第20話 列強国らの反応
ちょっと数字を小さい方で書いて見ました。
誤字脱字を報告をしてくださる皆様本当にありがとうございます!!
そして本当に申し訳ありません!!
こんな作者ですが今後ともよろしくお願いいたします!!
第20話 列強国らの反応
北海道上陸作戦が始まる少し前。
西平島より200キロメートル離れた海域
ここに、日本に宣戦布告し西平島に攻撃命令を出した外交大使の乗った船がいた。
「バカな!?そんな訳あるか!!あの艦隊が敗れるなど!」
外交大使のヘニンガラー・ラウルスは顔を赤くして報告してきた部下を怒鳴る。
「い、いえ報告に間違いはありません!撤退した戦艦と潜水艦、複数からの報告ですのでっ」
「そ、それが事実だと我らはどうなる!?このままでは奴等からの報復が来るぞ!?」
ヘニンガラーは慌てた様子で側にいた艦長に問う。
「と、取り敢えず・・・エルミハナ大陸にそって帰国します!少しでも奴等と離れた航路で帰国するしかありません!」
「あ、あぁそうだな・・・まさかこんなことになるとは糞がぁ!」
ヘニンガラーの乗る船は、日本からの来ることの無い報復に怯えながら帰国した。
その後、オーマバス・レムリア大陸諸国連合艦隊の敗走を聞いた派兵参加国は、驚愕しその後に恐怖した。
北海道上陸作戦から3日後
オーマバス神聖教皇国
首都シンメネリア オーマバス大聖堂
とある部屋、ここ列強国であるオーマバス神聖教皇国の政治家達が集まり会議する部屋では、この国の政治家達が青い顔をしていた。
「生き残った第一陣の潜水艦・戦艦と、第二陣の輸送艦隊らの報告通りの内容が、世界情報通信会社の新聞やニュースで流れており、現在ヨンバハーツ大陸とレンモネス大陸の国々が目に見えて混乱しております。」
植民管理大臣がそう報告する。
「・・・まさか我が国の精鋭艦隊と陸軍が敗れるなどっ!しかもレムリア連邦軍が居たのだぞ!」
軍務大臣がそう怒鳴る。
「落ち着かれよ!教皇の前で見苦しいです!今はどう対応するかでしょう!」
外務大臣が軍務大臣をたしなめる。彼も同じ気持ちだが、報復がくる前に対応策を考えねばそれこそ危険だからだ。
「と、取り敢えず財務局からは軍費の増大をします。その使い道については軍務局に任せます。あとは植民地の増税と大陸諸国からの寄付額を増やさせます。」
オーマバス神聖教皇国は宗教国家であり、ヨンバハーツ大陸にも自国のメンリルバス教を国教としている国々があり、それらの国からの寄付金がオーマバスの収入になっていた。
メンリルバス教は、今から350年前にメンリルという貴族女性が軍を指揮してオーマ島を統一。今のオーマバス神聖教皇国が出来た。メンリルバス教のバスとは、メンリルの死後にバスノムリア・ホンアイ大司教が彼女を唯一神にして宗教にしたことから、彼の名をとってメンリルバス教と名付けられたものである。
教皇の座に着いた者は、代々メンリルと名乗り職務を行ってきた。
そして現在の代63代目メンリル・アーランが教皇の地位についていた。
メンリルバス教は、特定の組織や種族を差別することは無く、同じ教徒なら種族の差別を厳しく取り締まる宗教だ。
しかしメンリルバス教以外を信仰する者には徹底的な迫害を行うべしと、聖典に記載されている。
そのためヨンバハーツ大陸内では、メンリルバス教を信仰する国とそれ以外の宗教を信仰する国々が連合を組んで争っていた。
メンリルバス教側をオーマバスが支援し、それ以外の国をヨンバハーツ大陸内の西側にある別の列強国と準列強国が支援していた。
「ふむ。財務の方は方針が決まりましたか。では次に軍務はどうなさいますか?」
教皇の質問に軍務大臣が答える。
「軍務局としては第2主力艦隊が壊滅したので第3主力艦隊と第1、第5地方艦隊を東海域に展開して日本艦隊からの報復に備えます。そして陸軍は10個師団を西海岸に配置させます。空軍は第1航空戦闘団を動員します。」
オーマバス海軍は、本土を防衛する主力艦隊を第1~3まで保有しており、植民地や遠征用の地方艦隊を第1~6まで保有していた。
1つの艦隊には20~30程の軍艦が所属しており180以上の軍艦を保有していた。
そして今回の日本出兵では万全のために第2主力艦隊を派遣したのだ。
そして陸軍は1個師団あたり1万人で構成されており全部で45個師団を保有していた。そのうち9個師団は亜種族で構成されている。
そして輸送艦隊には精鋭である第2師団と亜種族の1個師団を送ったのだ。
