凄かったな。一体どんな鍛え方をしたら出来るんだろうな」
隊員の1人がそう呟く。
「全くだよ。この間までどんな奴等でも倒せると思っていたのに、あんな恐ろしい程強い奴がいるとはな、しかも女がだぞ?この世界はどうなってるんだ?」
「あ、そう言えば・・・なぁ加藤!お前ってあの女と戦ったんだろ?どれぐらい強かった?実際に戦ったお前なら具体的に解るだろ?」
同僚に加藤と呼ばれた男こそが先日、アンナと戦った人物の加藤正人大尉だ。
「どれぐらいって・・・そうだなぁ。身体能力も凄かったが、剣を振るのが速すぎて見えなかったな。気が付いたら頭を叩かれていて、それからあの魔術師だな。あの魔法は何発も喰らったらヤバいと思うぞ。」
「ほ~。でもかなりの美人だったな。」
「確かにな、あれくらい美人であれだけ強いなんて、神様は理不尽だな。」
仲間達の会話を加藤は聞かず、あの時の戦いを振り返った。あの戦闘後、ヘルメットの後頭部は凹んでいて、あんなのを何回も喰らったらきっと壊れて殺されていただろう。
それを思い出した彼は、今は別の事を考えることにして、この恐ろしい事を忘れるようにした。
日本 神奈川県 横須賀
ここ海上自衛隊最大の基地では、日本が誇る最新鋭艦隊である第1護衛隊群が停泊していた。
その横須賀基地では、日本で唯一の原子力空母である「あかぎ」の艦長が、部屋で防衛省の人間と話していた。
「ほう、では遂に、第1護衛隊群が動く時が来たのですか?」
この男、「あかぎ」の艦長である神谷源司大佐がそう質問する。
「えぇ。オーマバス・レムリア大陸諸国連合艦隊の襲撃が起こった以上、今後も奴等が来る可能性は否定出来ません。その為に出し惜しみはしません。国民達を安心させるためにも、この艦隊を動員するのです。」
神谷大佐はそれを聞いて満足そうに頷いた。
「なるほど、ならばお任せを。必ず奴等を交渉の席に座らせて見せましょう。国民を仲間を一方的に殺した連中には、それ相応の代償を払わせます。」
「その発言、漏れれば上がうるさいですよ。」
その言葉に神谷大佐は「おっと、これはいけない」と言い、笑った。
「まぁ、我々からの通達は以上です。より詳細な指示は後から来るでしょう。」
「はい。何時でも出動できるように待っておりますよ。我々は」
そう聞いた防衛省の役人は「頼もしい」と言い残し退室した。
神谷1人になった部屋で、彼は溜め息を洩らしながら呟いた。
「・・・対中国とを想定されていたが、まさか異世界の艦隊と戦うことになるとはな。仕方ないことではあるが。」
神谷大佐は2007年の中国との紛争の際に大破された「こんごう」の元乗組員であり、いつかこの屈辱を晴らそうと日々思い仕事をしてきた。しかしその中国はいなくなり、日本だけがこの世界に転移したことで、やり場のない怒りが残った。
「まぁ・・・中国海軍と戦い勝てるとはとても思えないから、これで良いのだと思うが・・・空しいものだな。」
彼の独り言は誰にも聞かれることは無く、神谷は仕事に取り掛かった。
南亜島 地球連盟国
ここ日本に残っていた、日本以外の国の人間が集まり、この島に移住して1つの国を形成していた。
人口はこの2年間で急激に増えて239万人おり、この島を守る防衛戦力は在日米軍を中心として11万人だ。
人口に対して軍人の数が多いが、日本からの全面的な支援によってこの島には大規模な都市が築かれており、完成とは程遠いがそれでもそこらの列強国よりも立派な都市が出来ている。
そんな島の政治の中心部である、仮の首都ワシントンの国際会議場では元駐日大使が各々の国の代表としてこの会議に参加していた。
「さて、全員集まった様ですので、会議を始めたいと思います。」
今回の会議の議長であるドイツ人のハンス・シュミットが宣言する。
「それでは、私の方から皆さんに報告があります。」
アメリカ大使のジョン・レバーソンが発言する。
「まず、今回の列強国らの襲撃に対する反撃として、日本の海上自衛隊の虎の子である第1護衛隊群が動くそうです。そして陸上自衛隊も、少なくとも5万人規模を動員するとの報告がありました。」
その言葉に周りの代表達はざわめく。日本へのアメリカからの支援等もあり、強力な艦隊として知られていた第1護衛隊群が動くことに興味が湧いたのだ。
「なるほど、それで貴方は何を言うためにその事を報告したのです?」
フランス大使がそう聞く。
「はい。我々は生活するには余りにもこの島は狭すぎます。更に我々の経済を更に成長させるには今まで以上の工場を作り、それを他の大陸諸国にも広めるのです。その為にも我々の第7艦隊も日本の自衛隊と協力して攻撃し、ヨンバハーツ大陸そしてオーマ島に影響力を強める必要なのです。」
「ふむ、では日本と協力し、列強国に我々の存在を知らしめると?」
ロシア大使からの質問にジョン大使が答える。
「えぇ。正直、いくら軍拡をした日本でも2ヶ国の大国を攻撃し占領するのは厳しいでしょう。そこを我々が手を合わせるのです。そうすれば日本はある程度我々に譲歩しなければならず、今後更なるこの島の開拓や領土拡大もできます。いつか祖国に帰るその時まで我々はある程度の勢力を持たねばこの世界では蹂躙されます。」
ジョン大使の祖国に帰る、その言葉に各国の代表らは反応し、アメリカの提案には賛成多数で日本と共闘することが決まった。
日本政府も自国の戦力だけではこころもと無かったため同意をした。
こうして、日本の第1護衛大群・アメリカの第7艦隊が列強国海軍と戦うことが決定した。
更にアメリカ・中国・ロシア・ドイツ・ブラジルの志願した陸軍も参加することが決定した。
如何でしたか?
さて、次は第1護衛大群とアメリカの第7艦隊の説明回を投稿します。
戦闘回はまだ後だと思います。
追伸 読者様からのご指摘により一部訂正した所があ
ります。
第15話の列強国の会談も日本の監視網につい
て一部訂正しております。
2021年 12月18日 土曜日 19時30分以降の方は問題ありません。