ちなみに空軍は最近になって本格的に軍として結成されておりまだ第1と第2航空戦闘団しか保有しておらず合計で200機程しかない。
これは他の列強国と比べると少ない。
なのに海軍と陸軍の精鋭を一気に失ったのだ。この影響は大きい。
「それならば暫くは良いでしょう。しかしパースミニア王国とドバラキ公国の動きが気になりますね。
情報大臣何か掴めましたか?」
「はっ!両国は特に大きな動きは感じられませんでしたが、世界情報通信会社が日本について報道してから日本と接触したがっていると、スパイから報告がありました。」
パースミニア王国はヨンバハーツ大陸東側の列強国で序列は最下位の8番目だ。
ドバラキ公国は準列強国でパースミニア王国とは軍事同盟を結んでいる。元はパースミニア国の一部であったが100年ほど前にその時の有力貴族が独立して造った国である。
昔は険悪だったが、現在は両国ともに問題にしておらず、お互いに国として認めていた。
「なるほど決して接触はさせてはいけませんよ?貴方なら解っている筈でしょうけど。」
「はっ!承知しております!」
情報大臣の言葉に満足そうに頷いた教皇は財務大臣に予算の確認をした。
「さて財務大臣、現在の国家予算はどうなっているのですか?」
「・・・確か現在の歳入額は約10兆8400億オーマです。」
「ふむ。ではその内どれ程の軍事予算が割り当てられていますか?またどれ程増額しますか?」
「軍事予算は確か・・・8600億オーマでしたな。そこから税と寄付金の増額で恐らく700億ほど増えると思われるので4500億程を増額出来るかと。」
つまり合計で1兆3100億オーマ国家予算の1割以上を当てることになる。
日本ならば18兆円を防衛費にあてるのと同じだ。
「・・・ならば良いでしょう。しかしそれで日本を撃退出来るのですかね?」
この質問に軍務大臣が勢い良く答えた。
「ご心配なく!防衛戦ならば見事日本を撃退して見せましょう!軍事費にこれほどの予算を出して頂けるのならば我々も全力で戦えますぞ!!」
「それならば良いのですがね。信教の自由を宣言する野蛮な国を一刻も早く滅ぼしたいのです。少しでも多くの日本軍を倒して下さいね。」
「お任せください。教皇猊下」
その後も会議は夜遅くまで行われた。彼等はまだ日本と戦うつもりなのだ。
オーマ島 東方面 工業都市 デモホンニア
ここデモホンニアは、オーマバス神聖教皇国の東側に位置するオーマバスで随一の工業地帯である。
ここでは常に武器の弾薬や銃、車・船・飛行機など多くの工業製品が製造されていた。
街には多くのトラックが荷物を一杯に積んで運んでおり、港にはオーマバスの貨物船が毎日入れ替わるように荷物を出したり入れたりしていた。
まさにオーマバス神聖教皇国でも有数の発展地域である。
そこのとある工場内では数人の男達が話し合っていた。
「こ、これは・・・少し厳しいですよ。」
そう発言したのはこの工場の工場長である。彼は持っている政府からの指令書を見ていた。
その内容はこの工場が現在作っている銃の生産数を今よりも3倍にして欲しいと言うものだった。
「そこを何とかして欲しいと言っているのだ。更なる軍備拡大にはそれだけの数が必要なのだ。」
そう反論したのは軍務局の役人だった。
「それは解りますが・・・この短期間でこれ程の数を揃えるのはこの工場だけでは無理です。他の所にも依頼していただけないと。」
「他の所には、別の物を依頼しているのだ。ここだけで何とか頼む。」
「う~む・・・解りました。何とかしてみましょう。ですが期待はしないで下さいね。数が数ですので。」
今回の派兵の失敗はオーマバス国内の工業に大きく影響を受けていた。多くの軍需工場は今よりも更に多くの製品を作らねばならず、大忙しであった。
レンモネス大陸 レムリア連邦国
レムリア連邦首都 ペニテハリン
ここレムリア連邦の首都であるペニテハリンは内陸にある街で、人口420万人を誇っていた。
オーマバスの首都よりも少ないがこれと同等に発展した主要都市が複数あり、万一首都が陥落しても政治体制を変えずに維持できるようになっていた。
レムリア連邦は広大なレンモネス大陸の4割を支配しており、オーストラリアの2倍ほどの広さの領土を持っていた。砂漠や山脈があり、そこから地下資源を採掘して発展した都市が複数ある。
そしてレムリア連邦は大陸の南と東を支配しており、地図で国境に線を引くと大陸全体を斜めに切っているかのような形だ。
そんな大国の首都の連邦議会堂では、連邦の最高指導者である連邦総議長と各分野の議長が大議会所で会議をしていた。
「・・・まさかこんな事になるとはな」
この国の最高指導者であるボーワン・ワグス総議長がそう怒りの言葉を出す。
「軍事議長!それでどう対応するのだ?」
総議長からの質問に軍事議長は少し怯えながら答える。
「我々としてはまず第1艦隊を筆頭にした艦隊を編成しオーマバス艦隊と共同で日本艦隊を撃退します。」
レムリア連邦海軍は第1艦隊以外の軍艦は艦隊には所属しておらず有事の際に艦隊を編成する。
「で?もしそれが敗れた場合は?」
「は、はい。もし敗れた場合は陸軍により人海戦術で対応します。現在第2総軍団を南海岸に配置しており東には第6総軍団を配置しております。そして第4、8はその後詰として後方に配置しております。」
総軍団とは1つの総軍団に約100万人の兵士で構成される大規模部隊である。
レムリア連邦陸軍はそれを第10総軍団までつまりおよそ1000万人の兵士を常備軍にしておりまた国家非常総力宣言をすれば徴兵により最大で4000万人を動員出来る。だがそれをやった場合経済的にも壊滅的な打撃を負うため、2000万人を上限にしている。
だがもしも、レムリア連邦が国家存続の危機になるほど追い詰められれば4000万人を動員する可能性がある。
「また、空軍も最大で3000機を東方面に南側には4000機を動員します。」
「・・・まぁいいだろう。次に財務議長!お前の所はどう対応する?」
今度は財務議長が呼ばれ冷や汗をかきながら報告する。
「はっ!財務議団としては非常予算を解放しその予算の半分を軍事費にあてます!また国民らにも非常事態のため増税を課して軍備増強をいたします。」
非常予算とはレムリア連邦が有事の際に備えて毎年少しずつ貯蓄した予算でその総額は15兆レマになる
この金額はレムリア連邦の国家予算が30兆9015億レマであるため2分の1になる。
軍事予算はこの内約13兆レマととんでもない軍事費割合である。
そのため国民らは厳しい生活を強いられていた。
だが政治家達が豪華な生活をしているかというと実はそうでない。現在の総議長になってからは政治家らの人件費は削られており、ギリギリ富裕層に入る程度しか貰っていなかった。
そして総議長は殆ど貰っておらず自身の経営している企業からの利益で生活していた。
そして国民らも厳しいが毎年多くの餓死者が出ているわけでもない。レムリア連邦は農地が非常に広大であるため食力自給率が極めて高く、食事に困ることはない。
ただ豪華な生活が出来ないだけであるため、現在の総議長への貧民からの支持率は高い。今までの総議長とは違い自身の生活も削っているからだ。
彼は決して無能ではなく、ましてや暴君でも無かった。ただ祖国を強くしたい、そのためならどんなことでもする、必要な物は、他国からどんなことをしてでも奪い取るという、その一念で総議長になったのだ。
「・・・良かろう。だがそれでも、更に追い詰められた時に備えておけ。日本はもはや、上位列強国と同等の国力を持つと考えておけ。」
総議長の言葉に周りの議長らは目を見開いた。思わず情報議団の議長が発言した。
「幾らなんでも上位列強国と同等など・・・ほんの一部しかやられていないのです。考えすぎでは?」
「貴様は何を考えている?一部とはいえ、それでも他国から見たら大軍を撃退されたのだぞ!それに元はと言えば、オーマバスの愚かな情報局からの情報を鵜呑みにした、貴様の責任であろう!!」
総議長の怒りの言葉に情報議長は慌てて謝罪した。
「はひぃ!も、申し訳ありません!!」
「もう良い!私は退出する!具体的な対応策を書面にして提出しとけ!」
「「「「はっ!」」」」
総議長の言葉に議長達は一斉に頭を下げ、総議長が完全に居なくなるまで頭を下げ続けた。
レムリア連邦は戦争を続けるのか、または講和をするのかイマイチ分からない。
パースミニア王国 首都 コレヘニ
ここヨンバハーツ大陸の東側にある下位列強、パースミニア王国。首都の中心部にある議事堂の会議室では政治家や軍の高官らが座って話し合いをしていた。
「先日、世界情報通信会社の報道にあった日本という国について、情報局から報告があるそうだ。」
この国の宰相がそう発言する。そして情報大臣が起立して報告をする。
「我々情報局の局員から日本に関する情報が集まりました。
内容は、先日のオーマバス・レムリア両大陸諸国連合の攻撃目標がその日本であり、戦力の半数以上を失う形で日本に敗れたというものでした。これは報道内容と一致しているため、1年前に日本について報道された内容が、荒唐無稽ではなく事実という可能性が高まりました。」
その報告に周りがざわめいた。1年前に日本について報道された「上位列強国と同等」という内容が事実であった可能性が出たことにより、大臣らは驚愕した。
1年前に発表された視察団の報道内容は、列強国はそこまで信じていなかった。
今までそんな国があればもっと昔から有名になっており、今更報道されるわけないからだ。
さらに国ごと転移したという話は、列強国以外にも多くの国々が信用しなかった。
だが、日本と比較的近い大陸国家や島国は日本の噂を聞いており、試しに接触して事実だったと気付く国もいた。しかしやはり信じない国の方が多かった。
そしてパースミニア王国も信用していなかった。しかし最近ヨンバハーツ大陸諸国が急に大人しくなってすぐ、世界情報通信会社の連合艦隊敗北の報道を見て、ようやく本格的に日本についての情報を集めていたのだ。
「なんと!まさか事実だったとは・・・オーマバスと敵対しているのならば、一刻も早く接触して共同戦線を張りたいものだ。」
国防大臣がそう呟く。その言葉に軍の高官らも頷いて同意の意思を示した。
現在のパースミニア王国軍はメンリルバス教に反発する国々を支援しているのだが、多数の強力な亜種族兵士を送ってくるオーマバス国に苦戦しており、軍の高官らは何か戦況を覆せる策はないかと考えていたのだ。
「うむ。余もそう思っている。オーマバスの連中は余りにも危険だ。何としてでも日本と接触して共に戦えるようにしたい。」
この国の最高権力者である第25代目国王、ハカラニア3世がそう発言する。
すると外務大臣が報告する。
「現在ドバラキ公国のメニア公女殿下が大使として日本と接触する準備をしているようです。我が国も支援するべきです。」
「なんと。あの子がそんな危険な役割を・・・わかった。我が国も全力で支援すると伝えるのだ。我々は奴等の囮となり新たな同胞を得ねばならん。」
「畏まりました。国王陛下」
パースミニア王国はドバラキ公国の公女に希望を託していく方針を決めた。
ドバラキ公国 首都 ハドンブルク
ドバラキ公国はヨンバハーツ大陸の東南に位置する準列強国で、他の準列強国と比べるとかなり小さい国だ。中小国と同じくらいだろう。
なぜそんな小国が準列強国なのかというと、列強国であるパースミニア王国の支援を受けており、他の準列強国よりも高い技術を持つため準列強国に認められている。
そんな国の首都であるハドンブルク、王宮のとある部屋に、10代後半程の若い女性がいた。
この部屋の主であるメニア・フィール・ドバラキ公女は考え事をしていた。
(2つの列強国を返り討ちにし、ニュースでは上位列強国並みの国力を持つ国、日本・・・彼らと会うには奴等の包囲網を突破しなくてはならない。果たして出来るのか?)
昨日行われた緊急会議で日本と接触して支援を要請するための使節団大使を誰がやるかを論議していた時、彼女は祖国を救うために立候補したのだ。
だが大臣らは最初反対していた。父親である国王もそうだった。
理由は簡単だ。現在このヨンバハーツ大陸の主導国はオーマバスであり、制海権を完全に掌握していたのだ。海上には戦艦がそして海中には高度な魔法技術で支配した海の怪物が見張っていたのだ。
日本と接触するには海路を使うしかなく失敗する可能性が極めて高いのだ。
パースミニア王国もドバラキ公国も海軍はそこまで強くなく制海権を奪うことは難しいのだ。
だが公女の強靭な意思により最終的には認めることになり、パースミニア王国と連携して接触することになったのだ。
パースミニア王国の準備が整いしだい、公女を乗せた船が日本に向けて出港するのだか、それまで彼女はどうすることも出来ないためこうして考えていたのだ。
「パースミニア海軍も出動するというが、はたして海軍国家であるオーマバス海軍と渡り合えるのだろうか?・・・いや、無理でもやるしかないのか。何としてでも成功せねばならんか。」
公女は1年ほど前に放送されたメールニア国の講和会議の放送を思い出す。
あの時はかなり特殊な技術を持った国だと思ったが、列強国の軍を倒したと知って思い返すと、かなり高度な技術だと今更ながら気付いた。
「日本・・・必ずや支援を取り付けて祖国を守らねば!」
彼女の決意は静かに、だがしっかりと決まった。
いかがでしたか?
まだ戦闘回は入らないと思います。
次は多分パースミニア王国とドバラキ公国のスペック説明でその次が日本側の準備に関する話を書きたいと思います。




